量産に向け、新型インバータの試作工程を担当。現場へ足を運び、日々の改善を模索
パワートレイン・EVコンポーネント生産技術開発本部の革新要素技術開発グループに所属している浅田。同グループは、クルマの電動化を支える重要な役割を担っています。
「私たちの部署では、EVやe-POWERなどの電動車両に搭載される重要部品であるインバータを内製しています。インバータは電動車の走行性能や効率に直結する中核部品であり、その品質は車両全体の性能や信頼性を左右します。私たちは、新製品の試作から量産ラインの構築、量産立ち上げまでを一気通貫で担い、自社で開発した技術を生産工程に織り込みながら、安定した品質の確保と生産性の向上を両立することをミッションとしています。
不具合を未然に防ぐために工程を作り込むことや、量産中の品質を維持し続けることには難しさもありますが、その分、私たちの仕事が製品の信頼性を支えている実感を得られる点に大きなやりがいがあります。
私は現在、生産技術として現行インバータの生産性向上に向けた試作および量産適応に携わっています。研究・開発部門からの試作依頼を受け、試作段階ではその内容を確実に実行するとともに、量産適応を見据えて課題を洗い出し、製造現場で実行可能な作業内容や手順へ落とし込んでいきます。製造グループに対しては手順書の作成や説明を行い、実際の量産工程に反映させていくことが主な役割です」
業務を進めるにあたっては、現場に直接足を運び、実際の作業や設備の状況を把握することを大切にしています。設計からの依頼をそのまま伝えるのではなく、現場の実態を踏まえてより良い形へと落とし込んでいくことに、この仕事の難しさとやりがいがあります。
2026年4月に現在のグループへ異動したばかりの浅田。業務を通じて、新たな知識の習得に励んでいます。
「自分1人では対応できないことも多いので、わからないことを素直に質問する姿勢を大切にしています。もっと仕事を任せてもらえるようになるには、信頼を得ることが大事です。そのためにも、自分から積極的にコミュニケーションを取ることを意識しています。
また、先輩方に教えてもらった知識をただ覚えるのではなく、そこから能動的に学ぶことも心がけています。理解を深めることで手順書の精度をさらに向上させることができ、現場の改善提案にもつなげられると考えているからです。たとえばラインの説明を受けたら、どのような背景があってそのラインになったのかなど、好奇心を持って自ら知識を吸収する姿勢を大切にしています」
周囲とは異なる新しい挑戦を求めて。漆の研究から飛び込んだ、電子部品の世界
大学時代は機械工学を専攻していた浅田。その中でも複合材料を研究し、異色のテーマに取り組んでいました。
「樹脂材料の特性を向上させる強化剤の研究に取り組んでいたのですが、その中で私が選んだテーマは、漆でした。その理由は、周囲とは異なる目新しいものに挑戦したいという想いがあったからです。就職活動の軸も同じで、技術が常にアップデートされ、絶えず変化していく環境で働きたいと考えていました。その中で、e-POWERなど画期的な技術の開発に取り組む姿勢に惹かれて、日産を選びました」
2023年に入社した浅田は、ファーストキャリアとして生産技術開発職を志望します。
「先輩社員に伺った話で印象的だったのが、『現場の実情を知らないことには、現実に即した設計や提案はできない』という言葉です。技術者としてのキャリアを築くにあたり、図面からは見えない工場の実情を知っておくことが何よりも重要だと考えました。
その上で開発や設計などのキャリアを描いていけば、現場に即したより良いクルマづくりができる。そう考えて生産技術開発の道を選びました」
そして配属先の希望が叶い、インバータ開発に携わることになった浅田。しかし、大学時代の専攻との違いに最初は苦労します。
「とにかく圧倒的な知識不足でした。周囲には専門家が多い中、私は『そもそも電子部品とは?』という初歩的なところから始まり、基板の構造などについて基礎から学ぶ必要がありました。機械系出身の自分にとって、電子部品はすべてが未知の世界です。専門用語が飛び交う環境に、最初は戸惑うことばかりでした。それでも、周囲に支えられながら専門知識を身につけていくことができました」
未経験から始めてもキャッチアップできたのは、手厚い教育体制のおかげだと浅田は言います。
「部署では教材や講座が用意されており、先輩社員による丁寧な指導や実習を通じて知識を着実に習得できました。こうした教育体制があるので、私のように異なる専攻から挑戦した場合でも安心して成長できます。本人のやる気と自ら学ぶ姿勢があれば、手厚くバックアップしてもらえる環境です。当初は苦労しましたが、新しい世界に挑戦したことで視野が大きく広がったのを感じています」
新たなコーティング剤の適応をめざして。試行錯誤を重ね、最適な条件の確立へ
大学時代の専攻とは異なる分野に挑戦し、電子部品のおもしろさを知った浅田。入社3年目に担当した業務が、とくに印象に残っていると話します。
「電子ユニットなどの品質向上をめざし、新しいコーティング剤の適応評価を担当しました。従来の防護機能に加えて、飲料や洗浄液など、電子基板の故障を防ぐことができます。お客様がふと飲料水をこぼしてしまった場合でも故障しない電子ユニットをめざしたかったのです。しかし、適応するにはクルマからの強い振動や、高温、低温時におけるコーティング膜の剥がれなど、多くの技術課題を乗り越えなければなりません。
またコーティング剤の種類も従来とは異なるため、評価方法も手探りで検討する必要がありました。先輩に相談しながら、既存の項目に加えて新たな実験条件や実験環境を準備していきました」
そうして実験を開始したものの、最初はなかなか思うような結果が得られませんでした。
「コーティング剤を塗布する際、求める膜厚に届かない状態が続きました。条件を満たす膜厚を確保できなければ、保護機能を十分に担保できません。そのため先輩や専門メーカーの方々と会議を行い、対策を検討しました。そこで出たアイデアをもとに何度も調整を重ね、最終的に最適な塗布条件を確立できました。
そしてその内容を上層部に発表したところ、『次の製品への適応を検討していこう』と言ってもらえたのです。自分がやってきた仕事が、実際に製品に適応される機会があることに、大きなやりがいを感じました。この成果により、お客様が飲料水をこぼしても壊れない電子ユニットを作ることで、より自分の仕事を通じて貢献できることがうれしいです」
生産技術開発を通じ、お客さまに貢献できる喜び。そこには、モノづくりの現場に関わる責任も伴います。
「私の作成する手順書のとおりに製品がつくられるため、品質に直結するという責任感があります。万が一指示した工程に誤りがあるとラインを止めてしまうため、何度も確認する慎重さが欠かせません。責任が重いからこそ、仕事の重要性が実感できやりがいにつながっています」
パワートレイン全体を担えるエンジニアをめざして。日産の風土を活かし、挑戦を続ける
現場で経験を積みながら、着実に成長を重ねてきた浅田。次のステージに向かい、これからも挑戦を続けていきます。
「目標は、パワートレイン全体を扱えるエンジニアになることです。インバータだけでなく、モーターやバッテリーの仕組みも熟知したいと考えています。そうすれば、クルマの走りをより良くできる技術の提案ができるようになるはずです。視野を広げ、お客さまによりご満足いただけるクルマづくりに貢献したいと考えています」
先輩に支えられながら知識を貪欲に吸収する中で、見えてきた新たな目標。その実現に向けてチャレンジできるのは、日産ならではの風土があるからだと言います。
「私が実際にコーティング剤の適応開発を任せてもらったように、日産には若手に挑戦の機会を与える風土があります。新しい技術の潮流を知るために、学会や展示会への参加も推奨してもらえる環境です。
また自動クルマメーカーでありながら電子部品の一部内製化を行うなど、独自性を追求する姿勢があります。『他のやらぬことを、やる』というDNAを、働く中で日々実感しています」
挑戦のDNAがあるだけでなく、社員がやりたいことを実現するためのサポートも充実していると浅田は話します。
「上司との定期的な面談があり、自分のやりたいことを伝えると、さまざまなキャリアパスを提示してもらえます。私のように生産技術開発職からキャリアをスタートして、そこから設計や開発などに進路を変更することも可能です。
生産技術開発の魅力は、実際に売り出す製品を目で見て手で触れることです。どの部品が組み付けにくいか、どのような扱いで破損が起きるのか。現場で実際にものの流れや組み立ての構造を深く学べる点が強みです。ここで培った現場の知見は、将来どの道へ進むとしても活かせるので、ファーストキャリアとしておすすめしたいと思います」
浅田と同じように、生産技術の現場で経験を積みたいと考えている未来の仲間に向けて、メッセージを送ります。
「失敗を恐れずに、挑戦できる方が参加してくれたらうれしいですね。1度失敗しても簡単にあきらめず、『それなら次はこれをやってみよう』と挑戦し続けられる方が向いていると思います。壁にぶつかっても周囲には支えてくれる先輩がいるので、ぜひ新しい世界に飛び込んでほしいです」
※ 記載内容は2026年5月時点のものです
