「笑顔」を届ける挑戦。マルホだから描ける製剤研究の未来
幼少期の経験がきっかけで医療業界を志したという共通点を持つ2人。入社の経緯を次のように振り返ります。
川﨑:子どもの頃、母の病院に付き添う機会が多くあり、「母の病気を治したい」という気持ちから、自然と医療に関わる仕事がしたいと考えるようになりました。
就職活動で探していたのは、「No.1」と言える強みを持つ企業です。マルホは皮膚科学領域、とくに外用剤市場でトップランナーとしての地位を築いています。トップレベルであり続ける技術に魅力を感じ、入社を決めました。
前田:中学生の頃、ひとり暮らしの祖父が皮膚疾患を患い、週に1回薬を塗りに行くようになったんです。その際、祖父が軟膏のべたつきを嫌がったり、自分で塗ることができず、症状が悪化して夜も眠れなくなったりする様子を目の当たりにした経験から、「もっと使いやすい薬をつくりたい」と思うようになりました。
大学では薬学を専攻し、大学院で「人に優しい製剤設計」をテーマとする研究室を選んだのも同じ理由です。患者さん視点を重視する考えに強く共感し、製剤学の道を志しました。
卒業後にマルホを選んだのは、祖父が使用していた薬の中にマルホの製品があったからです。また、当社に就職した大学の研究室の先輩から「使用感にこだわった製剤を研究している会社だ」と聞いていたことも、決め手になりました。
現在はCMC研究部に所属する前田と川﨑。前田は製剤研究グループ、川﨑は工業化研究グループで、それぞれ製剤研究に取り組んでいます。
前田:CMC研究部は、初期フェーズから後期フェーズまでの医薬品開発の全段階に関わる部門です。現在、約100名が在籍し、高品質な医薬品を安定的に患者さんに届けるために、原薬および製剤の設計、製造方法の開発、物理化学的評価に関する研究、規格及び試験方法の確立、安定性試験など幅広い研究に取り組んでいます。
その中でも製剤研究グループは、主に外用剤の設計を担当している部署です。また、製剤の特許取得を目的とした権利化研究や、製剤技術力や外用剤以外の製剤設計力を強化するための研究・調査など、幅広い活動を行っています。
川﨑:工業化研究グループの役割は、製剤研究グループがラボスケールで設計、処方決定した製剤を、研究所の規模から工場の規模へスケールアップし、製造プロセスを最適化することです。工場と連携し、製造プロセスだけでなく、容器の選定や設計も含め、最終的な製品の品質保証するため、多くの部署と連携しながら、工場規模への円滑な移行に取り組んでいます。
研究拠点から工場へ。生産現場で育まれた研究者としての新たな視点と成長
2013年の入社後、現在も所属するCMC研究部に配属された川﨑。製品研究グループや工業化研究グループでさまざまなプロジェクトを経験しますが、8年目に生産現場に異動したことは大きな転機になりました。
川﨑:自分が育ててきたプロジェクトを工場に引き渡す準備を進めるタイミングで工場に異動し、生産業務に携わることになりました。
CMC研究部から工場に配属されるのは珍しいケースです。これまで長く取り組んできた基礎研究を途中で手放すことに当時は強い抵抗があり、「週末だけでも研究を続けさせてほしい」と部長に嘆願したのを覚えています。
大きな環境の変化に戸惑いながらも、川﨑は周囲に支えられながら新たな知識を身につけていきました。
川﨑:それまでとは業務内容が一変し、製造機械の操作方法や工場内のルールなどを一から学ぶ必要がありました。苦労もありましたが、CMC研究部で培った経験を活かそうと、工場のメンバーにわからないことを一つひとつ教えてもらいながら、CMC研究部と工場の双方にとって、製造プロセスなどの技術移管がスムーズになるよう、積極的にアウトプットを工夫しました。
約2年にわたり工場で現場経験を積んだ後、CMC研究部へ復帰した川﨑。当初は想像もしていなかった大きな学びがあったと言います。
川﨑:研究部にいると、安定生産の難しさを考える機会はあまりありません。工場での業務フローを深く理解することで安定生産の何たるかを学び、同じ品質を安定的に維持するために必要な視点や判断力を身につけることができました。
さらに、工場とのコネクションができたことで、生産現場を巻き込みながら仕事を進められるようになった点も、自分の強みになったと感じています。
ものづくりの全工程を学ぶことをキャリアの目標としていた私にとって、この経験は非常に貴重なものとなりました。
アジア皮膚科ハブ構想(※)を策定してアジア市場での事業拡大をめざすなど、海外プロジェクトを進めるマルホ。前田と川﨑も、海外企業から導入した医薬品の研究開発プロジェクトに参加しています。
※ マルホが皮膚科学領域においてアジアでの開発や薬事、マーケティングをリードし、当該エリアの患者さんや医師が抱える医療課題の解決をめざす取り組み。詳しくは「日本の知見を世界へ──キャリアを活かして海外展開を推進する事業開発トップの想い」
川﨑:文化的背景の違いから、海外とのコミュニケーションでは認識の齟齬が生じやすく、思い通りに進まないことも少なくありません。たとえば、相手に納得してもらうためには、明確な根拠を示すことが重要です。プレゼンテーションを行う際には、意見やその理由に加え、規制の存在など具体的なエビデンスを提供するよう努めています。
前田:日本と海外ではレギュレーションが異なるため、同じ事象でも捉え方が変わってきます。国内の状況や私たちが求めていることを正確に伝え、お互いが納得した上で物事を進められるよう議論することが大切だと感じています。
グローバル化にともなって環境変化のスピードが加速し、業務の幅が広がる中で、わからないことや知らないことも増えてきました。患者さんにとって安心で効果的、かつ使いやすい医薬品をつくるために、幅広く新しい知識を常に身につける必要性を実感しています。
近年、医薬品の有効成分である原薬の構造が複雑化し、医薬品の設計技術の難易度が高まってきました。外用剤の処方設計に取り組む上で、前田には大切にしていることがあります。
前田:外用剤であるクリーム剤や液剤、ゲル剤といった製剤では、主薬の安定性の確保が難しいことが少なくありません。また、原薬が水に溶けにくい、皮膚透過性が低く吸収されにくいなど、物性に起因する問題も多く、製剤ごとの課題もさまざまです。
こうした課題に直面した時でも、品質や有効性、安全性を確保するだけでなく、患者さんの使用感にもこだわってきました。患者さんが毎日使いやすいと感じられる製剤をめざして開発を進めることが、製剤研究グループの重要な役割だと考えています。
外部への挑戦が切り拓く新たな視野。リーディングカンパニーとして次なる一手を担う
前田は2024年に製剤技師認定試験(※)に合格。その後、社外の研究者と交流する機会が大きく広がりました。
※ 製剤技師認定制度について詳しくは「製剤技師認定制度について | 公益社団法人日本薬剤学会」
前田:製剤技師認定試験を受けるには、5年以上の製剤関連業務の経験が必要です。私は受験資格を満たした2023年に挑戦し、合格することができました。
試験では、外用剤だけでなく、内服剤や注射剤の処方設計、レギュレーション、薬物動態など幅広い知識が求められます。また、この試験を通じて、普段の業務に必要な化学平衡や反応速度、界面現象などの知識をあらためて整理し、学び直す良い機会になりました。
さらに、製剤技師になると「製剤技師の会」に参加し、他社の製剤技師との情報交換会や勉強会に参加できます。有識者を招いた講演会や製剤技師同士のディスカッションを通じて、他社の研究者が抱える課題やその解決方法を知ることができたことも非常に有意義でした。
CMC研究部内に製剤技師の取得者はまだ多くありませんが、研究に携わる上で非常に重要な資格です。当社が製剤研究でさらに強みを発揮できるよう、資格取得を社内で積極的に啓発したいと思います。
一方、研究以外の活動にも積極的に参加してきた川﨑。さまざまな経験を通して、視野が大きく広がったと言います。
川﨑:2023年10月より、当社の新たな長期ビジョンを策定するプロジェクトに、自ら手を挙げて参加したことがとくに印象に残っています。社内では近年、従業員を巻き込んで組織の未来を考える風土が醸成されつつあります。このプロジェクトでは、マネージャー以上のメンバーを中心とした約30名と意見を交わす中で、ただものづくりに携わるだけでなく、いかにマルホの医薬品を患者さんに届けるかという視点を養うことができました。
工場での経験や、これまでに培ってきた人脈を活かしながら、よりいっそう組織の成長に貢献したいと考えています。
さらに、30代でマネージャーのポジションを任されたのは、これまで指導してくれた上司たちが、自分にふさわしい学びの機会を与え、支えてくれたおかげです。今後は、自分が受けてきた支援を部下にも還元し、彼らが成長できる環境を提供することが、マネージャーとしての自分の使命だと考えています。
「笑顔」を届ける挑戦。マルホだから描ける製剤研究の未来
マルホが掲げるミッション「あなたといういのちに、もっと笑顔を。」に共鳴しながら日々の業務と向き合ってきたと話す2人。当社だから描ける夢があります。
川﨑:馴染みやすく、口にしやすい表現なのでとても気に入っています。とくに、「あなた」という言葉は患者さんだけでなく、身近にいるすべての人を含む点に強く共感してきました。
ひとりでも多くの「あなた」を笑顔にするためには、まず自分が笑顔で前向きに仕事に取り組み、メンバーが笑顔で仕事ができる環境を育むことが重要です。マネージャーとして心理的安全性を確保し、健全な意見の衝突(ヘルシーコンフリクト)を促すことで、誰もが自由に意見を発信できる職場をつくりたいと思っています。
その上で、マルホの外用剤の品質設計力を、グローバルNo.1として胸を張れるものにしていきたいです。当社ならではの外用剤を、高品質と安定生産を両立させながら、成功確率を高め、スピード感を持って開発を進められる体制づくりに貢献することをめざしています。
前田:私は、自分が関わった製剤が患者さんのもとに届いた時、「その製剤が患者さんの生活の一部となり、当たり前の存在になれるだろうか」とよく考えます。患者さんにとって使いやすく、笑顔につながる医薬品をつくることが私の目標です。
また、高い外用剤技術や新規製剤技術など、マルホだからこそ実現できる製剤学に貢献し、患者さんはもちろん、その周りの方々や私たちの身近にいる方々も含め、ひとつでも多くの笑顔を生み出せるよう日々意識しています。
そんな2人にとって、マルホで働く魅力とは。当社で製剤研究に取り組むやりがいについて次のように話します。
川﨑:共に働くメンバーに恵まれ、周りの支えがあったおかげでここまで成長できたと思っています。素晴らしい仲間に巡り合えたことに心から感謝しています。
今後はマネージャーとして、当社の経営理念であるミッションやバリューに紐づけながらメンバーのモチベーションを高め、より働きやすさと働きがいを感じられる組織にしていきたいですね。
受け身でいるだけでは何も前に進みません。私は自分から率先して情報を収集したり、積極的にアクションを起こしたりする姿勢を心がけてきました。解決すべき課題が多いため、義務感で動くのではなく、それぞれのメンバーがやりがいを持って取り組める環境をつくりたいと考えています。
前田:私も素晴らしい人たちに出会えたことがやりがいにつながっています。社内には「この人と話すとやる気が湧く」「こんな風になりたい」と思える方が多く、何かあれば親身になって教えてくれる親切な方々に支えられてきました。
また、専門性やバックグラウンドが異なる方々との交流を通じて幅広い知識を得られる環境も魅力です。たとえば、安全性を安全性研究グループに評価していただいたり、工場の方々に製品を引き継いだり、デジタルトランスレーショナルリサーチグループの協力を得て製剤設計を進めたりと、さまざまな部署の方々と関わる中で多くを学んできました。
互いに刺激を与え合える存在をめざして、自分の強みをさらに磨きながら成長していきたいと考えています。
※ 記載内容は2024年11月時点のものです
