快適でスムーズな乗車体験を提供。移動と消費がつながる地域密着型の新たな事業モデル
──まずは、現在の担当業務について教えてください。
ISHIZUKA:私はTransit本部長 兼 Transit事業企画部長として、約80人のメンバーをマネジメントしています。マネジメント業務を担うだけでなく、地域密着性が高い公共交通の特性を活かし、異業種間のマッチングを通じて事業創造を支援しています。
NAKANISHI:私は2024年にキャリア入社し、現在はMaaS企画推進グループのグループ長としてMaaS事業の企画・推進をリードしています。前職で航空会社から国土交通省へ出向し、日本版MaaSや公共交通のキャッシュレス推進事業に携わった経験を活かして業務に取り組んでいます。
──Transit本部では、どのような事業を展開しているのでしょうか。
NAKANISHI:タッチ決済を活用した公共交通機関向けのソリューションであるstera transitを中心として、幅広い事業を展開中です。私が担当しているMaaS事業では、新規事業の創出をめざし、交通系ICカードの事業者さまと共存しながら移動の総量を増やすサービスの開発を推進しています。
さらにデータ活用事業にも取り組み、消費と移動を掛け合わせたデータの分析を通じてPDCAサイクルを回すことで、地域全体のマーケティング活動をご支援しています。
ISHIZUKA:事業の中核を担うstera transitは、クレジットカードやスマートフォンをタッチするだけで電車やバスに乗車できるサービスです。切符の購入やICカードのチャージが不要なため、利用者さまに快適でストレスフリーな移動体験をご提供できます。 一方で事業者さまにとっても、券売機や改札機などの設備にかかるコストを削減できるというメリットがあります。
また、人口減少やテレワークの進展、外国人観光客の急増など外部環境が変化する中で、データ分析により乗客の属性や目的地などを把握し、それに応じた施策を検討することで、公共交通の維持・活性化に貢献しています。
──それらの事業を、どのような組織体制で運営しているのでしょうか。
ISHIZUKA:Transit本部は、Transit事業企画部とTransitソリューション部という2つの部署で構成されています。事業企画部には、東日本・西日本・地方創生を担う3つの営業系チームと、MaaS企画・事業企画・データ戦略を担う3つの企画系チームがあります。
Transitソリューション部は、stera transitのシステム開発、MaaS関連のシステム開発、そして事務処理を担う3チームがあり、合わせて9つのチームで事業を推進しています。
Transit本部が展開している事業は、私たちも交通事業者さまもこれまで知見のなかった領域です。そのため多様なバックグラウンドを持つ人材が不可欠であり、キャリア採用を積極的に進めています。鉄道会社出身者やコンサルタント、データサイエンティストなどさまざまな専門性を持つプロフェッショナルが集まり、日本の交通課題を解決するという共通の目標に向かって取り組んでいます。
公共交通の維持と地域活性化をめざして──全国の現場に寄り添い、ソリューションを提供
──stera transitを立ち上げたのはどういう背景があったのでしょうか。
ISHIZUKA:事業の検討を始めたのは2018年の冬頃です。インバウンドの急増により国策として観光立国の推進が加速する一方、人口減少に伴い、コンパクトシティ化に向けてデータ活用による効率的な都市経営が求められていました。こうした社会課題の解決に貢献したいという想いが、stera transitを立ち上げた背景にあります。
──三井住友カードが、交通機関向けのソリューションを提供する目的を教えてください。
NAKANISHI:最大の目的は、地域活性化にあります。公共交通は人流・物流を支える重要なインフラです。これが衰退すれば地域経済も衰退してしまうため、いかに維持するかが日本における重要課題であり、キャッシュレスの推進はその解決策になると考えています。 キャッシュレス化によって交通事業者さまの業務運営コストを削減できれば、経営の効率化につながります。
またキャッシュレス環境が広がれば、観光客の経済活動を促すこともできるはずです。金融業界において、当社は先駆的に公共交通のキャッシュレス化に取り組み、その中で培ってきた豊富なノウハウがあります。それを活かし、国土交通省をはじめとする国との連携によって地域全体の活性化に貢献するソリューションを提供できるのは、三井住友カードならではだと思います。
ISHIZUKA:全国規模でタッチ決済ソリューションを展開していることも、当社の強みです。交通事業者さまは、自社の沿線を中心にICサービスを提供していますが、当社は沿線を持たないため、規模や立地に関わらず多様なパートナーさまと連携できます。全国規模のネットワークを築く中で、地域の成功事例を横展開する活動も進んできました。
そうした活動において私たちが大切にしているのは、現地に直接足を運ぶことです。交通事業者さまの本質的な課題を理解するには、地域の実情を肌で感じ、住民の方々の視点に立って最適解を追求する必要があります。そうして現場主義を大切にしてきたからこそ、stera transitの導入は43都道府県189社(2025年9月末時点)まで広がったと考えています。
サービスの導入で変わる地域社会。目に見える成果や、現場からの喜びの声がやりがいに
──新たにリリースされた「Pass Case」について教えてください。
NAKANISHI:Pass Caseは、stera transitの基盤を活かした総合交通アプリです。使い方は、アプリ上でクレジットカードを登録してチケットを購入します。そのカードを専用の認証端末にかざすだけで、鉄道やバスの乗り降りができる上、観光施設の入退場も可能になるというサービスです。
アップデートによりApple Payにも対応するなど、予約から決済までをシームレスに実現するアプリとして進化を続けています。現在は企画券の販売がメインですが、順次新たな機能を追加していく予定です。
──Pass Caseを開発した背景について教えてください。
NAKANISHI:stera transitの提案活動を行う中で見えてきたのが、多くの交通事業者さまが観光客の誘致に課題を持っているということです。タクシーで移動するため公共交通が利用してもらえない、有名な観光地だけを訪れて回遊が生まれないなどの声が寄せられていました。
そうした中、地域の観光課題を解決するための共通基盤が必要だと考え、開発されたのがPass Caseです。収集したデータから、いつ、どのような属性のお客さまが鉄道や施設を利用したかが可視化できるため、それをもとに事業者さまと月1回の報告会を実施しながらPDCAサイクルを回しています。
──stera transitやPass Caseなどの事業を手がける中で、どういう時にやりがいを感じますか?
ISHIZUKA:自分の仕事が誰かの役に立っていることを実感する時です。見知らぬ人がごく自然にタッチ決済で改札を通る姿を目にするたびにうれしくなりますし、現地に赴いて全国の事業者さまと対話する中で、直接喜びのお声をいただく機会も多く、モチベーションにつながっています。
たとえば、石垣島のバス会社さまにサービスを導入いただいた際には、運転手の方から「以前は現金での支払いに時間がかかり、バスが止まることで周囲に迷惑をかけていないか常に不安だったが、今では安心感を持って運転できる」というお声をいただきました。ソリューションが実際に役立っているのを実感できることが、この仕事の醍醐味だと感じます。
NAKANISHI:MaaS事業は関係者が非常に多いため、総論賛成・各論反対の状況に陥りやすく、全員のベクトルを1つに合わせる難しさがあります。そうした時に重要なのが、現地で膝を突き合わせて本音で語ることです。その積み重ねを大切にした結果、当初は意見がぶつかり合っていたあるプロジェクトで、最終的に成果を出すことができ、感謝の言葉をかけていただきました。
私はもともと、公共交通を維持・活性化させるために移動の総量を増やしたいという想いで当社に入社しているため、MaaS事業を通じてその実現に貢献できた時に大きなやりがいを感じます。
「人の役に立ちたい」という想いを原動力に。地域課題の解決に向け、挑戦は続く
──今後、Transit本部で挑戦していきたいことを教えてください。
ISHIZUKA:stera transitを立ち上げた当初から、軌道に乗るまでに10年はかかる事業だと考えていました。最初の3年はソリューションの存在を知ってもらう期間で、次の3年が現在のインフラを整えるという期間です。そしてこの先は、利用者を増やしていくフェーズに移ります。
Pass Caseなどの新たなサービスを通じて移動先での経済活動を促すことで、公共交通の維持・活性化や地域課題の解決によりいっそう貢献できるはずです。いよいよ、事業は本格展開の局面に入ってきたと感じています。
NAKANISHI:現状では、移動は目的地に行くための手段に過ぎません。そのためMaaS事業をリードする立場として、移動に付加価値をつけることで人々の行動変容を促していきたいと考えています。 たとえば、目的地周辺にある商業施設やシェアリングモビリティとの連携を通じ、複合的なサービスの提供めざして検討を進めています。
──今後も事業を発展させていくために、どんな方に新たな仲間になってほしいですか?
ISHIZUKA:何よりも重要なのは、人の役に立ちたい、社会に貢献したいというモチベーションがあることです。その上で、交通事業者さまや自治体の方々などさまざまな関係者に当社のソリューションを理解していただくために、資料作成や論理的な説明能力が求められます。
また、Transit本部には営業や企画、法務、システム開発、広報、マーケティング、データ分析など、さまざまな職種の人材が活躍しているため、幅広い専門性を持つ方を歓迎します。社会インフラを支えるために、これまでの経験を役立てたいという強い想いがある方と、一緒に働けたらうれしいですね。
NAKANISHI:私は面接を担当する機会もあるのですが、その際に重視しているのは、チャレンジ精神、スピード感、柔軟性の3つです。Transit本部が手がけている事業そのものが、金融の枠を越えた新たな領域への挑戦であるため、チャレンジ精神が欠かせません。
また、三井住友カードのビジネスを進めるスピードは非常に速いため、スピード感を持って業務に取り組む姿勢も求められます。さらに新しい事業では方向性の変更が必要になることも少なくないので、変化に対応できる柔軟性も大切です。こうした点に共感してくださる方に参加していただけることを心待ちにしています。
※ 記載内容は2025年10月時点のものです
