品質保証やサプライヤー補償で重要なのは「バランス」。適切で遅滞のない保証をめざして
相良と古橋が所属するTCSX市場品質改善部は、市場での不具合情報を集め、品質改善につなげる役割を担っています。
相良:市場品質改善部の主な役割は、市場で発生した不具合の情報を集め、そこから得られたデータをもとに製品の品質改善を進めること。部門内には、具体的な品質不具合を解決するチームと、不具合が起きた際の補償に関するチームがあります。
私と古橋が所属しているのは保証チームで、私ともう1人のマネージャーが指揮をとり、「適切な保証・修理」と「遅滞のない補償」をめざして日々業務に取り組んでいます。
古橋:私が主に担当しているのは、保証に関する契約ポリシーの策定です。お客さまに提示する保証条件や、他社からエンジンなどの部品を購入する際の契約における補償内容を管理しています。
業務では法務部や営業部のほか、われわれがつくる保証書は自動車の説明書やメンテナンス記録書と一緒にクルマに載せることになるため、アフターセールス部署とも関わります。
相良:私は古橋が担当する保証ポリシーのほかに、サプライヤー補償業務も担当しています。サプライヤー補償とは、品質の不具合が発生した際に、部品を提供したサプライヤーに費用の一部負担を求めること。
基本的には誰も損をせず、利益を得ることもない「ノーロス・ノープロフィットの原則 」をめざし、契約に基づいて交渉しますが、ときには相手の立場に立って考えることも大切。契約通りの対応が相手にとって負担となる場合もあるため、できる限りバランスを取れるように心がけています。
古橋:私も品質保証とコストのバランスを取ることには常に意識しています。ビジネスの基本はコストを最小限にして利益を最大化することですが、コストを下げすぎると品質に影響が出てしまいますし、品質に関しては決して妥協ができません。
とくに昨今は、自動車をめぐる社会環境もどんどん変わっていくため、新型車がリリースされる数年先を見越した保証を考えることが年々難しくなっています。
困難な仕事に向き合いながらも、チームの雰囲気は明るくメンバー同士の仲も良いと言う2人。
相良:多趣味な人が多いので、普段から趣味の話で雑談しています。航空機好きなメンバーがいるので、仕事中にヘリコプターが飛んで来たらみんなで見に行くことも。
古橋:私は入社当初からこのチームにいるのですが、自動車のことが何もわからなかった私に皆さんが本当に丁寧に教えてくれました。相良さんにも、さらにその上の上司にも気軽に相談できるので、とても仕事がしやすい環境だと感じています。
2人とも実家の愛車は「スカイライン」。日産の品質保証チームで出会うまでの軌跡
相良は大学で制御工学を専攻し、設備システムに関わる仕事をしたいと考えていました。大きな工場で大きな設備に携われるだろうと選んだのが、自動車業界です。
相良:父がずっとスカイラインを乗り継いでいたこともあり、日産自動車が最も身近な存在でした。入社後は生産技術本部車体技術課に所属し、試作車の品質活動を担当していました。
その後、TCSX本部の市場調査グループに異動した相良は、品質の内外部の指標目標値設定を担当。さらに2012年には、TCSX本部のプロダクト・クオリティ・マネジメントオフィスで、リーフやエルグランドなどのプロジェクトマネジメントに携わります。
相良:リーフが発売されてから1年半後に大きなマイナーチェンジがあり、その際の新型車プロジェクトを受け持ちました。それまで新型車の経験がなかったので手探り状態の中、設計や生産工場、営業など多くの部署の人たちと連携しながら、どのような改良を加えるかを検討しました。あわせて、既存車に対してのお客さまの意見をどう反映させるかという課題も抱えていました。
同プロジェクトには当時の社内精鋭メンバーたちが集まり、出荷判断会に向けて切磋琢磨していたと相良は振り返ります。
相良:メンバーみんなが「何がなんでも目標を達成する」という強い意志を持って仕事をしていました。私自身はどちらかと言えば流れに身を任せるタイプなので、主体的でエネルギッシュな仲間たちから大きな刺激を受けましたね。
一方、大学時代の古橋は、工学部で水素エネルギーが社会に与える影響について研究。経済への影響や環境の改善効果など、工学部でありながらも文系寄りのアプローチを用いていたと言います。
古橋:自動車業界は今後エネルギー問題と切っても切り離せない業界で、なおかつ社会に対するインパクトが大きいことから興味を持ちました。実を言うと、私の実家も相良さんと同じくスカイラインを愛用していたため、日産自動車が身近な存在として幼いころからありました。「クルマ」といえば「日産自動車」と自然と選んでいました。
2017年に入社した古橋は、TCSX市場品質改善部に配属され保証業務を担当。最初はグローバル補償費用の管理業務に従事しました。
古橋:入社したときから主に保証業務に携わってきましたが、2年間だけ教育ローテーションにより購買部門サプライヤークオリティディベロップメント部に異動したことがあります。そこでは、新規に立ち上げる自動車について、部品のサプライヤー選定に関わり、まったく異なる経験ができました。
私が担当していたのは、複数のサプライヤーに対して品質の評価を行う業務です。エンジニアリング的な知識が求められる場面も多く、部品の構造や製造プロセスを深く理解する必要がありました。
また、市場で不具合が発生した際には、どの工程に問題があるかを突き止め、問題点の洗い出しとその改善活動も担当しました。サプライヤーとしっかりコミュニケーションを取るためには、部品の製造工程や製造方法を一から学ぶ必要があり、とても苦労しました。部署の研修はもちろん、先輩に積極的に質問して知識をキャッチアップしていきました。このときの経験は、現在の保証業務で不具合の分析などをする際に役に立っています。
保証業務は奥深く、新しい発見や驚きの連続。チームでノウハウを共有し、切磋琢磨する
古橋は、教育ローテーションを経て、2022年にTCSX市場品質改善部の保証業務に再び異動。グローバル補償費用の管理業務や販売店への保証監査に従事した後、今年から保証に関連する契約ポリシーの策定に取り組んでいます。
古橋:現在担当しているのは、海外のエンジン製造会社の案件です。契約がすでに締結されていて、これから実際のエンジン製造にともなう費用の請求や運用が始まります。今は、そのオペレーションをどのように構築するかを検討している段階。チームは支払いする側の担当と、請求して回収する側の担当に分かれ、それぞれのオペレーションを円滑に進めるために試行錯誤しています。
エンジン製造会社以外にも、複数社とやり取りが必要なのですが、会社が違えば考え方や文化も違うので、そこをすり合わせながら進める必要があります。たとえば、データの様式ひとつとっても各社で違うので、そこをどうまとめるかが問題。新しいプロセスを生み出すことは非常に大変ですが、その分やりがいがありますね。
一方の相良は現在、サプライヤーの費用処理業務の改善とアウトソーシング化に注力しています。
相良:アウトソーシングを進めるにあたり、まずは自分たちが業務のフローや詳細を的確に理解した上で、どの業務を外部に委託するかを切り分ける必要があります。どこまでアウトソーシングできるか、そしてどの部分は必ず自社で責任を持って行うべきか、その判断が現在の課題です。
また、業務の効率化をめざすためには、無駄を見つけ、非効率な部分をスリム化する必要があると考えています。その上で、将来的にはDXやAI導入も検討していきたいですね。
保証グループ担当となって8年目を迎える相良ですが、いまだ新しい発見や知らなかったことに驚かされると言います。
相良:保証に関する知識を深めていく過程は、非常におもしろいですね。社内では相談できる有識者の数が限られているため同業者で意見交換会を開き、他社の事例を参考にすることも。他社の保証担当者も同じ悩みを抱えているので、相談し合えるとても有益な取り組みだと感じています。
どの自動車会社でも、保証の設定には共通する悩みがあるという相良。たとえば日本では、一般保証期間は3年6万キロが標準ですが、お客さまからは一般保証期間を延長してほしいという要望もあり、海外メーカーでは長期保証を提供するケースも。
相良:お客さまの想いに応えたい気持ちはありつつも、保証サービスの担保を考えると延長は簡単ではありません。お客さまもメーカー側も納得できる、適切な保証条件を設定するのは難しいポイントですね。また、保証の仕事は裏方なので、人々にはあまり見えません。仕事の重要性を周囲に理解してほしい気持ちはありますが、利害関係もあるため大っぴらに話せないのが悩みです。
古橋:私も、日産自動車に入社するまで保証という領域の仕事があることを知りませんでした。そして相良さんと同じく、常に新しい発見があることに、この仕事の難しさと奥深さを感じています。
たとえば先日は、ディーラーで部品交換を行う際、整備士の作業に対して支払われる費用や時間単価が国によってまったく異なることに驚きました。査定のロジックも非常に複雑で、日々新しい学びの連続です。そうして蓄積した知見やノウハウは、チーム内で共有することが大切。
チームのミーティングでは、決められたテーマについての議論や事例紹介をすることもあります。1人で悩んでも何も解決しないので、日々メンバーと意見交換しながら業務を進めています。
社員の想いに耳を傾け、チャレンジを後押ししてくれる環境で一緒に成長したい
今年から新たに保証の契約やポリシーの決定を担当するようになった古橋。今後の意気込みを次のように語ります。
古橋:まずはこの領域の知識を増やし、実務をしっかり回せるように力をつけていきたいですね。そして保証領域で自分の専門性を磨く中で、何か興味のある分野が見つかったら、他の領域にも積極的にチャレンジしたいというのが中長期的な目標です。
一方の相良は、マネージャーとしてチーム全体が進む道を見据えています。
相良:今、チームには20〜30年の経験をもつスペシャリストが多くいますが、彼ら彼女らが定年を迎える時期が近づいています。そのため、新たなスペシャリストを育てる必要がありますが、同じように長い時間をかけて教育する猶予はありません。
そこで、今いる専門家の知識を標準化し、誰でも対応できるようにすることがチームとしての大きな課題。ただし、システム化によりブラックボックス化するリスクもあるので、知識を伝承し、書面で残しながら運営の平準化を進めたいと思っています。
そんな2人は、日産自動車という会社の魅力を次のように捉えています。
相良:日産=厳格なルールのある企業というイメージがあるかもしれませんが、実際には社員がやりたいことに対してはチャレンジを後押ししてくれる環境があります。
たとえば品質保証の業務で言えば、ある国で保証条件を延ばす提案をして、その理由や妥当性をしっかり説明した結果実現したという事例もあります。熱意ある社員の意思や想いなら、汲んでくれる会社だと感じますね。
古橋:たしかに私も昨年度までは別の業務を担当していて、上司に「そろそろ他の業務も経験してみたい」と伝えたところ、今の契約関連の仕事を担当させてもらえることになりました。もちろんすべての希望が叶うわけではないですが、社員の声をしっかり聞いてくれる社風だと思います。
また、高い専門性を持った社員が多いことも日産の魅力のひとつ。購買部門を経験したときには、サプライヤーの工程改善に関してさまざまな知見やノウハウをもった人たちにとても助けられましたし、「この領域のことならこの人に聞けば大丈夫」という方が各部署にいます。そういう人材が集まっているからこそ、魅力的なクルマをつくれるのだと感じますね。
市場品質改善部について「会社の中でも決して目立つ部署ではないものの、非常に重要な役割を担っている」と口を揃える2人。最後に、今後一緒に働きたい人物像について語ります。
古橋:私は自分の「軸」をしっかり持っている人と一緒に仕事がしたいですね。その軸には、その方の人となりや考え方が反映されていて、そこが個性や強みになるはずですから。日産には、お互いに「軸」を尊重し、刺激を受け合いながら高め合う環境があるので、ぜひそういう方たちと一緒に私も成長していきたいと思っています。
相良:私は、いろんな業務に興味を持ち、前向きに取り組む姿勢をもった方に来てほしいですね。自動車メーカーには本当に多種多様な仕事があり、どれかひとつが欠けても成り立ちません。
自分の担当外の業務でも、いったんは興味をもって学ぶ姿勢が大切ですし、その経験が必ず成長につながります。新たな挑戦を怖がらず面倒がらず、楽しみながら取り組める人と一緒に働きたいですね。
※ 記載内容は2024年9月時点のものです

