「g-Methanol」で脱炭素社会の一端を担う。次世代技術開拓部での役割
東洋エンジニアリング(以下、TOYO)は、近年、次世代技術領域に力を入れています。化学・エネルギー分野での技術や経験を活かして、化学品のグリーン化やクリーンエネルギーを持続的に供給すること、バリューチェーンの構築によって循環型社会の実現に貢献することが、その目的です。
私が所属する次世代技術開拓部もTOYOが次世代に向けて力を入れている部署で、脱炭素領域の技術を扱っています。例としては燃料用のアンモニア、CO2を有効利用するCCU(Carbon dioxide Capture and Utilization)、持続的な航空燃料であるSAF(Sustainable Aviation Fuel)の開発などです。中でも私が主担当として携わっているのは、CO2と水素からメタノールを作る「g-Methanol」です。これは回収したCO2をメタノール経由で他の化学品原料に変換したり、メタノール由来の輸送燃料に変換したり、カーボンリサイクルの選択肢を多様化することが可能な技術です。
次世代技術開拓部には約15名が所属しており、その中で、私は主担当のg-Methanol以外に、燃料用のアンモニアの領域も兼務しています。メンバーにもよりますが、それぞれがプログラムリーダーとして2、3の技術領域を担当しています。
業務は大きく分けて2つで、「開発」と「拡販」です。経産省等が定めている普及に向けたロードマップと照らし合わせて、技術開発の道筋を年単位で計画し、エンジニアリングを専門とする社内各部署の協力を仰ぎながら実行するプログラムマネジメントが、私の役割です。戦略上、他社とのアライアンスが必要であれば、その可能性を模索することもあります。
「自分たちの仕事の領域を決めない」ことが部門のモットーでもあるので、以前と比べると仕事の幅は広がったと思います。拡販においては、営業部署の担当者に同行し、開発側の人間としてTOYOの技術をご紹介、ご提案する場合もあります。また、より多くのお客様に知って頂くために、学会やカンファレンスなどで技術をご紹介することも私の重要な役目です。ありがたいことに、g-MethanolはTOYOの独自技術ということもあり、多くのお問い合わせを頂戴している状況です。
私がマネジメントで大切にしている姿勢は、「なぜ今g-Methanolに取り組む必要があるのか」を説明し、社内関係者に納得感を持って取り組んでもらうことです。脱炭素技術の導入は正に今がチャンスですが、長い目で見ると将来大きな利益を生み出せる可能性のある大規模プラント建設の商機を獲得するためには、現在足元にある小規模なプラントから着手して実績を積み上げておくことが必要だと考えています。
なぜなら、私が既存分野のEPCを経験して実感したのは、実績があるが故にお客様の信頼が得られ、次の受注へとつながるということでしたので、だからこそ、社会的な要請を踏まえながら、社内にはなぜ今この取り組みが必要かを説明し、協力を仰ぐように心がけています。
また、お客様に対しても、脱炭素関連技術のベースとして、過去の実績を明確に伝えることを強く意識しています。g-Methanolは新規事業ですが、TOYOは以前より化石燃料からメタノールを作るプラントに取り組んでおり、その技術をCO2と水素からメタノールを作るg-Methanolに活かしています。そういった背景からご説明することで、お客様からの信頼を獲得できるよう努めています。
プラントの基本設計を担当したい。その想いでTOYOへ転職
私がTOYOへと入社したのは2014年。それまでは新卒で入社した総合化学メーカーに約4年半勤務していました。担当は水素や有機溶剤のプラント。製造部に所属し、自分の担当プラントを持ちプロセスエンジニアリングを経験しました。
転職を考えたのは、プラント設計に携わりたいという想いを抱いたためです。前職では、既に稼働しているプラントの原・燃料原単位の改善検討や、トラブルシューティング、毎年行われる定期修理工事の範囲で収まるような小規模な設備の設計が主な業務でした。約4年半そういった業務を経験する中で、もっと設計をメインとした仕事に挑戦したいと思うようになりました。
化学メーカーで実際のプラントに触れたのち、1から設計を行うエンジニアリング会社へと進むキャリアプランは、私にとっては自然な流れでした。TOYOはオフィスが千葉と東京のみで、転居を伴う異動がないため、プライベート面でも魅力的でした。
入社後はプロセスエンジニアリング部にて合成ガス等のプラント設計に従事しました。プロセス設計は、設計の工程の最上流にあたり、私たちが計算や作成した情報を元にその後の詳細設計を担う、機器設計、配置・配管設計といった各部署が設計業務を行います。大変重要な役割で責任のある仕事のため、やりがいを感じていました。
そして、2020年に自ら志願して現在の次世代技術開拓部へと異動。脱炭素関係技術は、プロセスエンジニアリング部で担当していた合成ガス分野がメインになるので、プロセスエンジニアリング部で学んだ知識や経験をフルに生かせています。将来的に、g-Methanolが狙う1つのビジネスモデルはプラントのEPCなので、それを経験したことで、全体の工程や最終形をイメージしながらお客様にご提案ができています。
プロセスエンジニアリング部時代から担当していた製品の一つがメタノールプラントでしたが、CO2からも合成できることから、今なら需要があるのではないかと考え、設計から技術開発へと転身することにしました。また、近年カーボンニュートラルが注目されているため、g-MethanolはいずれTOYOの主力商品になると可能性を感じたことも、転身を後押しした要因のひとつです。
今なら実現できる。自分の開発した新技術が、次世代のスタンダードとなる喜び
メタノールは売上が伸び悩んでいる技術であったこともあり、以前は社内でも決して前向きなイメージは持たれていませんでした。しかしながら、カーボンニュートラルの世界的な潮流に鑑みて、新しく脱炭素関係の技術を扱う営業部署が立ち上がるなど、会社として注力していく方向に舵を切ったことで、以前よりも営業と技術部門が連携できている状況になってきていました。
異動後は開発と拡販を担当し、設計当時よりも仕事の範囲が広がったものの、ギャップも感じていました。お客様や、学会・カンファレンス等で話す機会が格段に多くなったことに当初は戸惑いを感じ、大変緊張したことを覚えています。しかし毎日のようにお客様にプレゼンテーションを行うことで、相手の質問も予想できるようになったため、心に余裕を持って話せるようになりました。
また、以前はエンジニアとして同じプロセス設計を行うお客様に対して話すことが多かったのですが、現在はTOYOの技術を全く知らないお客様にお話をする機会が増え、どうしたら私たちの技術を明確に理解し、良いものだと実感してもらえるか、思考を巡らせました。たとえば技術系の方には図面を使用して細部まで説明しますが、そうではない方には簡単な言い回しに変えてわかりやすく説明するなど、相手に合わせた提案を心がけています。
現在の部署の魅力は、開発した技術が実装される機会に携われることです。高度経済成長期ではプラントの大型化とともに技術の発展があったと考えていますが、私が就職してからの十数年の間には大きな変化がなく、先駆者が開発した技術をベースに仕事をしているという感覚がありました。
しかし今は、カーボンニュートラルを実現するための新技術が必要とされており、実装のチャンスが生まれている。まさに今なら私たちが起点となったビジネスが具現化され、メインストリームに成長していく様子を体験できる、という実感があります。
また、同じエンジニアリング業界のビジネスパートナーと提携しながら働けることも、TOYOのユニークな点。自社だけでなく他社の方も含め、共に同じ方向に向かうチームとして本音でぶつかり合うことも少なくありません。対お客様の場面では決して見られないような仕事の姿勢などから、多くを学べることも魅力です。
一歩ずつ実績を積み、g-MethanolがTOYOの主力商品へと成長するよう導く
g-Methanolは脱炭素社会の実現に向けて非常に重要な技術ですが、現在は細かな実績を積み重ねている段階。実績例として、インドの火力発電所のCO2を回収して、メタノールを製造する案件を受注しました。TOYOは古くからインドに大きなEPC拠点を構えており、地の利があることから、インド現地法人と共に本件の受注に向けて取り組みました。
ただ、g-Methanolを生成する上で必要な水素の価格が決して安価ではないため、まだ多くのお客様が導入を決めかねているのが現状です。しかし、CO2削減は必ず実行しなければいけない全世界共通の目標なので、そこに必ずビジネスチャンスがあると確信しています。
今後の個人的な目標は、プロセスエンジニアリング部の時代からこれまで一貫してメタノールに取り組んできたこともあり、g-Methanolを、将来の主力ビジネスに育てることです。足元は、まだ小規模なプラントが多いですが、TOYOの強みを活かしていずれは大型プラント建設を実現したい。そして、短期的ではなく長期的な目線で主力製品へと成長させたいと考えています。
また、カーボンニュートラルを扱う部署にいるため、メタノール以外の今まで挑戦していなかった領域の技術開発にも携わってみたい。10年後、20年後のビジネスの種になるような新技術を開発し、会社に、そして社会に貢献できればと思っています。
特に、私が所属している次世代技術開拓部は、自分から手を挙げてアイデアを提案する人を応援してくれる風土で、そのときの会社の方針とマッチすれば挑戦することができます。まだ具体的なアイデアは温めている最中ですが、ビジネスの種となる技術を開発していく心づもりです。
TOYOとして、脱炭素技術の開発・研究は今後も力を入れていく領域ですから、プラントの設計などに携わったことがある方や開発・化学メーカー出身の方なら、経験や知識を活かして活躍できると思います。g-Methanolをはじめとする脱炭素系の技術を用いて、循環型社会の構築をめざすという想いに共感してくれる方の入社を、ぜひお待ちしています。
※ 記載内容は2023年6月時点のものです
