お客さま視点を大切に、「新型Infiniti QX80」の品質的責任を担う
トータルカスタマーサティスファクション本部(以下、TCSX)のプロダクト・クオリティ・マネージメントオフィスに所属する照屋。2024年夏にフルモデルチェンジした「新型Infiniti QX80」の品質マネジメントを担当しています。
「私たちの部署は、QX80の構想・企画段階から最終的に販売するまでの工程において、自動車の品質を監査する役割を担っています。何か問題が見つかった時は、そもそもの“構造やつくり方に問題がないか”という設計視点と、“生産効率や出来栄えに問題がないか”という製造視点の両方から調査していきます。
お客さまに満足していただける品質を担保しながら量産できるかの最終判断をするのが私たちのミッションです」
照屋たちが担うのは、ボディやエンジンなど部品単体でなく、自動車全体の品質管理。そこに大きなやりがいを感じると話します。
「QX80という車の品質的責任はすべてうちのチームにある、と考えると身が引き締まります。ひと口に品質と言っても、ボディについているエンブレムの見栄え、ドアを閉めた時の音、シートの座り心地や走行感などあらゆる要素があり、そのすべてを妥協なくチェックする必要があります。
厳しくチェックするためには、設計や製造部門に改善を要求することも。その時に大事にしているのは、『私はこう思う』という自分視点ではなく、『この仕様だとお客さまにこんな迷惑がかかる』というお客さま視点でわかりやすく伝えること。
実際に起きている事象だけでなく、それによってお客さまにどんなイメージを持たれるかを伝え、どう改善することがゴールなのかを示す──それはお客さまの立場に近い私たちだからできることだと考えています」
さらに照屋たちの仕事は、量産開始後も続きます。市場に出た自動車の品質をモニタリングし、お客さまの声を次の開発に活かしていくのです。
「実際にクルマに乗ったお客さまから不具合や不満のお声がないか確認するのも私たちの重要な仕事。いわば、品質に対する自分たちの感度と市場やお客さまの期待に乖離がないかを確認する業務ですね。そうした情報をキャッチアップし、現行車種の改善や新型車の開発に活かしています」
照屋はプロダクト・クオリティ・マネージメントオフィス内のチームで課長代理を務めています。
「私の役割は、【①担当車種の課題を抽出】【②関係部署と協力して対策の推進】【③品質改善が円滑に進むようにマネジメント】の大きく分けて3つです。QX80はアメリカを市場としているので現地に出張することもあるのですが、そんな時はみんなでわいわいと食事をするようなアットホームな雰囲気のチームです。仕事の面でも、全員で意見を言い合える風通しの良さがあると思います」
世界初の量産EV「リーフ」の先進性に惹かれ日産自動車へ。強みを活かし成長を遂げ
子どもの頃からプラモデルやミニ四駆が好きで、ものづくりやモビリティに興味を持っていた照屋。学生時代はバイクに夢中だったと振り返ります。
「高校生の頃からバイクに興味を持ち始め、大学に入ってから本格的にのめり込みましたね。乗るだけに飽き足らず、昼夜バイクをいじり続け一人暮らしのワンルームの部屋が買った部品で歩く場所が無くなるほどバイクが大好きでした」
大学では電気工学科でモーターの高効率化を専攻し、卒業後は「好き」を活かしてバイクメーカーに就職。そんな照屋を日産自動車に導いたのは、世界初の量産電気自動車(EV)として発売された「リーフ」の存在でした。
「とある試乗会に参加した時、日産自動車のリーフに出会って大きな衝撃を受けました。当時EVと言えば、環境への配慮を売りにしている車種がほとんどだったのに対し、リーフは大型排気量のエンジンと同等の加速力があると、性能をアピールしていたんです。実際に乗ってみると動きもキビキビしていて『こんなEVがあるんだ…!』と感動しましたね。
しかも、バッテリーやモーターまで全部自社開発していると聞き、日産自動車の技術力の高さに強く惹かれました。ちょうど結婚を機に転職を考えていたタイミングだったので、電動車の開発に携わり、自分自身の技術力も高めたいと日産自動車への入社を決意しました」
入社後、照屋が最初に携わったのは、ハイブリッドカー「エクストレイル」の量産立ち上げプロジェクト。しかし、自動車に関する知識が不足していた照屋は、当初苦戦を強いられます。
「量産化やハイブリッドに関する知識以前に、自動車の構造部品や専門用語などについてほとんど知らない状態だったので、1つずつ覚えていくのにかなり苦労しましたね。そんな中でも自分の強みを活かせる仕事はないかと常にアンテナを張っていました。前職で制御設計の経験があったのでそれを活かし、ハイブリッド車の実験データ分析の見直しを始めました。
これまでよりも効率的なデータ処理方法を提案したり、分析結果をわかりやすく説明したり、自分の“武器”を見つけて磨いた結果、徐々に周囲に認められるようになりました」
アメリカで痛感した「現地現物」の重要性。実体験を踏まえて日本の開発部門に還元した
その後照屋は、エンジン設計部門を経て、アメリカ市場調査担当としてアメリカに赴任。ここで日本とアメリカの自動車市場の違いを肌で感じることになります。
「アメリカと日本とでは、道路状況や気候、ドライバーの運転に対する考え方などがまったく違っていました。カナダ国境付近なら冬はマイナス40℃、砂漠地帯なら50℃に達することもありますし、冠水している道路をクルマで走るケースも。また都市間の距離が離れているので、時速150kmで200km以上走り続ける、なんてことも当たり前。
もちろん日産自動車としても、そういうシーンを想定してしっかり評価してはいるものの、やはり実際の使用シーンと乖離する部分も多いと感じました」
アメリカで照屋が痛感したのは【現地現物】の重要性。現地に行かなければわからない情報を吸い上げ、実体験を踏まえて日本の開発部門にフィードバックすることが必要だと気づいたのです。
「たとえばアメリカでは、ホテルの出口が高速道路に直結していて、エンジンをかけてから30秒後には高速道路を全開で走っているという状況があります。日本では想像できないシーンを理解していないと、なぜ不具合が起こるのか、なぜ改良するのか、開発側が納得する説明ができません。だからこそ現地を知り、日本との違いを学ぶことを大事にしたいと思いました」
日本に戻った照屋は、技術開発部門を経て現在のプロダクト・クオリティ・マネージメントオフィスへ。課長代理としてチームのマネジメントも担うようになったことで、仕事に対する姿勢も変化したと語ります。
「部下ができてから、自分の働き方を見直すようになりましたね。以前は自分のことだけ考えてがむしゃらに働いていましたが、今はチームのみんながいかに効率よく働けるか、プライベートも充実できるかを意識しています。そのためには、私自身も率先してプライベートを楽しむことが大事だと考えています」
現在の仕事の魅力を聞くと、「クルマ1台全体を見渡せること」だと笑う照屋。その笑顔から、クルマが好きという想いが溢れ出します。
「たとえば設計や生産の部署であれば、特定の部分だけを担当することがほとんどなので、クルマまるごと全部に関われるのは日産自動車の中でも珍しい部署だと思います。ボルト1つからすべてに対して目を配り、設計や生産の視点だけでなく、お客さまの視点も含めて総合的に品質を評価できるのが魅力です。
私たちが直接設計するわけではありませんが、フィードバックを通じてクルマづくりに深く関われる──それがこの仕事の一番のやりがいですね」
進化し続ける自動車業界において、品質管理は今後ますます重要な業務に
さまざまな部署での経験を活かし、大きなやりがいを感じながら品質管理に取り組む照屋。その目は、次なる目標へと向けられています。
「アメリカ市場では、J.D.パワー社が実施するIQS(Initial Quality survey)という品質調査があり、多くの自動車メーカーが対象となっています。直近の目標は、この調査においてQX80が1位を取ること。他のどの車よりも品質が高いことを証明して、多くの人に愛されるクルマになったら嬉しいですね。
1位を取るためには、いかに早くお客さまの声を反映できるかが重要で、たとえ少数派の意見であっても、1人のお客さまの声として真摯に受け止め、迅速に対応する必要があります。そうした対応を続けることで、さらなる品質向上にもつながると信じて取り組んでいきたいですね」
日産自動車の魅力について尋ねると、照屋は「働き方の柔軟性」と「さまざまな仕事に挑戦できる環境」を挙げました。
「日産の魅力の1つは、フルフレックス制度とリモートワーク制度によって、家庭の状況や天候などに応じて柔軟に働き方を選べること。仕事とプライベートのバランスが取りやすく、持続可能な状態で働けるのはとてもありがたいと感じています。
また、日産は部署異動が盛んな会社で、その理由はおそらくクルマづくりはさまざまな部署の連携が不可欠だから。どこか1つの部署の知識や情報だけではクルマはつくれません。さらに、元いた部署で行われていた良い習慣を異動先の部署に伝えることで、会社全体の底上げを図ろうという狙いもあると思います。
私自身も開発、アメリカ市場調査、品質管理とさまざまな経験を積んできて、各部署での経験が今、とても役立っています。たとえば、品質改善に関するフィードバックを開発部門にわかりやすく伝えられるのは、開発経験があるからこそ。多様な経験が私の強みになって、自分ならではのキャリアを築けていると思います」
最後に照屋は、自動車産業の未来と品質管理の重要性について次のように語ります。
「自動車業界は今、100年に一度の大変革期と言われています。5年前には想像もつかなかった技術革新がどんどん起きていますし、未来のモビリティがどうなっているか、正直想像がつきません。
しかし、新しいものが増えれば増えるほど、品質管理の重要性はさらに高まると確信しています。これまでの知見や経験に基づいた品質管理を大切に、お客さまの視点に立ったクルマづくりを続けていきたいですね」
※ 記載内容は2024年9月時点のものです
