お客さまの声を扱う、希少な部署。現在〜次世代の車作りに反映させていく
今が所属するTCSX(トータルカスタマーサティスファクション本部)国内サービス部は、日本国内の日産自動車の満足度を守る部署。販売会社やお客さまとコミュニケーションをとって、製品・サービスの品質を追求します。
今 「国内サービス部の仕事は、お客さまのお話を伺うところから、実際に物理的な改善を導入するところまで多岐にわたります。中でも私が所属しているのは、品質情報グループ。アンケートや直接の相談を通して、当社の製品・サービスに対するお客さまのご意見をまとめ、集めた情報を社内に伝えて改善に活かしていきます」
今が日々向き合う情報源はふたつある。ひとつは国内サービス部が設けているお客さま相談室に寄せられるご意見やご相談。そしてもうひとつは、日産自動車の車を買ったお客さまにお送りしているWeb上のアンケート。多くのお客さまからの生の声を、現行、そして次世代の車作りに反映していきます。
今 「たとえば、車には運転席の左側にセンターコンソールという物を入れられる肘掛けがありますが、ある車種に対して『形状が独特で使いにくい』という声が多く寄せられたのです。
ただし、同じご意見であってもお客さまの言葉の粒度は千差万別。単に『開けにくいから改善してほしい』というご要望もあれば、『○○が入らないからこういう形状に変えてほしい』という具体的なご意見もあります。
それらをそのままものづくり側に渡すのではなく、ものづくり視点の言葉に変えたり、お客さま視点の改善案を加えたりしてパスする──そこが一番必要なスキルですし、大事にしている部分です」
言わばお客さまと開発現場をつなぐ「橋渡し」のような役割を担う今。メインの業務とは別に、お客さまの声を社内に展開するためのシステム開発も行っています。
今 「私たちのお客さま相談室には、年間20数万件ものお問い合わせが寄せられます。約9割は質問ですが、残りの1割は厳しいご意見やご要望、ときにはお褒めの言葉をいただくことも。それらは車作りの参考やモチベーションになるので、社員が気楽にアクセスできるプラットフォームを整備しています。
もともと同様の簡易なWebサイトはあったのですが、より使いやすいように内容を刷新しようとしています」
お客さまの生の声を扱うことに、今は喜びとやりがいを見出しています。
今 「私は日産自動車に入社してもう10年ほど経ちますが、お客さまの生の声を扱える部署というのは、ほとんどないように思います。毎日生の声に触れていると、徐々にお客さまの気持ちになってきて、『このお客さまの声を、社内に届けたら日産がもっと良くなるな……』という感情に突き動かされる日々です。
品質保証に留まらない、日産ユニークな品質改善に惹かれて入社を決意
大学では工学を専攻していた今。就職活動のときは、工学系の知識を活かせる、かつ日本が世界に誇る産業ということで、自動車業界を志望しました。
今 「いろんな自動車メーカーを見た中で最終的に日産自動車を選んだ理由は、風通しが良さそうだったのと、ものづくりへの柔軟でユニークな姿勢が垣間見えたからです。いい意味で日本的ではないと言いますか、グローバリゼーションされたスキルが身につけられるかなということで日産自動車を選びました。
中でもとくに私が惹かれたのは、TCSXという部署の存在です。品質保証という名がつく部門はよくあるけれど、品質を保証するだけでなく、品質改善をする部門があるのはおもしろいなと。そこにも日産のユニークさを感じました」
深く調べていくうちに、今は「TCSXが自分の性格に合うのではないか」と感じます。
今 「実は私、同じことを繰り返しやるのはあまり好きではなくて……。職人的にこだわってものづくりをするよりも、トレンドや顧客の声を取り入れて課題をどんどん改善していく業務がおもしろそうだと感じる人間なんです」
2013年に入社した今は、希望通りTCSXで活躍できることになりました。
初任配属は市場品質改善部で、電装部品の品質改善業務を担当。主な仕事は、お客さまの車に実際に不具合が起きた際、部品を回収して調査にかけ、原因を調査することでした。
今 「車についての知識は人並みには持っていたものの、中身がどうとか、どう壊れたからどう直すという話になると、やっぱり知識がなくて。基礎から勉強を重ねました。
しかも調査などの実作業は、さまざまな分野での経験を得てきたスペシャリストであるベテラン社員にお願いする必要があり、緊張感がありましたね。ただ、ベテラン社員の皆さんは、私が知りたいことを勉強できる環境を与えてくれました。おかげで学びが深まって、次第にさまざまなタイプの不具合に対応できるようになりました」
振り返ってみれば、ファーストステージが「現場」だったことは、キャリアに好影響を与えていると言う今。
今 「当時の私は、1個の部品が壊れた理由を調べるという細かい仕事をしていました。次第に年次が進むにつれて、木を見ていたところから森を見るような感じで、視野が全体に広がっていきます。いきなり全体を見るのではなく、1個ずつの不具合発生メカニズムがどんなものなのかをわかった上で全体を見られているので、良かったなと思うんです」
知識の裾野が広がったことで変わった視野。全体感が掴めるように
経験を積んだ今は、2016年には車両生産部門へと異動。新車生産品質車両担当として、世の中に出る前の車の生産品質に携わります。設計図面通りに作れるのか、きちんと走行できるのか、生産の観点で品質と向き合いました。
今 「世の中に出る前の段階の品質保証は、新鮮でした。それまでは発売されている車ばかり見ていたので、品質が高い状態の商品しか見たことがなかったんです。でも新車生産品質車両担当をしていると、とくに試作直後などは完成度にばらつきがあることがわかるようになりました。そこからお客さまの目に触れるまで、いかにしてクオリティを高めるかが勝負でしたね」
今の仕事はこのタイミングで、グローバルに広がっていきます。
今 「全大陸を制覇できたんじゃないかなというぐらい幅広くグローバルな車種を担当しました。日本、インド、スペイン、アメリカ、南米、そして南アフリカ。当然ですがマーケットが違うので、求められる車の要件も異なります。
たとえば日本はどの道路もアスファルトですが、アメリカはコンクリート舗装が多いし、ヨーロッパではいまだに石畳があります。道路の事情に合わせて、理想の車は変わります。ほかにも、日本国内のお客さまは見た目のきれいさをすごく大事にする。でもアメリカでは長時間走っても疲れないとか、異音が出ないとか、堅牢性や乗り心地の方に重きが置かれます。携わる国が多かった分、本当にいろんな国の価値観に触れられました」
濃密な2年間を過ごし、今は2018年に初任配属先だった市場品質改善部に戻ります。そして、今度はドアやサンルーフなどの車体部品を担当することに。
今 「前部署で新車の品質改善を担当していたとき、品質のばらつきや不具合が一番出やすいのが鉄製のコンポーネントだったので、そうした経験や知識を見込まれたのかもしれません。また、ハンズフリードアについては、電装の知識を活かせましたね」
入社当初は、ごく一部に視点を置いて目の前のことに必死で取り組んでいた今。知識の裾野が広がったことで視野が広くなり、全体が見えるような感覚を得られています。
「品質改善に王道なし」。日々新しい潮流に乗って、試行錯誤を続けていく
こうして今は2019年に、現在所属している国内サービス部に異動。お客さまに向き合う仕事をする上で、大切にしていることがあると話します。
今 「私は性格上、ひとつ難しいこと・困ったことがあると、段々視野が深く狭くなってしまうところがあるんです。視野が狭くなると判断基準を失い、自分もつらくなってしまいます。
そういうときにいつも思い出すようにしているのは、『私はお客さまと最前線で関われる部門にいるんだ』という意識。会社にはコストや納期などいろんな問題がありつつも、大事な軸は、やはりお客さまを喜ばせること。そこをブレないようにすることで、自分の中で1本幹を通し、堂々と仕事ができるようになります」
お客さまと最前線で向き合う今の強い原動力──それは「日産自動車を世界で1番の自動車メーカーにしたい」という想いです。
今 「日産の先進技術がすごいというのは私が生まれたぐらいから言われていることで、『技術の日産』という言葉も脈々と現場に引き継がれています。今はそれを揶揄されるシーンもあるのですが、できれば自分のいる世代が日産自動車の持っている力を最大化し、【世界で1番の自動車メーカー】といえば【日産自動車】と思われるような地位を築き上げたいです。
1番をめざすためにはいかに最先端技術を駆使するか、いかに新しい車を作るかという点がフィーチャーされがち。しかし、カスタマーサティスファクションも、1番になるための要だと今は語ります。
今 「結果を出すには、お客さまにご満足いただかなければなりません。そのために不具合を改善したり、またはご要望を捉えて解決したり、状況に応じた品質改善に取り組んでいきます」
お客さまの期待に応えるためには、本拠地である日本の考えややり方に固執せず、各リージョンとセッションし、最適解を探ることも大切にしていると言う今。とくに昨今変革が進む自動車業界ではスピード感が求められるため、各拠点で情報共有し、良い施策は取り入れていくことも必要だと考えています。
今 「大事なのは、あくまでお客さま視点で、日産自動車は何ができるのかを考えることです。
昔から先輩によく言われたのは『品質改善に王道なし』という言葉。お客さまの期待も、そこに向かうためのやり方も、王道が確立されているわけではありません。だからこそやり方を進化させながら、日々新しい潮流に乗って、試行錯誤を続けることが大事なんです。
日産自動車がその試行錯誤を先導し、可能性を開拓していきたい。日産自動車を、自動車業界のフラッグシップになるような会社にしていきたいと思っています」
お客さまに満足いただく。シンプルであり、だからこそ難しい課題に最前線で取り組みながら、今は「1番」をめざして走り続けます。
※記載内容は2023年3月時点のものです。

