技術の深さに惹かれて。開発の面白さを軸に切り拓いてきたキャリアの軌跡
もともとプログラマー志望で、新卒の就職活動では総合ITベンダーやSIerなどに応募していました。当時は文系でもエンジニアになれる時代でしたが、リーマンショックの影響もあり、IT系の採用枠は限られていたんです。そんな中、システム系の職種を募集していた新聞社に出会い、2010年に入社しました。そこでは情報システム部に配属され、社内システムの管理やPCのセットアップ、ネットワーク敷設といった幅広い業務に携わり、多くの経験を積めました。幸運なことにシステム開発にもかかわる機会があり、そこで開発の面白さを知ったんです。次第に、「もっと深く開発に携わりたい」という思いが高まり、転職を決意しました。
次に選んだのは、IT部門の立ち上げを進めていた半導体装置メーカーです。全社の業務システムを一から構築するというチャレンジングなミッションに惹かれ、入社を決めました。ただ実際には、ひとりで数千人規模の社内システムを構築し、ヘルプデスクや運用サポートまですべて担うという、想像以上に過酷な現場でした。大変な環境ではありましたが、裁量の大きさにやりがいと楽しさを感じていたのを覚えています。しかし、技術をひとりで担う環境では、成長に限界があることを徐々に意識するようになりました。物事をそつなくこなす強みがある反面、専門性を深めきれない自分に不安を感じ、常に焦りや劣等感を抱えていました。
そんな折、転職活動中に出会ったのがパーソルキャリアです。グループ企業としての安定基盤を持ちながらも、新規サービスの立ち上げフェーズにあり、挑戦的な環境に強く惹かれました。さらに、技術力の高いエンジニアが多く在籍しており、互いに切磋琢磨しながら成長していける――まさに自分が求めていた環境だと確信し、2021年にエンジニアとしてパーソルキャリアへ入社しました。
“チームを前に進めたい”想いが導いた、マネジャーからGMへの挑戦
入社してまず感じたのは、「期待していた通りの環境だ」という手応えでした。自社でプロダクトを持ち、優秀なエンジニアが集う中、日々のコミュニケーションや勉強会を通じて多くの刺激を受けながら、開発に取り組めることに大きなやりがいを得ていました。一方で、半年ほど経つころには、チームをリードする役割が自然と増えていったんです。もともと課題にばかり目が向いてしまう性格で、チームに必要なことも見えてきていました。開発に集中したい気持ちもありましたが、プロジェクトを前に進めるためには誰かが担う必要があると考え、チーム運営にも本格的にかかわるようになりました。
その後、チームが10名ほどに成長したタイミングでマネジャーが退職することになり、その後任を打診されました。当時は、積極的にマネジャーを目指していたわけではありません。ただ一方で、「自分が担うなら、こういうマネジメントをしたい」という像は、はっきりと持っていました。私が思い描いていたマネジャー像は、プロダクトの一員として現場に身を置き、メンバーと同じ温度感で課題に向き合い、必要に応じてエンジニアリングも担いながら、方向性をすり合わせて組織を前進させていく役割です。そのことを当時の上司に話すと、「その考えが理想的で、そういったマネジャーが活躍する組織にしていきたい」と共感してもらえました。そのひと言が大きな後押しとなり、2023年にマネジャーとしての一歩を踏み出しました。
実際にマネジャーとして取り組んできた経験を振り返ると、私の考え方は間違っていなかったと実感しています。もちろん試行錯誤の連続ですが、社内外のエンジニアマネジャーたちとの対話を通じても、確かな手応えを感じています。
2025年4月にはGMに就任し、これまで管掌してきた領域に加えて、法人向け採用支援システム「doda CONNECT」やクラウド型人材分析ツール「HRアナリスト」も新たに担当することになりました。いずれも立ち上げからかかわってきたプロダクトではなかったため、当初は不安もありました。それでも、これまで積み上げてきた信頼があったからこそのチャンスだと受け止め、挑戦することを選びました。今は、チームに明確な方針を示しつつも、現場が自律的に意思決定できる余白を残すことを大切にしています。現場の判断を尊重しながら、組織として力強く前進していける体制づくりを進めています。
いま変えなければ、未来はない。プロダクト横断で再設計する「使いやすさ」の本質
現在は、システム構造を再設計するリアーキテクチャを法人向けプロダクトの観点から取り組んでいます。背景にあるのは、長年の運用によって蓄積されてきた技術的負債です。転職支援サービス「doda」では約20年にわたり同一のデータベースを使い続けており、現在では複数のプロダクトが共用する構造になっています。テーブル数は4,000〜5,000にもおよび、どのデータが、どのプロダクトで、どのように利用されているのかを正確に把握することが難しい状況です。その結果、ひとつの改修にも多くの調整コストが発生する構造的な問題を抱えています。
こうした課題に対しては、先人達がこれまでも改善を試みてきており、少しずつ良くなっている点もあるのですが、根本的な解決には至っていません。今回のリアーキテクチャに際し、私たちは根本的な部分での解消を目指しており、それには事業をまたぐ複数のプロダクトを横断して見直す必要があります。また、事業部ごとに分かれた組織構造の中で、多くの関係者と合意形成を進める必要があるため、簡単に答えが出せる状況ではありません。
さらに、従来のパーソルキャリアでは、サービスごとに最適な形を追求する開発スタイルが主流でした。ビジネス視点で見ると短期的にはデリバリーが早くなりますが、システム視点で見ると中長期的にデリバリーが遅くなるリスクを抱える可能性があります。現在の人材サービスの市況感で言うと、多くの企業は採用課題を解決するために複数の人材サービスを併用しており、ツールの多様化が進んでいます。
しかし、パーソルキャリアでは提供するサービスごとにログイン画面が分かれていたり、データが連携されていなかったりするなど、ユーザーにとっては使いにくいサービス体験が生まれているのが現状です。このままでは、どれだけ良いサービスをつくっても、その価値が十分に届かない――新規サービス開発組織に所属していたからこそ、そんな危機感を強く抱いています。これからはサービス単位ではなく、パーソルキャリア全体で一貫したユーザー体験を提供できる基盤が必要だと考えています。それが実現できれば、結果として長く使い続けてもらえる循環を生み出せるはずです。
この取り組みを実現するためには、テクノロジー部門の都合だけではなく、事業や経営の視点も含めた議論を重ねながら、「会社としてどこを目指すのか」というゴールを言語化することが重要です。これは単なるシステム刷新ではなく、組織のあり方や意思決定のプロセス、カルチャーまでをも含めた変革です。簡単な挑戦ではありませんが、多くの関係者を巻き込みながら、「個別最適」から「全体最適」への転換を、本気で実現していきたいと思います。
人材業界が動く今、この場所でこそ挑む意義がある。ゼネラルマネジャーの決意と視座
ゼネラルマネジャーに就任して半年ほど経ったころ、思うように進まない日々の中で、この環境に身を置き続ける意味を見つめ直すこともありました。ただ冷静に振り返ると、こうした構造の壁はパーソルキャリアに限らず、どの企業にも起こりえることであり、自分自身がその壁にどう向き合うかが問われているのだと気づきました。
そして、今は人材業界そのものが、AIの進化を背景に大きな転換点を迎えています。その変革の真っ只中で、テクノロジーの力で業界を前に進めるチャンスがあることに、大きな意義を感じるようになりました。さらに、取り組みをともに進めている上司や同僚とは、立場を超えて率直な意見を交わせる関係性がきずけています。それぞれが自らの力を活かして課題に向き合う姿に触れ、この環境だからこそ本質的な変革に挑む価値があると考え、今はその実現に向けて力を尽くしています。
今のパーソルキャリアは、多くの課題に挑めるからこそ、成長意欲の高いエンジニアにとって魅力的なフィールドです。「どうすればより良くできるか」を問い続け、自ら率先して動いていける方にこそ、この変革に加わってほしいと思います。
また、現場の担当者や企画部門、経営層とも議論できる機会があり、ボトムアップで動ける文化があります。役割を超えて課題に向き合いたいという気概を持つ方と、一緒に未来をつくっていきたいですね。
