中長期的な視点と短期的な視点、両方から最適な人材配置を模索
現在はHR戦略室HRマネジメントグループという部署に所属しています。この部署は、事業と人事を掛け合わせて経営課題を解決することを目的として、今から約2年前に立ち上げられました。
「事業×人事(リソース)」という新たな領域への挑戦は、単に事業戦略に接続したリソース戦略を計画することだけに留まりません。実際に計画に沿って人事施策を実行し、その施策がもたらした結果を検証していく。そうしたPDCAサイクルを回しながら、旗振り役として会社全体のリソース戦略を推し進めていくことが、私たちに与えられたミッションです。
ひと言に人事施策といっても、そこにはキャリア採用施策や育成施策など、多岐にわたる取り組みがあります。私の大きな役割は、それぞれの施策の質や量、期限を意識しながら、一つひとつを事業のプロセスに落とし込み、社内に展開していくことであると考えています。
ここで大切なのは、会社の将来を長いスパンで見据えた中長期的な視点での最適配置です。しかし、当社にはプロジェクトベースで業務に取り組む風土があり、短期的なプロジェクトに対してどの社員を配置するのが最適なのかという「プロジェクトアサインメント」の考え方も非常に重要となります。そのため、中長期的視点と短期的視点の両方に気を配りながら部署としての活動を進めています。
わかりやすい例のひとつが、デジタル人材の育成です。当社はグループを含め、デジタル技術に精通した人材の確保を推進している真っ只中にあります。これは世の中全体の流れになっていると思いますが、多くの企業においては社員に教育を受けさせて終わり、ということがほとんどです。
もちろん、私たちとしても社員の育成には非常に力を入れています。しかし、最も重要視しているのはその先で、育成した人材にどのように最大限のパフォーマンスを発揮してもらうかということです。具体的には、実際の職務経験を積んでもらうことで成長を促し、後続の社員に指導可能なレベルまで自らを高めてもらう。そのために、育成すべき人材を可視化してターゲットを定め、その社員をフィットする事業にコミットさせることでレベルアップを図っていく。ここで前提となっているのは、注力すべきプロジェクトに合った人材を確保したいという会社側の想いです。
当然、私たちも当社の経営陣と対話を重ねながらリソース戦略を実施しています。しかし、それだけでは社員側のモチベーションを保つことが非常に難しくなります。
そこで重要となるのが、「社員と会社は対等」という価値観です。社員個人の成長が、会社全体としての成長につながっていくことが理想的なあり方だと思っています。会社としての「こういう人材に育ってほしい」という想いと、社員自身の「こういう人材に成長したい」という想いのバランスを考えることが、私たちの腕の見せどころとなってくるのです。
前職での経験を活かし、新卒採用をトータルブランディング
もともと私は、新卒で採用コンサルティング会社に入社しました。そのときから当社の存在は知っていて、パーパスに「公平」という言葉を掲げることができる会社、そんな壮大さに魅力を感じていました。
その後、当社がイノベーション推進のための専門部隊を立ち上げるというタイミングでお声がけをいただき、大きな会社が今まさに変わろうとしている瞬間に立ち会えるワクワク感に惹かれて転職を決意。入社してからはイノベーション推進室に配属になるとともに、これまでの経歴を活かして採用担当を兼務することとなりました。
イノベーション推進室では、産学官連携プロジェクトや他社と連携したイノベーションイベント、社内風土改革などに携わりました。一方、当社が統合を進める中で採用担当としての比重が高まり、「世界を変えにいこう。」という採用コンセプトの立ち上げを含め、新卒採用のプロジェクトに大きく関わっていきました。ここでの仕事は、自らが前職で培ってきた知見やノウハウを存分に発揮できたという点で、ひとつのターニングポイントになったと思っています。
というのも、採用の方針決めからコンセプトメイキング、そのコンセプトに合った広報活動、選考フローの検討まで、トータルブランディングをやってみたいということは以前から考えており、まさにそれを実現できた瞬間だったのです。当時は、社名に「ソリューションイノベータ」が入ったことからもわかる通り、社内でもソリューションとイノベーションを推進していく企業に生まれ変わろうという気運が高まっていた時期でした。その中でポジティブなメッセージを打ち出せたことは、自分にとっても達成感のある経験になっています。
社員の成長が企業の成長につながる、という大局観を出向先で手に入れた
その後、NECへの出向が決定し、今では当たり前となったテレワークの推進や、シニア関連制度の展開、短日勤務制度の導入など、幅広いかたちで働き方改革に携わりました。これまでとは異なる環境での仕事でしたが、好奇心旺盛な私は新しい仕事に没頭。各改革の背景にある本質的な課題にアプローチし、会社全体として社員のパフォーマンスを向上させるための取り組みができないかというところまで思索を深めていきました。
当社は社員がやりたい仕事を積極的に経験させてくれる「人に優しい会社」であり、それがひとつの魅力になっています。しかし、会社側が人材の能力を把握して成長の機会を提供すれば、社員の隠されたポテンシャルが引き出され、それがNECソリューションイノベータ全体のさらなる発展につながっていくのではないかと考えたのです。「仕事が人を育てる」という言葉もありますが、適時・適所・適材で年齢、性別などに関わらず、優秀な人材を成長・活躍できる環境に配置し、さらにレベルの高い仕事ができるように育成していく。現在の部署での業務にも通ずる大局的な視点を手に入れることのできた、非常に有意義な出向経験でした。
2021年に出向から戻り、現職での業務をスタートしました。リソース戦略を展開する立場としてとくに意識しているのは、社員に寄り添った人材施策の広げ方です。長らく暗黙の了解とされてきた「社員は会社に人生を捧げなくてはならない」という考え方も、すでに時代錯誤なものになりつつあります。
私は、企業と社員の関係は結婚によく似ていると思っています。結婚は、互いを尊重し合って一緒に歩んでいくための制度です。同様に、会社は社員から選ばれるために、成長の機会や働きやすい環境を提供しなくてはなりません。ただ、会社がこうした取り組みを行うのであれば、社員も自己研鑽に励み、選ばれ続ける人材になっていく必要があります。繰り返しになりますが、ここで重要なのは健全で対等な関係なのです。
社員が誇りを持って働ける環境をつくり、理想的な好循環を生み出したい
会社と社員を対等に考える姿勢は、リソース戦略を考案する私たちの仕事においても同様に大切だと考えています。経営陣とディスカッションする際はあるべき姿からプランを提示し、実現するためにはどうすればいいのかという点を一緒にディスカッションしながら企画・展開を進めていきます。
一方で、社員に対して施策展開は、現場の声を吸収しながらわかりやすい打ち出し方を考えていく。社員の中には、「リソース戦略」という言葉を聞いてもピンとこず、自分とは無関係なものだと思っている人も多くいます。しかし、そうした当社の普通の感覚こそ、施策の有効性を高めるために私たちがもっと取り入れていかなくてはならないものなのです。
NECソリューションイノベータは約1万3千人の社員を擁する企業です。共通認識としての企業文化は存在しますが、当然ながら働く人の経験や考え方、価値観は、どれひとつとして同じではありません。そのため、すべての社員にとって幸せな施策を展開することは難しいと思っています。だからといって諦めてしまうのではなく、1万3千人にとっての最適解を導くために尽力しなくてはなりません。たくさんの社員の視点を取り入れながら、それを少しでも実現できればと考えています。
こうした取り組みは、社会全体で見れば小さな歯車を動かしているだけに過ぎないのかもしれません。しかし、小さな歯車が動き出せば、それと噛み合った別の歯車も回転を始め、最終的には大きな歯車を動かすことへとつながっていきます。私たちは社員一人ひとりが120%の実力を発揮し、誇りとやりがいを持って働くことのできる環境をつくる。それによって、社員はモチベーションを保って仕事に打ち込むことができる。当然、それが業績にも反映される。そして、優秀な人材が働いている会社には、自然といい人材が集まってくる。
最後には、世界を大きく動かすような社会的価値を創造することができる。こうした理想的なサイクルを生み出し、1万人規模のITリソースを最大限活かし、総合力で価値創出できる企業への変革を主体的に取り組んでいきたいと思います。
※ 記載内容は2023年3月時点のものです

