知ってもらうにはどうすればいい?素朴な疑問から「PR」に出会った
私がPRという仕事に興味を持ち、今の自分を形作る大きなきっかけとなったのは、学生時代に経験した「海外留学」と「アルバイト」という2つの経験でした。
とくに、1年以上滞在したロンドン留学で同世代の海外の友人たちと交流する中で、キャリアに対する新しい価値観に出会いました。日本では「大手企業に入社して定年まで勤め上げる」というキャリアパスが一般的でしたが、海外の友人たちは「さまざまなスキルを身につけながらキャリアを構築していく」という考え方を持っていました。この違いは、私にとって大きな刺激となりました。
留学中、とくに印象に残っているのは、トーマスという親友とのプロジェクトです。
日本とスイスのデザイナーによる文化交流展を東京で開催するという企画でした。このプロジェクトを通じて、展示会の広報活動の必要性を感じ、PR業界について調べ始めたことが、現在のキャリアの出発点となりました。
学生時代のアルバイトも、私の視野を広げてくれました。寿司屋など飲食店での接客業を通じて、さまざまな職種を経験する中で、多様な価値観を持つ人々と出会うことができました。これらの経験は、後のPR業界での仕事に活きていると感じています。
就職活動では「手に職をつけたい」という思いが強く、さまざまな業界を検討しました。その中でPR業界と出会い、情報発信を通じて企業と社会をつなぐ仕事に魅力を感じました。とくに最初に入社したオズマピーアールというPR会社では、先輩社員や部長の人柄に惹かれました。若手の育成に熱心な社風が、私の成長をサポートしてくれると確信したからです。
その後、ベンチャー企業で広報チームのリーダーとしてキャリアを積む機会を得ました。一からチームを立ち上げ、組織を作り上げていくという挑戦に魅力を感じ、その道を選びました。振り返ってみると、海外留学で培った「新しいことに挑戦する」という姿勢が、この決断を後押ししてくれたように思います。
PR会社とベンチャー広報の上場経験で芽生えた起業への思い
私が最初にPRの経験を積んだのは、PR会社のオズマピーアールでした。クライアントワークを通じて、広報の基礎を学んでいきました。とくに印象に残っているのは、京都にある種屋さんの広報プロジェクトです。
そのプロジェクトでは、種屋さんで働く女性研究員の方の広報を担当させていただきました。その方へのインタビューを通じて情報を収集し、全国紙の記者さんに情報提供を行いました。結果として、複数の全国紙の人物紹介欄に取り上げられ、会社自体を知ってもらうきっかけにもなったんです。人という資産がPRコンテンツになり、会社の魅力を伝えることができるのだと、強く手応えを感じた出来事でしたね。
PRの仕事で最も困難だったのは、クライアントとメディアの板挟みになることでした。クライアント企業からは自社のサービスについて取り上げてほしいというニーズがある一方で、メディアからは社会性や話題性のある内容を求められ、単なる宣伝は避けたいという声がありました。その中で、クライアントの事業や会社が社会にとってどのような意味があるのかを翻訳しながら、メディアとのコミュニケーションを図ることを心がけました。
その後、レアジョブというオンライン英会話サービスを提供する会社に転職しました。ここでの役割は、メディアリレーションズやリブランディング、採用など、多岐にわたるステークホルダーとのコミュニケーションでした。とくに力を入れたのは、働いている社員の考え方や価値観を外部に発信していく活動です。
レアジョブでは、上場に向けた広報活動も経験させていただきました。初めての経験だったため、上場経験のある広報担当者からさまざまな話を聞き、知見を深めていきました。社員、お客さま、市場関係者など、多岐にわたるステークホルダーそれぞれの考え方を理解し、適切なコミュニケーション施策を考えることに苦心しました。
オズマピーアールとレアジョブでは、広報活動の性質が大きく異なりました。PR会社では主にクライアントの広報チームとの関わりが中心でしたが、事業会社であるレアジョブでは、営業、プロダクト開発、CS、コーポレートなど、社内の全部門とコミュニケーションを取る必要がありました。
この経験を通じて、資料作成能力や、経営層の意図を汲み取る力、社内の合意形成を進めるスキルなど、さまざまな能力を身につけることができました。とくに、常に社長の考えを先読みし、どのような提案が喜ばれるかを考えながら仕事を進めることを意識するようになりました。
レアジョブでの上場経験は、私にとって大きな転機となりました。この経験を通じて、自分も上場するような会社を作ってみたいという思いが芽生え、現在の共同代表である弟と一緒に起業を決意することになったんです。
価値創造への挑戦──組織と共に成長する日々
現在の私のミッションは、共同代表取締役として事業と広報の両方を管掌することです。具体的には、お客さまにどのような価値を提供できているのか、営業がお客さまにどのような提案をしているのかということを、お客さま目線でチェックする役割を担っています。また、会社全体の広報活動として、いかに多くの方々に私たちの取り組みを知っていただけるか、広報チームと一緒に検討を重ねています。
執行役員のメンバーと議論しながら、会社の戦略立案とその実行に向けたチューニングを行っていますが、正直なところ、まだ「成功した」と感じる瞬間には至っていません。しかし、確かな手応えは日々感じています。
とくにやりがいを感じるのは、私たちが考えた戦略、つまりお客さまへの価値提供が、実際にお客さまから評価いただく瞬間です。たとえば、ある大手企業様との商談の際、私たちが提供している採用ブランディングの施策について「まさにこれをやりたかったんです。でも、どこに発注すればいいのかわからなかった」とおっしゃっていただいたことがありました。これまで積み上げてきた実績と提供価値が、お客さまのニーズに見事にフィットした瞬間は、この上ない喜びでした。
ただし、順風満帆というわけではありません。とくに組織づくりには苦労しています。創業から4~5年は組織の階層や役割が明確でなく、創業メンバーがやりたいことを実行していくという形で進めてきました。しかし、創業メンバーが考えていることと現場でできることの間にギャップが生まれ、メンバーがついていけないという課題に直面しました。
この経験から、現在のチーム運営では、一人ひとりに明確なミッションを設定し、そのミッションに集中してクリアしていく方針を大切にしています。ミッションは多すぎても、低すぎても、高すぎてもいけません。適切なストレッチ目標としてのミッションを設定し、それに向かって実力を高めていくプロセスを重視しています。
前職で培った広報の経験は、現在の業務にも確実に活きています。広報業務に対する解像度は非常に高いと自負しています。ただし、広報担当者と経営者では、求められる役割が大きく異なることも実感しています。広報担当者は会社の方針や事業の方向性が決まったものを、ステークホルダーとコミュニケーションしていく役割です。一方、経営者は会社の方向性や事業戦略を責任を持って意思決定していく立場です。
事業と広報の両方を見ているからこそ、事業で起きていることを即座に広報のネタとして展開できる利点があります。この2つをつなぐ役割として、非常にやりがいを感じながら日々の業務に取り組んでいます。
talentbookを通じて、多くの人々のキャリアを豊かにする
talentbookというサービスを、より多くの企業の皆様に使っていただくことが、まずは重要だと考えています。とくに、大手企業から中小企業まで、幅広い層への展開を進めていきたいですね。具体的には、talentbookの利用企業数3万社、個人ユーザー1,000万人という大きな目標を掲げています。
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