AIを正しく効率的に活用するために、現場とAIの橋渡し役として誕生した期待の新設
T.T.が所属するAI統括本部は、現場とAIをつなぐ役割を担う部署として新設されました。各事業部の相談窓口となり、効率的かつ適切なAI活用をサポートしています。
「AIは急速に進化しており、数年前まで画像分類のような定型的な作業が中心だったのが、LLM(大規模言語モデル)とこれを活用したチャットボットの登場により、AIの活用領域が急速に広がっています。弊社でも活用を推進する一方、社内情報が外部に流出するリスクや、利用者がAIを過信しすぎることによる問題などが懸念されています。
そこで、社内でルールを定めて運用する必要があると考え、AI導入の取りまとめを行う部署としてAI統括本部が発足しました。基盤とガイドラインを整え、導入と開発を推進することがわれわれの使命ですが、必ずしも全主導権を握るわけではありません。各事業部との連携を重視する方針です」
AI統括本部には、3つのグループがあり、その中でT.T.はAI企画部に所属。ミッション達成に向かって、それぞれがチームで取り組んでいます。
「AI企画部では、社内ルールの策定をはじめ、各事業部への技術提案や将来的に使えそうな技術調査が主な役割です。それに対し、AI推進部は実際の課題解決に向けて開発を進めることがミッション。
DX推進部は社内の工場データの収集に注力していて、AI活用の基盤となるデータが蓄積されていけば、各グループとの連携がより強化されると思います」
世間のAI動向を調査しながら、最新のAI技術を実際に動かし、評価した上で社内へ提案していく。この使命を胸にT.T.は日々の業務に励んでいます。
「各事業部へのヒアリングは定期的に行いますが、最初からAI技術と擦り合わせるわけではありません。まずは、各事業部が抱える課題を分析し、本当にAIで解決すべき問題であるかを精査します。その後、AIをどのようなアプローチで課題解決につなげるかを考えていきます。
これと並行して、AIに関する情報収集をしつつ、社内で使えるものを精査して手札を集めています。導入実績を増やすことも当然期待されているため、ハードルが低いものから優先的に取り組んでいます」
海外大学と挑んだAI活用プロジェクト。その経験が新たなステージを切り拓いていく
大学では情報システムを学び、ITだけでなく制御系の研究もしていたT.T.。かねてから産業用ロボットには興味を持っていたと話します。
「大学時代は、人の動きに機械を追従させるヒューマンインタフェースの制御に関する研究に取り組んでいました。情報系の学生はIT系企業に目が行きがちですが、これはロボット制御にも応用できるのではないかと考え、就職活動では機械メーカーも視野に入れました。
不二越を選んだ決め手は、面接を通して感じた人柄の良さです。私自身に興味を持って接してくれていることが伝わり、『ここなら安心して働けそうだな』と思ったのを覚えています。また、不二越は産業用ロボットの分野では業界をリードする存在であり、そこにも大きな魅力を感じて入社を決意しました」
不二越に新卒入社したT.T.は、最初は希望していたロボット開発部に配属されました。そこで約6年間、ソフトウェア評価や制御ソフトの開発に従事します。
「2022年からはAI活用プロジェクトに参画しました。その背景として、電子機器で使用するコネクタは薄くて柔軟性があるため、同じ動きでも確実な挿入ができないという制御の難しさがあります。視覚的にコネクタの状態を認識して、フィードバックする仕組みは既存のシステムにもありましたが、100%の精度で素早く作業できるものはありませんでした。
これをAIで解決しようという試みからスタートし、当時はまだ社内にAIの知識やノウハウが十分になかったため、海外の大学との共同研究という形で進めることになりました」
その後、プロジェクトでの仕事ぶりを評価されたことがきっかけで、新たな場所での挑戦が始まります。
「AIの表面的な知識は持っていましたが、実務での経験はこのプロジェクトが初めてでした。研究レベルでは成果を残せたものの、実際の運用となると課題がまだ残っています。ロボットのAI活用に関する開発は重要課題で、今後も携わっていく予定です」
想定外の配属がもたらしてくれた大きな学び。試行錯誤の先にある達成感がやりがいに
AI統括本部への異動は、当初は想定していなかったキャリアパスだったと話すT.T.。しかし、学びを得るための手厚いサポート体制もあり、この状況をポジティブに捉えています。
「全社的にAI導入に取り組む中で、AI人材が不足している現状を打破するため、2025年4月から始まった教育プログラムを受講しています。これは主にオンラインで、大学の講義を受けるような形式で実施され、AIの知識だけでなくビジネスへの応用など、AIに関連する技術全般を学べるような内容になっています。
また、最終的には卒業制作も行う予定で、正式に国が認定する教育訓練となるため履歴書にも記載できます。私自身も手札を増やすためには全般的なAIの知識から、各種センサーなどの周辺知識も含めて学べる機会が必要だと感じていました。
この講座ではビジネスへの応用も学べるため、即戦力としてフルスタックに開発を手掛けられる人材をめざすことも可能です。これは部のミッションとも合致し、とてもいい機会だと思っています」
また、G検定(ジェネラリスト検定)取得を目標に自己学習にも励んでいるT.T.。最新のAI技術を扱う難しさはあるものの、実際に動かせた時の達成感は格別だと言います。
「最新のAI技術に関しては、オープンソースで提供されているものの、使い方が詳細に記載されていないこともあります。そのため、1週間ほどかけて進めることが多く、だからこそ動いてくれた時にはちょっとした感動がありますね。
また、試行錯誤しながら解決策を見出していく過程は、大変というよりもおもしろさの方が大きいです。学生時代は問題に答えが用意されていても、社会に出ると答えのない問題に自分なりの答えを出さなければいけないことも。そこを突き詰めていくには、過去の経験を引っ張り出して活かすことが大切だと考えています」
AIと製造業は切っても切り離せない。だからこそ多くの手札を増やすことが直近の目標
T.T.の当面の目標は、できるだけ多くのAI技術に触れて自らの手札を増やすこと。AIと製造業が切り離せない時代の中、会社としてもAI統括本部の今後の飛躍に期待しています。
「今後は手札をさらに増やし、より適切な技術とサービスを結びつけられるようにしたいですね。また、社内での活用だけでなく製品にも組み込むなど、AI活用の幅をどんどん広げていきたいです。
AI導入による効率化に関しては、会社からの期待を感じる反面、AIに対する現場の不安や抵抗感を取り除くことも私たちの使命。適切に使えば便利なツールであることを多くの方に伝えていきたいです」
また、現場とAIをつなぐ役割を担うことへの責任も感じていると言います。
「ますますAIが重要な存在になっていく中、世の中から取り残されないようにするには私たちが橋渡しという重要な役割を担っていかなければいけません。技術的な問題を解決することもそうですが、最終的にこれを扱う人の感情と向き合うことも難しく、そこを達成することで会社へ貢献できればという思いで尽力しています」
最後に、これから一緒に働く方々に向けてT.T.からメッセージを贈ります。
「働く上で大事にしてほしいのは、“与えられたものに満足せず良くしていこう”という気持ちです。自分が使用するツールや仕事環境でもいいですし、その改善案を上司に進言できるくらい本気で考える。実際、これができる人が最終的に製品を良くしていけると思うので、AIに関する知識やスキルよりも、興味や意欲を持った方と一緒に働けたらいいですね。
もちろん即戦力は重要だと思いますが、言われたことをただこなすのではなく、AIやDXで新しい取り組みに挑戦してみたい方や、自らおもしろそうなことを発見して、提案できる人が来てくれたらとても嬉しいです」
※ 記載内容は2025年3月時点のものです

