あらゆる出来事を「自分ごと」として捉えながら、プロジェクトの推進役を担う
トランスポート・サービスソリューション事業部門では、物流領域全般のシステム開発を行っています。私が所属するのは、その中でも自動車業界のお客さまを担当する部署で、現在は2つの自動車メーカーのプロジェクトを兼任しています。
1社は、長年使われてきた基幹システムを数年かけて刷新し、新機能を追加していく大規模なプロジェクト。私は統括補佐として、各チームが抱えている課題をお客さまに報告しながら全体の舵取りをしたり、トラブルが起きた時の対応をしたりと、プロジェクトの推進役を担っています。
このプロジェクトには複数のベンダーが参画しているため、それぞれの会社が連携しながら進める必要があります。その橋渡しをしながら、お客さまからの要望を各社に伝えていく役割も私が担っています。
もう1社は、次世代モビリティ関連の新規事業に関するプロジェクトです。5年ほど前にこの事業を海外で展開する段階からPM(プロジェクトマネージャー)として関わっていましたが、今はサポート役として開発リソースが足りない時に支援に入っています。
こうした現場でのプロジェクトに加え、現在は社内のノウハウを統合するための活動も始めました。これまで、個々の自動車メーカーや領域でチームが分断されて、いわゆる「縦割り」になっていた知見を、複数のプロジェクトを横断するチームを作ることで共有していこうという取り組みです。
自動車産業は日本の製造業においてとても大きな市場です。当社は多くの自動車関連企業とお付き合いがありますから、プロジェクト推進ノウハウや課題解決のヒントなどを横展開できれば、自動車産業の成長にさらに寄与できるのではないかと考え、提案しました。
これらすべての仕事において大切にしているのは、あらゆる出来事を「自分ごと」として捉え、「この課題を解決することが最終的にどんなプラスを生むのか」を常に考えることです。
たとえば、お客さまの何気ない要望を拾い上げて次の提案につなげれば、お客さまのサービス力の向上と当社の利益拡大という両方のプラスにつながる。社内で不満の声が聞こえたら、「この不満をどう改善したら、皆がもっと働きやすくなるのか」を考える。解決した「その先」を見据えて動くことが重要だと思っています。
そのためには、声を上げやすい雰囲気であることも大切です。短い時間でもコミュニケーションをとる場を作ったり、些細なことでもオープンなチャットで相談するルールを作ったり、皆が情報を発信しやすくなる工夫をしています。
誰のためのシステムか──叱られて気づいた、使う側の立場で考える大切さ
九州日本電気ソフトウェア(現 NECソリューションイノベータ)に入社したのは、2012年。入社後は2年ほど、九州エリアの酒造メーカーや自動車部品メーカーなど、製造業のお客さまの基幹システム開発や運用保守を担当しました。
これまでのキャリアを振り返ってみると、この時期の経験が今の自分の土台になっているように思います。
当時、私はお客さま先に赴いて仕様整合をとる役割を担っていたため、困ったことがあってもすぐさま社内の先輩に相談することが難しい環境だったのです。そんな中で、まだ経験の浅い新人が会社の顔としてお客さまと直接やりとりをしなければならないことはとても大変でした。もちろん、時には厳しい指摘を受けることも、その対応の仕方を間違えて叱られてしまい、猛省することもありました。
とくに、プロジェクト1年目の出来事をよく覚えています。画面に表示するエラーメッセージの設計をしていた時のことです。IT部門の責任者から、「エラーが起きていることはわかるけれど、このエラーメッセージを見て現場はどう動けばいいんですか?」と指摘されたのです。
単に画面に表示する「メッセージ」ではありますが、その時、「この表示は誰のためのものなのか」とハッとしました。たしかに、どんなエラーが起きているかは書かれていますが、実際にシステムを使う人は、何が原因で、どうすれば解決するのかがわからないと次に進めません。
プライドを持って自分たちの製品を作り、それをより良くするために本気でシステムに向き合ってくれるお客さまに、何を提供できるのか──さまざまな失敗がありましたが、作る側ではなく使う側の立場で考えることが大事だと気がつきましたし、お客さまが何を見て仕事をしているのか、どんなことを私たちに求めているのかを理解できるようになりました。
今でもメンバーの設計をレビューする際などには、その視点の重要性を伝えるようにしています。
積極的な提言でお客さまと信頼関係を築き、ビジネスに貢献するシステムを提案する
その後、自動車メーカーの基幹システム刷新プロジェクトを経てNECに出向し、同じ自動車メーカーの複数のプロジェクトをリーダーとして推進。その中で、現在も担当する次世代モビリティ関連の新規事業の立ち上げに携わりました。このプロジェクトは、お客さまとしっかりとした信頼関係を築くことができた経験として印象に残っています。
当初、システム開発はすでに別の企業が担っていたので、私たちはサポート的な立場で参画していました。
しかし、新たな事業を海外で展開するためには、現地の法令、現地のシステムベンダーやネットワーク会社、コンサルティング会社など、さまざまな条件やステークホルダーとの調整が必要で、それぞれから意見が出てきて多様な関係者が関わる複雑な状況になってきたのです。そこで、私たちがサービスイン支援という枠を超えて各社の橋渡し役となり、時にはお客さまに対して、改善に向けた調整・提案などを行う活動にシフトしていきました。
他社も巻き込みながら積極的にお客さまに提言していったことで、しだいに私たちが担当する領域が広がっていき、NECグループ内のチームも拡大していくことができました。
1年目からお客さまと直接やりとりする環境で仕事をしてきたことで、自社の利益を意識しながらも、お客さまの課題解決を最優先に考えることや、お客さまのためになると思うことは臆せずに提案する習慣が自然と身についていたのだと思います。
自動車業界は今、大きな変化の中にあります。お客さまもスピード感を持って変化していきますし、当然、ビジネスも常に好調というわけではありません。
お客さまが課題にぶつかった時に、ただ「こういう仕組みを作ればいい」と提案するのではなく、お客さまの会社としてどこに注力すべきかを捉えることが大事だと私は思っています。その上で、その領域に対するシステムの現状を把握し、何を提案するべきかを考える。
変化のスピードに対応する難しさはありますが、自分の提案が採用され、具体化されていく過程は、とてもおもしろいですね。
大きな組織だからできることがある。社内のナレッジを共有して製造業を支えたい
私はこれまで、車の設計、生産計画、物流など、自動車に関わるさまざまな工程に関わり、各社の仕組みの違いなども見てきました。そして今、電動化などの流れで自動車メーカーが他業種と協業したり、開発プロセスが変わったりということが起きています。
こうした変化の中で、ベースとなるシステムには共通化できる部分があるのではないかと思うのです。各社の特色は残しつつも、共有できる部分は共有することで、自動車業界全体を支える──そんな壮大な目標を抱いています。
さらに、この考え方は製造業全体に展開できると考えています。ものを作る、調達する、運ぶという領域に共通点を見出すことで、日本の製造業を強くしたい。これまで、お客さまが自分たちの作るものに誇りを持っている姿を見てきましたから、日本の製造業を再び盛り上げる力になりたいのです。今取り組んでいる社内ノウハウを統合する活動は、その一歩になるのではないかと思っています。
SIerで働くおもしろさは、システムを作ることでお客さまの課題を解決するという軸はありつつも、さまざまな業界に関わることができる点にあると感じます。とくに、NECソリューションイノベータをはじめNECグループには幅広い業界のお客さまがいて、社内に膨大なナレッジが蓄積されています。
異なる業種を担当する部署同士が交流していこうという動きもありますから、同じ会社にいながらいろいろな業種や業務に触れたり経験したりできることも、NECソリューションイノベータで働く醍醐味の一つ。別のことに挑戦したいと思った時に社内に選択肢があり、チャレンジできる制度もあることは、キャリアを考える上でも魅力です。
大きな組織だからできることがあり、挑戦したいことが見つかるからこそ、私もずっとこの会社で働き続けているのだと思います。
※ 記載内容は2026年2月時点のものです
