データが語る物語を読み解く - 鉄道サービスの価値を高めるデータサイエンティスト
私は現在、TRAILBLAZERのデータコンサルティング事業部で、マーケティングアナリティクスプロジェクトに携わっています。一見すると単純なマーケティング分析と思われるかもしれませんが、実際の業務範囲は非常に広範です。新幹線や在来線特急の利用状況の分析から、インバウンド需要の把握まで、会社の経営に直結する重要なデータ分析を担当しています。
直近のプロジェクトは、鉄道利用状況のモニタリングと需要予測が中心となっています。単純な数値の把握だけでなく、急激な変化の検知や、中長期的な利用者数の予測など、幅広い視点での分析が求められます。
私が分析業務でとくに大切にしているのは、「生活者の視点」です。鉄道は老若男女、国籍、文化背景を問わずさまざまな方々が利用する、まさにユニバーサルなインフラです。データには「A駅からB駅まで何人が利用した」という数値は示されますが、その背後にある「なぜその区間を利用したのか」「なぜその時間帯に集中するのか」といった人々の行動理由は見えません。そこで私は常に、数値の背後にある人々の生活や行動パターンを想像しながら分析を進めています。
また、「頼ってもらえるうちが華」という言葉を常に意識して仕事に取り組んでいます。データサイエンスの世界は変化が激しく、最新の手法や考え方が次々と生まれては古くなっていきます。とくに2025年現在は、LLMをはじめとするAI革命の真っ只中にあり、データサイエンティストの役割自体も大きく変わろうとしています。
しかし、そのような変化の中でも、人間にしかできない価値提供は必ず存在すると信じています。それは例えば、ステークホルダーとの深いコミュニケーションを通じた課題の本質的な理解や、データからストーリーを紡ぎ出す洞察力といったものです。
分析の現場で直面する課題は決して単純ではありません。データの前処理が困難だったり、そもそも課題自体が明確でないケースも少なくありません。そんな時は、関係者との対話を重ねながら、できることから一つずつ解決していくアプローチを取っています。
このように、私の仕事は単なる数字の分析にとどまりません。データを通じて、より良い鉄道サービスの実現に貢献することが、私たちデータコンサルティング事業部のミッションなのです。
データサイエンスとの出会いから鉄道への想いをつなぐ道のり
私のキャリアは、銀行での資産運用部門からスタートしました。そこでファンドマネージャーの業務サポートを担当し、日々の事務処理の遂行や初歩的なデータ分析などを行っていました。しかし、より深くデータと向き合える仕事に挑戦したいという思いが芽生え、動画配信サービスの会社への転職を決意しました。
この転職が、私のキャリアの大きな転換点となりました。データアナリストとして一から勉強させていただき、会員の利用分析や解約動向の分析、動画作品の分析など、幅広い分析業務に携わることができました。とくに印象に残っているのは、提供作品群に関する新しい指標を一から作成したプロジェクトです。
先行事例がまったくない中で、課題の定義から指標の策定、運用まで、すべてを手探りで進めていかなければなりませんでした。大変な苦労がありましたが、この経験は私の分析者としての基礎を形作ってくれました。周りの方々にも恵まれ、未経験者だった私に多くの機会を与えていただいたことは、本当に感謝しています。
その後、リーガルテック企業に移り、企業法務部向けの契約審査AIに関する分析業務を担当しました。新しい分野での分析経験を積むことで、私の知見はさらに広がっていきました。私の転職の原動力は常に「知的好奇心を満たせるか」という点にありました。未知の領域や、今までにない課題に挑戦できる環境であるかどうかを重視してきました。
そんな中、TRAILBLAZERとの出会いがありました。実は私は幼い頃から鉄道が大好きで、旅行の際には必ず鉄道での旅を選び、友人との旅行でも「電車で行くならOK」というほど、鉄道への愛着が強かったのです。
一方で、大学でデータサイエンスと出会い、その魅力にも取り憑かれました。就職活動時は鉄道会社に行くか、データ分析の道に進むか悩みましたが、当時はデータ分析の道を選びました。そんな中でTRAILBLAZERという、鉄道とデータサイエンスを組み合わせた仕事ができる環境に出会えたことは、まさに運命的でした。
さらに、関西出身の私にとって、地元の発展に貢献できる可能性も大きな魅力でした。土地勘を活かしながら、データサイエンスの知見を活用できる。周りからも「お前のためにある仕事やな」と言われるほど、天職だと感じています。
データ分析の現場で得た気づきと成長
入社してからまだ日が浅く、現在進行中のプロジェクトも始まったばかりということもあり、大きな成果を挙げられたという実感はまだありません。しかし、日々の業務を通じて新しい発見や学びを得られていることを実感しています。
とくに印象に残っているのは、データの前処理に関する経験です。JR西日本は長い歴史を持つ企業であり、膨大な過去のデータが存在します。そのデータを活用しようとした際、フォーマットが時代とともに変遷を遂げていることに気づきました。データを有効活用するためには、まず前処理という地道な作業が必要不可欠だったのです。
正直に申し上げますと、この前処理にかかる時間を甘く見積もってしまい、想定以上に時間がかかってしまったことは反省点として挙げられます。しかし、このような経験は決してマイナスではないと考えています。なぜなら、一度きれいにデータを整備できれば、そのデータインフラを基盤として、より高度な分析やAIの構築・運用がスムーズに進められるからです。
前職や前々職でも、データ整備が十分でない状況からプロジェクトをスタートすることが多々ありました。そこで培った経験が、現在の業務でも大いに活きています。「プロジェクト開始時点でデータが完璧に整理されているケースは稀である」という認識を持っていたからこそ、粘り強く取り組むことができたのだと思います。
また、現在は金額面、影響面、組織面でより大きな責任を担う立場となり、多様なステークホルダーと協力しながら事業を進める機会が増えました。この点は、入社後の大きな成長ポイントだと感じています。何万人もの人が利用する鉄道というインフラの改善に携われることは、私にとって大きなやりがいとなっています。
データ分析における前処理の苦労は、データサイエンス業界では避けられない「あるある」かもしれません。しかし、その苦労には必ず価値があると信じています。データをきれいに整備することは、より良いサービスを提供するための重要な土台作りなのです。この考えのもと、今後も積極的に課題に取り組んでいきたいと考えています。
振り返ってみると、入社後の日々は挑戦の連続でした。しかし、それらの経験を通じて、前職までの経験を活かしながら、新たなスキルや視点を獲得できていることを実感しています。とくに、大規模なインフラ事業におけるデータ活用の可能性と難しさを、身をもって学ばせていただいています。
鉄道×データサイエンスの新境地を切り拓く
短期的な目標として、現在取り組んでいる鉄道輸送に関わるプロジェクトでリスク検知や売上貢献をめざしていきたいと考えています。データサイエンスの知見を活かしながら、具体的な成果を出していくことが私の使命だと感じています。
中長期的には、鉄道×データサイエンスという領域をさらに発展させていきたいと考えています。効率的なダイヤの自動組成や、より高度で正確な需要予測など、まだ誰も到達していない新しい世界を作り出すことができると確信しています。この分野には学術的にも実務的にも豊富な知見の蓄積があるので、それらを最大限に吸収しながら、機械学習やマルチエージェントシステムなどを活用して、より洗練された手法を開発していきたいと思います。
当社の大きな魅力は、優秀な人材が集まり、挑戦を後押ししてくれる社風があることです。また、鉄道×データサイエンスという独特な領域で仕事ができることも魅力の一つです。他業界では当たり前とされている手法が通用しないこともありますが、それは新しい方法論を生み出すチャンスでもあります。
例えば、ECサイトなどでは一般的なABテストによる効果検証が、鉄道輸送では実施がほぼ不可能です。そのため、代替となる手法を常に模索しながら課題解決に取り組んでいます。このような環境は、既存の枠にとらわれず新しいアプローチを考えることができる人にとって、非常に魅力的なフィールドになると思います。
これから入社を考えている方には、データ分析の知見やデータに基づいた意思決定ができることはもちろん、自ら考え行動できる姿勢を持っていただきたいと思います。当社はフルリモート・フルフレックスで働くメンバーが多いため、主体的なコミュニケーションが重要になります。
とくに私が一緒に働きたいと思うのは、鉄道というハードな世界で、デジタルの価値を信じて価値提供できる方です。鉄道ファンの視点から見ても、データサイエンスが切り拓く鉄道事業の新しい可能性には、大きな期待を寄せています。知的好奇心が旺盛で、これまでにない分析アプローチに挑戦したい方、鉄道業界に興味がある方にとって、当社は非常に魅力的な環境だと自信を持ってお勧めできます。
