2つのサイトのUIを統合。幅広い採用ニーズに対応できるサービスをめざす
──まずは、今回のプロジェクトが実施された背景を教えてください。
高橋:採用市場の競争が激しくなる中、迅速で効率的な採用活動を実現するため、企業が直接転職希望者をスカウトできるダイレクトリクルーティングが注目されています。パーソルキャリアでは、国内最大級のスカウトサービス「doda ダイレクト」という法人向けサービスを展開していますが、ハイキャリア人材が少ないという課題がありました。
一方で、ハイクラス層の転職を支援する「doda X」という個人向けのサービスも存在していますが、企業から直接スカウトが届く機能がなく、ハイクラス人材と企業が直接コミュニケーションすることができない状態となっていました。
この2つのサービスの課題に対する解決策としてめざしたのが、「doda ダイレクト」と「doda X」のデータベース連携です。「doda ダイレクト」では、企業から「doda X」に登録しているハイクラス人材へ直接スカウトが送れるようになり、「doda X」では転職希望者が企業から直接スカウトを受けとることができるようになります。
実現できれば、企業はこれまで以上に自社の採用ニーズに合った人材に出会うことができ、転職希望者はより多くのキャリアの選択肢を得ることができるでしょう。
2つのサービスの強みを活かして、それぞれの課題の補完をめざしてスタートしたのが、今回のプロジェクトです。
松﨑:最終的に40人近いメンバーが関わり、予算も非常に大きく、会社としても稀に見る大規模プロジェクトでしたね。2019年頃から検討を始めて、2024年4月に統合された新サービスをリリースするまで、4年近い時間がかかっています。
高橋:そもそも、2つのサービスのレジュメ構成が違っていたので、開発難易度が非常に高かったです。課題を克服するために多くの機能や画面を改修し、最適なデータ連携を模索する必要がありました。プロジェクトでは、私が法人のお客さま向けの「doda ダイレクト」側のディレクションを担当し、松田さんは個人のお客さま向けの「doda X」側のプロダクトオーナーという立場で関わっています。
松﨑:私は2021年、プロダクトマネジャー(以下、プロマネ)として参画しました。プロジェクトに関わる人数が多く、長期にわたるので、モチベーションを保てるよう、まず信頼関係を築き、はたらきやすい環境をつくることに注力しました。
対話を通じて相互理解を深め、部署や職域の垣根を超えた「ワンチーム」をつくる
──それだけ関わる人数が多いと、チームビルディングも大変だったのではないでしょうか?
松﨑:それぞれ別のプロダクトに関わっていたメンバーが集まるので、部署ごとに文化がまったく違うんです。私が着任した当初は、ミーティングでもどこかぎこちないというか、両者の間に壁がある印象でした。
松田:部署によってコミュニケーションツールや共通言語も違うので、細かいところからひとつずつすり合わせが必要でした。プロジェクトをスムーズに推進するため、誰をどう巻き込みながら進めればいいかについても、今までのやり方が通用しない部分も多く、松﨑さんに相談しながら試行錯誤しましたね。
松﨑:相互理解を深めるために、まずはミーティングの頻度を増やしました。対話を重ねる中で、「怖い人たちじゃないんだな」ということがお互いにわかってきて(笑)。メンバーの考え方を理解し、何でも言い合える雰囲気をつくるきっかけになったと思います。
高橋:今回のプロジェクトで、私が一番多くやりとりしたのは松田さんです。法人のお客さま向けの「doda ダイレクト」と個人のお客さま向けの「doda X」では、提供したい価値や、実現したい要件が異なります。さまざまな項目を総合的に検討し、折り合いをつけて着地点を見つけるための対話を繰り返しました。このプロジェクトに関わったことで、私自身、ほかの部署やプロダクトに対する理解が深まり、仕事の進め方も変わりましたね。
松﨑:立場や役割が違うメンバーが協働するので、意見が対立したり、課題が生じたりするのは当然です。プロマネとしては、まずそれぞれの考えや提供したい価値、その背景について個別でじっくり聞き、理解した上で、集まって話し合う場を設け、ファシリテーションするよう心がけていました。
松田:これまで関わってきたほかのプロジェクトと比べてもステークホルダーが多く、とにかくコミュニケーションの量が圧倒的に多かったです。やりとりを重ねるうちに、みんながプロジェクトの成功に向けて、自分ならどうするか?何ができるのか?と「自分ゴト」として考えるようになって。部署や職域の枠を超え、意見を言い合ったり、サポートし合ったりする雰囲気が出来上がっていきました。
松﨑:最終的には、全員がサービスインというゴールに向けてワンチームになることができましたね。
プレッシャーを乗り越え「doda ダイレクト」「doda X」で新プランリリース
──プロジェクトを通じてのやりがいや苦労、印象に残っていることがあれば教えてください。
高橋:これまで経験したことのない大規模なプロジェクトで、責任の範囲も広かったので、初めはプレッシャーを感じました。そんな中でも、企画担当者として要件を定義した画面がひとつずつ完成し、新たなユーザー体験をつくるプロセスを経験できたことは、大きなやりがいでした。
松田:「doda ダイレクト」と「doda X」では制御システムが違うので、データを連携することでどんな影響が出るのか、当初はまったくわかりませんでした。既存の機能に対する理解を深めるところからスタートして、手探りで設計を進めていく中で、想定外の事態も次々起こってきます。未経験の業務にチャレンジし、多様なメンバーと一緒に課題を乗り越えることができたのは、貴重な経験でした。
松﨑:私が着任した当初、リリース時期は決まっていたものの、詳細な要件定義はまだ固まっていない状況でした。QCDS(クオリティ・コスト・デリバリー・スコープ)を調整しながら全体をマネジメントしていくのは非常に困難でしたが、メンバーに助けられ、何とかリリースまでやり遂げることができました。
高橋:プロジェクトの最終段階、テストも終わりリリースを待つという段階になって、セキュリティ上の懸念から一部仕様変更をしなければならないことが明らかになったときには、肝を冷やしましたね。限られた時間の中で、ユーザー体験の質を落とさず修正する必要があったので。
松田:最後まで気が抜けない状況が続きましたね。ただ、コンプライアンス部門の担当者も「どうすればプロジェクトを成功させられるか」という目線で最後まで一緒に伴走してくれたので心強かったです。
松﨑:正直、「このタイミングか……」という思いはありましたね。リリース日を決めた上で、さまざまな部署が動いているので、万が一遅れてしまうと、各所に多大な迷惑がかかります。プレッシャーを感じていたとき、当時の事業部長が「予定通りリリースできる方法を一緒に探そう」と声をかけてくれて、勇気づけられました。
「With-Tech」の世界観でダイレクトリクルーティングサービスNo.1へ
──皆さんがそれぞれどんなモチベーションを持ってこのプロジェクトに取り組んだか、また、プロジェクトを通じて起こった変化についても教えてください。
高橋:社会情勢が変化し続ける中、人材紹介サービスも柔軟に形を変えていく必要があります。ダイレクトリクルーティングは、日本ではまだ比較的新しい採用手法です。新しいサービスが企業の課題解決に貢献できるのではないかという思いで、プロジェクトに参加しました。
無事にサービスがスタートしましたが、改善したいポイントはまだたくさんあります。今後、さらに多くのお客さまに「doda ダイレクト」と「doda X」を活用していただけるよう、ブラッシュアップしていきたいですね。
松田:これだけ規模の大きいプロジェクトに関わる機会は滅多にないので、このチャンスを活かしたいという思いがありました。部署内で完結する業務ではなく、多様なメンバーが関わるプロジェクトだったからこそ、マインドや仕事へのスタンス、具体的なスキルやナレッジなど、今後の仕事に役立つ多くの財産を得ることができました。大変なことも多かったですが、チームの一体感が強かったので、「一人じゃない」という心強さがありましたね。皆さんに励まされて、ここまで来られたと思います。
松﨑:個人的には、「外向き」「自分ゴト化」「成長マインド」というパーソルキャリアのバリューを常に意識して行動したことが、プロジェクトの成功につながったと考えています。
私たちは、ダイレクトリクルーティングサービスにおいてNo.1になることをめざしています。今回のプロジェクトは、その基礎となる重要な取り組みでした。
多くの人材紹介サービスが、AIなどを活用して採用業務を効率化する「By-Tech」をめざしていますが、「doda ダイレクト」が理想としているのは、人とテクノロジーが協働する「With-Tech」の世界観です。どんなに技術が進化しても、人材採用が、「人と人」の関係性の上に成り立つことは変わりません。人間がAIに「使われる」のではなく、人がAIを使いこなすことで、企業と個人によりよい体験を提供できるよう、これからも進化を続けていきたいです。
※ 記載内容は2025年2月時点のものです
