グローバルビジネスに携わりたい。国内飲料メーカー担当の末に叶えた希望
現在、ビジネスプロデューサー(以下、BP)としてグローバルに事業を展開する大手食料品メーカーを担当している長谷川。入社当時から「グローバル」への憧れが強かった彼女にとっては、念願の異動でした。
「入社して最初に担当したのは、国内の食品メーカーでした。その後、飲料メーカー等も含め、複数社担当しました。その間うまくいったことも、そうではないこともたくさんありましたが、日々の業務を通して、BPの基礎を身につけることができました。
BPとしての経験を積み、少しずつ成長実感を得られてきたころ、次のステップを考えるようになって。どういうキャリアを歩みたいかと自身と向き合ったときに、『グローバル』というキーワードがそこにはありました。やりたいことを再認識してからは、上司との面談でグローバルへの熱意を素直に伝え、機会があれば異動してチャレンジしたいと願っていました」
そもそも、彼女が「グローバル」を強く意識するようになった理由とは。
「5歳からずっと英会話を習っていたこともあり、高校2年のときにシアトルに1カ月間ホームステイをしたんですね。そのたった1カ月の経験が、私にとってとても大きな刺激になって。『もっと英語を話せるようになりたい、海外の文化にも触れてみたい』と、大学で留学するきかっけとなりました。
留学で一番良かったのは、多様性を認め合う環境に身を置けたことです。さまざまな国の人がいる中で、お互いの常識や価値観を押し付けるのではなく、認め合う。たとえ意見が対立しても、『あなたはそういう考えなのね。私はこう思う』という姿勢が自然と身につき、社会人になった今でも活きています」
グローバル企業で、お客様とビジネスを行いたい、として選んだ富士通。自身の成長とともに、その想いは日増しに強まっていったと言います。そして、入社5年目のある日、彼女の希望は急展開で叶うことになります。
「ある日突然、異動の連絡を上司から受けました。その異動先を聞いて、喜びよりも驚きのほうが大きかったのを覚えています。所属部門のなかで、グローバルに事業展開する大手食料品メーカーのBP体制をさらに拡大するという話があり、その際に上司が私を推薦してくれたとのこと。私のやりたいことを上司が覚えていてくれたのは、本当に嬉しかったです」
自ら考えた仮説がお客様の心に響く。信頼関係を強くするアプローチ
彼女が大手食料品メーカーの担当になってすぐに、ある商談の話が舞い込んできました。
「富士通のブロックチェーンに関するWebセミナーにお客様が参加され、アンケートにコメントがあったと事業部門から連絡が入りました。その話を聞いてすぐ、『この件は、私に担当させてほしい』と上司に伝えたんです。異動直後でやる気に満ちていたのもありますが、それ以上に、他のチームメンバーに早く追いつきたいという焦りもあって。慌てて上司に相談しました(笑)」
上司からの了承を得て、すぐに行動に移した長谷川。
「セミナーに参加されたお客様は原料調達部門の方々。アンケート回答から、グローバルサプライチェーンに課題を抱えていること。そのため、ブロックチェーンを活用したトレーサビリティ基盤であるFujitsu Track and Trust(以下、Track and Trust)に興味があることがわかりました。
ただ、これは単に当社のサービスを紹介してはいけないなと。というのも、Track and Trustは一部の部門だけが使用するサービスではなく、さまざまなステークホルダーを巻き込み、データを共有・連携するエコシステムです。アンケートに書かれていたこと以外にも、いまお客様が言語化できていない課題も必ずあるはず。そう思い、自ら立てた仮説をもって提案しに行くことにしたんです」
仮説を立てるため、お客様のホームページをじっくりと読み込んだ長谷川。あるキーワードが浮かび上がります。
「お客様が重点的に取り組んでいる部分を調べる中で、人権に関する記述に目が留まりました。中身を読み込んでいくと、原料のほとんどを海外から輸入していることから、強制労働や児童労働に課題があるようでした。
そこで、ある商取引のアイデアを考えたんです。原料のトレーサビリティ情報を管理するだけでなく、サステナブル調達を実現している原料には価値を与え、その価値に応じてクレジットを発行。関連企業や消費者が購入したクレジットは原産国への支援金となり、間接的に人権問題解決に貢献できるといった仕組みです。これなら、お客様は企業ブランド価値を高めるとともに社会課題も解決できるはず。この仮説を持って、さっそく提案しにいきました」
すると、お客様からすぐに反応があったと言います。
「お客様が『ゆくゆくは人権問題を解決するビジネスをやりたいが、その手前にある原料データベースに、いま課題を抱えている』と話し始めてくれたんです。そこで、こちらから具体的な2つのプランをお伝えしました。まずは、原料データベースのありたい姿や短期アクションプランなどを具体化させるワークショップを実施すること。次に、その検討結果を踏まえたMVP(※)を開発することです。
お客様へはこのアプローチを好意的に捉えてもらい、その後、実際にワークショップを開催することになったんです。これによりお客様との距離がぐっと縮まったと思います。また、開催後の満足度も高く、『MVPも引き続きやりましょう』と言っていただけました」
※ MVP(Minimum Viable Product):顧客に価値を提供できる最小限のプロダクトのこと
お客様と自分の腹落ち感を大切に。失敗を学びに変え、習得した提案方法
お客様の真の課題を解決するパートナーとなるべく、仮説提案型の営業スタイルを続ける長谷川。彼女が現在の営業スタイルを確立するまでには大きく2つの経験が影響していました。
「ひとつは、『BP変革プログラム』です。私が入社した翌年の2020年に営業部門の変革が行われ、営業からBPへ職種が変更されました。BP変革プログラムとは、営業スタイル変革の実現に必要な知識を得るための研修で、仮説提案やデザイン思考の基礎を学ぶきっかけとなりました。研修後も積極的に実商談で活用することで、少しずつ提案手法を理解していきました」
もう一つは、その翌年からの出来事だと話します。
「当時、徐々に独り立ちしつつも大きな商談は担当していない時期で、売上数字をあげるためにも『新しい商談を作らなきゃ』と焦っていました。そこで、BP変革プログラムの学びを活かし、自分なりに仮説提案をしていたのですが、結果はことごとくだめ。もちろん、そうそう上手くいくとは思っていませんでしたが、一生懸命考えたものがお客様には一向に刺さらない日々は、とてもつらく、苦しかったです。
たとえば、国内の飲料メーカーにコーヒー豆のサステナビリティに関する提案をしたときのこと。今ほどサステナビリティへの注目度が低かったこともあり、まったく相手にしてもらえなかったんです。いま振り返ってみると、独りよがりな正論と言いますか、本来こうあるべきと提案してしまっていたのかもしれません。そうではなく、お客様の現状から将来像までを視野に入れ、その時代にあった提案をすることが重要だと身をもって知ることができました」
つらい経験を前向きにとらえ進み続ける長谷川。そんな彼女が大切にしていることとは。
「仮説をたてる際に重要なのは、当然ながらしっかり情報収集すること。その上で富士通として提案できることは何かを探っていきます。その際に、当社都合にならないよう心がけています。『お客様にとって絶対にこれは必要だ』と自分でも思い、自分の口で説明できるもの以外は売りたくないんです。素直すぎるかもしれませんが(笑)。
お客様は課題解決ができ、富士通にとってもビジネスになる。さらに社会にとっても良いという観点を忘れたくはありません。お客様はもちろん自分の腹落ち感も大切にしながら、日々の活動を続けていますね」
ポジティブ思考が物事を好転させるきっかけに。BPとして大切にしたいこととは
入社前の想いを実現しつつある長谷川がいま思うこととは。
「誰もが一度は、仕事が原因で人生に息詰まってしまうことがあると思うんです。私も正直なところ、仕事が楽しくないと思う時期もありました。隣の芝生は青いじゃないですが、キラキラと活躍する同期を羨ましくも感じることも。
でも5年目となった今、やっと仕事を楽しめるようになりました。失敗も含め、自ら考え、アクションを起こしたことは、何事にも代えがたい経験として今にプラスに働いていると私は思います。国内飲料メーカーでは響かなかったサステナビリティのあの提案も、今回大手食料品メーカーのTrack and Trust の商談に一部活かすことができました」
常に前向きにとらえることは、結果としてある効果ももたらすと続けます。
「ポジティブなマインドを持って行動していると、助けてくれる人がきっと現れるはず。富士通はそういう会社だと思っています。なので、ときには周りを頼って、自分のできる範囲を見極めることも大切だと思います。
また、一足飛びにはいかなくても、時間をかけて取り組み続けることで、高い壁も乗り越えられるようになるかもしれません。何事も前向きにコツコツ頑張っていくことは、仕事においても人生においても重要だと心から思います」
最近、長谷川のもとには新入社員が加わり、トレーナーを任されることに。長谷川は平坦ではなかったからこそ気づいた「仕事で大切なこと」を、これから後に続く後輩たちに伝えたいと言います。
「BPをやる上で、結果(数字)を出すための活動は大事です。でも、もっと大事なことはお客様のことをよく知り、好きになるということ。もちろん、仕事がすべてではありませんが、今後何十年も働いていく中で『仕事を楽しむこと』はとても重要だと思います。
そのためにも、自分のやりたいことを明確にし、軸として持つことの大切さをお伝えしたいですね。それは別に、仕事の好き嫌いという話ではありません。目の前の仕事やお客様とは真摯に向き合いつつ、この経験を次に自分のやりたいことを実現するためにどう活かすのか。それを考え続けることが、BPとしてとても大切なことだと思っています」
彼女から自然と溢れる明るくポジティブな雰囲気と、どんなときでもぶれない軸を持つ芯の強さが、さらに周りの人を前向きに行動させる。今後の彼女の活躍に目が離せません。
※ 記載内容は2023年10月時点のものです
