お客さまを守る、品質を守る。故障の原因究明と対策を確実に行い、再発を防ぐ
金崎と中山が所属するTCSX 品質保証部のミッションは、お客さまの安全・安心を最優先に日産自動車株式会社(以下、日産自動車)の品質を保証すること。安全法規に関わる部品の故障を扱い、お客さまが所有する自動車が不具合を起こした場合には指揮を執ってすみやかに情報を収集し各所に展開しています。
金崎:故障に関連する情報をもとに、研究開発部門(以下、R&D)や生産部門(以下、生産)といった、ものづくりを担う部署と連携し、原因究明と対策を依頼します。生産中の自動車であればすぐさま改善を施しますし、同様の故障がほかの自動車にも起きる可能性があると判断した場合にリコールなどの実施を決定するのも品質保証部の役割です。
また、リコールの実施に必要な、修理方法の決定、交換部品の準備、官公庁への届出業務なども私たちが行います。
中山:リコール実施の判断に加え、故障の責任の所在を明確にすることや再発防止に取り組むことも品質保証部の大切な仕事です。自動車はさまざまな部品から成り立っているため、品質保証部では機能別に担当に分かれて業務を進めています。
部長として品質保証部を率いる金崎。一方の中山は自動化や自動運転技術に関連する電子電装部品の担当としてミッション遂行に努めてきました。
自動運転や運転支援のシステムなど、日々進化を続ける自動車技術。それに応じてお客さまからの要望も高度化する中、金崎には心がけてきたことがあります。
金崎:絶対に事故を起こさないクルマをお客さまは望まれますが、どんなに技術が進歩しても事故発生確率を0%にすることはまだまだ困難です。だからといって「できません」と開き直るのではなく、『この点に注意いただければ、限りなく0%に近づけられます』といった対話をお客さまと重ね、われわれの技術とお客さまの期待値とのギャップを埋めていくことがR&Dとお客さまの間に立つわれわれの役目だと思っています。
他方、中山が実感していると言うのが、ニーズの多様化とスピードの重要性。次のように続けます。
中山:われわれのビジネスの対象国が広がるにつれ、お客さまのニーズが多様化し、各国の品質に対する価値観を踏まえた対策が求められています。それを実現するためには、海外拠点からの情報をタイムリーにキャッチアップすることが不可欠。また、海外拠点で同じ品質保証業務を担当しているメンバーの育成体制を整え、グローバルに連携し、スピーディーに対応をする必要性を感じています。
北米関連会社への出向。異なる価値観や考えを受け入れ、最適解を見つけていく
1994年に日産自動車に入社した金崎にとってキャリアの原点となった経験があります。入社2~3年目に日産サニー石川販売(現日産プリンス金沢)へ出向したときのこと。自動車の販売や点検を行いながら、お客さまの声を本社に届ける役割を務めていました。
金崎:われわれが自動車を販売していて一番うれしいのは、注文いただいた瞬間。一方、お客さまが一番喜びを感じるのは、納車日。そこにギャップがあることに気づいてから、お客さまの気持ちにもっと寄り添いたいと思うようになりました。納車時に時間をかけて機能を説明したり、ポラロイド写真を撮影してお客さまにプレゼントしたり。いまもお客さまに対応する際は、お客さまの気持ちを最大限考えて行動するようにしています。
また、金崎は2014年から北米日産自動車に出向。そこで仕事に向き合う姿勢のギャップを体感します。
金崎:日本人は完璧主義でどこまでも要求に応えようとしますが、北米の社員からは『これで十分』と言ってのけます。最初は手を抜いていると感じましたが、生産される自動車の性能がしっかり担保されているのを見て、驚きました。
日産は昔から海外拠点に権限移譲が進んでいることから、多様な価値観や意見を素直に受け入れながらお互いの良いところを持ち寄って最適解を見つけていく大切さを学んだと思います。その過程において英語力は関係なく、気持ちを込めて伝えることが大切だということも学びましたし、こういう海外と日本の架け橋になる仕事にチャレンジできたのは良い経験になりました。
2007年に日産自動車に入社した中山も、2016〜2019年まで北米日産自動車への出向を経験しています。
中山:海外スタッフの育成を担当したのですが、価値観も文化も違う彼ら、彼女らをどのようにモチベートしながらアウトプットを最大化するかに苦労しました。心がけていたのは、指示をするのではなく、『僕はこうしたいけど、君はどうしたい?』と対話型のコミュニケーションを徹底すること。その上で、チームとして達成したいことを共有してメンバーに任せることにしました。このときの経験から、多様な考えを許容する柔軟な考え方が身についたように思います。
また、 これまでエンジン部品やシャシーなどの足廻り部品など、メカニカルな世界の製品の品質保証に従事してきた中山。2019年からは電装部品を担当し、まったく異なるエレクトロニクスの世界に足を踏み入れ、最初は戸惑うことも多かったと言います。
中山:たとえば、開発の歴史が長いエンジンやシャシーの分野では当たり前に行われていることが、電装の分野ではほとんど知られていないケースがありました。これまで分野間でコミュニケーションする機会が少なかったので仕方がないのですが、『電装では○○について行わないのですか?』と素朴な疑問をぶつけると、『詳しく教えてください』とハッと気づいてくれることも。
ものづくりに携わる人間はなぜ不具合が起こるのか、皆答えを探していて、そんなときに違う視点からの疑問を投げることで解決に至ることもあります。情報共有が決め手となって、ものづくりのレベルが向上したと感じることが少なくありません。
さまざまな立場の人の気持ちを理解して。お客さまの架け橋となる存在に
金崎には以前、実際にものづくりの現場で品質を改善する仕事に就きたいとの思いから、自ら希望して工場で勤務した経験があります。
金崎:たとえば、部品Aではなく部品Bを誤って取り付けてしまったことが故障の原因になった場合、当初は部品Bに白いマークを付けて注意喚起を行っていました。そこからさらに一歩踏み込んで、R&Dと製造が一体となり、部品の穴自体の位置を変えることに。そもそも部品Bを取り付けられない仕様に変更しました。これによってミスを未然に防止することができただけでなく、管理工数の削減にも成功。R&Dと生産が一体となって品質改善することの大切さを学びました。
そして組織経営の中核を担うポジションとなったいま、品質保証部が果たすべき役割について金崎はこう話します。
金崎:対策を講じるのが難しいとわかっていても、お客さまの代弁者としての態度を貫かなければならない場面があります。これまでの経験から、さまざまな立場の人の気持ちが理解できるため、海外拠点と日本の架け橋になったり、社内の各部署間の調整役となったり、『つなぐ』ことが私の役割だと気づいてからは、難題にも躊躇せず挑めるようになりました。
お客さまの代弁者として課題解決を推進することは自動車業界に限った話ではないので、別業種でお仕事されている方でもきっとやりがいを持って取り組んでいただけると思います。
お客さまの安全を守るため、日産自動車として社会的責任を果たすためには、時にリコールという重大な決断を行うことも。その重大任務を果たす立場にあることに、中山は責任とやりがいを感じていると言います。
中山:自分の意見を上司に投げかけて最終的に承認してもらえたときは、会社にとってもお客さまにとっても、また第三者視点から見ても理にかなった結論だとお墨付きを与えられたような気がします。お客さまの安全を守り、ニュースにも取り上げられるほど社会的影響が大きいリコールの実施を行うのが品質保証部の使命。プレッシャーと同じだけの達成感があります。
一方、世界中で日産自動車のバッジを付けている自動車は何千万台と走っていますが、自動車の不具合は、その所有者であるお客さまにとっては1分の1。100%の確率で不具合が起きたことになります。そう肝に銘じながら、つねにお客さま第一で仕事に取り組んでいます。
再発防止のための最後の砦。未来のお客さまに不具合を経験させない
ともに品質保証部でマネジメント職に就くふたり。課長に昇格して2年目を迎え、自身の視野が広がっていると中山は言います。
中山:何をするにも、『会社としてこれが本当に正解だろうか』と意識するようになりました。また、お客さまの安心・安全なカーライフを追求する立場として、自分たちなりの信念や一貫性のある考えを持つことも必要です。他部署と意見が一致しないときは、対話によってギャップを埋めていくことを心がけています。
一方、部長として品質保証部を率いる金崎。日産自動車のリコール実施を決断する重責を担う立場でありながら、常にメンバーの働きやすさに気を配ってきました。
金崎:部内の決定事項や問題に対する責任はすべて私が背負います。その代わり、メンバーたちには日々お客さまの安全を守る仕事に集中してほしい。メンバーから相談を受けたときに心がけているのは、何か必ず方針を出してあげることです。部内にはさまざまなバックグラウンドを持つメンバーがいますのでいろんな意見が出て、導き出した案が最適なのかメンバー自身が不安に思っていることが多いです。
でもすぐにアドバイスや解決策を示すことで、メンバーが安心して仕事に臨めるように心がけています。一方で、品質改善活動には終わりはなく、決まった成功パターンがあるわけではありません。さまざまな意見を交わし方針を決めていく上で、自分も毎日アップデートされている気持ちになります。
共に日産自動車で品質保証の仕事に携わることを誇りとするふたり。それぞれの抱負を語ります。
金崎:われわれが先頭に立ってR&Dや生産に働きかけ、再発防止の体制強化をさらに進めていきたいです。起きてしまった故障や不具合の広がりを防ぎ、未来のお客さまの安心・安全を守っていけるのはわれわれだけ。『この対策によって、何人のお客さまに安心・安全を届けられるか』と考えながら仕事に向き合っていると、大きなやりがいを感じます。
会社組織では自分の仕事の領域に目が行きがちですが、お客さまの気持ちになって広く日産全生産工場や、自動車部品全般へ同種の故障が発生しないようにする取り組みを推進することがわれわれの役割だと思います。
中山:グローバルな組織力を強化し、お客さまが不具合を経験する確率を限りなくゼロに近づけたいです。日産自動車は、チャレンジの機会をたくさん与えてくれる会社。『自分はこうしたい』と上司に提案すれば背中を押してくれます。未来のお客さまに不具合を経験させない。その気持ちで新しい取り組みに果敢に挑戦していきたいです。
誰もが安心して自動車を利用し、快適なカーライフを送るために。品質保証部は再発防止のための最後の砦として、仕事への誇りを胸にお客さまの安心安全を守り続けます。
※ 記載内容は2023年9月時点のものです
