「このままではダメだ……」。やりたいことをかなえるために映像業界へ
大学時代、メディアに関わる仕事がしたいと考えていた吉武。広告業界を中心に就職活動をしたものの、思うような結果が出ず、卒業後は内定をもらえた化粧品メーカーで営業職に就いていました。
「希望した道とは違いましたが、入社すれば自分なりに頑張れるだろうと思っていたんです。でも、自分の未来の姿が想像できなくなってしまって……。やっぱり私は、アイデアを目に見える形にして発信する仕事をしたいんだと気がついたんです」
中途半端な気持ちで仕事をしていたら、会社にも自分自身にとってもプラスにならないと転職を決意。今度こそやりたいことを仕事にしてみせると、飛び込んだのがテレビ業界でした。実は、吉武の父親はテレビのディレクター。子どものころから父親が作った番組を観てきた彼女にとって、テレビ業界はとても身近な世界だったのです。
「大阪を拠点とするテレビ局のグループ企業であるMBS企画という制作会社に入社したのが2018年です。そこから3年間はAD(アシスタントディレクター)として、取材の下調べから資料作成、ロケ場所探し、小道具の準備など“何でも屋”として番組制作に携わりました」
時には会社に泊まり込む日もあるような忙しい毎日。それでも、「これは天職なんじゃないか」と吉武は本気で思っていたと言います。
「普段は会えないような方に取材して話を聞いたり、無人島や標高2,000メートル級の山に数日間こもってロケをしたり、この仕事じゃないとできないようなことを経験できるのが、めちゃくちゃ楽しくて。もちろん、体力的にもしんどいですし、おもしろい番組にしようと全員が本気で取り組むので、怒られることもしょっちゅう。
でも、自分がおもしろいと思ったものを全国に届けられることに、これまでにない充実感を覚えました。こんなに楽しいのにお金をもらっていいんですか、と思っていましたから(笑)」
制作することの楽しさと、それを発信することの喜びを知った吉武は、3年目にディレクターデビューを果たします。どうやったら番組がおもしろくなるか、どう撮ったら視聴者に伝わるかを考えて映像化することを意識するようになったことで、吉武の映像エキスパートへの道が始まります。
テレビには、伝えるための工夫が詰まっている。番組制作で学んだ映像制作の極意
ディレクターとして、制作により深く関わるようになった吉武。テーマとなるもののおもしろさを映像で伝えるために役に立ったのは、AD時代に悪戦苦闘した経験だと言います。
「ADの時から番組宣伝用の予告動画の制作をしていたのですが、先輩ディレクターにチェックしてもらうと、『何を言いたいのかまったくわからない』と突き返されることの連続。何度も作り直したのに、結局使われないことも。自分にはわかるのに、なぜ人にはわかってもらえないのだろう、どうしたら伝わるのだろう、と考える日々でした。
その中で学んだのは、映像は、人と直接話をする以上に具体的に説明しなければ情報が伝わらないということ。たとえば、人と会話するときは、1から3に話が飛んだとしても、2の内容は何となく推測できると思います。でも、テレビの場合は何かをしながら見ている人も多いので、2の内容がないと伝わらない。むしろ、2.5まで説明しないと視聴者には理解してもらえないんです」
そしてもうひとつ、番組制作で学んだことが、映像作品における構成の大切さ。撮った映像をどう構成したら、こちらの伝えたいことが強調されるのかを先輩ディレクターから学んだと話します。
「長く下に付かせてもらっていたディレクターさんが、ものすごく構成にこだわる方で、『フリとオチが大事』といつも言われていました。同じテーマであっても、入口となるフリ次第で、観る人の印象や捉え方がまったく変わります。テレビのコンテンツの中には、視聴者の興味を引きつけるノウハウがすごく詰め込まれているんです」
4年間、映像制作のノウハウを学んだ吉武。在職中にYouTubeの動画制作に携わったことがきっかけとなり、活動の場を広げるために退社してフリーランスの道へ進みます。
「正直、体力的な厳しさもありました。ただ、一番の理由は、SNSで動画を発信することの魅力を実感したことです。ある番組の番外編として、YouTube用の動画を作ったのですが、配信直後からダイレクトにコメントが届くんです。SNSは、視聴者の反響が見えておもしろいなと感じました。
その後、知り合いのモデルさんがYouTubeチャンネルを開設することになり、動画編集を担当したら、その仕上がりをすごく喜んでもらえたんです。テレビ業界ではまだまだ若手の私でも、動画制作のノウハウを活かせるのではないかと思いました」
作る以外のスキルも身につけたい。フリーランスからPR Tableへ
フリーランス転身後は、芸能人のチャンネル動画をはじめ、美容クリニックや投資会社のPR動画などを制作していた吉武。中には、およそ70万回再生されるなど、バズった動画も。制作する際に変わらず意識するのは、やはり構成、とくに“引き”の大切さ。そして、“親近感”だと言います。
「企業のPR動画を作る際にも、引きのある要素をピックアップして、フリとオチをしっかりつけることが大事。そして、その内容が視聴者にとって親近感が湧き、“自分ごと”として感じてもらえるかも重要です。
たとえば、社員の一日に密着する動画を作るとして、それだけでは興味を引かないと思うんです。だけど、『営業成績1位の3年目社員に密着』にすれば、まず営業成績1位という引きがありますよね。そして、3年目という要素で親近感が湧きます。入社して間もない20代の社員か、これから就職活動をしようとしている学生が、自分は近い未来どうなるんだろうと見たくなります。だから、引きと親近感が大切なんです」
テレビで培ったノウハウを活かして制作した動画が高く評価されていた吉武ですが、フリーランスとして活動する中で不安を抱くこともありました。
「今はスマホでも編集ができるくらい誰でも動画を作れますし、AIも登場しています。その中で戦っていくには、制作できるだけでは武器が足りないなと思ったんです。だから、その前段階として、どういうコンテンツを作るべきかというマーケティングの部分と、動画をどうやって運用していくべきかという後段階の部分もできるようになりたいと考え、転職活動を始めました」
動画制作の需要が高まっている昨今、吉武のようなスキルを持った人材を求める企業は多くあります。その中でPR Tableに入社を決めたのは、選考過程での出来事が理由でした。
「PR Tableは、面接後のフィードバックがとても丁寧で、良かった点だけではなく、懸念点も伝えてくれました。しっかりと人を見て、大事にしている会社なんだと感じました」
そして実は、二次面接の際に、自ら動画の企画案を7本持ち込んだというエピソードも。
「一次面接で、『今後やってみたい企画はありますか?』と突然聞かれたのですが、全然思いつかなくて、なんだかフワッとしたことを答えてしまったんです。それがずっと頭から離れなくて、思いつくまま企画にして二次面接でお話したんです。
いきなり企画を持ち込むなんて、受け入れてもらえない会社もあると思うんですが、そこを評価してもらえたことも入社の決め手になりました」
仕事と人の魅力を引き出す「talentbook」を究極のPRツールに
入社後は、YouTubeのtalentbookチャンネルの企画・制作などを担当。テロップの見せ方を変えたり、躍動感のあるデザインのサムネイルを取り入れたりと、変化を恐れず、新しいことをどんどん提案しています。同時に、人の魅力で企業をPRすることの奥深さを実感していると吉武は言います。
「どの時代でも、どんな場所や環境でも、仕事をする上で人との関わりは切り離せません。どんなにデジタル化が進んでも、フルリモートで働いていても、人と仕事をすることは変わらないので、そこをフューチャーしているtalentbookっていいな、としみじみ感じています。
だから、人の魅力を引き出すという軸を持ちつつ、これまでテキスト中心だったtalentbookに動画という新しいジャンルを確立して、多くの人に観てもらえるように育てることが私の目標です」
talentbookの動画コンテンツ拡充という新たな挑戦を支える吉武には、クリエイターとしてのこだわりがあります。
「目的を果たすためには、こういう理由があって、だからこの動画が必要という視点を大切にしています。自分が表現したいものを作るのではなく、求められていることに自分のスキルを役立てたいんです」
先々の大きなビジョンを描くより、目の前のことを全力で頑張るのが自分のスタイルだと話す吉武。まずは、一つひとつの動画制作に全力を注ぎます。
「もっと企業の魅力が伝わって、興味のない人が見ても最後まで飽きずに見られるような動画を作ること。そして、『仕事を探すなら、最初にここを見てみよう』と思えるようなチャンネルにすること。まずは、そこをめざします。今やるべきことを全力でやれば、おのずと次の目標が見えてくると思っています」
talentbookを究極のPRツールに──吉武が手掛ける動画で、新たな彩りが加わります。
※ 記載内容は2023年7月現在のものです
