チームシナジーが導くイノベーション。多角的視野で次世代AI製品の新製品開発に挑む
──おふたりのご経歴と現在の業務内容について教えてください。
安田:2017年に新卒で入社して以来、内視鏡診断支援装置・内視鏡診断支援アプリケーションの開発に携わっています。
2年目から新製品開発プロジェクトの電源開発リーダーおよび、デジタル回路(画像処理や信号処理を行うために使用される可変的な半導体デバイス)の開発メンバーを担当し、5年目からは内視鏡診断支援アプリケーションの新製品開発のプロジェクトマネージャーを任され、スーパーバイザーとして約30名のチームをリードしました。
現在は、欧州、米国、日本のメンバーが合同開発する次世代ハードウェアに内視鏡検査用のAI製品を実装するプロジェクトにおいて、R&Dメンバーの取りまとめや進捗管理を行っています。また、社内の組織風土改革を進める施策の一員として、チームビルディングのためのワークショップを実施しています。
合渡:私は2003年の入社後、研究開発センターに配属され、LED光源搭載プロジェクターの開発に従事し、光源モジュールの駆動回路の設計、光学系設計、LEDの共同開発などを担当しました。
2006年から医療事業部のR&D部門に転籍し、社内初のLED光源搭載内視鏡ビデオプロセッサーの開発に携わった後、2013年に再び研究開発部門へ。チームリーダーとしてカプセル内視鏡の技術開発に携わり、2016年には再び医療事業のR&D部門でプロジェクトリーダーとして社内初のAIによる内視鏡診断支援装置の開発をリードしました。
そして2024年からは、管理職としてAI関連テーマのプロジェクトリーダーをマネジメントしながら、次世代内視鏡システム開発において、デジタル関連製品のビジネスユニットと内視鏡ビジネスユニット間の課題解決を横断的に推進しています。
安田:合渡さんとはフレッシュマンリーダー制度(現:OJDリーダー制度)を通じて知り合いました。これは、新入社員が早く会社生活に適応することを目的とした制度で、新入社員1名に対し、配属先の先輩社員1名が1年間、マンツーマンで指導係を務めます。私の指導係を担当したのが合渡さんでした。
もともと私はどちらかというとコツコツとものづくりに励むタイプ。入社当初は技術を高めることに専念したいと考えていましたが、さまざまな部門の人たちと関わり仕事を進める機会に恵まれ、また合渡さんのアドバイスもありゼネラリストを志すようになりました。
プロジェクトをとりまとめるポジションに挑戦してこられたのは、合渡さんの支えがあったおかげだと思っています。
──安田さんをゼネラリストとして育成しようとしたのはなぜですか?
合渡:私が研究開発センターでLED光源搭載プロジェクターの開発や内視鏡光源向けの応用研究に携わっていた時、光学系の設計だけでなく、デジタル回路や基板、メカ、ソフトウェア、アルゴリズムに至るまで、さまざまな設計を担当していました。
当時の経験や知識は、のちに光学の専門家と細部の仕様を決める時や、工場やデジタル回路開発メンバーと電気基板の設計をする際など、医療事業部でのビデオプロセッサー開発に大いに役立ちました。
さらに、製品開発を担う医療事業部のR&D部門では、開発業務を行う上で、工場をはじめとする各ステークホルダーとのコミュニケーションが不可欠でした。製品の付加価値を高め、課題を解決していくためには、社内の各専門家との対等な対話を通じて全体視点で最適解を導き出していける幅広い知識を持った人材が非常に重要です。
若いうちにさまざまな経験を通じて多角的な視野を身につけることが課題解決能力を高めます。そして安田さんにとってキャリアの選択肢を広げ、社内でのプレゼンスを高めることにもつながると考えていました。
「教えすぎない」指導と丁寧なフォローで引き出された、周囲を巻き込み挑戦する力
──早い段階でゼネラリストをめざして幅広い業務に挑戦する中で、どのような学びがありましたか?
安田:入社翌年に、内視鏡診断支援装置の新製品開発プロジェクトの電源開発リーダーと、デジタル回路開発メンバーを兼務していた時のことが印象に残っています。
任された仕事のボリュームも責任も大きかったため、自分ひとりですべてをこなすことが不可能なことは明らかでした。そのため、自分にできることとできないことを整理し周囲を巻き込みながら、進めるよう努めました。
当初、苦労や戸惑いもありましたが、人に頼ることも大事であるということを早い段階で学ぶことができましたし、周囲を巻き込みながら進めることで、結果として交流の幅も広がり、非常に有意義な経験になったと感じています。
──当時、合渡さんが心がけていたことを教えてください。また、そんな合渡さんのスタンスを安田さんはどう受け止めていましたか?
合渡:通常、新入社員は手厚くサポートしますが、安田さんの場合は、受動的な業務スタイルにならないように意図的に答えとなるような情報提供を控えめにしていました。自身で必要なことが何かを考えて上司や先輩の知識やリソース、ネットワークを効果的に活用する能力があり、柔軟に対応できると思ったからです。実際、期待していた通りでした。
安田:当時の私はしばしば見当違いな発言をしていたことを覚えています。にもかかわらず、周囲の皆さんは温かく受け止め、「この単語の意味はわかる?」と丁寧にフォローしてもらいました。私が失敗しても、「失敗は個人の責任ではなく、プロジェクト全体の責任だ」と、引き続き挑戦の機会を与えてくれたことも非常にありがたかったです。
プログラミングに関する専門的な内容に知識が追いつかないなど、実力不足を痛感する場面が多く苦労しましたが、私のバックグラウンドに対する理解があり、非常に学びやすい環境でした。
多部門連携の壁を越えて。プロジェクトマネージャーとしての挑戦と成長の道のり
──5年目にプロジェクトマネージャーに挑戦されましたが、どのような困難に直面しましたか?
安田:マーケティングやサービス、製品の品質保証を担うQA部門、規制や承認に関する業務を行うRA部門など、プロジェクトマネージャーには社内のさまざまな部門との連携が求められます。それまで接することの多かった開発や製造部門とは、使用する言葉や課題解決のアプローチがまったく違うため、当初は非常に苦労しました。
ですが、キャリア初期に培った、周りを巻き込む力が役立ったと思います。他部門の方々を訪ねて過去の事例について教えてもらうなど、時には頼りながらプロジェクトの進め方を掌握していきました。
合渡さんや上司の支えも大きかったです。他部門との打ち合わせに同席して、進め方や方向性をサポートしてくれました。またその様子を間近で観察させてもらいながら徐々に経験値を高める中で、次第にひとりで課題を解決できるようになったと感じます。
プロジェクトが成功し、他部門の方々から「このプロジェクトを経験できてよかった」と言葉をいただいたことは、私にとって大きな自信につながっています。また、各部門の新製品開発にかける熱い想いを肌で感じられたことも貴重な経験となりました。
──そんな安田さんを合渡さんはどのように見守っていましたか?
合渡:安田さんに権限を委譲できたのは、それまでの彼の活躍や成果を踏まえ、最終的に自分が責任を取る覚悟ができていたからです。双方の間に信頼関係が構築されていました。
とはいえ、若手を責任あるポジションにアサインするためには、周囲の理解が欠かせません。安田さんを含むチームメンバーが自らの力を最大限に発揮して成果を出せるよう、環境整備にも努めてきました。
機会なくして成長はありません。安田さんのように課題を自分ごと化し、困難に直面しても容易にはあきらめないマインドセットを持つ人材に積極的に大きな仕事を任せることが、挑戦する文化を社内に醸成することにつながると考えています。
安田:当時、個人ではなく、チームの視点で製品をより良いものにしたいという意思を共有し、「合渡さんならきっとこう判断するはずだ」「こんな動きをするに違いない」と常に合渡さんの存在を意識しながらプロジェクトに取り組んでいた記憶があります。
目標設定する際も、合渡さんは巧みに意欲を掻き立ててくれました。合渡さんの言葉を信じて励んだ結果、社内で非常に高い評価をいただいたこともあります。入社5年目にして早くしてスーパーバイザーになれたのは、サポートがあったからこそです。
小さな一歩の積み重ねが成功の鍵に。上司と部下の信頼関係が育む成長の好循環
──安田さんが挑戦してよかったと思うことを教えてください。また、これから挑戦しようとする方に向けて、メッセージやアドバイスはありますか?
安田:それまで出会う機会がなかった、さまざまな部門やチームのメンバーと知り合うことができました。挑戦したことで経験や視野が広がったことが、大きな財産になっています。
壮大なものばかりが挑戦とは限りません。たとえば、私は周囲の方々の話を聞きながら、「もし自分がその立場だったらどのように行動するだろうか」と自問自答することで、思考を活性化させるミニチャレンジを実践しています。
日々の積み重ねが、最終的に大きな成果へとつながるものです。どんな挑戦にも不安がともないますが、失敗を恐れずに一歩を踏み出してください。共にチャレンジを楽しみましょう。
──挑戦者を支える上で、合渡さんが大切だと思うことは何ですか?
合渡:権限を委譲するのと、責任を押し付けるのでは大きく異なります。最終的に自分が責任を取ることを伝えた上で、挑戦者に対して明確な方向性や道筋を示し、不安を解消することが非常に重要です。
また、個々の意向に沿って逆算でアクションプランを作成し、本人の強みや才能を伸ばしながらゴールへと導けるような環境づくりも大切だと思います。正解はひとつではありません。挑戦者の考えをできる限り尊重し、成功体験を促すことも上司やメンターの役割です。
そして何よりも重要なのが信頼関係です。互いに期待に応え合うような関係性を構築することが、人材育成の鍵を握ると考えています。
※ 記載内容は2024年5月時点のものです

