不具合を素早く察知し、迅速に対応。少数精鋭で挑む品質改善の最前線
TCSXの市場品質改善部は、大きく3つのチームに分かれて活動しています。
「ひとつめが機能グループです。技術的なバックグラウンドを持った専門家たちが所属し、お客さまのクルマで発生する不具合やご不満に関する情報を収集し、関係部署と協力して品質改善に取り組んでいます。
ふたつめが、フィールドクオリティセンターです。市場から回収した不具合部品を、設計部門や工場、ときにはサプライヤーの協力も得て、原因の究明と対策の立案を行っています。
最後が保証グループです。保証期間内に不具合が発生した場合、販売店で交換された部品、その作業工賃に対する保証請求に対し、適切な支払処理や保証方針を策定しています」
このうち機能グループに所属し、駆動部品の品質改善を担当する石川。課長代理として、チームをリードする役割も担っています。
「各チームメンバーが持つ本来のポテンシャルを最大限に発揮できるようなサポートを心がけています。成功例だけでなく、失敗から得られた経験も含めて、チーム全体と情報共有しています。最近は30〜40代の中堅社員が増え、フロアが活気づいてきました。昼休みや空き時間を利用して積極的にコミュニケーションしながら、互いに技術やモチベーションを高め合っています」
迅速な品質改善を実現するために、石川には大切にしていることがあります。
「常に誠実でありたいと思っています。他部門に協力をお願いする場面が多いため、相手の立場に立って理解を得ることが重要です。相手に馴染みのある言葉でコミュニケーションを図り、品質改善の優先度の高さを丁寧に説明するよう努めています。
とくに、開発部門との連携では、お客さまの声をどれだけわかりやすく開発メンバーに伝えるかが鍵となります。お客さまからいただいたご指摘を物理現象に置き換え、数値化することで、開発メンバーの理解と協力を得やすくなることを経験から学んでいるため、状況に応じて図やグラフ、表などを使い分けています。
同時に、お客さまの生の声を伝えることも重視してきました。たとえば、『旅行先で車が突然止まってしまい、レンタカーを手配して帰宅した』といったこともきちんと伝えるようにしています」
多様な経験が糧に。人の声を聞いて、改善していく。このプロセスに魅力を感じて
航空整備士だった父親の影響で幼少期から航空業界に関心があった石川。大学で航空宇宙工学を学ぶ中で、品質への関心を高めました。
「航空業界でもっとも重要な課題は安全性です。学生時代に品質工学に出会い、品質の重要性を実感し、製品品質をどう構築し、つくり込んでいくかに興味を持つようになりました」
就職活動では、航空業界に限らず幅広い業界を検討していた石川。キャリアの方向性と完全に一致したのが、日産自動車でした。
「私は、新しいものを生み出すクリエイティブな作業よりも、人と人を結びつけたり、あいだに立って調整したりする役割を得意としています。市場と製品開発をつなぐポジションでなら、自分の能力を最大限に発揮できると確信し、2009年に入社しました」
入社後、石川は生産技術本部の車両品質技術部へ。そこで自動車づくりの基礎を学んだ後、市場品質改善部、日産自動車九州での常駐、ワランティマネジメント、そして労働組合の常任委員と、多岐にわたる役割を担いながら、品質への理解を深めてきました。
「九州での経験は、市場品質改善の実践的な側面を学ぶ貴重な機会になりました。その後、自ら希望してワランティマネジメントに携わりました。品質改善の結果が保証や取引先との交渉にどう影響するかに関心があったためです。年間30~40件の求償案件を担当し、取引先との補償費負担の調整役を務めました」
さらに、労働組合の専従役員を務めたことが、視野を大きく広げましたと語ります。
「組合員の声を聞いて職場環境や労働条件の改善につなげていくことは、お客さまの声を製品品質の向上に反映させる品質改善と実に似ていることに気づきました。人の声を聞いて、改善していく。このプロセスが好きで、組合員のサポートができることに喜びを感じながら取り組むことができました」
現場で培った品質技術の基礎。未知への探求心を原動力に、新たな課題に向き合う
キャリア16年目を迎える石川。入社直後の現場経験がキャリア形成に大きな影響を与えたと振り返ります。
「入社1年目に、グローバル車両生産技術センターで新型車試作の品質確認業務を担当しました。自動車製造の基本プロセスを現場で学べたことは、その後のキャリアの礎となる貴重な経験になっています。
具体的には、車両の性能要件を個々の部品のスペックに落とし込み、それぞれの部品が要求精度を満たしているかどうかを検証する作業に携わりました。各部品の特性要因を積み上げ、それを車両全体の性能評価に結びつけるプロセスで、データ収集から分析、結論を導き出すところまでを一貫して担当しました。若手のうちに現場で実務を経験できたことは、私にとって大きな強みです。
日産自動車の品質技術の基礎を身につけたことが、現在の品質改善部での業務に大いに役立っています。たとえば、現在取り組んでいる作業帳票の見直しでは、現場作業への理解が不可欠です。過去の経験を活かして、潜在的なリスクを指摘し、新たな気づきをサプライヤーへ提供できたことがありました」
そんな石川にとって仕事のやりがいは、課題に挑戦し続けること。
「不具合や不満の原因を解明する過程は、まさに最先端技術へのチャレンジです。設計や生産部門などの専門家たちと協力しながら、お客さまの声を品質改善に反映させていけることが、大きなやりがいとなっています。
約20年前、当社のある役員が『品質改善に王道なし』という言葉を残しましたが、その通りだと実感しています。これまで長く品質改善に取り組んできた中で、過去の成功例をそのまま適用できるケースはほとんどありませんでした。
常に新たな課題と向き合えるところに、この仕事のおもしろさがあると思っています。未知への探求心が、課題解決の原動力になってきました。最先端の技術を持つ専門家たちと共に取り組むことは、まさに私が入社前から望んでいたこと。理想的な環境で仕事を続けられることを、誇りに思っています」
一方、石川が課長代理に就任して約半年。新たな責任を担う中で、こんな心境の変化も。
「チームメンバーのモチベーション維持の重要性を強く意識するようになりました。たとえば、自分が直接担当できない課題をメンバーに依頼する際、目標達成のための方法論を提案し、それを基に議論することが増えていますが、その過程で予想外の事実が浮上することがよくあります。
そんなときは、『私たちはどのようなゴールをめざすべきか』『どのようなかたちであればお客さまの満足度が向上するか』といった本質的な問いかけを通して、メンバーの潜在的な想いを引き出すよう心がけています。
また、メンバーが納得していない点がある場合は、その理由を深く掘り下げるようにしてきました。『どこに問題があるのか』『どのような解決策を望むのか』をあわせて尋ねることで、メンバーらが自ら望むゴールに、自信を持って進めるようサポートしています」
品質改善のスペシャリストに。マネジメント力を高め、次なるステージへ
品質改善の分野で長くキャリアを築いてきた石川。日産自動車の一員として、品質のスペシャリストとして、めざす姿があります。
「品質改善の道をこれまで歩んできたので、この分野をさらに極めていきたいという強い思いがあります。将来的には、『品質と言えば、石川』と社内で広く認知される存在になることが目標です。
そのためには、お客さまの利益につながる仕事を通して、組織内のプロセスを最適化することが重要だと考えています。品質改善の考え方を社内に浸透させ、組織全体の意識向上に貢献できる人財になりたいと思っています」
これまでのキャリアを振り返り、すべての経験が糧になっていると語る石川。そしていま、次なる挑戦を見据えています。
「これまで自分が得意としてきたパワートレインの品質改善に関しては、技術的な面で自信がありますが、マネージャーとしての知識や考え方がまだ不足していると感じています。これからは、積極的に学びの機会を求め、マネジメント力にさらに磨きをかけていきたいです」
日産自動車の品質を支えるのは、一人ひとりの情熱。さらなる品質向上をめざして。石川の王道なき挑戦はこれからも続きます。
※ 記載内容は2024年10月時点のものです
