自らの意思を宿す、プラント空間設計の醍醐味
配置・配管部では、プラント内の機器配置や配管ルート計画などの空間設計を担っています。安全性・運転性・保守性・施工性など多様な観点を踏まえながら、最適な空間を実現することがミッションです。
具体的にはまず、 P&IDと機器図を基に機器のレイアウトの検討に入ります。熱膨張量が大きい高温配管やプロセス要求がある配管はレイアウトに影響を与えるため、同時に配管ルートの検討も行っていきます。その際、「機器のメンテナンスに使用するクレーンが周囲に配置できるか。配管の各弁が操作しやすい高さに配置できるか」といった保守性、運転性などの複数の条件を考えながら機器の配置を決定していきます。
レイアウト確定後は、各配管のルートを細かく決めていきますが、計画したすべての情報は3Dモデルへ反映し、最終的には各配管の施工用図面を発行します。
当社の場合、国内案件であっても 3Dモデルを作るオペレーターに外国人が多いことから、英語でコミュニケーションを取ることも少なくありません。また、私たちの業務のメインは設計ですが、配管や空間についてのトラブルや問い合わせに対応するため、その後に続く工事にも関わることも多々あります。
この仕事の魅力を一言で言い表すのは難しいのですが、私は自分が設計したものが徐々に三次元化していくプロセスにやりがいを感じています。そして、そのプロセスの中で、私は「見た目の美しさ」も意識して設計に取り組んでいます。
例えば、 悠然と高くそびえ立つ機器と、保温材に巻かれた銀色の配管が「綺麗」に揃って並んでいるプラントを想像してみてください。橙色のライトに照らされたそのプラントが暗闇の中で映えている姿を見ると、その美しさに思わず見入ってしまいますよね。
この時感じる「美しさ」は感覚的なものですが、意外にも設計において重要な要素です。配置を見て「美しくないな」と感じるときには、何かしら設計や配置にズレが生じていることも少なくありません。そういった感覚も重視しながら、設計を行っています。
私が仕事をする上で大切にしていることは、設計に自分の意思を積極的に反映することです。私たちエンジニアリングの業務は、実際に手を動かして線を引くというよりは、お客様との窓口になり、他部署や設計会社と連携しながらプロジェクトを前に進めていくという点が特徴的です。
設計担当者や3Dオペレーターなどの専門家と協力するからといって、「内容を確認して次の担当者に引き継ぐだけ」という流れ作業では、いざというときお客様からの質問に答えることもできません。そのため、私は一つひとつの工程を丁寧に確認し、設計の背景や経緯を理解した上で自分の考えを持って設計に関わることを大切にしています。
機械工学科から配管設計へ。学びを武器に、プラント全体の「かたち」をつくる
学生時代は機械工学部で力学・熱力学・流体力学・材料力学の「四力」を学び、その中から流体力学を専攻してシミュレーションを用いた研究を行っていました。
流体力学を専攻した学生は飛行機関連や自動車関連の職業に就くことが多く、私もそれらの企業を中心に就職活動を進めていました。また学生時代は英語に苦手意識があり、「英語をよく使う企業に入れば、できるようになるかもしれない」という期待も抱えながら就職活動に臨んでいました。そんな時、東洋エンジニアリングと出会って海外出張など英語と触れ合う機会が頻繁にあることを知り、インターンシップに参加することを決めました。
インターンシップでは機械エンジニアリング部門の業務を経験し、業務内容のスケールの大きさに圧倒されました。大学での研究は地道な作業ばかりで、成果も限定的なものが多いと感じていたので、50m級の製品を設計し、それが世の中に反映されることに魅力を感じました。グローバルに活躍できる点も含め、自分の成長にプラスになるイメージが湧いたため、入社を決めました。
入社後は自らの希望で配置・配管部に進みました。流体力学に関連性のあるプロセスエンジニアリング部門や、インターンシップで経験した機械エンジニアリング部門にも魅力を感じていましたが、配置・配管部の先輩から「配置・配管部はなんでもやるよ」と聞いたことが印象的で、配管肉厚など細かい部分も設計する一方で、プラント全体の形を決めていく裁量の広さに惹かれて、配属の希望を出しました。
配属後は大学で学んだことも活かしながら業務に当たっています。例えば配管サポートの間隔を計算する際には材料力学のたわみの計算を応用しており、大学での基礎知識があるからこそキャッチアップしやすいと感じます
一方で研究と業務の違いを感じることもあります。研究は正確性が何より重要で、日々地道にやっていくものでしたが、業務はそれに加えて納期があり、スピード感も重要です。学生時代はわからないことがあれば文献やインターネットでじっくり調べていましたが、社会人になってからは先輩に質問するなど、よりスピーディーに答えを導き出す工夫が必要だと感じています。
高い要求が人を育てる。優秀なリーダーの元で感じた、設計エンジニアとしての成長
配属後、最初に担当したのは国内のバイオマス発電プラントの形状設計でした。私の仕事は、他部署が設計したものを空間的な観点でチェックする「Inter Discipline Check(IDC)」から始まり、設計終盤には特定の配管の施工用図面の作成・発行を担いました。
設計業務が完了した後は、自身で設計したプラントの現場に赴き、およそ10カ月間滞在しました。初めての現場では、自分のチェックの甘さにより、一度発行した図面を修正しなければならないことも多々あり、日中は現場で業者の質疑や指摘事項に答え、夕方はオフィスに籠って図面を修正する日々が続きました。
非常にハードな期間でしたが、それでも乗り越えられたのは、先輩方のサポートが手厚かったからこそです。普段から電話で気軽に相談ができたほか、先輩方が出張で現場に来て直接フォローしてくださることもありました。初めてのプロジェクトで現場経験を積めたことは、自身にとって非常に大きな財産になっています。
その後、現在に至るまでにいくつかのプロジェクトを経験しましたが、特に印象に残っているのは、2案件目として参画した化学プラントのプロジェクトです。この時は初のエリアエンジニアとして、担当エリアの機器配置や配管ルート計画などを任され、サブリーダーを中心とした先輩方のフォローを受けながら業務を遂行しました。
プラントの種類が異なるため、前述のプロジェクトとはまた違った観点で設計しなければならなかったことに加え、非常に優秀なLAE(リードアサインエンジニア)と共に働いたことで常に高い要求を課せられた点に苦労しました。前回の経験を踏まえて、細部まで気を配って設計したいという思いがあったものの、正直業務量が多く、十分に実現できなかった悔しさが残っています。
しかし、その悔しい経験があったからこそ成長できた部分もあります。プロジェクト全体の設計の流れを理解したことで、各設計フェーズで注力すべきポイントを把握でき、それ以降のプロジェクトでは要所要所で設計の最適解を吟味して自身の意思を設計に反映できるようになってきました。
また、徐々に任される裁量も大きくなっており、現在のプロジェクトではサブリーダーのようなポジションを任されるようになりました。自分の担当エリアだけでなく、他のエリアにも気を配りながら業務ができるようになり、自身の視野が広くなったように感じます。
ポジションが人を育てる。背中を押す言葉を胸に、一歩ずつ前に進んでいく
私はこれまでに4つのプロジェクトに参画し、現在はサブリーダーのような立場を任されています。年齢的にも、経験的にも次はLAEを任されるかもしれません。
しかし、実はLAEを任されることについてはまだ少し自信がありません。今は自分の担当しているエリアを見ることが中心ですが、LAEになると全体の材料の納期管理やスケジューリング、予算管理、追加請求など、これまでになかった業務を経験することになります。LAEを務める先輩方を間近で見ているからこそ、その難しさを肌で感じています。
一方で配置・配管設計者として名前が残るのはLAEであると考えています。そういう意味では、まだ私はこの仕事で「岩佐のプラント」を残せていません。いつかLAEになり、自分が関わったプロジェクトに名前を刻みたいという思いも持っています。
そんな2つの思いで揺れている私に、とある先輩社員が「ポジションが人を育てる」という言葉を教えてくれました。今の私はLAEという役割にハードルを感じていますが、LAEになることで、任せられる仕事も増え、視座も高くなり、自身の成長につながるだろうと教えてくれたのです。この言葉をきっかけに、リーダー職への向き合い方や考えが少しずつ変わってきています。
機械系出身の私から見たプラントエンジニアリングの魅力は、なんといっても「エンジニアリング」という仕事の性質にあります。設計の仕事ができるのはもちろんのこと、他部署のメンバーやお客様など様々なステークホルダーと関わり、コミュニケーションをとりながら作っていける点におもしろさを感じます。
また、今後LAEになればお金や材料の管理、お客様との折衝など、よりビジネス的な要素にも携われるでしょう。このように幅広い業務に携われるところが、他の業種にはない魅力だと思っています。
設計という技術的な専門性を持ちながら、プロジェクト全体を俯瞰し、多くの人と協働して1つのものを作り上げていくところに、プラントエンジニアリングならではのやりがいを感じています。
※ 記載内容は2026年4月時点のものです
