関わる全員にリスペクトしながら──成長分野のソフトウェア開発に従事する日々
湯原が所属するのは、電子技術、システム技術を開発する部門において、自動車の先進運転支援機能に関わる内製ソフトウェアの開発を行う部署です。
湯原 「具体的な技術面で言うと、この部署で行っているのは、プロパイロットや360°セーフティアシスト(全方位運転支援システム)などの先進運転支援機能の量産車向けソフトウェア開発。業界用語では、CASE(※)と言われる、現在も成長を続ける分野です」
内製ソフトウェアを開発する本部署は、2017年に新設された部署。社内の他の部署に比べるとキャリア採用入社の社員が多いのが特徴です。そのため、在籍するメンバーも、電機メーカー出身の湯原をはじめ、車載関連のエンジニア会社出身、スマートフォンアプリの開発を行うIT会社出身のメンバーなど、さまざまなバックグラウンドを持っています。
湯原 「部署のメンバーは30名ほど。業務では、そこに協力会社の方が加わります。私はアシスタントマネージャーなので、部署のメンバーや協力会社と一緒に進めるソフトウェア開発のプロジェクトを管理したり、マネージャーのサポートを行ったりする立場にあります」
プロジェクト管理を任せられる立場として、委託先やチームメンバーなど会社を超えて多くのソフトウェアエンジニアとも関わる湯原。仕事で最も大切にしているのは、エンジニアをはじめとする、関わる人全員へのリスペクトだと言います。
湯原 「たとえば、業務のなかでも、私は委託先やメンバーの仕事を評価する機会が多くあります。その際、何も意識をしていないと、できている点よりも、改善すべき点に目をつけてしまいやすいです。
しかし、改善すべき点に偏った評価では、メンバーや委託先の方々は『評価されていない』と感じ、モチベーションをなくしてしまう場合もあります。それでは、良い関係も築けません。
ですので、改善すべき点ばかりでなく、良かった部分も合わせて伝えることで、相手の仕事へのリスペクトの気持ちを表すようにしています」
※「Connected:コネクテッド」「Autonomous:自動運転」「Shared & Service:シェアリング・サービス」「Electric:電動化」の頭文字をもとにした造語
安全に関わるからこそ求められる高い品質。その管理に活きる前職の経験
実は、湯原にとって自動車業界は初めての領域。前職では電機メーカーでデータセンター等に使用されるサーバー製品の開発を行っていました。
湯原 「開発の中でも担当していたのは、ソフトウェア開発に近しい、ファームウェアの開発。具体的には、サーバー起動時の自己診断機能や障害監視機能の部分です。またソフトウェア開発エンジニアとして、要件定義やアーキテクチャの設計を行う上流工程から、実装やテストを担う下流工程までを経験しています」
そこで6年ほど経験を積んだ湯原。転職を考え始めた当時は、「最先端のソフトウェアテクノロジーに触れられて、エンジニアとして成長できること」を軸としていました。その軸に当てはまったのが、自動車業界でした。
湯原 「私が転職した2017年頃から、自動車業界全体がソフトウェアのエンジニアを求め始めた時期でした。そして業界のなかでも、日産自動車は、CMなどで自動運転に関わる最先端の技術を世に出しているイメージがありました。
加えて、当時の私はグローバルな視点にも注目しており、フランスの自動車メーカーであるルノーとのアライアンスを結んでいる点も日産自動車への興味が強くなった要因の一つ。これらの点を踏まえて、エンジニアとして成長できる環境だと思ったのです。
また、日産自動車の開発本部は神奈川県。関東圏を希望していたので、勤務地の面でもマッチしていました。そういった条件を総合的に判断し、入社を決めました」
まったく異なる業界へ飛び込んだ湯原は、入社当初、業界の違いでギャップを感じることになります。
湯原「CASEという成長分野としての特性上、新たな機能がつぎつぎと開発されていくため、リリースする期限が決まっている開発の途中でも機能変更を織り込んでいく必要があります。そこにフィットするのには苦労しましたね。
また、私たちは安全に関わる先進運転支援機能の領域を担当しています。そのため、求められる品質要求が非常に高いことが前職とのギャップとしてありました」
一方で、求められる品質の高さは、湯原の前職の業務が活かされる部分でもありました。
湯原 「前職の品質管理手法ではソフトウェア開発を行う前に、開発工程ごとにどのくらい不具合が生じるかを織り込んで事前予測を立てるというもの。そうすることで、開発後の不具合が予測と比べて少なかった場合に、テストは足りていたのか、検出されるべき不具合はしっかり見つかっているのか、と根拠をもって振り返れるのです。品質を高める上で、この経験が今の日産自動車でも活きていますね」
新たなテスト手法の導入でリードタイムを短縮へ。グローバルな環境で感じるやりがい
湯原が日産自動車への入社後に取り組んだ挑戦の一つとして、「開発テスト手法の改善」が挙げられます。機能開発の進歩が速い領域での開発プロセスの課題を感じたことが、それに取り組んだきっかけでした。
湯原 「私が入社する前くらいから先進運転支援機能に関わる開発の進歩の速度と、その機能を搭載する自動車の数が急拡大している状況でした。
その背景として、日産自動車の市場がグローバルに展開されており、そもそもの自動車の生産台数が多いことが挙げられます。その上、国ごとに法規や自動車のアセスメントが異なってくるため、ソフトウェアでも求められる要求は各国さまざま。それに合わせて開発するため、機能のバリエーションは増えていく一方なのです。
その流れに対して、当時の日産自動車の開発プロセスには、効率面では改善の余地がありました。そこで、ソフトウェア開発において、ソフトウェア品質を確保しながら、開発効率化を加速させる CI(Continuous Integration)という、開発テスト手法の適用に着手しました」
CIとは、ソフトウェアの変更に応じてビルドとテストなどの一連のソフトウェア検証工程を自動で実行することで、問題の早期発見や開発効率化などが可能になる手法のこと。この手法の導入により、テストのリードタイムを短くして、CASEの進歩の速度に対応するための、さまざまなバリエーションのテストができるようになりました。
湯原 「この手法の導入だけが要因ではないのですが、開発の要求を受けて、ソフトウェアをリリースするまでの期間を大幅に短縮することができています」
こうした開発プロセスの効率化が求められるのも、先進運転支援機能の開発がCASEに関する領域であり、進歩が速い最先端技術の一角に位置するからこそ。そうした技術領域に携われているところにエンジニアとしてのやりがいがあると言います。
湯原 「また、転職の動機の一つでもあったグローバルな視点も実感できています。たとえば、機能においては世界各地域に合わせたものを開発していますので、その影響範囲を肌で感じられる点にやりがいを感じています。
さらには、社内のエンジニアも多国籍なメンバーが多い環境。日本とは違う文化のため、メンバーへのインプットが不足していると、思うような成果物が出てこない場合があることも経験しました。その経験を踏まえて、開発の実装に入る前のディスカッションを大事にするようになるなど、まったく異なった環境の方と業務を行う点から学ぶことは多いです」
変化の激しい領域だからこそ繰り返し続ける、学びと挑戦
最先端技術の領域だからこそ、変化を常に求められるのが湯原の所属する部門。その変化に対応できるよう、湯原は技術検討会や学会などに参加し、最新の情報を学び続けています。
湯原「近年自動車業界のなかではCASEに加えて、現在はソフトウェア・デファインド・ビークル(以下、SDV)というワードが飛び交っています。これは、お客さまが自動車を購入した後も、ソフトウェアをアップデートし続けて、魅力的な付加価値を届けていくという考え方です。
従来の自動車における、ハードウェアを売り、自動車の価値をハードウェアが決定するという考え方とはまったく異なり、自動車開発の中心がソフトウェアに置き換わることになります。このSDVの考え方を、日産自動車としてどう実現していくのかというところが、非常に重要なテーマだと考えています。学びをしっかり実現していくために、今後も挑戦していきたいですね」
個人としては、マネジメント側に立ち、会社が描く未来を実現できるようなメンバーの育成にも携わることを見据える湯原。こうした挑戦への姿勢は、日産自動車で働くにあたっての重要な要素だと話します。
湯原 「私が日産自動車にマッチすると思うのは、受け身ではなく“自分からチャレンジ”していける方。その想いがあれば、業界知識などはあとから学んでいけます。
私は自動車業界未経験ですが、会社の研修が充実しているので、未経験でも不安に感じませんでした。自動車に興味はなかったが、ソフトウェア開発でやりたいことがある方、チャレンジしていきたいという方とはぜひ一緒に働いてみたいですね」
過去の経験を活かしながら、日産自動車のしくみをより良い方向へと導いていく湯原。もっと高い品質を、もっと魅力的な自動車を世に届けていくために──挑戦の日々は続いていきます。
※内容は取材当時のものです
