「人の役に立ちたい」が私の原点。高校時代の夢は国際貢献
高校2年生の時に、世界の紛争地域で暮らす人々に医療を届ける取り組みをしているNGOの活動の紹介を聞き、国際貢献に興味を持つようになりました。恵まれない環境で暮らし、必要な医療を受けることもできない人たちがいることに衝撃を受けるとともに、自分の身を危険に晒してでも人々救おうとする人たちの存在に「なんて素晴らしい世界なんだろう」と感銘を受けたのを覚えています。その影響で国際貢献の仕事を目指し、大学では法学部で国際関係を学ぶことを決意しました。
しかし、実際に学んでみると想像していたものとは大きなギャップがありました。国際関係の学問は、安全保障など国と国の関係性のなかで、いかに自国の運営を維持していくかにフォーカスしています。国際貢献を行ううえで必要な知識ではありますが、私が憧れていた、苦しんでいる人がいる現場に赴き人道支援を行うという直接人に関わっていく世界観からは遠いと感じました。
学業以外では、塾講師のアルバイトをしていました。様々な生徒を受け持ちましたが、特にあまり学習に対して前向きでない生徒に教えることにやりがいを感じました。まず学習に対するモチベーションを持たせることからスタートしなければならず、相手の人となりや興味を知り世間話をしながら信頼関係を築き、少しずつ勉強に興味を持たせるというプロセスがすごくおもしろくて、達成感が大きかったですね。
自分とは全く違う価値観や考え方を知り、共通項を見出して目標達成に向け、ベクトルを合わせていくことにやりがいを感じる点は、今もあまり変わっていません。
大学卒業後は大学院に進みました。国際関係の学問にギャップを感じたものの進学したのは、父が病気で倒れたことが影響しています。父の状態を考えると進学は厳しかったのですが、国際貢献への想いを中途半端にしたまま何となく社会に出ると、父のことをずっと言い訳にしてしまいそうだと思ったのです。
大学院では、途上国や紛争地域の女性やマイノリティの解放や権利向上について学ぶゼミに所属し、法整備支援を学びました。 相手国に寄り添い、現地の文化や慣習を理解して実用に耐えうる法体系を整え、その国の人々から信頼を得ながら一緒に新しい仕組みをつくるという世界観は、現在の仕事にも通じる部分があります。
課題が山積していたJR西日本へ入社。めざしたのは安全な社会
就職活動では、鉄道業界と食品業界を中心にエントリーしていました。全く違う業界のように思われるかもしれませんが、私の中では「エンドユーザーの喜ぶ顔が見える事業」という点が軸となっていました。
鉄道会社のなかでもJR西日本に入社を決めたのは、「弊社は課題が非常に多く、一緒に乗り越えてくれる仲間を求めています。ぜひあなたに仲間になって欲しい」という言葉が印象的だったからです。当時のJR西日本は、福知山線列車事故を重く反省し、安全性の向上を目指して、立て直しを進めていました。人材開発の側面から社内の仕組みを変えることで、安全な社会づくりに貢献できると考えたのです。
入社後配属されたのは経理部でした。日々の業務を行っていく中で年間の予算枠に対して課題があると感じ、社会的実験に近い試みを行いました。あえて予算枠を撤廃することで、現場のリーダーが自分の裁量で適切に経費を執行してくれると考えたのです。
この取り組みは当時、周囲からも評価され、とてもエキサイティングで貴重な経験となりました。
その後、人事部に異動し研修担当になりました。研修そのものは多数用意しているものの、連続性のあるカリキュラムになっていない点が課題だと感じ、仕組化することに。何年目にどんなスキルが必要か、スキル取得のためにいつどんな研修や育成機会を提供するかをロードマップ化しました。さらに、育成の主体となる現場長までつながるよう仕組化を推進しました。
お客様へより良いサービスを届けるために。苦労もあったグループ横断での協業への道
2019年に異動を希望し、障がい者雇用の特例子会社である、JR西日本あいウィルに出向しました。人事などの管理部門の仕事が長く、鉄道以外のグループ会社で自ら利益を生み出す仕事をしたいと考えたからです。結果、新規事業立ち上げと約50名の部下のマネジメントを経験しました。
JR西日本あいウィルは、委託事業で利益を上げ、JR西日本の障がい者雇用率を維持するというミッションを持つ会社です。印刷や清掃などの業務のほか、JR西日本のオフィスワークにおいて、作業性が高い作業を切り出して定型化し、障がいのあるメンバーの業務ラインに載せる取り組みをしています。
異動当時、コロナの影響で収益が厳しくなっていました。そこで、メインの軽作業だけではなく、パソコン関連など新しい業務の開拓を実施。データ分析関連業務のニーズ増を見込んで、デジタルソリューション本部の奥田と宮崎に協業を相談しました。定型化した業務にコツコツ取り組めるメンバーが多く働いている点などをアピールしたところ、AIに学習させるためのデータにタグ付けをする作業を提案されました。
作業ができる人材の育成や業務環境の整備、マニュアル作成といった取り組みをして、宮崎の力を借りつつ1つの事業へと育て上げられた経験は、現在の業務にも活きています。
その後、JR西日本あいウィルでの協業がきっかけで、宮崎から「やり切るためのビジネス戦闘力のあるメンバーが欲しい」と声を掛けてもらい、2022年にデジタルソリューション本部へ異動しました。
私が所属するチームS(関連事業チーム)は私を入れて6名。宿泊業・飲食業・不動産事業などそれぞれ異なるバックグラウンドを持つメンバーで構成されています。
ミッションは、鉄道だけではなくJR西日本のさまざまな事業に対し、グループで保有するデータを活用し、判断、意思決定を行う組織力を向上させていくことです。
昨年度の1年半弱は、データ分析などデータ活用に必要なスキルの習得から始め、現在は具体的な施策を打ち出すところまでこぎつけました。
とはいえ、事業への理解はその部署のメンバーに及ばないこともあり、データ分析の活用を呼び掛けても良い反応はなかなか得られません。また、データを分析したものの実用に至るまでのストーリーを描けず、実行に至らなかった事例もあり、悔しい思いをしたこともありました。
各事業の営みを知って課題の理解を深め、支援というよりは一緒に取り組むというスタンスに切り替えたことで、少しずつ協業することができるようになりました。
2023年春からは、WESTERポイントが始まり、グループ横断でのデータの活用によりお客様により良いサービスを提供する取り組みをしようという雰囲気が醸成され、道ができ始め、おもしろくなってきたところです。
具体的な成果も出始めており、一つは、レストランの着席率を可視化し、集客や単価アップなど店舗ごとの戦略の方向性を見出せたこと。
もう一つは、商業施設やホテルなどのグループ会社と優遇策を検討し、マンションの購入者にグループ利用を促す取り組みです。
現在はプロモーションに携わる機会が多いのですが、今後はJR西日本グループの大規模で良質なデータを分析することで、グループを横断したサービスの改善などにも活動の幅を広げていきたいと考えています。
データ分析はあくまで手段。リアルのサービスに磨きをかけお客様を笑顔に
今後の目標は、リアルとデジタルを融合させ、お客様とJR西日本グループの仲間を笑顔にすることです。
データ分析はあくまで手段でしかないと考えていて、お客様に便利で楽しい体験を届けるためには、データ分析やアプリなどデジタルの取り組みだけでは不充分です。リアルの商品やサービスの磨き上げも合わせて取り組んでいく必要があると思います。
また、デジタルの活用は、JR西日本グループの社員のやりがいやモチベーションにもつながるはずです。データを活用して担当する商品・サービスの質を向上する、マーケティング業務の精度を高める、生産性を向上して無駄な業務をなくすなど、データを用いてやりがいを高めることができると考えています。
現在、チームSではグループ各社が持つデータの可視化やお客様の行動分析などをしていますが、分析リソースが足りていないのが実情です。そこで、分析をサポートしてくれるメンバーを積極的にお迎えして、一緒に各社のマーケティングの高品質化やグループ横断の取り組みを加速していきたいです。
JR西日本グループの関連事業におもしろさを感じ、各事業のメンバーと協力し彼らの知見を引き出して、データ分析と融合する働きかけをしてくれる方と仕事ができたら非常に嬉しいです。
現在のチームSには、多様な背景を持つメンバーがおり、それぞれの知見を基にアイディアを出し合い議論できるという強みがあります。新しいメンバーが加わることで、さらに磨きがかかると期待しています。
5年後・10年後には、各グループ会社から集まっているメンバーが各社に帰った後も、データ活用の知見を活かし、トレイルブレイザーのメンバーと一緒に事業を成長させていく取り組みができるようになっていたいですね。
加えて、グループを横断し全体の収益を拡大していく試みが、もっとスピーディーにたくさん実行できる未来を実現できたらと考えています。
※記載内容は2023年12月時点のものです
