机より、牛のそば。デスクワークだけでは見えない、畜産現場のリアルと飼料会社の役割
鹿児島県を中心とした南九州エリアは、日本有数の畜産地帯。この地で牛の飼料販売を通じて生産者を支えている九州支店大動物営業第一課は、経験豊富なベテラン層と、20代の若手社員が共存するチームです。年齢の離れた構成ですが、そこに壁はありません。ベテランの先輩が若手を温かく見守り、若手は安心して挑戦できる。そんな世代を超えた協力体制が、日々の業務を支えています。
鈴木:私は2022年に入社し、現在は営業担当として鹿児島県の南薩摩地方から宮崎県南部までを担当しています。主に販売店の方と一緒に、約30軒の農家さんを定期的に訪問しています。訪問先へは、川田さんと一緒に動くことも多いです。
川田:私は2024年に入社しました。現在、「Aプロジェクト」という研修期間の真っ只中です。これは、配属から2年間、自分の担当を持つ前にじっくりと時間をかけて、畜産の基礎や営業ノウハウを学べる当社独自の研修なんです。
鈴木:配属後すぐに担当を持って数字を追うのではなく、まずは「牛を知り、現場を知る」こと、そしてお客さまとの関係性をしっかり築くことに集中する。会社として、若手を長い目で育てようという方針が当社にはあります。
この期間、技術的な指導はベテランの先輩(OJT担当)が行いますが、私はシスター・ブラザー制度の一貫で、業務以外の部分でも川田さんをサポートしています。
川田:業務の進め方や、ちょっとした悩みなどを一番近くで相談できる先輩です。年齢も近いので、気負わずになんでも話せるのが本当に心強いです。
鈴木:私たちの仕事は、フットワーク軽く動き回るスタイルが基本です。月のほとんどはお客さまの農場へ足を運び、牛の様子を見る巡回を実施したり、農家さんと会話をしたりして過ごします。机上の空論ではなく、現場で牛と人に向き合うことが求められる仕事です。
川田:私も入社前は、営業職がここまで現場作業を行うとは思っていませんでした。作業をお手伝いする中で、牛を見ながら従業員の方々と改善点を話し合ったり、数字をもとに打ち合わせをしたりしながら、飼料の工夫や体重測定などの野外試験にも取り組んでいます。
毎日牛に触れ、農家さんと同じ目線で仕事をする。デスクワークだけではわからない現場のリアルがここにはあります。お客さまの立場になって考えることを常に意識して、現場感覚を大切にしています。
鈴木:仕事をする上で私が一番大切にしているのは、わかったふりをしないことです。農家さんは業界の大ベテランですから、曖昧な返事をすればすぐに見抜かれてしまいます。わからないことは素直に認め、持ち帰って社内で相談し回答を出す。その実直な積み重ねこそが、信頼につながると信じています。
「動物が好き」が出発点。馬術部と飼育員への憧れから日本の食を支えるプロになるまで
学生時代から、共に「動物が大好き」だったという二人。その純粋な想いが、畜産というフィールドを選ぶ原点となりました。命を扱う現場ならではの責任感と、それを上回るやりがいについて、入社までの道のりと共に振り返ります。
鈴木:幼い頃からとにかく動物が好きで、大学では馬術部に所属していました。就職活動では、父が自動車部品メーカーで働いていた影響もあり、ものづくりに関わる仕事に憧れを持っていました。
大好きな動物に関わりながら、メーカーとしてものづくりにも携わりたい。その両方がかなう場所として出会ったのが、飼料メーカーである当社でした。
川田:私も幼い頃から飼育員に憧れていましたが、就職活動を通じて畜産の奥深さに惹かれるようになりました。最終的な決め手になったのは「人」です。最終面接で一緒になった学生と話した時、「この人たちと一緒に働けたら絶対に楽しいだろうな」と直感しました。
選考で出会う社員や学生がみんな温かく飾らない雰囲気で、ここなら自分らしく頑張れそうだと感じたのが一番の理由です。最終面接で話した学生は今では同期の一人なんですよ。
入社後、鈴木は工場での研修を経て、農場への泊まり込み実習も行いました。牛を飼うとはどういうことかを肌で学ぶためのカリキュラムです。現場のリアリティを感じながら成長してきましたが、時には壁にぶつかることもあったと言います。
鈴木:とくに印象に残っているのは、担当していた農家さんが経営を辞められることになった時のことです。長年の歴史を閉じる手続きを進める中で、事務的な煩雑さ以上に、お客さまの人生の節目に立ち会う重みに心が締め付けられました。担当として深く関わっているからこそ、楽しいことばかりではない、この仕事の責任の重さを痛感しました。
川田:私はまだ研修中ですが、牛に関する専門知識の深さや、業務内容の幅広さに圧倒されることがあります。正直、情報量が多くてパンクしそうになることも。ですが、困った時は一人で抱え込まずすぐに相談します。九州支店には他部署にも同期がいるので、よくご飯に行ったり残業中に話したりして励まし合っています。
鈴木:私もかつてのOJTの先輩に電話をして、雑談交じりに悩みを聞いてもらうことがあります。部署や年次を超えて、誰かが必ず手を差し伸べてくれる。そんな温かいネットワークが、日々の業務を支えてくれています。
姉のような先輩とひたむきな後輩。現場のプレッシャーも喜びに変える、二人の信頼関係
多くの時間を共に過ごす鈴木と川田。移動中の車内での他愛もない会話や、共に汗を流す現場での経験を通じて、確かな絆が育まれています。
鈴木:川田さんには、営業という仕事の楽しさも知ってほしくて、帰りにコンビニでお菓子をたくさん買ったり、ランチでデカ盛りのお店に行ったりすることもあります(笑)。仕事の話だけでなく、そういったリラックスした時間も大切にしています。
川田:鈴木さんとの同行を通して、お客さま一人ひとりに寄り添う営業スタイルを直に学ばせていただいており、本当に勉強になりますし、何より楽しいです。自然豊かな環境の中で毎日牛に会えて、お客さまも優しくて、本当にいいことだらけだと感じています。
現場での経験を重ねる中で、鈴木には忘れられない出来事があります。それは、ある取引先に新規で採用いただいた時のことでした。
鈴木:飼料を変えるというのは、農家さんにとって経営を左右する大きなリスクです。だからこそ、まずは一部の牛で試す試験導入から始めます。肉用牛が出荷されるまでには約2年かかりますから、その結果が出るまで長いお付き合いになります。
ある時、半年ほど通い詰め、試験導入が決まった後の忘年会で「うちの経営は鈴木さんにかかっているからね」と言葉をかけていただきました。その時は責任の重さに身が引き締まりましたが、販売店だけでなく私個人を信頼して任せていただけたことが何よりうれしかったです。長い時間をかけて結果を出していく、その責任と喜びはこの仕事の醍醐味です。
川田:私も鈴木さんのように、お客さまの懐に入って本音を引き出せる営業になりたいです。現場で鈴木さんがお客さまと自然体で話している姿を見ると、信頼関係があるからこそ、悩みや相談が出てくるのだと実感します。
どんなことも自らの糧にする。それぞれが描く理想の姿と、次世代へつなぐ畜産の未来
動物が好きという共通点を持ちながら、それぞれの強みを活かして成長を続ける二人。これからのキャリアを見据え、どのような姿をめざしているのでしょうか。未来の仲間へのメッセージと共に語ります。
川田:私の強みは、やはり生き物が好きということと誰とでも楽しく話せることです。めざしているのは、雑談の中から自然と牛の悩みを聞き出せるような、話しやすい営業担当です。何気ない会話から牛の体調や経営の課題を相談してもらい、そこから解決策の提案につなげていく。そんなお客さまとの距離が近い存在になりたいです。
鈴木:私は、お客さまにとっても後輩にとってもいい意味での便利屋でありたいと思っています。わからないことは素直に質問し、調べ、答える。その繰り返しで、「鈴木に聞けばなんとかなる」と思ってもらえるような安心感のある存在をめざしています。
この会社は、若いうちから経営者の方と対等にお話しできる貴重な環境です。多くの人生や考え方に触れることで、自分自身も成長できると感じています。
川田:これから入社を考えている方へ伝えたいのは、牛の知識がなくても動物が好きで、一緒に何かを作り上げたい気持ちがあれば大丈夫だということです。もちろん、現場では朝が早かったり、作業着を着て汗を流すこともあったりと独特な面もありますが、それ以上に得られる感動ややりがいがあります。
鈴木:そうですね。私たちの仕事は、単に餌を売るだけでなく、生産者の方々と共に日本の食を支える仕事です。動物への愛情と人と関わることが好きな方なら、きっと自分らしく活躍できる場所がここにあります。
現場での一つひとつの経験を糧に、二人はこれからも生産者と共に歩み、日本の畜産業界を力強く支えていくことでしょう。
※ 記載内容は2026年1月時点のものです
