不二越のグローバルなビジョンと創業の精神に導かれ、未知の土地 富山へ
学生時代、材料系の学科で半導体に使われるシリコン素材について学ぶかたわら、英語の学習にも力を入れていたN.K.。材料の知識と英語力を活かせる職場を探していて出会ったのが不二越でした。
「海外で活躍できそうな会社を探していて見つけたのが、不二越。海外の販売拠点や生産拠点が多く、グローバルな事業展開に積極的に取り組んでいることを知り興味を持ちました」
九州が地元のN.K.にとって、不二越が拠点を置く富山は異郷の地。見知らぬ土地で生活することへの想いをこう振り返ります。
「父が転勤族だったので、北海道から関東、福岡へと幼少期から移動を繰り返していたんです。そのため、大学卒業と同時に福岡を出ることにためらいはありませんでした。とはいえ、北陸は縁もゆかりもない土地。ひとりでうまく暮らしていけるか現地を見て確かめようと思いました」
選考の過程で初めて富山を訪れ、電車を降りてまず飛び込んできた風景に好感を覚えたことが安心感につながったと話すN.K.。不二越への入社を決めたもうひとつの理由がありました。
「社名や業種、製品名とはまったく関係のない『NACHI』を商標にしていることを不思議に思って不二越のことを調べたところ、そこに創業者の強い想いが込められていることを知りました。ものづくりに対する真摯な気持ちに感銘を受けたのを覚えています。
また、不二越はもともと工具をつくる会社でしたが、やがて工具をつくるための材料や工作機械、そして工作機械をつくるための部品という具合に、非常に理にかなった事業拡大の道を辿っています。強く前進し続ける経営方針と成長戦略に魅力を感じて入社を決めました」
入社後、N.K.は工具事業部へ。自ら希望した配属先でした。
「創業時から不二越の根幹を支えてきたのは、工具。海外で働くことを視野に入れていたこともあり、もっとも活躍できる環境だと感じた工具事業部を希望しました」
研修とさまざまな現場経験を通して手にした、ものづくりのエッセンス
入社後、N.K.はまず約1年間の現場研修を経験。ドリルの製造機械のオペレーターを担当しました。
「製造現場での研修の意義については大学の先生や会社の先輩方から聞いていましたが、想像していた以上に得がたい経験ができたと思っています。工場で学んだことは現在の仕事にも活きていますし、何よりものづくりを担う現場仕事の大切さを肌で感じ、実際にそこで働く方々とのつながりができたことが大きな収穫でした。
また、女性だから現場の汚い仕事はできないだろうと思われたくなくて、作業着を真っ黒にしながら一生懸命仕事に取り組んだ結果、加工技術を認めてもらい、念願だった海外工場でのローカルスタッフ指導という機会を与えてもらったことは、今でも嬉しかった経験として強く心に刻まれています」
その後、N.K.は材料開発を手がける要素技術部へ。工具に使われる超硬材料のプロジェクトメンバーに選出され、技術者としての基本を学びます。
「大規模な超硬材料のプロジェクトで、研修を終えたばかりの若手が参加するのは異例のことでした。材料の知識があることを買われての抜擢だと思ったので、気持ちを引き締めて臨みました。
翌年に技術部へ異動になりますが、これは前年につくった超硬材料を試験するため。引き続き同じプロジェクトに携わり、ドリルでひたすら鉄板に穴を開けては性能を確認する毎日でした。
それまで知識がなかった工具の加工技術が身についたことに加え、『現場』で『現物』を観察し『現実』を認識する『三現主義』の大切さを学べたことがとくに有意義だったと思っています」
この後にN.K.が携わったのが、ドリルやエンドミルといった新商品の開発でした。苦労と喜びとが交互に押し寄せた当時の日々をこう振り返ります。
「アルミ用のドリル・エンドミルのほか、主力製品のひとつ『アクアREVOミル』の開発を担当しました。お客様が抱える課題を解決できるような製品を開発するのがミッション。改良を幾度なく繰り返すのですが、なかなか思い通りの結果が出せなくて。失敗が続くうちに開発期限が迫り、体力的にも精神的にも徐々に余裕がなくなっていきました。
それだけに新製品が完成したときの喜びはひとしお。それまでに感じたことのない達成感がありました。また、当時の苦境を乗り越える手助けとして、アドバイスをくれた上司や先輩、仕事を進んで手伝ってくれた後輩たち、製品を最後まで作り上げてくれた工場の方々、発売へのレールを敷いてくれた企画担当の方々、大きな達成感が多くの人々への感謝の気持ちに変わり、ものづくりの楽しさを味わうことができたと感じました」
営業技術を経験して高まった開発への意欲。いずれは幅広い視野で開発を担える技術者に
2021年に現在も所属する東日本工具市販営業部に移ったN.K.。現在は営業技術担当としてラウンドツールの拡販活動に携わっています。
「現場で工具についての学びは深められましたが、お客様がどんな課題を抱えているかを知らないことにもどかしさを感じていました。そこで、自ら希望してお客様と直接やりとりできる営業技術の仕事に就きました。
営業と違って営業技術は担当範囲が広く、北海道、東北、信越、関東、山梨・静岡と、東日本地区全体のお客様を担当しています。
商品をただPRするだけでなく、お客様の加工方法を確認した上で困り事を特定し改善策を提案するなど、加工の技術支援も行うのが営業技術の特徴です。また、カタログに掲載されていない工具の製作を特殊品として請け負ったり、お客様のニーズを捉えた新商品を技術部へ提案したりと、技術部とお客様の架け橋のような役割も果たしています」
営業技術担当となってまだ2年ほどですが、顧客と接するようになって多くの気づきがあると言います。
「工具の使い方に決まりはないので、お客様が私たちの思ってもみない使い方をされているケースが少なくありません。そのことに驚く反面、まったく想定できていなかったニーズの発見につながっています。
また、自分が過去に開発した商品を褒めていただくことも多く、役に立てた実感と共に大きなやりがいを感じます」
営業技術の経験を糧として、いずれまた商品開発の仕事に携わりたいと話すN.K.。技術者としてめざす姿があります。
「模範としているふたりの上司がいます。ひとりは、コーティング技術にとても長けた方で、当社のコーティング技法の中にはその上司の名前を冠したものも。業界での知名度も高く憧れの存在です。
もうひとりは、ドリルの開発に携わっていたときの上司で、いまも新商品開発を率いています。技術力もさることながら豊富な営業経験に基づいた幅広い知識があり、『お客様が求めているのはドリルではなく、穴だよ』と、レビット博士のドリルの穴理論を引いてお客様の視点に立つことの大切さを教えてくれたのもその方でした。
そのふたりの上司のように、幅広い視野を持って開発に取り組めるような存在になりたいと思っています。
また、最近は技術的な知識が少ない営業のメンバーに技術を教える機会が増え、彼らが成長する様子を見てやりがいを感じるようになってきました。ますます彼らの力になれるよう、よりいっそう勉強にも力を入れていくつもりです」
ライフステージに合った働き方で、女性技術者として自分らしいキャリアを
製造業というと男性社会を連想させますが、不二越には女性技術者にとってとても働きやすい環境があるとN.K.は話します。
「力仕事が必要なときや、危険がともなう作業をするときは進んで手を差し伸べてくれる一方、性差に関係なく挑戦機会を与えてくれるのが不二越の良いところ。『女性だからこれはできない』と最初から決めつけて仕事を取り上げるのではなく、『こんな仕事があるけど、やってみますか?』と、こちらに判断を委ねてもらえるんです。一人ひとりに合わせた配慮がある会社だと思っています」
また、福利厚生など制度の面でも不二越は女性に優しいと言うN.K.。
「たとえば、お子さんがいる工具事業部の女性技術者は、同じ技術職の中でも勤務時間が調整しやすい部署に移って時差出勤されています。出産や育児など大きなライフイベントを経た後もキャリアプランをイメージしやすく、女性が活躍の場を失わない職場だと感じます」
一方、マザー工場が富山県にあるため技術者のほとんどが富山で働くことになりますが、県外出身者もためらわないでほしいとN.K.は話します。
「不二越の理念や仕事内容に関心を持ったとしても、富山で働くことがネックになって就職をためらう方も多いと思います。でも実際に住んでみると、富山は空気も水も食べ物もおいしく、美しい自然と整った住環境が隣り合わせとなっているとても住みやすい場所です。
また、設備が充実したとてもきれいな社員寮があるのも魅力。年齢の近い若い社員が多く暮らしているので、入社当時はとても楽しい思い出がたくさんできました。不二越に興味を持った方はぜひ一度富山に遊びにいらしてください」

