安定供給を支える物流の最前線。相手目線のコミュニケーションで作業生産性の向上を
国内物流企業の中でもトップクラスの物流センター・ネットワークを展開する鈴与。石川が所属する比奈第二物流センターは、約16,000㎡、月間売上2億円を超える倉庫拠点だ。
「当センターは主に自動車関連部品を取り扱っています。新車のトランスミッション製造ラインに対し、お客様の希望するアイテムを指定された数量と時間で納入しています。また、それだけにとどまらず、お客様およびそのサプライヤー(調達先部品メーカー)に代わり、在庫管理を行っている点が大きな特徴です。
一般に、サプライヤーにとって適切な在庫量を維持することは難しく、欠品を防ぐためにどうしても余剰在庫を持ってしまいがちです。当センターは、製造ラインへの出荷拠点であると同時に、輸出入基地でもあるので、当社も在庫管理に主体的に関わります。さらに、輸出入の一貫手配や、アイテムの梱包など、流通加工にも対応しています。
私たちは、調達から製造、販売まで、お客様のサプライチェーン全体を担っており、当社のミッションはそのすべてのフェーズで高品質なサービスを提供すること。お客様のビジネスを止めないよう、大きな責任を持ち、細心の注意を払いながら日々の業務と向き合っています」
石川が務めるのは所長のポジション。同センターのトップとして、収支管理およびメンバーマネジメントを任されている。
「倉庫においては、安全、品質、生産性に気を配らなければなりません。中でも、安全の確保が第一です。定期的な倉庫内のパトロールをして、不安全行動(ルールや手順の逸脱)をしていないか、設備に異常はないか、作業方法は適切か、気を配っています。
こうした取り組みは、品質の担保に直結します。昨年、お客様の品質監査にて、当センターが、ある大手自動車メーカーの協力会社の中で全国トップ水準のスコアを獲得したのも、日々の愚直な積み重ねがあってこそだと考えています。
生産性の向上については、保管と作業の2つの面で考える必要があります。保管効率の向上に関しては、たとえば実績データをもとにした保管エリアの最適化が挙げられます。自社開発の倉庫管理システム上に記録されている過去の入出荷データを分析し、貨物の特性に合わせた保管場所や間口の設定を行っています。
作業生産性の向上については、『【1】作業動線の短縮、【2】作業の機械化・デジタル化、【3】作業の簡素化、【4】作業員の大部屋化による人員配置の柔軟性』の4つの観点から改善をしています」
同センターに在籍する従業員は約70名。拠点を統括するマネージャーとして、石川は現場との関係性の構築にも力を注いできた。
「ひとりでも多くの従業員と顔を合わせることを意識しています。作業場の朝礼にもなるべく顔を出すようにしたり、作業の合間を見て声をかけたりと、働きやすい職場づくりに向けて、積極的にコミュニケーションを図ってきました。
また、相手の立場になって考えや感情を先読みし、寄り添った対応も心がけています。ヒヤリハットなど、現場からの声を吸い上げての改善は非常に大切ですが、信頼関係がなければ、従業員は所長に対して本音で話しにくいと感じるものです。そんな彼ら、彼女らの心境を汲み取り、意見を言いやすい環境づくりを進めてきました。
めざすのは、すべての従業員が自由に意見を言えて、それが受け入れられやすい職場です。より良い作業環境の整備など、現場の要望に前向きに応えていきたいと考えています」
フラットな社風が入社の決め手に。現場での実践で養った倉庫管理業務の基礎
業界を絞らずに就職活動に取り組み、たまたま参加した合同説明会で鈴与を知った石川。人と社風に惹かれたことが入社の決め手になったと言う。
「選考過程で出会った社員は親しみやすい方ばかりで、フラットな社風があるのがわかりました。当時の印象は現在も変わっていません。部長クラスの社員が非常に近い距離感で接してくださるなど、年齢に関係なくすべての世代の社員とコミュニケーションが取りやすいと感じています」
2017年の入社後、石川は甲府物流センターへ。そこで約半年間にわたって現場作業を学んだ。
「まずは作業員として現場に立ち、事務所から出される出荷指示に従って検品、梱包、集荷までの一連の作業を経験しました。倉庫作業の具体的な流れを理解すると同時に、その業務がいかにハードかを実感するとても良い機会だったと思います。さらに、事務所での出荷指示や入庫指示といった事務的な業務も担当しました。また、保管効率や生産性向上の改善を初めて行ったのも、この時期の現場研修でした。
当時は、物流の知識がまったくない状況でしたが、先輩社員や現場の人たちの意見を聞きながら進めていきました。高さを活用した保管方法を取り入れることで、保管効率の向上を図ったり、ABC分析(※)を用い貨物の適正配置をすることで作業動線の短縮を行ったりするなど、現在の仕事に通ずるものもありましたね」
※ ABC分析:取扱商品別に、荷動き販売数量や販売金額の多い順に累計を求め、その比率から全体をA、B、Cの3ランクに分類し、ランク別に保管方法や在庫水準を検討するための方法
その後、複合機を取り扱う顧客の営業担当として、倉庫の現場管理や収支管理に携わり、現在の業務の基礎を習得した石川。現場作業員との信頼関係を築く術を身につけたのもこの時期だったと振り返る。
「現場に対して指示をうまく伝えられず苦労した時期もありましたが、経験を重ねるにつれて、相手の考えや要望が少しずつわかるようになっていきました。
作業生産性の向上や安全性を担保するためのオペレーションなど実務的な知識もさることながら、現場に対して何をどう伝え、どのように協力を得るかを学べたことが、当時の最大の成果です。
作業生産性を向上させるためには、現場の方々に気持ちよく仕事をしてもらうことが欠かせません。物流の仕事は、現場あってのものだと深く理解しました」
現場と思うように連携できずに苦しむ石川を支えたのが、周囲の先輩社員たち。鈴与の人の魅力をあらためて実感したと言う。
「私の話にきちんと耳を傾けてくれた上で、『まずはたどり着きたいゴールを明確にして、なんのためにそうしたいのか伝えよう』『ゴールへの道筋は、自分だけで考えずに現場にも相談して組み立ててみたら?そうすれば、周りを巻き込んで、意見も反映させながら進められるよ』と親身になってアドバイスしてくださいました。時には、私の役割を引き継ぎ、現場の回し方を直接示してくれたこともあります。
ここまで成長してこられたのは、多くの方々に助けてもらったからこそ。当社には人を大切にする文化が根づいていると感じます」
恩師との出会いが転機に。現場との密な連携と業務改善で所長としての責務を全う
2020年に川越メディカルセンターに移った石川。引き続き倉庫の現場管理と収支管理に携わる中で、新たな学びもあったと言う。
「お客様が取り扱う製品によって、倉庫での業務フローは大きく変わります。川越では呼吸器関連医療機器を取り扱うお客様を担当していました。輸入された医療機器は、日本国内で包装、表示をした後に国内の製造販売業者が出荷判定をする必要があります。その作業を鈴与が受託することで、輸入から国内流通まで、一貫したサービスを提供しています。
私がいた職場では、お客様の製造ライセンスのもとでそうした流通加工を行っていましたが、当社として製造業ライセンスを取得し、同様の医療機器物流を提供している拠点もあります。いずれにせよ、薬機法やQMS省令を深く理解し、現場管理を進めなければなりません。
当時、川越に在籍していた従業員は約120名。規模の拡大に伴って私の裁量権が大きくなり、業務範囲が広がりました。大きな転換期だったと思います」
また川越では、仕事観やキャリア観を大きく変えるきっかけとなるメンターとの出会いも。
「私が相手目線に立つことを徹底するようになったのは、川越時代の所長からの教えがきっかけでした。相手が何を求めているのかを的確に把握する力を鍛えられ、非常に貴重な経験ができたと思っています。
キャリア形成やビジネスパーソンとしてめざす姿について考えるようになったのも、その所長の影響です。簡単に真似できるような存在ではありませんが、いまも常に規範として意識しています」
そして2023年、石川は比奈第二物流センターの所長に就任。思いもよらない抜擢に戸惑いながらも、これまで培った知見を活かして着実に責務を全うしてきた。
「当時、所長になることは想像もしていませんでした。異動が決まって非常に驚いた記憶があります。前所長と同じように自分が振る舞えるかどうか不安はありましたが、任されたからには役割を果たしたいと考えていました。
そのための鍵となるのが、現場とのコミュニケーションです。できるだけ多くの従業員と対話を重ね、関係を深める努力をしてきました。
一方で、川越での経験を基に、動線の見直しを含めた業務改善を進めています。他拠点で同じお客様の物資を扱っているケースもあるので、拠点間で見学し合ったり、お互いの業務の進め方から学んだりしながら、作業生産性の向上を図りたいと考えているところです」
キャリア8年目を迎える石川。入社以来、顧客、そして現場からの感謝の言葉が仕事への原動力となってきたと言う。
「お客様から『助かりました、ありがとう』と言葉をもらう時が一番うれしいです。たとえば、お客様がリコール対応に追われていた時のことです。物量情報や今後の動向をうかがう中で、どういった物量で回せば在庫不足とならず、かつお客様にとってコストも抑えられるか、俯瞰した目線で提案しました。すると、『そこまで考えてくれているんですね。ありがとう』と感謝いただいたことがありました。
お客様に限らず、現場の作業員や同僚たちからも同じような言葉をもらうと、人の役に立っていることを実感し、大きなやりがいを感じます」
充実した教育体制と働きやすい環境が成長を支える。拠点の責任者としてさらなる成長を
拠点全体の管理責任者として、さらなる高みをめざすために。自身の流儀にさらに磨きをかけていくことが現在の石川の目標だ。
「自動車関連部品の取り扱いにおいては、安全性、物流品質、作業生産性のすべてにおいてこれまでにないほど高い水準の管理技術が求められています。この分野でお客様の期待に応えるレベルのスキルを身につければ、どの拠点でも活躍できると確信しています。
現状では困難な場面もありますが、だからこそ、これまで以上に相手の立場に寄り添って考え、行動できるような存在でありたいと思っています。現在のワークスタイルをきわめていくつもりです」
若くして所長に就任するなど、チャンスを確実にものにしながら成長を遂げてきた石川。自身の経験を踏まえながら、鈴与で働く魅力について次のように語る。
「社員の人柄の良さが鈴与の最大の魅力です。人間関係で困ることが少ないので、仕事に集中できる環境がここにはあります。
また、私が所長という役職を務めていることからもわかるように、当社では比較的若いうちから責任ある仕事を任される傾向があります。年齢に関係なく、社員を信頼してくれるので、早くからやりがいのある仕事を経験したい方、大きな裁量権を持って仕事に取り組みたい方にとって最適な職場です。
教育体制も充実しています。社会人としての考え方やロジカルシンキングについて学ぶ研修など、新たな学びを得る機会が非常に多く、所長のポストに就くに当たっては、専門部隊によるマネジメント講座も受講しました。責任ある仕事には大きなプレッシャーをともないますが、サポートが非常に手厚いおかげで、大きな負担を感じることなく仕事ができています」
現場作業からキャリアをスタートさせ、現在のポジションへと着実に歩みを進めてきた石川。相手目線に立った現場とのコミュニケーションを軸に、業界をリードする存在をめざし、これからも物流の未来を切り拓いていくつもりだ。
※ 記載内容は2024年4月時点のものです
