「業務システムを止めない」──現場を守るITインフラエンジニアの先回り管理
H.N.が所属する情報システム本部ITインフラ管理部のメンバーは、経験豊富な50代のベテランからH.N.を含む20代の若手までで構成され、若手はベテランが持つ数十年のノウハウを、日々の業務を通じてダイレクトに吸収できる環境にあります。
「主業務としては、社内のサーバーやパソコンの運用管理を行っています。そのほか、申請業務の処理や、セキュリティインシデントが発生した際の対応チームの一員としても動いています。
最近ではサーバー構築の依頼や設定変更などの個別対応に加え、期限を迎えるOSの更新に向けた社内環境の整備に力を注いでいます」
とくにサーバー管理において大切にしているのは、何があっても「業務システムを止めない」こと。もしサーバーがダウンすれば、工場のラインが止まり、会社全体に深刻な影響を及ぼしかねないからです。
「社員が業務をしている上で、システムが止まって仕事ができないという状況は絶対に避けなければいけません。物理基盤である以上、故障リスクは避けられないため、ディスク障害などが発生しても継続稼働できる冗長構成を採用しています。加えて、サーバー更新時にはバックアップ管理も徹底し、常に先回りした運用を心がけています」
さらに、週に数回は発生するセキュリティアラートへの対応も、欠かせない任務の一つとなっています。
「パソコンの偽警告に反応してしまったという相談は、週に数回、月に10数件は届きます。何も知らない人が不用意に対応してしまい、被害を広げないよう、私たちが防波堤になる必要があります。現在は、利用者のITリテラシーにあわせた外部サービスの教育プログラム導入も検討中。役職や現場ごとに内容を分けた教育を実施し、意識の底上げを図りたいと考えています」
最先端ロボットの裏にある温かな人の技術。ITの力でものづくりの可能性を広げたい
学生時代、H.N.は理学部数学科を専攻し、数学に没頭していました。プログラミングによる研究も行っていましたが、就職活動の軸に据えたのは、「ものづくり」でした。
「中高の頃から数学は得意で、大学では数学の論理的なプロセスに強く興味を惹かれていました。ただ、就職を考えた時に、自分は何かを新しく作り出す創造的なことよりも、素晴らしい技術を持つ人々を支える方が向いていると感じたんです。そして、小さな頃から工作が好きだったこともあり、ものづくりの会社をITの側面から手助けしたいと考えました」
大学を卒業し、不二越を選んだのは、その一貫した生産体制に魅力を感じたからです。
「不二越は事業部が非常に多く、特殊鋼から工具、軸受、そしてロボットなど、多彩な商品を作っている。その体制がおもしろいなと感じましたし、ものづくりに対して真摯に取り組んでいる印象を受けました。富山で就職したいという希望とも合致し、ここなら自分の知識を活かして貢献できると確信して入社を決めました」
入社前は、ロボットによる自動化が進んだ最先端の工場をイメージしていましたが、実際に入社して各拠点を回ると、想像とは異なる光景が広がっていました。
「入社前はロボットが主役の、すべて自動化された現場をイメージしていました。しかし実際には、種類が膨大で自動化が難しい工程もあり、多くの場面で『人の手』が活躍していました。
あと、工具でも製品ラインナップが非常に幅広く、驚きましたね。 そこは良い意味でのギャップでした。人の技術や力が支えている現場だからこそ、ITによる効率化のポテンシャルが大きいと感じました」
入社後、最初に直面した大きな壁。それは「電話対応」でした。
「私は電話対応が一番たいへんでしたね。社内外からかかってくる電話を、内容にあわせて適切な部署に振り分けなければいけない。でも最初はどこにつなげばいいのかまったくわからない。いったん保留にしては『こういう問い合わせには、どうすればいいですか』と先輩に泣きついてばかりでした」
そんなH.N.を支えたのは、同じ部署の先輩方でした。
「皆さん年齢差を気にせず、自分の年齢の半分も生きていない私に対しても対等に接してくれます。わからないことがあって聞いても、いっさい嫌がる様子を見せずに親切に教えてくれる。15時ごろにお菓子を交換し合ったりするような和やかで明るい雰囲気があって、すごく働きやすい職場だと感じています」
大規模プロジェクトを任された若手の覚悟──ものづくりの現場をITの側面から支える
入社して1年経たないうちに、H.N.はきわめて重要なミッションを任されることになります。
「1億円規模の予算が動くサーバー更新の担当に従事しました。決裁を受けるための資料作りは非常にハードでしたが、金額が大きい分、論理的な裏付けが求められます。数学科で培ってきた論理的思考力が、まさにここで大きな武器になったと感じました」
実際の移行作業では、サーバーを停止することなく稼働中のシステムを移行できる「ライブマイグレーション」技術を活用しました。
一方で、複雑な業務システムが絡み合う不二越の環境下では、影響範囲を十分に見極めた上での慎重な判断が求められました。
「最もたいへんだったのは、移行後にシステムがこれまで通り、あるいはそれ以上に稼働することを担保することでした。新しいサーバーにしてから遅くなった、あるいはシステム間の連携がうまくいかなくなった、という事態は事前に防がなければいけません。まずは影響の少ない開発環境でテストを行い、段階的に大きなシステムへと移していくスケジュールを組みました」
1カ月半に及ぶ移行期間中、チームメンバーと協力し、細心の注意を払って作業を進めていきます。
「移行自体はチーム3人で行いました。無事に完了した時は、うれしいというよりも、やっと終わったという安心感が大きかったですね。チーム内で『お疲れさまでした』と安堵の言葉を交わした瞬間が、最も印象に残っています」
その後も2回目のサーバー更新を経験。H.N.の胸には、インフラエンジニアとしての確かな「手応え」が刻まれました。
「2回目の方がシステムの影響度が大きく苦労しましたが、一度経験したことで流れや注意点が見えていました。次の更新は2年後になりますが、その時も滞りなく進められるよう、今回の経験を資料として残しています。私たちの仕事は地味ですが、皆さんが違和感なく業務を続けられることが最大のやりがいです」
ものづくりの現場をITの側面から支える日々の中で、H.N.は製造業ならではの責任の重さを、身をもって実感しています。
「製造現場の稼働を最優先に考えるのが、私たちの役割です。そのため、サーバー更新などの大規模なシステム作業は、生産ラインが稼働していない休日や長期休暇の期間に合わせて実施。『生産を止めない』という現場の強い想いを肌で感じるからこそ、ITの側面からその一貫した体制を支えることに、大きな責任を感じています」
若手でも任される現場で、描く未来とスペシャリストへの道
入社3年目を迎えたH.N.ですが、自らを冷静に「まだまだ未熟」と分析しつつも、その視線は明確なビジョンを捉えています。
「今はまだ一つひとつの業務について先輩の確認を仰いでいますが、これからはプロの視点で自ら考え、決断できる実力を養いたいと考えています。将来はITインフラで困ったら、真っ先に名前が挙がるようなスペシャリストになることが目標です」
その目標をたぐり寄せるべく、H.N.は自己研鑽の手を緩めません。
「IT業界は変化が非常に速いため、常に学び続ける姿勢を大切にしています。最近では『応用情報技術者』資格に加え、AI関連の資格も取得しました。
現在は『ネットワークスペシャリスト』に挑戦中です。学んだ知識が実務に直結し、専門用語を共通言語としてスムーズに会話ができるようになることに、大きな手応えとおもしろさを感じています。プライベートでも、最新のAI製品を試すなど、楽しみながらスキルアップに励んでいます」
これから入社してくる後輩に期待するのは、技術的なスキル以上に「責任感」と「誠実さ」が大事だと言います。
「私たちの仕事はチームプレーです。一人ひとりが自分の役割をしっかり果たすことで、大きな成果につながっていきます。不二越は、若手の『やってみたい』という声に対して、背中を押してくれる環境です。『最後までやり遂げてみよう』という前向きな気持ちを持って、ぜひ飛び込んできてください」
H.N.には、新しく入る仲間と共に取り組みたい目標があります。
「社内にはまだ、着手しきれていない課題が残っています。影響範囲が大きいとなかなか手を付けにくいのですが、プログラミングやITの知識を駆使して、そうした問題を一緒に解決していける仲間がほしいですね。自分たちの業務を改善して減らしていけば、それが巡り巡って現場の対応スピード向上、ひいてはものづくりのクオリティ向上につながると信じています」
最後に、不二越をめざす候補者へ力強いメッセージを送ります。
「不二越は、若手の裁量が大きく、1年目から大きなプロジェクトに携われます。わからないことがあっても、私を含め周囲の先輩が全力でサポートしますから、知識を吸収する姿勢さえあれば、必ず成長できるはず。一緒に不二越の未来を支えるインフラを作っていきましょう。皆さんの挑戦を待っています」
※ 記載内容は2026年4月時点のものです

