若手が集まった少数精鋭チームで 顧客の清水港誘致に挑む
1801年に清水港の廻船問屋として創業した鈴与は、この港を拠点に総合的な物流サービスを発展させてきた。現在も日本有数の国際貿易港である同港のコンテナターミナル運営を担いながら、総合物流企業として多様な貨物を取り扱っている。
現在、この清水港への貨物誘致に取り組んでいるのが、藤田がチームリーダーを務める広域営業推進室 広域営業第一チームだ。
「私たちは既存のお客さまへの対応と、新規のお客さまの開拓を担当しています。お客さまの物流状況を詳細に分析し、サプライチェーンマネジメント全体や社会情勢を踏まえると、清水港を利用することにより輸送距離の短縮や物流品質の向上につながるケースが少なくありません。このように、清水港の利用が適していると考えられる潜在需要を掘り起こしています。
清水港を利用した物流網の最適化提案で、お客さまの本質的な課題解決を行うことがわれわれのミッションです」
藤田は2023年9月にチームリーダー(課長)に昇進。自身を含め3名体制のチームで部下の育成に力を入れている。
「日々の営業活動において、案件の特性を分析し、最適なアプローチ方法をチームで検討しています。単に見積もり件数や成約件数、活動数などのKPIを管理するだけでなく、現状のお客さまの物流課題をヒアリングし、鈴与だからこそできる物流サービスをゼロから構築し、提案することのおもしろさ・やりがいをまだ経験の浅いチームメンバーに伝えることを意識しました。
物流サービスを提供するには、かなりの数のステークホルダーが存在するため、関係各所との調整等苦労も多いですが、自身の提案内容が実際に動き出すまで一貫して携わる営業の立場だからこそ感じる達成感・やりがいを感じられるよう、チームメンバーが自ら考え・提案するためのサポートを心がけています」
今でこそ部下に寄り添ったサポートをする藤田だが、チームリーダーになった当初はマネジメントの方向性を模索していたと言う。
「1年目はどう部下に接すればよいかわからず苦慮しました。当初は一方的な指示になりがちで、部下の納得を得られていませんでした。その反省から、現在は部下の意見に耳を傾け、気持ちに寄り添うことを意識しています」
姿勢を柔軟に変化させていった藤田。チームリーダーとなり2年目を迎える現在、部下の成長を感じている。
「自発的に行動する姿勢が見られるようになりました。お客さまとの商談においても、事前に必要な質問事項を準備し、提案を行っています。部下自身が物流提案のおもしろさを感じ、自らPDCAサイクルを実践できるようになっています」
会社の多様性に魅かれて入社。失敗を糧に成長する営業としてのキャリア
藤田のキャリアは、港湾事業本部 コンテナターミナル部 オペレーション課からスタートする。入社当時は特定の職種への希望はなく、鈴与という会社そのものに魅力を感じての入社だった。
「大学での合同説明会で鈴与と出会ったことが、入社のきっかけです。グループ会社が約140社あり、物流を含めさまざまな事業展開をしていることから、将来のキャリアの選択肢が広がると考えました」
新入社員研修後、最初の配属先となったコンテナターミナル部では、コンテナ船の積み下ろし作業のスケジュールを組み、現場を指揮監督するフォアマンとして約3年勤務。その後、2011年10月から回漕営業部 紙パルプ課(当時)に異動し、パルプと紙製品を商材とする案件に特化した海貨営業活動を担当することになる。
「特定の職種に固執するのではなく、まずは現場でさまざまな経験を積むことが重要だと考えていました。営業への異動時は新たな挑戦に不安もありましたが、私に適性があると会社が抜擢してくれたのであれば期待に応えたい。これまでの成長を活かせるチャンスだと前向きに捉えました」
2017年4月からはロジスティクス事業本部 清水支店 営業二課に異動し、自動車部品、太陽光パネル、食品など多種多様な業種の案件に対し、海上・航空輸送、通関、在庫管理から国内輸送までを一貫して提供する物流サービスの提案を担当した藤田。営業職として経験を積む中で、失敗も数多く経験してきた。
「航空輸送で、飛行機の貨物スペースがなかなか確保できず、遅延金発生の危機に直面したことがありました。日々のコミュニケーションから“お客さまが常にコストを優先されている”と感じていたため、できるだけコストを抑える代替案を模索していたのですが、この件に限っては納期が最優先であることが判明しました。そこから社内外の関係各所とスピード感をもって対応を進め、お客さまの指定納期にギリギリ間に合う代替案を提案しました。
この経験から、お客さまとの面談では案件ごと優先事項が何なのか、納期や予算をはじめとするお客さまの意向を正確に把握すること、それを社内でも正しく展開するために確実に記録を取りToDoリストを作成することの重要性を学びました」
藤田は持ち前の明るさとポジティブさに加え、何事も諦めない粘り強さで困難を乗り越えてきた。
「時には『本当に営業に向いているのだろうか?』と悩むこともありました。しかし、継続して案件を任せてもらえたことで自信を持つことができ、与えられた機会を最大限に活かそうと、前向きな姿勢で業務に取り組みました。
また、若手の頃は失敗もたくさん経験しましたが、上司や先輩方がお客さまへの説明や社内調整などをサポートしてくださいました。そのような周りの支えがあったからこそ、今の自分があるのだと感謝しています」
「多視点」の強みで成功へ導く──部署を超えた連携の価値
さまざまな部署での経験を通じて、藤田は独自の強みを築いてきた。
「コミュニケーション力が私の大きな強みになったと感じています。新人の頃は先輩方から『学ばせていただく』という謙虚な姿勢で接することから始まり、今では『昨日も一緒に仕事をしていたような温度感』でどんな相手とも自然体で対話ができるよう意識しています。
また、これまでの経験で培った社内の人脈も重要です。案件に応じた適切な部署や担当者とスムーズに連携できる関係性を築けたことも、自身の強みとなっています」
複数の部署を経験することで、営業として多様な視点を獲得した。
「ジョブローテーションの2部署目に当たる回漕営業部では、一度に千トン単位で輸入される大ロットのパルプを主に取り扱いました。営業としては未経験だったため、お客さまの対応はもちろん、大規模な在庫スペースの調整や現場との連携など苦労もありましたが、一つひとつ学びながら業務にあたりました。また、この頃からお客さまのニーズを掘り下げ、より良い物流を提案することを心がけていました。
その後の清水支店や現在の広域営業推進室では、これまでの経験をベースに、さらに提案の幅を広げています。年次を重ね、営業としてもステップアップしてきたことで、より深くお客さまの課題に踏み込んだ提案が可能になりました。たとえば、お客さま自身が気づいていなかった清水港の活用方法を提案するなど、固定概念にとらわれない新しい可能性を示すことで、より深い信頼関係を構築できると考えています。
行った先々で苦労はありますが、これまでのキャリアを俯瞰してみると、自分がレベルアップしていることに気がつき、困難を乗り越えてきてよかったと思います。現在はよりお客さまに寄り添い、お客さまの視野を広げられるような提案ができていると実感しています」
周囲に支えられながら営業のキャリアを歩み続けてきた藤田。中でも印象深い案件がある。
「上司から引き継いだ案件を、先輩と協力しながら成功に導いたことが印象に残っています。もともと愛知県を拠点として輸出入を行っているお客さまでしたが、鈴与の一貫サービスを提案し、取引拡大と清水港誘致を実現しました」
複数の部署が連携して成し遂げた案件であり、現在も継続している重要なビジネスである。
「各部署のサービス内容理解を深め、顧客の課題に対し各サービスを利用することのメリットを丁寧に説明し、契約までこぎつけることができました。関係する各部署としっかり連携をとりながら提案営業できた結果だと考えています」
この経験から、藤田は複数の視点を持つことの重要性を学んだ。
「拠点単位の部分最適な提案ではなく、より広い視点を持ち、鈴与全体でできることを考え、提供価値を最大化させることが大切だと気づきました。そのためには、部署間の連携を円滑にする良好な関係構築が欠かせません。
現在のチームでも他拠点と連携することが多くあり、部署の垣根を超えた対話を大切にしています。もしそこで部下が困っているときには間に入って調整役を務め、部下自身の社内パイプが広がるよう意識しています」
社会インフラを支える誇りと使命を胸に、清水港のビジネス拡大に挑む
物流業界の営業職としての誇りも語る。
今後の目標について、当面は清水港の認知度向上と誘致活動に注力したいと語る藤田。これまでの歩みを振り返り、物流業界で営業として働くことについて、次のような想いを抱いていると言う。
「物流が止まれば、多くの会社がビジネスを継続できません。物流は社会インフラとして不可欠な存在です。日本経済を支える物流業界で働くことに誇りを持っています」
新卒で入社以来、約17年キャリアを築いてきた鈴与の魅力について、藤田は会社の社員育成方針を挙げる。
「私の場合、港湾の現場から始まり、海貨を中心とした総合物流の営業、そして現在は営業マネージャーとして新規開拓と、キャリアアップしてきました。人事が社員一人ひとりの成長を本気で期待してくれており、その実現のために異動を工夫してくれていると感じています。
もしジョブローテーションで想定していなかった部署へ異動することになっても、そこで得られる経験は必ず自分の糧になると思います。
逆に、たとえ自分が望んでいた部署に配属されたとしても、必ず苦労はあるものです。いずれにせよ、いかに楽しみを見出すかは自分次第です」
複数の部署を経験し、実績を積んできた藤田は、とくに現場での経験が後の営業活動に大きな価値をもたらしていると語る。
「お客さまと話をしていく中で、実体験にもとづいた説明ができると説得力が増します。たとえば海上輸送であればお客さまは『船が日本の港に着いたら、すぐに輸入した貨物を引き取ることができる』と思われていることが多いのですが、実際には船からの荷下ろし、輸入通関、配送手配等さまざまな現場の働きが必要です。無事に指定場所まで貨物をお届けするためにはお客さまが思う以上の工程があり時間がかかる、そういった実際の物流現場を理解していることで、より説得力のある最適な物流提案ができるようになります。
新しい環境には必ず困難がありますが、それを乗り越えた先に成長があります。これまで自分が経験したことのない業務に携わることで視野を広げられますし、さまざまな経験を積むことが最終的には自分の糧になると考えています。
今後も積極的に新しい環境に身を置き、同時にマネージャーとしても部下のチャレンジを後押ししていきたいです」
※ 記載内容は2025年3月時点のものです
