営業の仕事と一口に言っても、対象となるお客様や商材の違い、営業手法の違いなどさまざまな要素があり、実務の内容は多種多様です。その一方で、営業パーソンとしてのやりがいや大切にすべきこと、初めての営業活動でぶつかってしまう壁などは共通点も多いものです。
そこで本記事では、営業パーソンのやりがい、営業パーソンとして大切なこと、また新人の営業パーソンがぶつかりやすい壁についてご紹介します。
また、7人の営業パーソンが営業活動を通して気づいたことや学びもご紹介しています。ご自身の所属する研修などに加えて、営業活動のヒントにしてみてください。
営業の仕事について詳しく知りたい方はこちら
「営業」とは?“働く人”が語る仕事のやりがいと魅力
営業職のやりがいとは?
営業の仕事はイメージしやすい、という方も多いかもしれません。新人営業パーソンがぶつかる壁をご紹介する前に、まずはどんなやりがいがあるのかをあらためて整理してみたいと思います。
・成果がわかりやすい
営業の仕事はアポイントや商談の数、売り上げなど数字で可視化されるものがほとんどです。数字が積み上がっていく様子はモチベーションにも大きく直結します。
・お客様との関係構築
再購入につなげたり、契約を長期的なものにしたりするためには、お客様との信頼関係も欠かせないものです。お客様により良い価値を提供できた時や喜んでいただいた時にも大きなやりがいを感じるでしょう。
・自己成長
競合商品や競合企業がいる場合、お客様を増やし、長期的に契約してもらうためには、商品やサービスを磨くことはもちろんのこと、営業パーソンとしてもスキルや知識を身につける必要があります。そうした自分自身の成長も成果に現れるため、成長しているという実感もやりがいにつながるでしょう。
・給与やインセンティブ
成果が数字としてわかりやすいこともあり、営業職は成果を給与に反映したり、インセンティブが支給されたりする企業もあります。自分自身の力で給与をあげていけることも、やりがいの一つになるでしょう。
他にも、商談の進め方やタイミングなど自分自身で見極める機会や大きな裁量権を持てるといったやりがいも挙げられます。企業や商材によっても異なるため、志望している企業の営業パーソンがどのような点にやりがいや楽しさを感じているのか話を聞いてみるのが良いでしょう。
初めての営業でぶつかりがちな壁とは?
営業パーソンとして大切にしたいことをご紹介してきましたが、頭で理解をしていても、困難にぶつかり、落ち込んでしまうといった経験は誰もが経験することです。ここからは、初めての営業活動でぶつかりがちな壁をご紹介します。
壁にぶつかってしまうのは自分だけではないこと、先輩たちがそれらの壁を乗り越えたことを知っているだけでも、前進するスピードが変わってくると思いますので、ぜひヒントにしてみてください。
・アポイント獲得の難しさ
相手の表情や反応がわかりづらい電話やメールで商品やサービスを説明し、興味や関心をひくことは容易ではありません。アポイントが獲得できないと商談につながらないことから、もどかしさを感じることもあるでしょう。
また、アポイント取得時のヒアリングが不十分である場合、その後の商談がうまくいかないことも。トークスクリプトの見直しや話し方などを見直し、ロープレを繰り返すと良いでしょう。
・商談の難しさ
商談は単に商品やサービスを説明するだけではありません。初対面のお客様と関係を構築する大切な接点でもあり、抱えている課題をヒアリングする重要な場です。うまく説明ができない、ヒアリングができずお客様に刺さる提案ができないといった壁にぶつかることもあるでしょう。
その際は、トークスクリプトやヒアリング項目を見直してロープレを繰り返したり、先輩の商談に同行したりしてみると、新たな発見があるかもしれません。
・断られてしまうことへの対処
アポイントを断られてしまったり、長く追い続けてきた案件が失注してしまったりと、断られることも多々あるのが営業のお仕事です。慣れないうちはひどく落ち込んでしまったり、戸惑ったりすることもあるかもしれませんが、タイミングを伺って再提案をする、他の案件に注力するなど、気持ちを切り替えることが大切です。
・自己管理不足
大切にしたいことでもお話ししましたが、営業活動では商談、商談の事前リサーチや資料作りなど、業務は多岐にわたります。メールの返事や電話など細かなタスクも漏れてしまわないよう、時間管理とタスク管理、体調管理なども含めた自己管理を怠らないだけでなく、溢れてしまう前に上司や先輩、同僚に相談をしてみるのが良いでしょう。
・市場や競合の理解不足
市場の変化や競合企業の動き、またお客様を取り巻く市場の動向によって、お客様へのアプローチの仕方が変わります。こうした背景を知らないと的外れな商談になってしまうこともあるでしょう。より良い提案を適切なタイミングで行うためにも、市場の歴史や変化、競合企業の動向もタイムリーにキャッチアップする必要があるでしょう。
・目標達成へのプレッシャー
営業職は売り上げやアポイントの数などの目標が設定されていることがほとんどです。売り上げは企業経営においても重要な数値であるため、大きなプレッシャーを感じることもあるでしょう。適度な緊張感は維持しつつも、プレッシャーに潰されそうになる前に、リフレッシュしたり休息を取ったり、誰かに相談することが大切です。
営業パーソンの経験談から学ぶ、営業活動のヒント
ここからは、実際に営業パーソンとして活躍している方々の経験談をご紹介しています。営業の難しさを感じながらも、困難を乗り越えて、やりがいを感じているビジネスパーソンの経験談は、営業活動のヒントになるでしょう。
※ 掲載内容は記事公開当時の内容です
▶︎池田糖化工業株式会社
事業内容:中間原料品メーカーとして新たな加工用原料や食品素材の開発研究を行う
・仕事内容:営業職として担当企業への原料提案などを行う
お客様と向き合い、より良い提案のために最善を尽くしている後藤さん。お客様とのコミュニケーションには、過去の失敗経験も活かされていると話します。
後藤さん「お客様からいただいた依頼を開発部に伝えて試作をお願いするのですが、私のヒアリングが不十分で、試作に必要な情報が足りずに迷惑をかけてしまったことがありました。そのため一つひとつの商談の中で感じた反省点は、次回に必ず活かすようにしています。それを丁寧に繰り返すうち、お客様の質問を予測して事前に準備ができるようになってきました。
お客様の質問に対して自分で判断がつかないことに関しては、専門的な知見が豊富な開発部に相談するようにしています。その際大事にしているのは、自分なりの見解を出した上で相談するということです。わからないからとただ教えてもらうのではなく、まず自分で考えてみることを大切にしています」
→ストーリー:お客様と共につくる喜びを求めて。営業と向き合い成長を続ける若手社員の歩み
▶︎コベルコ建機株式会社
事業内容:建設機械・運搬機械の販売ならびにサービス
・仕事内容:建設機械の営業を担当
中川さん 「建設機械は安い買い物ではありません。一台あたり乗用車やマイホームが一軒建てられるような値段です。超大型機や複数購入契約によっては億を超えることも。だからこそ、お客様は大きな決断を強いられます。営業は、ただ建設機械を売ればいいというものではありません。購入していただいた後も付き合いが続いていくからこそ、営業の役割は「お客様の伴走者であること」だと私は考えています。
お客様にできるかぎり寄り添って、お客様の不安を取り除くお手伝いをしていく。営業手法にマニュアルなんてありません。自分で考え、自分で動いていく。ただ自分だけでできることは限られているので、さまざまな部署の仲間との連携や協力がとても大切です。だから購入の契約は、お客様からの『あなたたちと一緒に仕事をしていきたい』という意思表示でもあると思いますので、とても嬉しく感じます」
→ストーリー:都市開発×人情の世界!街の景色づくりに関わっていくコベルコ建機の営業職
▶︎総合メディカル株式会社
事業内容:医業経営コンサルティング、医療モールの開発・運営、医療機関への医師の紹介、医師の転職・開業支援、医業継承支援、保険調剤・一般薬・介護用品の販売、医療機器などのリース・販売、入院患者向けテレビのレンタル
・仕事内容:総合職(営業職)として、奈良県全域と大阪の一部を担当
契約に至ったポイントは、先方に話をする上で押し売りをしなかったことだと宮下さんは考えています。
宮下さん 「最初から商材を紹介するのではなく、たとえば『アンケートなどは実施されていますか』という投げかけから入り、先方の話を聞いてから、実は当社にはアンケートを集約してデータ化するサービスがあることを提示します。“営業”というと警戒されてしまう場合もあるので、導入やお話のきっかけとなる部分が一番大切だと思っています」
また、営業を重ねる中での上長のアドバイスにも支えられました。
宮下さん 「営業部では週報というかたちで、1週間にどういう動きを取ったかを随時報告する制度があり、どの病院で何を提案してきたかの細かな情報共有をしています。そのため、次の段階ではどんなアプローチをすれば効果的かを上長に助言をもらい 、それを参考にしながら進めていきました」
→ストーリー:ダンスに注いだ情熱と、他者の声に耳を傾けるやさしさが、営業の仕事に結実
▶︎デル・テクノロジーズ株式会社
事業内容:個人・法人のお客様を対象に、パソコン・モバイル端末から基幹システムやクラウドの導入支援、セキュリティサービスに至るまで包括的な IT ソリューションを提供
・仕事内容:インサイドセールス
──新卒入社者の多くはインサイドセールス職ですが、共通してぶつかる「壁」は何でしょうか?
吉田さん 「やはり、営業成績に波はつきものですよね。低迷しているときに、『売れていないから私は営業としてダメだ』と言ってしまう人もいます。でも、インサイドセールスの成績や状況は、すべて数字に落とせるんです。何本の電話をかけて、何分間話せばどんな成果があがってくるかなど、私たちの部署では長年の実績をもとにした指標をもっています。
指標と比較して、自分の現状を客観的に捉える。『売れていない』といっても、どの観点がどれくらい足りていないのか、逆にどの観点は良い状態なのかを数字で知ることができるんです。改善ポイントも、成長実感も、感覚ではなく数字で知れば納得感が高いですよね」
→ストーリー:ゼロから営業のプロフェッショナルになる──コーチとバディ体制の秘密
▶︎日清丸紅飼料株式会社
事業内容:畜産飼料事業、水産飼料事業
・仕事内容:養豚・養鶏用飼料の営業担当として、配合飼料の営業から銘柄豚の企画、経営アドバイスまで幅広い業務に携わる
安藤さん 「営業では関わるお客様の数も多く、私自身年間10万トンの配合飼料を販売しています。しかもそのほとんどが社長や会長、農場長など『長』がつく方ばかり。だから新卒のときは緊張しましたし、うまくやりとりできるようになるまで相当時間がかかりました。たとえば自分より50歳近く年上の方に対して話題を考えるのもひと苦労ですし、さらに何かを提案するというのはとても難しく、結果が出せずに悩んだ時期もありました。
そんなとき、先輩から『仕事をする上では、まずは約束を守ることが大切だ』と教えてもらいました。若いうちはお客様との会話は弾まないかもしれないけれど、限られた会話の中で、言われたことをまずはきちんとやることが大事。ちょっと古くさいかもしれませんが、まっすぐ一生懸命に向き合う。この「約束を守る」は、私の中でいまでも仕事における一番のモットーです」
→ストーリー:畜産生産者を支える営業職。お客様との約束を大切に、真摯に「ファン」を増やしていく
▶︎株式会社不二越
事業内容:材料から加工技術、機能部品、そしてロボットまで多彩な事業・技術をあわせ持つ総合機械メーカー
・仕事内容:工作機械の営業や設備のエンジニアリング対応などに携わる
営業として、内田さんが大切にしているのは、相手の立場になって考えること。
内田さん 「お客様が何を求めているのかによって、提案の仕方が変わってくると思うんです。たとえば、経営者の方が相手であれば、設備導入によって作業量が削減されて必要な人員が減り、コストダウンにつながるとの提案が有効かもしれません。
一方、それと同じ話を、たとえば製造部長にすれば、『うちの部署の社員を減らそうというのか』と反感を買うこともあるでしょう。同じ製品を扱うにしても、相手の気持ち、相手の立場になって考えアプローチすることの大切さを痛感しています」
→ストーリー:製造現場で培った知識と肌感覚が強み。相手目線に立った課題解決を追求する営業の信念
▶︎富士通株式会社
事業内容:テクノロジーソリューション、ユビキタスソリューション、デバイスソリューション
・仕事内容:ビジネスプロデューサー(以下、BP)としてグローバルに事業を展開する大手食料品メーカーを担当
長谷川さん 「当時、徐々に独り立ちしつつも大きな商談は担当していない時期で、売上数字をあげるためにも『新しい商談を作らなきゃ』と焦っていました。そこで、BP変革プログラムの学びを活かし、自分なりに仮説提案をしていたのですが、結果はことごとくだめ。もちろん、そうそう上手くいくとは思っていませんでしたが、一生懸命考えたものがお客様には一向に刺さらない日々は、とてもつらく、苦しかったです。
たとえば、国内の飲料メーカーにコーヒー豆のサステナビリティに関する提案をしたときのこと。今ほどサステナビリティへの注目度が低かったこともあり、まったく相手にしてもらえなかったんです。いま振り返ってみると、独りよがりな正論と言いますか、本来こうあるべきと提案してしまっていたのかもしれません。そうではなく、お客様の現状から将来像までを視野に入れ、その時代にあった提案をすることが重要だと身をもって知ることができました」
つらい経験を前向きにとらえ進み続ける長谷川さん。そんな彼女が大切にしていることとは。
長谷川さん 「仮説をたてる際に重要なのは、当然ながらしっかり情報収集すること。その上で富士通として提案できることは何かを探っていきます。その際に、当社都合にならないよう心がけています。『お客様にとって絶対にこれは必要だ』と自分でも思い、自分の口で説明できるもの以外は売りたくないんです。素直すぎるかもしれませんが(笑)。
お客様は課題解決ができ、富士通にとってもビジネスになる。さらに社会にとっても良いという観点を忘れたくはありません。お客様はもちろん自分の腹落ち感も大切にしながら、日々の活動を続けていますね」
→ストーリー:お客様を知り、好きになる。仮説提案型の営業スタイル確立までの軌跡
営業をする上で大切にしたいこととは?
7人の営業パーソンの経験談をご紹介してきました。7人のお話しや新人営業パーソンがぶつかりがちな壁を踏まえて、営業パーソンとして大切にしておきたいことをご紹介します。企業や商材などによっても異なりますが、共通している点は多いものです。
・お客様視点に立ち、ニーズを理解する
営業活動をしていれば「買ってほしい!導入してほしい!」と考えるのは当然です。しかし、それだけでは押し付けになってしまい、購入につながらないケースもありますし、そのときは購入に至っても、次回の購入につながりません。お客様のニーズや課題の本質を汲み取ることで、課題解決につながる提案が行えます。
・信頼関係の構築
信頼関係が築けてくると、定期的な購入や長期的な契約につながります。また、些細なことでも相談してもらえるようになり、新たな提案の機会にもなるでしょう。そのほか、口コミや紹介の機会を得ることもあるかもしれません。
・コミュニケーション
お客様を理解し、信頼関係を構築していくためにはコミュニケーションが欠かせません。また、社内のチームメンバーとも良い事例や効果的だった提案などを共有し合う機会を設けるとよいシナジーが生まれるかもしれません。
・達成意欲/行動力
売り上げなどの目標や、達成に向けた行動計画など、一つひとつを遂行していくことで、最終目標の達成につながります。営業パーソンには達成意欲とそのための行動力が求められます。
・スピード感
お客様からの質問や資料の提出などを求められた場合、商品やサービスの購入を前向きに検討してくれていることも多いでしょう。その際に、回答や提出が大幅に遅れてしまうと、契機を逃してしまう可能性があります。優先順位をつけながら業務に取り組む必要があるでしょう。
・自己管理能力
営業職は商談など一人で行動する時間も多くなります。また、商談だけでなく、アポイントの取得、商談で使用する資料や契約書の作成など業務が多岐にわたることも。急な業務が入る可能性もあるため、より効率的な働き方が求められます。
・失敗から学ぶ気持ち
思うようにアポイントが取れない、失注してしまった、目標が達成できなかった、などうまく行かないことも多々あります。そこで落ち込んでしまだけではなく、なぜうまく行かなかったのかを分析し、次に進むことが大切です。
新人営業パーソンをテーマに、やりがいやぶつかりがちな壁、その乗り越え方などをご紹介してきました。talentbookでは今回ご紹介した方々以外にも、企業で活躍している営業パーソンのコンテンツを多数掲載しています。ぜひあわせてご覧ください。
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