暑さから作業者を守りCO2も削減。現場に寄り添い、エネルギー活用の最適解をめざす
環境&ファシリティエンジニアリング部の環境エネルギー技術課に所属している宮田。この部署では、全社の生産現場を支えるインフラの維持を担っています。
「私たちの部署は、自動車生産に不可欠なエネルギーを最適化する役割を果たしています。エネルギーの供給が途絶えれば生産ラインが停止するため、安定的な供給を通じて工場の生命線を維持することが最大のミッションです。そして20年後、30年後も自動車を製造し続けられるよう、インフラの老朽化診断や更新計画の策定にも取り組んでいます」
エネルギーの安定供給に加え、環境法令の遵守と環境事故防止の推進も重要なミッションです。
「モノづくりを通じ、クリーンな工場をめざしてさまざまな取り組みを進めています。たとえば工場で発生する工場排水を海や川に返せる水質まで処理をするための水処理設備の導入や水質管理などもその1つです。環境への影響を最小限に抑え、生態系を守るための仕組みを整えています」
こうした役割を担う環境エネルギー技術課において、宮田は現在、暑熱対策事務局の活動に取り組んでいます。
「過酷さを増す夏の製造現場において、作業者の安全を守る暑熱対策は急務です。しかし広大な工場全体を冷やすには莫大なコストとエネルギーを要します。
そのため作業者が集中するエリアを最新技術で効率的に冷やすなどの工夫が必要です。コストの最小化と熱中症発症ゼロをいかに両立させるか。この難題に挑み、最適な空調設備の導入を進めています」
夏場はもちろん冬場の暖房効率化も担い、全社のエネルギー活用の最適化をめざしている宮田。そのかたわら、社内の電気技術標準に関する委員会の活動にも従事しています。
「インフラ設備の設計や施工に関する社内技術基準を統一し、全社横断で法令遵守と安全確保を推進しています。技術基準書を現在の実態や法令改正に合わせてアップデートしていくことは、全社の安全を支える重要な業務だと実感しています」
自動車製造の生命線を支え、現場の安全を守る。そうした重要な仕事を担う上で、宮田が大切にしていることがあります。
「机上のデータのみで判断せず、なるべく現場へ足を運び、そこで働く仲間たちの『生の声』を聴くことを大切にしています。課題に対して最適な解決策を導き出し、協力者の納得感を得るには、多様な視点を取り入れることが重要です。そのため社内だけでなく社外のサプライヤーの方々など、周囲とのコミュニケーションをいつも大切にしています」
環境問題に取り組む姿勢に惹かれて日産へ。自らの適性を考え選んだ生産技術開発職の道
学生時代は電気電子を専攻し、超伝導材料の研究に取り組んでいた宮田。就職活動では明確な軸を持っていました。
「当時から、カーボンニュートラルの実現を通じて持続可能な社会に貢献したいという強い想いがありました。その中で日産自動車を選んだのは、世界初の量産型電気自動車である『日産リーフ』を実現するなど、環境問題に真摯に取り組んでいる姿勢に魅力を感じたからです。
また海外で働くことにも興味があり、グローバルに活躍できる機会が広がっている環境にも惹かれ、入社を決めました」
研究職ではなく生産技術職開発職を選んだ背景には、大学時代に感じた自身の適性を活かしたいという考えがありました。
「大学での研究活動を通じて実感したのは、未知の事象を解き明かしてゼロから1を生み出すプロセスは、自分にはあまり向いていないということです。それよりも今ある技術や設備を進化させ、1を100にするために工夫を凝らす仕事の方が自分の持ち味を活かせると気づき、生産技術開発の道を選びました」
2021年4月に入社した宮田は、研修を経て同年11月に横浜工場へ配属されました。
「横浜工場では、照明のLED化による省エネの推進や、変電設備の更新計画の策定などを担当しました。大学での専攻を直接活かせる電気設備の業務に携わりながら、現場のオペレーションを学ぶ貴重な機会になったと思います。
また、当時から社内の電気技術標準に関する委員会の活動にも携わり、法令遵守と安全確保を全社横断で推進する経験も積みました」
そして2025年4月に現在の部署へ異動。工場単体から全体を俯瞰する立場へと役割が変わりました。
「最初は現場を離れてしまうことに少し寂しさもありました。でも工場全体を横断的に見て改善を主導する今の業務は、視野や経験の幅を広げられる絶好のチャンスだと前向きに捉えられるようになりました。工場での実体験があるからこそ、現場の苦労や制約を想像しながら最適な提案ができると考えています」
データを可視化し、現場を動かす。培ったコミュニケーション力で乗り越えた壁
横浜工場で約3年半の経験を積んだ宮田。その中で、とくに印象に残っているプロジェクトがあります。
「工場非稼働時における待機電力の削減プロジェクトです。大型設備が集まる製造現場では、土日や連休などの停止期間でもわずかな電気が流れ続けています。これを最小化するため、加工設備の電源オフを提案しました。
しかし現場からは難色を示されました。それにより立ち上げに時間がかかるなど、作業工数が増えるのを懸念していたからでした」
エネルギー最適化という正論だけでは、現場の協力は得られない。そう痛感した宮田は、アプローチを大きく変えました。
「実際の数値を測定して現状の無駄を可視化し、データという客観的事実を示して協力を依頼することにしたのです。そのために現場に足を運び、全設備に電力計を取り付けるという大がかりな作業も実施しました。そして削減したコストは設備の修理に使えるなど、現場側のメリットにつながる提案を行いました。その結果、現場の納得が得られて計画を実行でき、大幅なコスト削減を実現できました」
地道なデータ収集と誠実な交渉で実現した工場の省エネ化。もう1つ、宮田にとって大きな挑戦となった案件があります。
「地震などの有事の際、停電しても避難経路を照らし続けられるよう、『日産リーフ』のバッテリーを活用した太陽光外灯を工場内へ設置するという計画に携わりました。
私は横浜工場の担当として、避難の要所となる10カ所を設置場所として選定したのですが、いざ工事を始めると地下に予想外の埋設物が見つかり、基礎がつくれないという不測の事態に直面したのです」
そこで宮田は、日ごろから大切にしている「関係者とのコミュニケーション」を通じて、打開策を模索しました。
「サプライヤーの方々に協力してもらいながら、どこなら外灯の設置が可能であるかを、現地を実際に歩いて確認していきました。結果として工事は無事に終わって最適な設置を実現でき、上司にも高く評価してもらえました。
現在は工場全体を俯瞰的に見る専門部署に変わりましたが、私の仕事は今でも『現場ありき』です。暑熱対策活動を通じ、実際にどれだけ現場の改善に貢献できたかが数値として表れると、やりがいを感じます。
でもそれ以上にうれしいのは、現場の声を直接聞くことです。『涼しくなりました、ありがとう』という言葉をかけてもらえると、モノづくりを支えられているという実感が湧きます」
これからも変わらない想いを胸に。カーボンニュートラルの実現をめざし、挑戦を続ける
日産に入社して6年目を迎えた宮田。入社当初から掲げているカーボンニュートラルの実現を、この先もめざしていきたいと語ります。
「今後挑戦したいのは、太陽光や風力など、新たな再生可能エネルギーの導入プロジェクトに参画することです。数年後には再び工場に配属となり、実地でのCO2排出量削減に貢献できればと考えています。こうした活動を通じてカーボンニュートラルを実現し、日産の企業価値向上に寄与したいと思います」
目標の実現をめざし、目の前の実務と誠実に向き合っている宮田。その過程では、最新のテクノロジーを取り入れた変革も始まっています。
「業務の効率化において、AIの活用は今後必須になると感じています。報告資料の構成案を練ったり、蓄積されたデータをAIと対話しながら分析したりと、AIとの上手な付き合い方を模索しているところです。テクノロジーを賢く味方に付けることで、人間にしかできない高度な意思決定により多くの時間を割くことができるようになると考えています」
時代と共に変わっていく業務の取り組み方。その一方で、生産技術開発職という仕事のおもしろさは変わらないと宮田は話します。
「生産技術開発職はクルマづくりの全体を俯瞰でき、幅広い視野が養われる仕事です。圧造から車体、塗装へと次の工程へつながるフローを意識して、さまざまな関係部署と連携しながらクルマをつくることができます。
一方で、一筋縄ではいかない課題にも直面するため、最後までやり遂げる粘り強さも必要です。生産技術開発職は、国内はもちろん海外でも活かせる上、日産には多様な価値観を受け入れる風土があるので、グローバルに活躍したい人も向いていると思います。
その中でも私たちの環境&ファシリティエンジニアリング部で経験を積むことの良さは、キャリアの可能性が広いことです。あらゆるモノづくりの基盤となる高度な技術を身につけられるため、将来的にさまざまなフィールドに応用できます。何より、カーボンニュートラルという社会課題に最前線で携わることができるのが魅力です。持続可能な未来の実現に貢献したいという志を持つ仲間の参加を、心から楽しみにしています」
※ 記載内容は2026年5月時点のものです
