幼いころから外車に触れ、車好きに。電動車開発への期待を胸に、憧れの日産に入社
学生時代に学んだことが、そのまま仕事に活きている。尾﨑はまさにそれを体現しています。
尾﨑 「大学では機械システム工学を専攻し、伝熱工学をメインに学んでいました。トヨタ プリウスのハイブリッドシステムがヒットし、クルマのドライブトレインに変化を感じ始めていた矢先、日産が世界初の量産電気自動車『リーフ』を発売。このジャンルで自分が勉強してきた機械や熱関連の技術が活かせないかという想いがあり、日産への入社を志望しました。
父親が外車輸入系のディーラーに勤めていて、いろいろな車を目にしていたことがきっかけで、昔から車好きだったことも理由のひとつです。なかでも、GT-RやフェアレディZといったスポーツカーに興味がありました。日産は今後も多方面で車の価値を見出してくれる会社だという信頼感がありましたし、車好きとしてここで働けたら楽しいだろうなという想いもありましたね」
念願の日産に入社後は、EV充電器の先行開発部署に配属になった尾﨑。自身が持つ知識や技術を紐づけられる部門への配属となりました。
尾﨑 「得意とする分野に携われたとはいえ、難しい点も多々ありました。先行開発部署は、数年先のプロダクトを扱う製品開発部署よりもさらに先の、新しい技術や新価値を扱っているからです。商品の安全性や実用性、信頼性を担保するには、地道な設計検討の積み重ね。
さらに、それらの技術検討が成り立っても、コストが見合わなければ、製品開発の土台に載れず販売には至りません。なかなか思うようには進まないことが多くありました」
入社早々、先行開発の難しさや厳しさを痛感した尾﨑でしたが、この経験が自分にとって大きな飛躍点となったと感じています。
尾﨑 「コア技術に直に触れられたことが、何よりの収穫だったと感じています。もしも製品開発部署に配属になっていたら、社内の開発の仕組みを知ることでエンジニアとしての成長は速かったかもしれません。一方で製品開発部署は忙しく、たとえば電気や機械、制御、磁場……といった原理原則に基づいた基礎技術的な部分は、エンジニア個人としては深堀りしきれず、消化不良のまま進んでしまうことも多いんです。
重要な基礎部分に向き合い、どの部分をどう判断していけばいいか考えながら先行開発に携われたおかげで、後に携わることになった技術難易度が高いプロジェクトでも、できる・できないのジャッジが、より広く深い視点で下せるようになったのだと思います」
思想も違う。設計も違う。多様なメンバーで共同開発を行うおもしろさと難しさ
EVの充電システムに携わった後は、強電部品設計、そして強電バッテリ設計へとフィールドを移しました。もっとも印象に残っているのは、他社との共同開発案件です。
尾﨑 「会社が違えば思想も設計の仕方も違います。ひと言で『安全』や『信頼性』と言っても、それらをどう捉えるかはそれぞれ。そのなかで、どうやって一緒に部品開発を進めていくかは手探りでした。
とくにバッテリ開発が印象的でした。限られたスタッフ、リソースの中で、各自経験も得意とする部分も違う。ですが、適材適所、各自の強みがうまくハマり、結果として仕事がうまくまわったという貴重な経験ができました」
当時、まだ若手と言われる社歴ながら、先陣を切ってプロジェクトを進めていく役割を任されていた尾﨑。ゴールにたどり着くまでには、会社間、部署間、それぞれ立場が違うメンバーとだからこそ、苦労した点も多かったと言います。
尾﨑 「それぞれ会社や部署を背負って参加しているわけなので、大きな責任がありますよね。自分の立場では、ここまでは保証できます。でも、それ以上の部分は意見できません、といったことも当然生じてきます。でも新しい価値を作ろうとするとき、自分の責務を全うすることばかりにとらわれてしまうと、それは生み出しづらくなってしまいます。オープンディスカッションが必要なんです。
もちろん、最初からオープンに考えてくれる人はなかなかいないので、どうやって話を進めて、マインドを揃えていくかが難しかったですね。達成したいことと、そこに到達するまでのビジョンを伝える。ピュアな設計だけでなく、人がやる以上は意思統一や、何かズレが生じたとき、その都度の微調整も重要だということがよくわかりました」
難しくも学びや気づきの多い日々を重ねた尾﨑。その過程で、製品を世に出すことの難しさと喜びを初めて実感します。
尾﨑 「車の性能、信頼性、安全性……。あらゆるものを満たすため、車両、システム、部品それぞれの階層で最適解を出し、コスト面も加味しながら、開発に向けた具体的な提案につなげていく。これは大変なことですが、やはり技術力が軸になりました。そのため、自主学習はもちろん、勉強会や技術発表会に参加したり、周囲のメンバーにも助けてもらったりといろいろアクションが必要でした。
ただそんな大変さの中でも、自分の提案が紆余曲折を経て製品につながっていく。つながらないものもたくさんあった中で、携わったものが世に出たときには格別な想いがありました。また、製品化につながったものも、つながらなかったものも含めて、すべてが刺激的な経験になりました」
日産という会社を背負う責任感と使命感に萎縮せず、楽しみながら立ち向かう
さまざまな経験を積み重ねてきた尾﨑。現在所属しているのは電動パワートレインの部品戦略チームです。これまでの仕事の流れから劇的に変化した部分がありました。
尾﨑 「今までの設計畑だと、上から降りてくる要望をどう料理するか?といった部分がありました。ところが、部品戦略となると、『こういう技術が今度出てくるから、こんな価値をプラスした車が作れますよ』という提案もできる。つまり、下流から上流に積極的に提案していけるんです。
当然、部品だけでは実現できないので、部品の仕様や体格、配置決めはもとより、それに付随する車両性能やシステム設計のメンバーも交え、一緒になって考えていきます。世の中のトレンドを把握しつつ、これまで自分たちが積み上げてきたものを融合させて、どんな車が作れるのか。そんな未来像を描けることは、車好きとしてはたまらなくおもしろい点です」
ここで活きているのが、これまで尾﨑が在籍していた部署での経験です。
尾﨑 「システム視点の考え方やシステムと部品の間での技術の調整、さらには、これまで一緒に仕事をしてきたエンジニアの方々との人脈。環境が違う人とも積極的にコミュニケーションしてきたからこそ、今の仕事がやれているのかもしれません」
設計から戦略に軸が変わった今、尾﨑はさらにおもしろさを感じています。
尾﨑 「5年後10年後の車をイメージし、それを設計に落としていけることは、ものすごくワクワクしますね。もっと大きな視点で言うと、地球温暖化やSDGsが叫ばれる中で、日本以外のOEMや政府の勢いもものすごく感じます。
たとえば欧州出張に行けば、街中の充電器の多さに驚かされますし、もっと言うと、EVだけがソリューションじゃない。世界の電動技術を肌で感じながら、じゃあ日産としてはどんな車作りができるのか。方向性を間違えてしまうと、会社やステークホルダにまで影響する可能性がありますから萎縮してしまう部分もありますが、反対にある種の使命感ややりがいも感じています。日々楽しみながら関わっています」
真面目に、ひたむきに。技術を高めてチャレンジを続け、未来の車作りに携わる
これまでに携わってきた仕事を振り返り、あらためて尾﨑が感じていることがあります。
尾﨑 「日産のモノづくりって、技術に真摯で真面目。品質を本当に大切にしようと努めますし、自動車の電動化が急速に進んでいく時代の中で、確かなモノづくりができる環境は、この会社の強みです」
日産の環境について、尾﨑は次のように続けます。
尾﨑 「海外との関わりが多い点も魅力ですね。ルノーのエンジニアをはじめ、他にも海外のサプライヤーさんに日本に来てもらって、いろいろな話が聞ける機会もたくさんあります。希望すれば海外での仕事のチャンスも多く存在しています。そのために必要な勉強は徹底的にしなくてはいけませんが、本当にやりたいと思ったことは、経験させてもらえます。大変ですが、やりたいことにチャレンジできる、良い会社の風土だと思います」
尾﨑は未来に向けて、明確なビジョンを描いています。
尾﨑 「もっともっと世界のトレンドに詳しくなっていきたいです。電動化、EV、ハイブリット車。世の中のニーズを鑑みて、どのように車作りを進めていけばいいのか、どうあるべきか、より解像度を高めていきたいですね。
自分自身としては、さらに技術を高め、わからない領域も学びつつ、”最先端”に対する答えが出せる。そんな技術者になりたいです」
100年に一度の変革期と言われる自動車業界において、電動化技術の先駆者として品質に向き合い、挑戦を続ける日産。そこで働く尾﨑もまた、自動車の電動化の一翼を担う存在としてひたむきに車作りに向き合っています。チャレンジし続けた先に、新しい価値を見出せることを期待しながら。
※ 記載内容は2023年6月時点のものです
