日本建築の奥深さに惹かれて左官職人に
父が工務店を経営していて、幼いころから「ものづくり」に興味がありました。だから工業高校の建築科に進学し、工科大で居住システム・居住環境を専攻したのも自然な流れでした。兄が家業を継がないと言っていたので、「自分が継ぐのもアリかな……」なんて薄々考えてもいました。
しかし、大学生になると興味がニッチな方向へ逸れていって……。まず、富山旅行で「白川郷の合掌造り」を目の当たりにし、日本建築の奥深さに魅せられました。茅葺の屋根、大きな梁(はり)、土壁といった細部に引き込まれていったんです。
さらに、古民家再生プロジェクトで土壁塗りを体験し、完全に好奇心をかきたてられました。吸湿性・断熱性に優れた土壁が職人不足で衰退している。「自分が伝統を守らなきゃ」なんて大層な想いじゃないですが、とにかく左官職人(※)になりたいと思ったんです。
卒業後は家業を継ぐと思っていた両親は大反対でしたが、なってしまえばこっちのもの。勝手に応募して左官業の会社から内定をもらいました。
ただし、すぐに職人デビューとはいきません。1年間は仕事でコテを触らせてさえもらえず、補助的な仕事ばかり。現場に出ない時はひたすら練習用の壁と向き合う毎日でした。
材料をコテ板に乗せ、コテひとつで垂直の壁を塗る。これが想像以上に難しくて、最初は材料を落としてばかり。均等な厚さに塗れるようになるまでたくさん失敗し、たくさん叱られました。泣きたい気持ちにもなりましたが、反骨心から「すみません!」と、そんな時こそ大きな声で返事していましたね(笑)。
だから、2年目に親方から「ちょっと塗ってみろ」と初めて小さな壁を任された時は本当に嬉しかったんです。それからは完成後のお客さんの笑顔にも励まされ、仕事を楽しめるようになりました。
結局、3年で辞めることになりましたが、かけがえのない経験でした。
※ 建物の壁や床、土塀などを、こてを使って塗り仕上げる職人
迷走の5年半を経てエンジニアの道に
辞めてからは実家の工務店で事務をしました。左官を続けたいという気持ちと、同じ仕事をずっと続けることへの不安との間で迷いながら出した結論です。
事務を2年ほど続けましたが、ほとんど身内としか接することのない毎日で、もう一度「外」で働こうと考え、次は飲食業に。お客さまからの「ありがとう」の言葉が嬉しくて、3年ほど楽しく働きました。
日々を過ごす中で、「新しいことにチャレンジしたい。コツコツと手に職をつけたい……」という想いが湧いてきました。そこで興味を持ったのがエンジニアです。
とはいえ、経験や知識は一切なし。そこで、いくつかの派遣会社の選考を受けました。その中で、最速で返事をくれたのがスタッフサービス・エンジニアリング(以下、SSE)です。
和やかな雰囲気のWeb面接が好印象でしたが、さすがに2時間後に内定通知が来たのにはビックリ。もちろんスピード感だけじゃなく、充実したサポート体制などにも魅力を感じ、迷わず入社を決めました。迷走時期を経て、ここから私の新しいキャリアがスタートしたんです。
スキルアップへの意欲が芽生えてきました
SSEは、派遣といっても正社員(常用型派遣)として入社し、大手メーカーなどの就業先で長く勤務する方も多い働き方です。プロジェクトが豊富で、スキルや希望に応じて最適な就業先を探してくれます。私の厚かましい要望にもしっかり応えてくれました。
最初の就業先となったのは、半導体製造装置の大手メーカーです。当時は、「半導体って何?」というレベル。それでも、就業しながら自分でも勉強して、あらゆる電子機器に不可欠なものだと知り、どんどん興味が湧いてきました。
任されたのは部品の品質管理。まったくの未経験でしたが、就業先の社員さんも丁寧に教えてくれたので不安は感じませんでした。それよりも自分が品質を確認した部品が、隣の部署で大きな機械に組み上げられていくのをワクワクしながら見ていましたね。
そこで1年半就業し、次の就業先へ。今度は大手機械メーカーで、自動車部品の生産工程での検査業務です。機械同士を接合する際に気密性が保たれているかをチェックするマシンがあり、その操作がメインでした。エラー発生時にはハラハラしましたが、これも確かな製品を生み出すための大切な役目。1社目とはまた違ったおもしろさを感じました。
ただ、しばらくして与えられた職務をこなしているだけの現状に焦りを感じるようになりました。「私には社会に通用する汎用的なスキルがないのではないか。将来のため武器になる何かを習得しなければ。でも何を学べばいいかわからない……」。
そこで、キャリアカウンセラーに「いまの私に足りないものって何?」と相談しました。すると「Excelをきちんと学べばどんな仕事にも役立つ。品質管理を続けるならQC検定(品質管理検定)という資格に挑戦するのもいい」とのこと。助言の通りExcelを勉強し、QC検定の資格も取りました。
こんなにスキル習得に意欲的になるのは自分の中でも大きな変化です。エンジニアという仕事をしていると、いろんな方向に興味が広がり、何にでも挑戦したくなります。
それに、SSEはeラーニングや通信教育、書籍購入補助などの制度も充実。何を学ぶべきかを教えてくれるキャリアカウンセラーもいます。次にチャンスをもらった時、やりたいと思える仕事に出会った時のための準備。そう思って頑張りました。
貴重な研修を経験し、半導体への好奇心が再燃
2社目の就業中、キャリアカウンセラーから「半導体研修に参加してみない?」と電話をもらいました。私がスキル習得に意欲的なことを理解して声をかけてくれんたんだと思います。
半導体分野には引き続き興味を持っていたので、少し食い気味に「行きます!」と即返事。自動車の買い替えを考えていて半導体不足を実感していたり、自宅近くに半導体工場ができて話題になっていたり、いろんなタイミングが重なってもいました。
それは、SSEと国立大学の共催の2日間の研修でした。初日は半導体製造の前工程(シリコンウエハ微細加工実習)、2日目は後工程(フォースセンサーIoTモジュール試作実習)。とくに、2日目の内容が興味深くて半導体への興味が一気に再燃しました。
チップを基板に組み込むハンダ付け作業では「やっぱり私はものづくりが好き」と再認識もしました。講師の方の「ものが壊れても、文明が滅んでも、自分でものを生み出せる。そういう可能性が半導体にはある」という言葉にも打たれましたね。
ちょうど2社目の仕事を継続するかどうか悩んでいて、キャリアカウンセラーに将来について相談していた時期でもありました。だから研修後、再び半導体製造装置メーカーで働けると連絡をもらった時は、心の中でガッツポーズ(笑)。いまは、製造過程の半導体の表面加工という以前とは違う工程を担当しています。
最初は思うようにいきませんでしたが、回数を重ねるたびに上達し、自分の成長を実感。もちろん再燃した好奇心も満たされ、ものづくりの醍醐味も味わえています。
この仕事には化学知識も求められます。数年前なら難しそうと毛嫌いしていたはずですが、いまは知識習得に何の抵抗もありません。むしろ学びたいことが増える現状、それに前向きに取り組む自分を嬉しく思っているほどです。
会社も学ぶ姿勢を応援してくれますし、次のステップも用意してくれます。SSEに所属しているからこそ、安心してさまざまなプロジェクトに移り、経験を積んで成長していけるんです。
やってみて初めて成果が目に見える「ものづくり」の魅力に気づけました。行く先々で「新人とは思えないほど、すぐ馴染むね」と言われるのは、飲食業での接客経験のおかげ。失敗を失敗で終わらせたくないという気持ちは、左官職人時代の親方への反骨心が端緒かもしれません。
いまは先輩の指摘を素直に受け止め、失敗を次にどう活かすかを考えられるようになりました。これは私の人としての成長ですね(笑)。
もし、私と同じように未経験だけどエンジニアになりたいという人がいたら、迷わず挑戦してほしいと思います。これまでどんな人生を送ってきたとしても、どんな仕事をしてきたとしても、すべての経験が必ずどこかで役に立ちます。
そして、SSEには不安を受け止めてくれるキャリアカウンセラー、エンジニアサポーター、最適な仕事を探してくれる営業担当、コーディネーターもいます。新しい一歩を踏み出すのに最適な環境だと思いますよ。
※記載内容は2024年4月時点のものです
