入庫3年目で課長や部長職、役員らと接点のある仕事を経験
大学時代は法学部に所属していた上堂薗。地方銀行からインフラ企業まで、地元熊本県や九州地方で働ける仕事を探す中で辿り着いたのが農林中央金庫でした。
「農林中央金庫との出会いは、就職説明会にJAグループが出展していたことがきっかけです。『農家さんと話ができるような仕事なのかな』という漠然としたイメージでしたが、熊本支店で募集があったことと、農業と金融分野の両方に携われるところに魅力を感じて入社を決めました」
2013年に入庫後、銀行業務の全体像を学ぶために配属されたのが、熊本支店の窓口業務課でした。
「窓口業務課では、預金業務や窓口にいらした系統のお客様の決済業務、為替の電文の処理など、銀行業務の基礎を学びました」
翌年、上堂薗はJAバンクの総括班へ。そこで体制整備や経営管理に携わりました。
「担当業務のひとつは、不祥事の未然防止です。横領や不祥事が起こらないように、事務手続きに則った事務処理の遂行を行うよう、農協の職員さんに研修を行ったり、店舗を巡回して適切に事務手続き通りの処理がなされているかをチェックしたりしていました。
また、決算状況を踏まえて、JAバンクの定める基準に抵触しそうなJAがないか、しっかりとモニタリングを行う業務も担当しました」
3年目からは、JAの課長や部長層、役員と接する機会が増え、彼らを指導するような役割も担うようになった上堂薗。若手のうちから貴重な経験ができたと振り返ります。
「当初、こうした役割は荷が重いと思っていました。ただ、組織経営に関わることなので、モニタリングや指導が行われるべきですし、何より若いうちからこうした仕事を任せていただいたことへの感謝の気持ちがあったので、前向きに頑張ろうと思ったんです。
JAの方も事情を理解されているので、若手の私の話にもしっかりと耳を傾けてくれました」
生産者支援に向き合う中で知った、農林中央金庫の職員として果たすべき役割
上堂薗が総括部に配属された当時、JAバンク熊本の総貯金額は九千数百億円。1兆円の大台突破後に「県内総貯金1兆円達成式典」が開催されることが決まり、上堂薗はその運営業務を任されます。
大規模な式典であるにもかかわらず、準備のために残された期間はわずか。関係者のスケジュール調整や催しの企画を担当することになり、入庫して初めて、「いちから考え、かたちにする」仕事を経験します。
「それまでの業務は、ルールや前例に倣って行うものばかりでした。ところが、このような式典は初めての試み。前例や正解がない中でイベントの準備を進めるのは本当に大変でした。先輩方に頼りながら、手探りでつくり上げていったことが印象に残っています」
結果的に、3年ほど総括班での業務を経験した後、2017年に上堂薗は営業第一班に異動することに。「若いうちから、さまざまな業務を経験したい」という上堂薗自身の意志に沿うものでしたが、営業第一班に配属されたことは少々意外だったと言います。
「JAバンク部門で働く前提で採用されたので、次は企画やシステムなどJAバンク部門の他部署に異動するものとばかり思っていたんです。そのため、系統団体や農業法人向けの融資、ビジネスマッチング提案を行う営業第一班への異動は想定外。
ただ、さまざまな業務を経験したいという希望を汲んでもらえたことはうれしかったので、前向きに取り組むことができました」
営業第一班では、農産物の生産だけではなく製造・加工業やレストラン経営なども手がける、6次産業化に取り組む生産者の支援も経験しています。
「6次化に苦戦し、改善の余地がある取引先に対して、決算分析や商流分析などをもとに改善案を提案しました。熊本支店の知見だけではどうしても限界があるので、本店の営業企画部などにも相談して、作物の貯蔵方法の改善に役立つ冷蔵庫を紹介していただいたこともあります。農林中央金庫のネットワークを積極的に活用することで、取引先に対して多様な改善案を提案することができました」
一方、コンサルティングを行う立場ゆえのジレンマや難しさも実感したと言う上堂薗。
「こちらが行う提案は、あくまで数字や書類をもとに分析した机上のものです。感謝されることもあれば、取引先の方にあまり響かないケースもありました。
また、農業法人の方が新しい設備を導入することに前向きであっても、融資を行う金融機関の職員としては、財務状況を踏まえて融資を踏みとどまらなければいけないケースもあります。農業法人の方の意志を尊重したい気持ちがある反面、過剰な投資に走らないようなアドバイスもしなければならず、そのバランスを取るのに苦労しました」
20代前半から幅広い仕事に挑戦して新しい経験を重ね、そのたびに学びや気づきを得てきた上堂薗。周りのサポートにも恵まれてきました。
「最初は先輩が付いてサポートしてくれる業務もありますし、少し難しい業務を私ひとりに任せていただく場面では、優しく見守りつつ助言をしていただいたことも。若手職員にとって、とても働きやすい環境だと感じます」
東京勤務を経て、熊本支店に復帰。これまでの経験が活かされるのを実感
その後も幅広い業務への意欲を持ち続けてきた上堂薗は、次の異動が見えてきたタイミングで、今度は出向の希望を伝えます。
「7年ほど働いてきた農林中央金庫の熊本支店には、旧熊本県信連から転籍された方や全国転勤の方、JAから出向で来られている方も多くいらっしゃいました。
他の組織を知っている方には自分にはない視点があると感じる場面が多かったので、30歳を前にして視野が大きく広がるようなチャレンジをしたいと思ったんです」
希望が通るかたちで、2020年から本店のJAバンクリテール実践部に異動となった上堂薗。慣れ親しんだ熊本を離れ、東京に拠点を移しました。
「担当したのは資産形成サポートプログラムの企画や運営でした。投資信託を販売している全国のJAに証券会社出身のインストラクターを派遣し、ノウハウを各拠点に蓄積してもらうことがミッションです。事務局の運営メンバーとして、『どうすればインストラクターの方の教えがJAの中に定着し、投資信託の販売を伸ばせるか』を考えるのが私の役割でした」
当時は、ちょうどコロナ禍が始まったタイミング。部署全体としても、仕事の進め方を変えなければならないなど、混乱の大きい時期だったと言います。
「2020年は、予定していたプログラムを実施できず見送りとなってしまいました。一方で、JAの人材育成は進めていかなければなりません。
そこで、投資信託の提案やロールプレイングのポイントをまとめた動画資材をつくることになり、私も研修資材制作に関わりました。
当時始まったばかりの新しい取り組みに携わることができて、貴重な経験を積むことができたと思っています」
その翌年には、従来のプログラム運営にも携わった上堂薗。JAバンクリテール実践部での2年間の務めを全うし、ふたたび熊本支店へ。2023年7月現在は、JAバンクグループリテール企画班で、県下統一キャンペーンやイベントの企画や、メイン化推進サポートを担当しています。
「これまで投資信託を取り扱っていなかった熊本のJAでも、2022年から順次取り扱いを開始したので、研修や人材育成の企画を担当しています。自分が本店勤務時代に手がけた研修資材が使われることもありますし、育成に役立ちそうな新たな資材が必要になったときには本店に気軽に相談することができるなど、本店での経験が生きていると感じます」
チャレンジする人を孤立させず、積極的に後押しする環境こそが農林中央金庫の魅力
入庫以来、数年おきに環境を変えながら、幅広い業務にチャレンジしてきた上堂薗。持ち前の探究心が、初めてのことにも臆せずモチベーション高く取り組む原動力になっていると言います。
「知らないことを知る過程にわくわくするタイプなんです。もちろん新しいことをしようとすればそれだけ大変なことをともないますが、それを乗り越えるところに喜びを感じられる性格なのだと思います」
実際にチャレンジすることができたのは、上堂薗が自身の意志を積極的に周囲に伝えてきたから。そして、挑戦する機会を用意してくれる環境があったからでもあります。
「農林中央金庫には、新しいチャレンジをサポートしてくれる環境が常にありました。新しいことに挑もうとする人を決してひとりにはしないし、皆で応援する風土があるのも特徴です。
いまの部署でも、『これまでのやり方をこのように変えたい』とよく提案するのですが、周りのメンバーは必ず私の意見に耳を傾けてくれます。その上で、『いいね』と賛成してくれたり、反論するときでも納得のいく理由を添えて諭してくれたり。提案や意見がとてもしやすい職場だと感じます」
職員の挑戦を後押しする組織風土のもと、上堂薗は今後も新たなチャレンジを続けていくつもりです。
「幅広い業務に携わってきましたが、まだ経験していないことがたくさんあります。機会があれば、熊本支店の業務を網羅できるくらい、さまざまな部署に異動できることが私の理想。そして近い将来、『もっとこの仕事を究めてみたい』と思えるような仕事に出会えたらいいですね」
好奇心と探究心を武器に、まだ見ぬ経験を求めて、これからも上堂薗は自分の枠を広げ続けます。
※ 記載内容は2023年10月時点のものです

