問い続けた「成果の本質」。データで証明するキャリアへの転換
新卒で新聞社に入社し、テレビや新聞広告と連動したイベントの企画・運営に携わったことが、私のキャリアの原点です。4年目には全国各地の名産品を扱う通販事業会社へ出向し、企画を軸に多様な業務を経験しました。その中で、次第に自分の中に積み重なっていったのが、「この施策は本当に成果につながっているのか」という問いでした。経験やアイデアだけでは説得力に限界があり、効果検証まで踏み込めていないことに違和感を覚えていたんです。一方で、データを根拠に示した提案は通りやすく、企画の質を高めるには、データを理解し、自ら扱えるようになるしかないと考えました。
学生時代に統計学を学んでいたこともあり、まずは学び直しと資格取得に取り組みました。しかし、理論だけでは不十分です。実際のデータに触れ、蓄積から加工、分析までを自ら手を動かしながら理解したい。その思いから、豊富なデータ資産を持つポイントサービスの事業会社へ転職しました。
入社後は裁量の大きい環境で、同僚にも恵まれながら積極的に挑戦を重ねました。実際にデータを扱うことで理論と実装が結びつき、仮説と結果を自ら検証できる面白さにのめり込んでいったのを今でも覚えています。入社から半年経つころにはプロジェクトを任されるまで成長し、その後は、データ基盤の構造理解からデータベースの構築、アナリスト業務から施策提案まで幅広い業務を担えるようになっていきました。
やがて、データをもとに「会社をどう成長させるか」「データを経営判断にどう活かすか」といった、事業企画の領域に携わる機会が増えていきました。単なる分析にとどまらず、経営の判断材料を整え、事業の意思決定に深く関われることに、大きなやりがいを感じるようになりました。一方で、こうした取り組みをより大きな事業規模や多様なステークホルダーのもとで実践することで、意思決定の質やインパクトをさらに高めていきたいと考えるようになりました。そこで次は、より大きな裁量と社会に価値を届けられる環境を求めて、2022年にパーソルキャリアへ転職しました。
複雑だからこそ価値がある。人材領域で広がるデータ活用の可能性
パーソルキャリアを選んだ背景には、人材領域特有の構造的な複雑さへの興味がありました。転職希望者は複数の企業に応募し、選考を経て最終的に一社を選びます。その過程にはさまざまな意思決定が重なり合うため、データの見方によって打ち手は大きく変わります。だからこそ、データ活用の余地が大きく、挑戦しがいのある領域でもあるんです。同時に、その判断が転職希望者のキャリア、ひいては人生に影響を与えることにも強く惹かれました。責任の重さはありますが、それ以上に社会的意義のある仕事に対するやりがいも強く感じています。
加えて、動画・音声・テキストといった自然言語データを豊富に扱う領域であることも、AI時代を見据えた挑戦の場として魅力でした。そして何より、事業企画の立場で意思決定者と近い距離で構想段階からかかわれる点が決め手でした。事業戦略と一体でデータのあり方を設計していける役割に大きな魅力を感じ、入社を決意しました。
実際に入社してまず実感したのは、想像以上にデータ活用が進んでいたことです。その一方、定義の統一や全体設計は十分とは言えず、個別最適の積み重ねによって全体像が見えにくい状態でもありました。言い換えれば、「使えるが、構造化されていない」環境です。
しかし、私はその“余白”にこそ大きな可能性があると考えました。一定の土台があるからこそ、全体を再設計でき、難易度が高い分だけ成長機会も大きいと捉えています。提案して終わるのではなく、自ら実行し、結果と向き合い、必要であれば再び構造から見直す。この循環の中で意思決定の質を高めていけることに、大きな価値を感じています。
意思決定に近い場所で構造を描き直す。「doda」の成長を加速させるデータ戦略
現在のミッションは、「doda」を軸とした転職希望者向けプロダクトおよびマーケティング領域におけるデータ戦略の構築と、データ環境の再設計です。カスタマープロダクト本部とブランドマーケティング本部を横断し、事業戦略と直結するデータ基盤の整備を推進しています。ただ基盤をつくるのではなく、まずは各本部が目指す姿や解くべき課題を言語化し、それをビジネス要件として整理することから始めます。そのうえで、必要な指標やデータ定義を揃え、全体構造から逆算して環境を再設計していきます。既存環境の統廃合と新規構築を並行して進めるため、技術的な判断だけでなく、組織横断での合意形成も欠かせません。
同時に、現在は事業企画業務にも深く関与しており、KPI設計やその要因分析にも携わっています。KPIとデータ設計は表裏一体であり、定義の揺らぎはそのまま意思決定の揺らぎにつながります。そのため、経営層や各部門と直接議論しながら、事業計画と接続した指標体系を整えて始めています。さらに、全社の事業計画を担う事業戦略本部や、データ戦略を構想するデータ・AIソリューション本部とも連携しながら、さまざまな取り組みを進めています。
そして、その延長線上にあるのがAI活用の高度化です。2027年度を目標に、ダッシュボード作成や定型分析の多くをAIが担い、専門知識がなくても対話形式で示唆を得られる状態を目指していきます。データを一部の専門家だけのものにせず、組織全体が活用できるインフラへと進化させる構想です。
さらに2030年に向けては、転職希望者一人ひとりの思考や行動データにもとづく高度なマーケティングの実現を見据えています。マーケティングオートメーションやOne to Oneマーケティングを通じて、必要な人に、必要な情報を、最適なタイミングで届ける仕組みを構築していく計画です。
私自身の中長期的な目標としては、企画そのものに深くかかわり、経営に近い意思決定をより強く支えていきたいと思っています。「doda」の成長戦略や新たなプロダクト創出の動きも進む中で、データを起点に事業の加速を後押しする――そのための土台づくりに、いま本気で向き合っています。
キャリアオーナーシップを力に、事業と向き合い続けるデータ人材へ
パーソルキャリアの大きな魅力は、キャリアオーナーシップを掲げ、一人ひとりの意思を大切にする文化が根づいていることです。キャリアアップを目指す人、仕事と子育てを両立したい人、副業に挑戦したい人。それぞれが「どうありたいか」を起点にキャリアを描き、その選択が尊重される環境があります。また、役職や立場に関係なく相談でき、真摯に向き合ってもらえる風土は、挑戦を後押しする土台にもなっています。
そのうえで、データ活用の視点では、事業との距離の近さが何よりの特長です。プロダクトやマーケティングのメンバーと日常的に議論しながら、さまざまなことに挑戦できます。単なる分析者ではなく、事業の当事者としてデータを扱えることが、この環境ならではの醍醐味です。
エンジニアとして専門性を磨きたい人にとっても、挑戦のフィールドは広がっています。既存のデータ基盤の改善にとどまらず、マーケティング基盤の構想や全社横断のデータ環境整備など、スケールの大きなテーマにかかわれます。さらに、AI活用の高度化という次のフェーズに向けて、技術のキャッチアップと実装を同時に進められる点も魅力の一つです。
もちろん、すべてが整った環境ではありません。定義や構造を見直す余地も多く残されています。だからこそ、自ら課題を見つけ、構造を設計し直し、価値へと転換していく余白があるのです。データを武器に事業を前進させたい人、技術で意思決定の質を高めたい人にとって、これほど挑戦しがいのある環境はそう多くないと感じます。キャリアオーナーシップを土台に、事業と本気で向き合い続けられる人たちとともに、次の時代のデータ活用を切り拓いていきたいと考えています。
