加工設備の内製加工の検討や投資、生産性改善までを一貫して管理
Y.K.が籍を置くのはカーハイドロリクス事業部。その生産技術部で、加工工程の設備投資や生産性改善、新規設備の導入検討に従事しています。
「当部署が手がけるのは自動車用の部品です。変速のクラッチ圧力やライン圧力などを油圧制御するソレノイドバルブや、エンジンなどの動力源から得たパワーを圧力に変換する油圧ポンプ、可動部を強固にロックする非通電型のアクチュエータなどを製造しています。
生産技術部が担うのは、それらの製品をつくるための設備導入です。約12名のうちほとんどが技術者で、長く現場で加工設備に関わってきた人、設備の修理の経験が長い人など、専門技術に長けたメンバーが多く在籍しています。生産性を最大化する設備をつくることをミッションに、3つのチームに分かれて業務に当たっています」
中でもY.K.が携わるのが、金属素材を切削加工する設備。部品の内製加工の検討から、設備投資や仕様決め、導入に至るまでの一連の工程を担当しています。
「設計者から渡された図面をもとに設備の仕様を検討し、設備メーカーに製造を依頼します。設備が完成したら立ち会い確認を行い、問題なければそのまま社内へ。
生産ラインには数年前からロボットが全面的に導入されています。素材を搬入したり完成した部品を搬出したりする作業はすべてロボットが行っているので、新たな設備を組み込んで、さらに自動化を進めます」
生産技術部に依頼が舞い込むのは月に1〜2回ほど。まったく新しい設備を頼まれるときもあれば、すでに稼働している設備を流用できないかと相談を受けるケースもあると言います。
「設備メーカーに発注してから搬入されるまでにかかる期間は6〜9カ月ほど。 最初から最後まですべての工程を含めると、2年ほどの歳月を要する大がかりなプロジェクトもあります。部署内で対応できると判断すれば設備メーカーに声をかけないこともありますが、複数の案件が常時並行して進んでいるような状況です」
また、設備導入後、現場から品質や生産性に関する情報を吸い上げ、改善していくのも生産技術部の仕事です。
「設備の仕様を決めたとしても、当初の想定通りにいかないことがほとんど。最初から100%のものができあがることは稀で、完成後に予期せぬトラブルが起きることもしばしばです。たとえば、30秒で加工できていたものが35秒になるだけでも、月単位で見れば大きな減産につながります。生産ラインでは都度改善することが欠かせません」
現場ではイレギュラーなケースへの対応が迫られることも。物を言うのは、やはり経験だとY.K.は言います。
「ある現場で試したことが、まったく別の現場でも役に立つケースが少なくありません。生産技術部の仕事では、どれだけ場数を踏んでいるかが重要だと思います」
ものづくりへの関心から、不二越へ。複数の部署を経験して広がった視野
学生時代は工学部で電気電子を学んだY.K.。ものづくりに携わりたいと就職先を探す中で出会ったのが不二越でした。
「電気電子系の学生の多くは、電気やガス、鉄道といったインフラ系企業に就職することが多いのですが、あまり興味が持てなくて。どちらかというと何かをつくることに関心があり、就職活動中はとくに業界を絞らずにメーカーを中心に見ていたんです。幸いにも縁があったのが不二越。内定をもらって迷わず入社を決めました」
2013年の入社後、Y.K.が最初に配属されたのは、さまざまな油圧機器を扱う油圧事業部でした。
「油圧事業部で携わったのは、いまと同じ設備導入など生産技術の仕事です。仕様を決めていたのは先輩社員たちで、社内に導入されてきた新しい設備を使って試しに部品を加工し、安定した品質で部品を製造できるか確認する作業などを私は担当していました。
加工設備のように大きな機械を触るのはそのときが初めて。プログラムされて動いているのでめったなことはありませんが、ひとつ間違えると想定しない動きをすることもあるので、恐る恐る作業に当たっていたのを覚えています」
その後、Y.K.は品質保証部へ異動。工程改善の担当者として、事業部主催の生産性向上プロジェクトや、廃品プロジェクトなどに参画しました。
「生産技術的な視点を取り入れて品質保証を強化すべきという話があり、若くて元気な人材をということで私に白羽の矢が立ったと聞いています。社内の各事業部で品質向上のための指導するのが品質保証部の役割。私はロボット事業部を主に担当し、品質問題の対策状況の確認などを行っていました」
品質保証部で4年の経験を積んだ後、Y.K.は現在も所属するカーハイドロリクス事業部へ。同事業部の品質対策プロジェクトに参加したことがきっかけでした。
「『生産技術部にQCの観点から考えられる人材がほしい』と当時の製造所長が申請を出していたらしくて。たまたま直前に実施されていた品質改善のためのプロジェクトに参加していた私が抜擢され、現在に至っています」
現場での挑戦すべてが成長の機会に。設備改善と製造プロセスの最適化に向けて
カーハイドロリクス事業部に配属になって2023年で5年目を迎えるY.K.。生産技術部の一員として、これまでさまざまな設備の立ち上げに携わってきました。
「導入した設備で期待していたような生産性が得られず、改善のためのプロジェクトを発足させたことがありました。問題は、金属の切削に使用するドリルの単価が高かったこと。そこで、ひとつのドリルで加工できる部品を増やすことを目標に改善に取り組みました。
特定数を加工し終えた時点でドリルを機械から取り出すよう現場の作業担当者にお願いして、工場へと毎日のように足を運び、加工した部品の寸法や外観、品質に問題はないか、ドリルが異常に磨耗してないかを念入りに確認しながら、少しずつ数を伸ばしていきました」
もうひとつ、出来高が上げられないことも問題になっていました。
「機械の加工動作の中に、信号を待っているだけで何も動作していない無駄な時間があったんです。それがどんなタイミングで起こるのか、 パソコンをつないで取得したデータを分析しながら原因を究明し、空白時間を短縮していきました」
そうやって無数の事象に対応し、現場担当者と共に試行錯誤しながら課題を解決してきたY.K.。そのたびに生産技術担当としての成長を実感していると言います。
「それまで経験したことのないトラブルを改善できるようになったこと自体が技術者としての成長だと思っています。先輩に教えを請いながら、どうやって進めていけばいいかをともに考え、できることを一つひとつ増やしていくだけですね」
2021年に主任に昇格したY.K.。いまの仕事の醍醐味についてこう話します。
「この仕事をしていてもっとも達成感を覚えるのは、新しい設備が入ってきて動き出すときです。最近は任される仕事の幅が広がってきたこともあり、長い時間をかけて苦労して準備した設備を搬入して新しい生産ラインを立ち上げ、生産が始まるときはいつも大きな手ごたえを感じます。
新しい設備を入れるときはチーム単位で取りかかることが多いので、技術者全員が足並みを揃えるのが難しいところ。それぞれ得意なところを持ち寄りながら良いチームワークが発揮できていると思います」
さらに経験と技術に磨きをかけ、周囲から頼られる存在に
今後も生産技術の分野で経験を重ねながら、技術に磨きをかけていきたいと話すY.K.。自身の将来をこう展望します。
「技術はもちろんですが、考え方の面でも、自分にしかできないようなことを増やしていけたらと考えています。何かトラブルがあったときに、『Y.K. にちょっと相談してみよう』と思ってもらえるような、周囲から頼られる存在になれたらいいですね。
めざす地点を100だとしたなら、いまいるのはちょうど中間点くらい。まだまだこれからだと思っています」
社内でも中堅的なポジションとなり、Y.K.はこれから若手を指導していく立場でもあります。新しい仲間に向け、こんな言葉で声援を送ります。
「社内のどの事業部に配属されるとしても、自分の意見を持ってそれを周囲に対してはっきりと、またわかりやすく伝えることが大切だと思います。
たとえば何かトラブルに直面したとき、『こんなことになったんですが、どうすればいいですか?』と問いかけるのではなく、『現在はこういう状況なので、こんなふうに対応してみてもいいですか?』と、自分なりの考えで提案できる方のほうがきっと活躍できるし、成長もできるはずです。
若いときに失敗したりするのは当然です。間違うことを恐れて自分の視野を狭めることがないよう、さまざまな可能性を模索してください」
生産性の最大化をめざして、Y.K.の新たな挑戦はいまも進行中です。より高度な設備導入と生産技術に向けた終わりない探求が、不二越の未来を切り拓く大きな力となり続けます。
※ 記載内容は2023年9月時点のものです

