何があっても海外工場のラインを止めない。膨大な作業の先に見出した「本質」への問い
日産の生産活動を支える生産・SCM部門のサプライチェーンマネジメント本部。物流企画部 部品物流グループに身を置く大塚は、多岐にわたる膨大な部品を世界中の工場へ送り届けるという、大きな責任を背負っています。
「部品物流グループのミッションは、何があっても必ず部品を工場まで届け、海外工場のラインを絶対に止めないこと。その中で私は、国際輸送の要となる船会社の選定を取りまとめる業務と、イギリスの工場の安定稼働を支えるオペレーション業務の2つの役割を担当しています」
仕事の舞台となるのは世界各国。それだけに、国際情勢の変化が輸送計画に影響するという難しさがあると大塚は語ります。
「たとえば、昨今の中東情勢に伴って、これまで最短ルートだった紅海を船が通れなくなる事態が起こりました。急遽、アフリカ大陸南端の喜望峰を大きく迂回するルートへ切り替える必要に迫られました。
情勢の波を読みながら、何としても航路をつなげるよう考えるこの仕事は、ダイレクトに世界の『今』に直結している実感があります」
こうした重要な業務を担う上で、大塚が大切にしているポリシーがあります。
「本質を見極めることを意識しています。この部署に配属されたばかりの頃は、1万行を超えるExcelデータの管理や、何十箇所もの海外拠点や船会社との調整に追われ、日々の業務を回すだけで精いっぱいでした。
そうして2年目になった頃に『これでは、意味のある仕事が何もできていない』と痛烈に感じて。手段である作業に埋もれず、安定供給・安定生産というサプライチェーンマネジメントの原点に立ち返らなければならないと考えを新たにしました。
輸送ルートの遅延など、日々先行きが読めない状況での対応が求められるからこそ、『なぜこの船会社を選ぶのか』『なぜこの業務をやっているのか』『安定する船会社を選ぶにはどうすればいいか』など、常に目的を問い直し続けることを心がけています」
リスクマネジメント×グローバルを軸に日産へ。伝え続けた想いが導いた理想のキャリア
大学でリスクマネジメントを専攻し、避難所運営やBCP(事業継続計画:災害などの緊急事態において、損害を最小限に抑え業務を継続するための計画)を学んだ大塚。半年間のオーストラリア留学も経験し、自分とは異なる文化や価値観を持つ人々と対話する楽しさも知りました。
就職活動では自らの学びを活かせるフィールドを探し、インフラである物流業界にたどり着きました。
「不測の事態に対応したり、そもそも発生しないようにしたりするために知恵を絞ることに興味がありました。中でも、物流が止まるとすべてが止まってしまうように、物流業界はリスクマネジメントの観点からも非常に重要だと考えました。
また、海外とやり取りできることも理由の1つでした。留学先のオーストラリアで日本のクルマが走っているのを見て、日本企業の活躍を誇らしく感じて、海外で活躍している自動車メーカーで働いてみたいと思いました。その中で日産に惹かれたのは、グローバルな環境で多様な価値観を大切にしているカルチャーに共感できたから。この環境なら居心地よく働けそうだと確信しました」
入社後、最初に大塚が配属されたのは、部品を輸送するための段ボールなど「パッケージ荷姿」の設計を行う部署でした。
「プロペラシャフトという大きな部品の梱包資材を設計する仕事を担当したのですが、『あと3ミリ足りないから仕様を変更する必要がある』といった高い精度が求められる現場でした。設計の専門知識もなかったため、必死に食らいつく日々でしたね」
そのまっすぐな姿勢が、入社2年目での物流企画部への異動へ大塚を導きました。
「企画系の仕事に興味はありましたが、5年ほどオペレーションの経験を積んだ上で行くのが通例だと聞いていました。上司に将来のキャリアへの想いも伝えつつ、『私もいつかは』と思っていたところ、これまでの熱意や姿勢を汲み取ってくれ、予想以上に早くチャンスを得ることができました。
また、入社当初に現場がどんな視点で業務を行っているか学べたことは、広い視野が必要な現在の業務に活きていると実感しています」
イギリス研修での学びを糧に。船会社選定の目的を再定義し、業務改善をリード
異動した大塚に訪れたのは、イギリスでの3カ月に及ぶ海外研修という大きな試練でした。
「生産・SCM部門の中でも限られた人数しか選ばれないプログラムに運よく参加できることになって。大きな期待を胸に渡航しましたが、実際は自分の力不足を痛感させられる挑戦の連続でした。
現地のスタッフに混ざって実務を行うスタイルの研修で、世界各地からイギリスの拠点へ届く部品の輸送状況を管理する業務を担当しました。標準的な日数に対して遅延や前倒しが発生していないかをチェックし、『輸送日数を調整すべきだ』と提言するといった、輸送オペレーションの最前線を経験することができました。
とはいえ当時の私は、異動直後ということもあり、輸送スケジュールなどの基本的な知識も十分でなく、ましてや英語で実務を行うことも初めて。自分の伝えたいことがうまく言葉にできず、現地拠点のスタッフに助けてもらうばかりで、もどかしさを感じる毎日でした。
しかし、そこで出会った日本人駐在者の存在が私の大きな学びになりました。その人は赴任してわずか半年ほどでありながら、現地スタッフとの間に確かな信頼関係を築き、コミュニケーションをリードしていました。『私もこんなふうに周囲に信頼される存在になりたい』と強く思い、その姿をロールモデルに、現地メンバーとの信頼の築き方や向き合い方を必死に学びました。ただ業務をこなすのではなく、本質を意識する重要性は、この研修でも実感しましたね」
こうして異動後の1年間で大塚が吸収した多くの学びは、2年目に結実します。
「私が担当していた船会社の選定業務に対し、海外拠点から『情報量が多くて煩雑だ』『仕組みを改善してほしい』といった厳しい意見が寄せられました。私はこれを業務をより良くする絶好の機会だと捉えました。そこで、チームで『自分たちが本来果たすべき役割は何なのか』を前向きに議論し、目的を再定義することにしました。
それまでの情報を集約して取りまとめるだけの受動的な作業から、スケジュールを前倒しして業務を平準化し、煩雑だった船会社とのやり取りを効率化する仕組みを整えました。さらに、曖昧だった船会社の評価軸を明確化したことで、安定供給に貢献できる船会社をより選定しやすい仕組み作りに貢献しました。
その結果、海外拠点から『今年は改善されたね』という言葉をもらえ、大きな手応えを感じました。一方でチーム内からは『やってよかったね』という声のほか、『この業務自体、本当に必要だろうか?』といった新たなフィードバックも生まれ、現状に満足せずさらなる改善をめざすサイクルが続いています」
若手の声を歓迎する風土で描く成長曲線。発想力を磨き、現場視点も兼ね備えた企画職へ
日産でのキャリアを歩む中で大塚が強く感じているのは、若手の意見を尊重し、変化を恐れない組織の柔軟性です。
「自分の考えを形にし、業務に直接反映できる環境はとてもやりがいがあります。若手であっても、『こう改善すべきではないか』という提案が歓迎される風土があるからです。船会社選定のための新たな評価軸を自ら作り上げられたのも、このカルチャーのおかげだと思っています。
企画職ということもあり、上司も積極的にアイデアに耳を傾けてくれますし、何より、メンバー全員の多様な視点を取り入れなければ改善は成し得ないという共通認識がチームに根付いています。こうした自由な空気感こそが、日産で働く大きな魅力です」
日産をめざす未来の仲間たちへ向けて、大塚はあらためて、問い続けることの重要性を強調します。
「単に指示された実務を回すだけではなく、常に『なぜその業務をしているのか』『真の目的は何なのか』を考え抜く。この問いを自分自身に投げかけ続けられる人こそが、変化の激しい物流の世界で活躍できるはずです。そんな想いを持つ人と一緒に働きたいですね」
大塚自身の視線もまた、さらなる高みへと向けられています。
「もともとは5~6年目で経験するものだと想定していた企画業務を、2年目から任せてもらうことができました。まずは今の業務を主担当として極めたい。私の上司はアイデアがとても豊富で、『そういう視点もあったのか』と驚かされることが多くあります。私もそのスキルを磨き、既存の枠にとらわれず、物流をより良くするアイデアを積極的に提案できる人材になりたいですね。
それと同時に、将来的には物流現場など、サプライチェーンマネジメント本部内のさまざまな部署も経験したいと考えています。そこでしか得られない多角的な視点や現場感覚を積み重ねることで、より視野の広い企画職として再び今の部署に戻ってくることが、今の私の目標です」
安定供給・安定生産というゆるぎない使命を胸に。大塚はこれからも、物流の未来を切り拓くための挑戦を続けていきます。
※ 記載内容は2026年4月時点のものです
