部品調達を通して新車試作を支える。リスクの“匂い”を察知して動く行動力と柔軟性
生産・SCM部門において、新車開発の土台を支える組織。それが生産企画統括本部 生産管理部 新車計画グループのVCロット(新車立ち上げに向けた最初の試作)管理グループです。
「私たちのグループにはプロジェクトリーダー(PL)、手配チーム、そして私が所属する調達チームの3つの役割があります。全体を俯瞰してリードするPLがいて、研究・開発部門の設計部署からの情報をもとに手配チームが開発段階の試作車の製造に必要な部品の発注を行います。それらが予定通りに納入されるよう進捗を管理するのが調達チームの役割です。必要な部品を確実にそろえるために、準備状況の確認や納期調整を行い、リスクがある場合はその要因を確認して解消にあたります」
手配した部品が間違いなく納入されるかどうかを追いかける調達チームは、試作車を形にする工程を支える重要なセクション。そこには大きな責任が伴います。
「単に部品を集めることではなく、試作車を予定通り完成させることが私たちのミッションです。スケジュール通りにいかないと、その後のロットにも多大な影響を及ぼしてしまいます。1つの部品の遅れが開発全体に影響する可能性もあるため、台風など天候の変化や、開発過程で発生する設計変更に素早く対応するといった突発的なリスクを常に注視しています」
変化が多く緊張感のある現場だからこそ、周が日々の仕事の中で大切にしている価値観があります。
「行動力と柔軟性を大切にしています。試作車の部品手配は予測できない問題が起きやすいため、実際にリスクが起こってからではなく、リスクになりそうな“匂い”がした段階で、自ら積極的に情報を集め、早めに行動することを意識しています。
また、この仕事は、社内のいろいろな部署と調整を行う必要があります。状況に応じて優先順位やアプローチを柔軟に変えながら、その時点の最適な解決策を探すことも重要だと考えています」
モノづくりに当事者として携わりたい。仲間の支援のもと、未経験の自動車業界で成長
自身の興味に向かって全力で挑戦する前向きさで、節目ごとにキャリアを拓いてきた周。いくつかの転機を経て日産へ至るまでをこう振り返ります。
「もともと中国の大学で日本語を学び、日本の大学院で言語学を専攻しました。日本での生活が好きになり、ここで就職することを決意。日本のモノづくりの強さに携わりたいと、関西のメーカーに入社して5年間在庫管理や生産計画を担当しました。
その後、より視野を広げたいとコンサルティング会社へ転職し、1年間システム導入のプロジェクト管理を経験しました」
コンサルタントとして経験を積む中で、周の心にはある葛藤が芽生え始めます。
「コンサルタントの仕事は、お客さまのビジネスのために最適な提案やサポートをすることです。ただ、最終的な決定権はお客さまにあります。しだいに、当事者として最後の実行まで自身の手で担いたいという気持ちが生まれ、私にはメーカーのほうが合っているのではないと考えるようになりました」
折しも家庭の事情で関東へ引っ越すことになり、転職活動を始めた周。日産を選んだのは、モノづくりの世界への消えない情熱でした。
「新車発表のニュースを見て、『ここに至るまでに、どんな開発段階を経てきたのだろう?」とすごく興味が湧きました。もし私も新車開発プロジェクトの一員として参加できれば、そのクルマが発売された時のニュースを見て『この開発に私も参加したんだ』と言える。そんな大きなやりがいを感じてみたいと思いました。
もともと1社目で生産計画の作成や工場とのやり取りを行っていたこともあり、生産管理の仕事にも興味がありました。また、日産のような規模の大きい会社は、さまざまな部署でいろいろな仕事に挑戦できるプラットフォームでもあります。調達の業務だけでなく、PLなどを経験するチャンスもあると聞き、まずは挑戦してみたいと入社を決意しました。
後に上司となった当時の面接官と会話が弾み、この人のチームで私も一緒に働きたいなと感じたことも決め手の1つになりましたね」
こうして2025年に入社した周は、新しい環境での一歩を踏み出します。
「最初は国内取引先との納期調整を行う取引先担当からスタートしました。その後、秋頃には海外や社内部署とのハブとなるプロジェクト担当に。コミュニケーションの相手が増え、調達の中でより責任あるポジションを任せてもらえるようになりました」
自動車業界は未経験ながらも、着実にステップアップを重ねていった周。その挑戦を乗り越えられたのは、職場の仲間たちのおかげだと語ります。
「自動車業界独自の専門用語や法律などへの不安も少なからずありました。また、取引先とのやり取りは通常メールが中心ですが、緊急時には電話での即時対応も求められます。最初は苦手意識がありましたが、先輩たちが『なんでも聞いて大丈夫ですよ』と温かくフォローしてくれて。
『社外向けのメールは、こういう書き方で大丈夫ですか?』といった基本的なことを1日に何度も質問するような状態でしたが、嫌な顔一つせず答えてくれました。本当に調達チームのメンバーにはすごく助けられました。皆さん優しくて、大好きな仲間です」
予測不能の荷崩れトラブルを、持ち前のポジティブさで新たな学びに変える
入社して約1年半の中で印象的だった出来事として、周は最近担当したトラブル対応を挙げます。
「輸送中の荷崩れによって、部品破損が発生してしまいました。納入直前に『明日納入できなくなった』と連絡を受け、詳しくヒアリングしたところ、一部が破損したため再生産を行わなければならない状況でした。いつ納入できるか不透明な中とても焦りましたが、まずはすぐに行動し、取引先に分納を検討してもらい、前倒しの調整を依頼しました。
同時に社内でも、該当の部品を実際に組み立てラインに投入する具体的な日付を確認。さらに先輩のアドバイスを受け、他部署の他用途用部品を一時的に貸してもらえないかどうかも交渉しました。
最終的には取引先がうまく納入を前倒ししてくださり、万が一の場合には他用途用部品を借りられる目途もついたことで、なんとか無事に試作日程や組み立てラインの稼働に影響することなく解決できました」
こうした予測できない困難も、周は持ち前の前向きさで「成長の機会」と捉えます。さらに、これまで培ってきた経験も役立っていると言います。
「調達の仕事はトラブルが起きないに越したことはありません。ですが、何か突発的な状況が起きた時にこそ経験を積み、多くを学べると感じています。今回はこんな状況になったから、次回はもうちょっと早めにこれを確認しておこう、など今後のリスク軽減策を検討する糧にできます。
こうした緊急対応が求められる業務は、これまでの仕事ではあまり経験がありませんでした。なんでもすぐにレスポンスやリアクションを行い、臨機応変に動く能力が鍛えられたと感じています。
一方で、1社目での生産管理業務の土台に加え、海外拠点との頻繁な調整で英語を使うなど、これまで培った経験やスキルを活かせる場面も多いです。海外の取引先の中に中国の会社があり、窓口担当者と話してみたら中国出身の方だったこともありました。すぐに中国語でコミュニケーションを取ったことで一瞬で仲良くなれて、信頼関係をより築きやすくなりました」
周はあらためて、調達という仕事の醍醐味を語ります。
「本当にたくさんの関係者を巻き込みながら課題解決に取り組んでいるので、無事に試作車が完成した時は大きな達成感がありますね。私が行った調整や働きかけによって、プロジェクトが前に進んだ、と実感できた瞬間が何よりの喜びです」
最初から完璧でなくていい。課題解決のために前向きに議論できる職場で描く未来
周が日々現場で実感しているのは、失敗を恐れずに挑戦できる温かい職場環境と、お互いを尊重し合える社風です。
「何か問題が発生しても、責められるのではなく、課題解決のために何をしたらいいかをすぐに議論できる。さらに原因の究明や、リスクを回避するために次回はどうすればいいか、と皆で前向きに話し合えるカルチャーがあります。なんでも気軽に相談できますし、社内で会った時にお互いすぐ感謝の言葉が出てくる空気感もすてきだと感じています。
また、働く環境面では、在宅と出社を柔軟に選択でき、家庭の事情に合わせてワークライフバランスを大切にできるところも魅力です」
こうした温かいチームで切磋琢磨しながら、これから新しく入る仲間が活躍するにはどんなマインドが必要か。周は自身の経験から、次のように話します。
「なんでも考えすぎず、まずやってみる前向きさを持った人が向いていると思います。わからないことは素直に『わかりません』と周りの仲間を頼ることが大事です。最初から完璧をめざす必要はありません。一歩踏み出し、周囲の力を借りながら、ずっと学び続ける姿勢があれば、自然と成長できるはずです」
いくつもの転機をポジティブに乗り越えてきた周は、ひたむきに今後のキャリアビジョンを語ります。
「まずはVCロット管理グループの中で、調達だけでなく手配やPLの仕事もやってみたいと考えています。とくにPLを経験して広い視野を得られたら、いずれ量産の仕事にも挑戦してみたい。そうやって、少しずつ前進していきたいですね」
周囲の仲間に支えられながら、周はこれからも柔軟な行動力で、日産のクルマづくりを支え続けていきます。
※ 記載内容は2026年6月時点のものです
