現場とチームになる。周囲を頼るからこそ生まれる成果
現在、ロジスティクス事業本部京浜支店倉庫営業課に所属する久保田は、倉庫への新規顧客誘致と既存顧客窓口を担っている。
ワインや輸入食品、アパレル商材など幅広い商材を取り扱い、営業活動にとどまらず、日々の顧客対応や課題・トラブル発生時の調整・対応まで一貫して担当しているのが特徴だ。限られた時間の中で最大の成果を出すために、久保田はオフィスを離れ、高頻度で現場へ足を運ぶようにしている。
「午前中は見積もり作成などの事務処理に集中し、午後は千葉や東京・大井などの現場へ行くのがルーティンです。事務所で図面とにらめっこするよりも、現場で実際の空間を見て、現場の声を聞いたほうが早いですし、何より確実ですから」
仕事をする上で久保田が徹底しているのは、周囲との連携だ。効率的かつ確実に業務を遂行するために欠かせない要素だと言う。
「組織図上の壁を越えて、現場の方々と早い段階から『一つのチーム』として仕事を進めるようにしています。『今度入る案件、組み立ての初期段階から一緒に進めませんか』と持ちかけるのです。そうやって早期に情報を共有し、同じ目線で動いてもらえるよう働きかけています」
通関や広域営業の経験が長い久保田にとって、倉庫運営の細かなノウハウは専門外の部分もある。だからこそ、自身の知識不足を率直に認め、現場の知恵を借りることを自身の仕事の軸に置いているのだ。
「私一人では完結できない仕事だからこそ、情報をオープンにし、早めに相談しています。周囲に頼ることは、弱さではなく、プロジェクトを成功させるための戦略だと考えています」
コロナ真っ只中、中国駐在での葛藤。上司の言葉がくれた覚悟
入社以来、現場研修を経て通関業務、そして営業職へとキャリアを重ねてきた久保田。かつては自らの足で稼ぎ、単独で案件を獲得するスタイルだったが、大きな転機となったのは2022年から2年間経験した中国・上海への駐在だった。
「現地法人の唯一の日本人スタッフとして、営業だけでなく総務、経理、人事、法務まですべてに携わりました。一営業担当だった私が、コロナというカオスな状況でいきなり経営に関わる広範囲な判断を求められることになったのです」
とくに頭を悩ませたのが、現地の文化的背景に基づく判断だった。
「たとえば、チーム内での助け合いや残業に対する考え方も、日本とは異なります。それぞれの文化的背景や正義がある中で、何が最適解なのか。自分の中に判断の物差しがない状態で決断を下すことは、本当に苦悩しました」
組織の未来を考えれば、放置はできない。久保田は悩みながらも、「個人の能力の問題ではなく、仕組みで解決しよう」と業務分散やシステム導入を提案し、粘り強く対話を重ねた。
迷いの淵にいた久保田を救ったのは、「明確に間違っていること以外は、まずはやりたいようにやってみなさい」という上司の言葉だった。失敗してもフォローするから──。その姿勢に、久保田は救われたと話す。
「その瞬間、スイッチが切り替わりました。上司がそこまで言ってくれるなら、失敗しても致命的なことにはならない。だったら意地でも成功させてやろう、と。あの言葉が、私が仕事における心理的安全性を手に入れた原点です」
上司が担保してくれた心理的安全性は、これまでの行動を変えた。萎縮することなく前向きにリスクテイクができるようになった久保田のスタンスは、帰国後の現在も変わることはない。
「話せるからこそ、聞ける」。難関案件を突破した報連相の極意
中国駐在前の広域営業部時代にも、久保田の連携力が発揮された象徴的なプロジェクトがある。大手総合商社から持ちかけられた、タイから日本へPET樹脂を輸入する大規模案件だ。 月間15~20本ものコンテナを動かすこのプロジェクトは、輸入した樹脂を国内工場のタンクへ直接投入するという、前例のない特殊な納入形態が求められた。
「特殊な車両でコンテナを斜めに持ち上げて、中身を工場のタンクへ直接流し込むのです。非常にダイナミックな納品方法ですが、そもそもコンテナの中に袋を張って樹脂を入れること自体、社内では実績がありませんでした。破れたらどうするのか、特殊車両はどう手配するのか。実現可能かどうかもわからない検討フェーズからの参画でした」
未知の領域に対し、久保田がとった行動は徹底した情報収集だった。上司に相談し、他部署に問い合わせ、お客さまと一緒に納入テストを行い、一つひとつ課題をクリアしていった。わからないことを隠さず、社内外の知っていそうな人に教えを請う姿勢が、周囲の協力を引き寄せたのだ。結果として、実現性を証明し、自身最大規模の案件受注へとつなげることができた。
この成功体験の裏には、社内外のキーマンを頼り、情報を集約して難局を突破する久保田独自の思考法があった。
「頭の中に関わる人たちの『プロファイルブック』、いわば相手ごとの取扱説明書のようなものがあるのです。『この人は前提から話したほうがしっかりと伝えられる』とか、『この人は朝一番の方が話をする時間が確保できる』といったように、相手に合わせて情報の届け方を変えています」
報連相は、単なる業務報告ではない。大切にしているのは「話せるからこそ、聞ける」という感覚だと久保田は語る。
「自分から状況や課題、考えを自己開示して発信するからこそ、相手も本当の温度感や困りごとを話してくれるのです」
営業とは一方的に売り込むことではない。「一緒に解決しましょう」と懐に入り、課題を引き出して解決することこそが本質だ。そのための最強のツールが、久保田にとっては報連相なのである。
報連相を恐れない。心理的安全性が挑戦を加速させる
就職活動中の学生や若手社員に向けて、久保田はスキル以上にマインドセットの重要性を強調する。英語力や資格といった目に見えるスキル以上に、社会人として最初に身につけたいのは、やはり報連相の姿勢だと語る。
「仕事では思い通りにいかないこともあります。しかし、それですべてが終わる訳ではありません」
就職活動を通じて自身の仕事観と深く向き合った経験が、今の久保田の支えになっている。
「報告した内容によっては指摘を受けることもあります。ただ、誠実に向き合えば必ず前に進めます。そう思えるようになってから、むしろ早く報告しようと自然に動けるようになりました。」
その達観したメンタリティを育むことができ、成長を後押ししてくれる組織こそが鈴与だという。実は、久保田が鈴与に入社を決めた最大の理由も、鈴与ならではの人への真摯さにあった。
「就職活動中、鈴与の人事や社員は、一学生である私に対して対等に向き合い、丁寧に会話をしてくれました。『これほど人柄のいい会社なら、自分も何かしら役に立てるはずだ』と確信したのを覚えています」
人を大切にする土壌があるからこそ、若手は安心して挑戦できる。今後は、自身が体感してきた心理的安全性や報連相の重要性を、次世代に伝えていくマネジメント領域にも挑戦したいと意気込む。
「鈴与は心理的安全性が確保された会社だと実感しています。若手の挑戦を否定せず、『責任は持つからやってみなさい』と背中を押してくれる風土があります。自分なりのチャレンジをしたい人には、最高の環境だと思います」
報連相という基本動作を、信頼構築の武器へと昇華させた久保田。その実直で力強い仕事ぶりは、鈴与という個を尊重する土壌があってこそ、その真価を発揮できているのだ。これからも彼は、周囲と誠実に連携しながら、新たな価値を創造し続けていく。
※ 記載内容は2025年12月時点のものです

