脱炭素技術の研究開発をリード。チームワークで前例のない開発プログラムに挑む
私が所属する次世代技術開拓部のT-Next Teamは、脱炭素技術に特化した部署です。化石燃料を水素やアンモニアに代替する技術、さらには廃プラスチックのリサイクル技術などのまったく新規の取り組みなど、CO2を削減するための技術開発を幅広く手掛けています。
次世代技術開拓部のT-Next Teamには12名が在籍しており、アンモニア製造に長年取り組んできた方、メタノールの専門家、私のように化学メーカーでキャリアを積んできたメンバーなど、専門分野もバックグラウンドも様々です。
新しい分野の取り組みが多くノウハウの蓄積が十分ではないため、開発プログラムを進めていくためにはメンバー間の協力が欠かせません。それぞれ担当している案件は異なりますが、要素技術や研究開発の内容が重複することも多いため、知見や経験を積極的に共有しています。
その中で私は今までTOYOで経験のない分野の研究開発とMethaMaster™というグリーンメタノールの経済性を計算するためのシミュレーションツールの開発に携わっています。このうち研究開発では、コンセプトの確立から、試験計画の策定、試験装置の組立と試験の実施、市場調査、経済性の評価、プロモーション活動、社内での調整、文献調査、そして知的財産の登録に至るまで、幅広い業務範囲を担当しています。現在は、コンセプト実証のための試験が進行中です。私が主導する形で、2人のチームメンバーと他部署のメンバー数名でトピックごとに小規模なチームを組成し、週に1度のミーティングを挟みながら開発プログラムを進めています。
仕事をする上で私が心掛けているのは、明確な目標とそれを達成するための期限を設定することです。前例のないことに取り組んでいるため、ノウハウもマニュアルもなく、開発プログラムの進め方に迷う場面が少なくありませんが、例え手探りの状態であっても、確実に前進し続けることを意識してきました。
また、メンバー同士が密にコミュニケーションを取れることも重視している点です。一人で抱え込んでしまうことがないよう、経験豊富なベテランと積極的にやり取りするなど、知見や経験を共有しやすい環境の整備に努めています。
ライフステージの変化が転機に。働きやすい環境で脱炭素技術に挑戦したいとTOYOへ
材料や製品開発に興味を持つようになったのは、大学・大学院で化学工学を学んだことがきっかけでした。また、学生時代から海外での仕事も視野に入れていたことから、卒業後はドイツに本拠を置く総合化学メーカーに就職しました。
塗料事業部に配属され、自動車・工業用塗料の中でも最も外側に塗布されるトップコートの製品担当として約5年、開発業務に従事しました。塗膜の性能を確保するための樹脂など配合設計が主な業務でしたが、プロジェクトマネジメントも経験しています。
2年目には本社のあるドイツに渡って研修に参加し、9カ月ほど現地の製品開発部と研究部でOJTを行いました。帰国後は、海外向け塗料の開発を2年ほど担当。現地で手に入る原料を使った低コストかつ高性能な塗料の開発に取り組み、調達部門、技術材料の専門家、技術チームと密接に連携しながら、プロジェクトリーダーとして開発業務全般を経験しました。
転職を考えるようになったのは、結婚を機に職場から遠く離れた場所に転居し通勤時間が長くなったことで、ワークライフバランスを得られる環境が必要と感じたからです。それがキャリアを見直すきっかけとなり、改めて検討した結果、専門知識を活かして地球環境の保全に貢献できる企業への転職を志すようになりました。
そもそも私が工学部に進学した原点は、ものづくりに興味があったからでしたが、脱炭素に向けた動きが加速する中で、社会を便利にするための技術開発ではなく、環境を守るための技術開発に携わることへの意欲が強くなっていたことも、この決断を後押ししたところがあると思います。
その中でTOYOを選んだ理由は二つあります。一つ目は、次世代技術開拓部のような脱炭素に特化した部署があったこと、二つ目は、働きやすい職場環境があったことでした。選考の過程では部長や複数のチームメンバーと面談し、話しやすい雰囲気を感じたことを記憶しています。風通しの良い文化が根付いていると感じて入社を決意しました。
入社した直後は、なるべくメンバーと顔を合わせるようにしてきました。だいぶ慣れてきた現在では対面によるミーティングが必要と判断した時は出社していますが、リモートでの業務も可能です。とても柔軟な働き方が実現できています。
脱炭素社会の実現に向けた技術革新。そこへ貢献できていることがやりがいに
化学からエンジニアリングへと業界を跨いでの転職となりましたが、試験データを扱うスキルなど、前職で培った知見がそのまま現在の研究開発業務に活かせる場面は少なくありません。
例えば、前職では早い段階からプロジェクトマネージャーを任せられたため、案件を推進する力や、周囲を巻き込む力が養われました。プロジェクトマネジメントのスキルも、メンバーとコミュニケーションする上で非常に役立っています。
一方、転職後は前職にはなかった魅力も感じています。脱炭素技術の導入によってCO2の排出を削減し、持続可能な環境の実現に向けて確実に進歩していることを実感できているのは、大きなやりがいです。
また、私は環境ビジネス関連のニュースを社内に配信する役割も担当しているため、国内外の脱炭素技術に関する最新の動向を積極的に追いかけています。自分が関わる開発プログラムに関連する情報に触れるたび、社会に貢献する技術の一翼を担えていることを誇りに感じます。
私がTOYOに入社して最も驚いたのは、仕事が進むスピードです。次世代技術開拓部では、お客様から「こんな技術を試してみたい。現実的に可能かどうかを判断するために、技術の概要や経済性について教えて欲しい」と問い合わせを受けることがあります。情報を提供した後、お客様が技術導入を決定し、社内の実動部隊が動き出した案件がこれまでに2件もありました。私が入社してまだ1年ほどですが、スピードの速さに圧倒される日々です。
前職で自動車業界に向けて製品開発に携わっていた際は、新製品の市場投入までに5年ほど掛かるのが一般的でした。次世代技術開拓部のお客様の業界は多岐に渡ります。TOYOの開発サイクルの速さは、そうした市場の多様性に起因しているのかもしれません。
農と工の融合に向けて──未来を形作る技術革新の実現を
新しい技術を開発するためには、実証試験を含む様々な過程を経なくてはなりません。多くの壁に直面することが避けられない中、重要なのは、諦めないこと。予算も時間も限られています。設定した目標達成に向けて、あらゆる手を尽くしていくことが求められます。
入社して約1年研究開発業務に従事する過程で、エンジニアリングに関する知識を深めてきました。例えば、実証試験を通じて現象をシミュレーションし、それを数式で表現できるところに、エンジニアリング企業特有の強みを感じています。
一方、私の将来的な目標は、エンジニアリングと農業とのコラボレーションを推進することです。エンジニアリングは工業分野では既に広く応用されていますが、この技術を農業分野にも導入し、尚且つ環境に配慮した技術開発を進めていきたいと考えています。というのも、日本の食料自給率は約38%と非常に低く、外国からの輸入に依存しているのが現状です。輸入が途絶えるなどの危機的状況に備えるためにも、例えば、屋内で生育環境を人工的に制御し植物を栽培する植物工場などすでに実用化されている技術もありますが、エンジニアリングの知見を活かして、日本の農業の再生と強化に貢献することを目標としています。
それを実現するのはこれからですが、TOYOであれば、それが可能だと思っています。当社には、年齢や社歴に関係なく重要な仕事を任せてもらえる風土があり、社員が挑戦したいことを自由に発信でき、それを受け止め、積極的に後押しする環境があるからです。
社会が直面する重要課題を自分事として捉え、前例のない挑戦に共に取り組める方との出会いを心から楽しみにしています。
※ 記載内容は2024年6月時点のものです

