大事なのは、約束を守ること──先輩社員の教えが信念
私が所属する畜産営業課の主な業務は、関東エリアの代理店や養豚、養鶏生産者に配合飼料を提案営業することです。そのほかにも畜産物の流通のお手伝い、畜産資材の販売、経営アドバイスなどを行っています。関東圏内の1都11県をカバーしており、多いときは営業車で月に6,000キロ走行することもあります。
お客様にどのような飼料が必要かを会話から把握したり、農場の様子から察して提案したりするほか、最近多いのは銘柄豚の販売を手掛けるケースです。特に当社は独自のブランドである「ハーブ豚」の生産や販売に力を入れています。ひと言で生産と言っても生き物が相手の仕事です。季節によって豚の状態も変わりますので、お客様とよくコミュニケーションを取って、質・量ともに安定した豚肉を食肉会社さんへ供給するよう努力しています。おかげ様で高い品質が評価されて、一流ホテルのレストラン、百貨店を中心に好評をいただいています。
営業では関わるお客様の数も多く、私自身年間10万トンの配合飼料を販売しています。しかもそのほとんどが社長や会長、農場長など「長」がつく方ばかり。だから新卒のときは緊張しましたし、うまくやりとりできるようになるまで相当時間がかかりました。たとえば自分より50歳近く年上の方に対して話題を考えるのもひと苦労ですし、さらに何かを提案するというのはとても難しく、結果が出せずに悩んだ時期もありました。
そんなとき、先輩から「仕事をする上では、まずは約束を守ることが大切だ」と教えてもらいました。若いうちはお客様との会話は弾まないかもしれないけれど、限られた会話の中で、言われたことをまずはきちんとやることが大事。ちょっと古くさいかもしれませんが、まっすぐ一生懸命に向き合う。この「約束を守る」は、私の中でいまでも仕事における一番のモットーです。
お客様からの「ありがとう」を原動力に、6年間働き続けられた
中学・高校時代の私は、自分が将来畜産に携わる仕事をするなんて、想像もしていませんでした。当時は先生から「コミュニケーションが得意だから教師に向いているよ」と言われ、いつか高校野球の監督になり、現役時代になしえなかった甲子園にいくことが夢でした。
大学は法学部に進み、社会科の教員免許を取得したのですが、より広い視野で子どもと接したいと思い、まずは一般企業に入ろうと考えていました。日清丸紅飼料にエントリーしたのは、大学のゼミのOBに誘われたことがきっかけ。選考が進むうちに、畜産生産者と関わるこの会社に興味を持つようになりました。
私は北海道出身で、実家が舞茸農家という環境で育ちました。GWなどの連休も旅行には行けませんし、体調が悪くても栽培した舞茸を市場へ販売しなくてはならず、農家の仕事がいかに大変かを目の前で見てきました。農業と畜産業という違いはありますが、飼料を使う生産者の方の気持ちが理解できる私だからこそできる仕事があると思い、入社を決めました。
われわれの仕事は多少地味ではありますが、配合飼料はさまざまな副産物を価値あるものに変身させ、有価物として提供することで食の根源を担っているという側面があります。なおかつ食卓に欠かせない肉や魚、卵、牛乳の生産現場に携わることに、責任と使命があると強く確信しています。
入社して、もう6年。ここでは書き表せないほど楽しいことも大変なことも経験しました。ここまで続けられてきた原動力は、お客様のおかげだと思っています。お客様と関わる中で、「ありがとう」の言葉を直接もらえることも多くて、それがいつも自分を前に進ませてくれました。目の前のお客様の期待に応える努力をしていたら、気がつけば6年が経っていました。
異例の小規模案件も「お客様の役に立ちたい」という想いで実現
営業としてさまざまな仕事に携わっていますが、やっぱり新規顧客を開拓できたときが一番うれしい瞬間です。
もっとも印象に残っているのは、いま人気の「マイクロブタカフェ」を経営しているお客様とのお取引を実現したことです。
ことの発端は、数年前にお客様から「山梨の農場で豚を飼い始めたから飼料の相談に乗ってほしい」と連絡があったこと。当時、山梨を担当していた私が現地に行ってみると、取締役の方が小さな農場で豚の繁殖を始めていたんです。聞けば「月に10キロほどの餌を注文したい」というご要望で、食肉用の家畜というよりいわばペットの飼育に近い状態でした。
当社の取引先は、お肉や卵を出荷するための畜産業者ばかりです。しかもトン単位などの大型注文がほとんどなので、営業としては異例の案件。売上面だけで見れば、受注しないでほかの仕事にリソースをかけた方が効率はいい……というのが正解かもしれません。先輩や上司に相談してみても、やはり反対されました。「そんな小規模なお客様のために、工場で飼料を作るのは難しいよ」と。
それでもお客様は困っていて、「助けてほしい」とおっしゃっている。私も「どうしてもお役に立ちたい」という気持ちから上司を説得し、少量の飼料を提供できるルートを見つけ、どうにかお取引をスタートさせることができました。先輩たちが作った営業ルートをなぞるのではなく、自分の裁量でゼロイチでルートを作り、お客様の要望を叶えられた。そのことに大きなやりがいを感じた案件でした。また、当社はこういった案件に対しても真摯に向き合い、実現できる会社なのだと確信しました。
その後お客様はどんどん事業を拡大し、取締役とお会いした際には「次はこんな餌を作ってほしい」「どうすれば実現できるか」というように、前向きに次の相談をしてもらえる関係性を作れたことがうれしいです。
いわゆる「古き良き会社」でも、挑戦を歓迎してくれる風土がある
入社2年目くらいのとき、先輩から「安藤は、日清丸紅飼料の営業担当としてじゃなく、“安藤 慎祐”という一人の人間として商品を売っているよな」と言われたことがありました。チームとして、組織として仕事をする以上、あまりに属人化するのは良くないですが、お客様を自分のファンにして、安藤だから頼りたいと思ってもらえる存在になりたいと思います。
そのためには、まずは約束を守ること。お客様と顔を合わせて話すこと。そしてお客様には、ただ値段が高い・安いではなくて、必ず商品に納得した上で買ってもらうよう努力することが大切だと確信しています。
当社はいわゆる「古き良き会社」。今風の新しい会社にはないような独特の堅い雰囲気もあります。当社の営業は、新規開拓もルート営業も、飼料販売以外のさまざまな情報提供も行うのでビジネススキルの基礎が広く身につきます。お客様の中には礼儀作法に厳しい方もいらっしゃるため、私自身もフランクな態度でも言葉遣いに気をつけ、会食の翌日にはお礼の電話をする、ご厚意をいただいたときにはお礼状を書くなどしています。こういう基本的なことが営業には大事だと思います。
それに「古き良き会社」でありながらも、挑戦をバックアップしてくれる環境でもあります。入社後すぐに「君たちがいくら失敗しても、うちの会社は潰れないから大丈夫」と言われたことがあるように、「ダメでもいいからどんどん挑戦してみろ」と後押ししてくれる人がたくさんいます。安定した基盤がある中で、前向きにトライしてみたい人にはとても魅力的な環境だと思います。
