MR、マーケティング、海外赴任。自ら考え学ぶからこそ壁を突破するたびに力に変わる
陸上競技に打ち込んでいたことから大学ではスポーツ科学を専攻し、科学的アプローチで競技パフォーマンスを高めるトレーニング理論などを学んでいた谷村。体育教員の道も考えたものの、ビジネスでグローバルに活躍したいという夢を抱き、民間企業への就職活動を開始します。
幼い頃からアトピー性皮膚炎があり、マルホの保湿剤を使っていました。大学で身体の仕組みを学んでいたこともあり、これらの経験を活かせると考え当社への入社を決めました。
2011年に入社し、MR(医薬情報担当者)として熊本に配属された谷村。医療関係者や患者さんと向き合う中で、現在の仕事にも通じる重要なことを学んだと言います。
ビジネスはものやサービスをお客さまに届けることであり、会社のすべての機能は最終的にそこにつながります。MRとして医療関係者や患者さんのニーズについて深く理解できたことや培った現場感覚は、今でも自分の一番の基盤となっています。
入社4年目に、乾癬の生物学的製剤をプロモーションする特別プロジェクトに抜擢され、生物学的製剤の専任MRとして九州エリアを担当したことも、現在の挑戦につながる大きな経験でした。
サイエンス面の知識習得につながりました。とくに生物学的製剤の投与においては、副作用や合併症などへの注意が必要です。MRの責任として「この患者さんの症状や生活に、この薬剤は最適か」「治療中で気をつけるリスクは何か」など、医師に対して助言できるような科学的知識が求められます。
知識が頭に入っていなければ医師と面会することは難しいため、最新論文は常にチェックしていました。それだけでなく面会で教えていただいた個々の患者さんの症状や背景に関連する文献をひたすら調べ、丁寧な情報提供をしました。
患者さん一人ひとりに合わせたサイエンス情報を提供することが、医療関係者からの信頼や医療貢献につながったと、谷村は語ります。
「こういう患者さんに、どう対応すればいいか」と医師から直接相談される機会も増え、誰よりも早く現場の情報を得ることができました。そうした状況は営業戦略を検討する上でも、非常に有利になります。
結果的に数千の論文を読み、幅広い知識を深く習得しましたが、患者さん一人ひとりの症状や悩みの解決につながる情報提供によって、医療貢献できる機会が増えました。
また、自身が直接医療関係者に情報提供するだけでなく、九州エリアに配属されている当社MRの教育や、生物学的製剤の知識サポートも積極的に行っていました。
その後入社7年目に、谷村は乾癬領域のマーケティング部門に異動しました。マーケティング業務と平行し、MRのサイエンス知識のサポート業務は継続していました。
当社のMRを通じて、生物学的製剤の導入が検討されている全国の症例情報が私のところに集まり、対応するサイエンス情報を提供する相談窓口のようなことをしていました。より多くの医療関係者や患者さんのニーズを深く知ることができました。この経験が、現在の業務にも活かされていると感じています。
また、製造販売元との協業も非常に貴重な経験でした。外資系企業ならではの、10年後の未来まで確度高く見据えた長期戦略と、徹底した実行能力を学べたことは、現在のアジア各国の事業戦略を考える上での糧になっています。
そして入社10年目に、谷村にまた転機が訪れます。整形外科の医療機器を扱うアメリカのスタートアップ企業をマルホが買収したのを機に、その会社に海外赴任することになったのです。
まさに青天の霹靂でしたね。実は社内でMBA留学の候補に選ばれており、1年ほど英語の勉強をしていたのですが、いざ現地に行ってみるとまったく通じなくて……。
スタートアップ企業では、マーケティングの業務を担当していました。言語の壁に加え、国、領域、製品と、すべてがこれまで当社で行っていた業務とは異なり、まさに壁だらけの環境でした。野球とサッカーでルールが違うように、医薬品ビジネスと医療機器ビジネスもまったくの別物。まずはビジネスの構造や商習慣などを理解することから始めました。
また、スタートアップならではの意思決定の速さも肌で感じました。アメリカでは、成果を出さなければ解雇されるような状況で皆が仕事をしています。だからこそ不確実なことにも挑戦し、自分の仕事のパフォーマンスにシビアに向き合う姿勢が鍛えられました。
着任当初はまわりに見向きもされなかったものの、谷村は自身が“素人”であることを認め、アメリカでの医療機器領域の考え方を一から学ぶことに専念しました。
自分の強みと会社に不足している部分を見極めてアウトプットを出し続けることで、しだいに周囲の信頼を獲得していきました。最終的には現地社長から雇用延長のオファーを受けるまでに至りました。
アメリカでの挑戦は、谷村のキャリア観にも大きな影響を与えました。
現地で感じたのは、従業員が自律的にキャリアを形成していること。一方で、日本人は真面目で優秀にもかかわらず、過去30年、日本の経済が停滞してしまっている。
その一因は、受け身の姿勢にあるのではと感じたことから、自らキャリアを考え挑戦する仕組みとして社内インターン制度「ジョブチャレ(※1)」をアメリカ赴任中にマルホに提案しました。
この案は正式に社内承認され、2023年以降当社のキャリア支援制度として運用が始まっています。
※1 所属部署の仕事と並行しながら、興味のある他部署の仕事も経験できる社内インターン制度
誰もが適切な医療を受けられる世界へ。アジアの皮膚疾患の患者さんに貢献する
さまざまな壁を乗り越え、獲得した知見を着実に実績に結びつけてきた谷村。アメリカ赴任を終えて、現在はマルホの海外事業推進部で情熱を注いでいます。
世界には、医療制度の整備や医薬品供給が不十分な地域があり、必要な治療を受けられない患者さんが多く存在します。このような医療課題解決に貢献するために、当社はアジアを第一歩としてグローバルに価値を届ける「アジア皮膚科ハブ構想」を掲げています。
日本だけでなくアジア地域を含めて新薬の権利を全世界から獲得し、当社がハブとなって各国に製品を展開することで、アジアで皮膚科No.1企業になることをめざしています。日本を超えて、世界中の患者さんや医療関係者が抱える医療課題の解決に貢献することが、私たちの大きな目標です。
この構想は、マルホが日本の皮膚科学領域の事業で培ってきた強み(※2)を活かすことで、アジアの皮膚科医療に新たな価値を生み出そうとしています。谷村は、強みや事業価値について具体的に語ります。
当社は日本の皮膚科学領域をリードする企業であり、中でも外用剤の確かな品質には自信があります。メイドインジャパンの品質が高く評価されているアジアに製品を届けることで、現地の患者さんや医療関係者に貢献できると考えています。また、当社が持つ日本の医師との強いネットワークを活かせば、現地の学会などで、豊富な臨床経験を講演いただくようなことも可能です。
さらに現状、日本に比べてアジアの国々では有効な治療法が限られています。私たちが新しい薬の種を見つけ出し、開発して各国に届けることで、治療の選択肢が増え、患者さんのアンメットニーズ(まだ満たされていないニーズ)に応えられると確信しています。
※2 マルホの特徴や、皮膚科医師からの満足度評価などについて、詳しくはマルホの特徴 | 企業情報 | マルホ株式会社
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グローバルに価値を届ける新たな一歩。ASEAN10カ国での事業展開を実現
海外事業推進部の挑戦の中で、谷村は3つの重要な役割を担っています。
1つめは、海外から有望な新薬の種を探して導入するインライセンスと、自社の製品を海外のパートナー企業に導出するアウトライセンス。2つめは、アジア各国の事業戦略の立案です。そして3つめが、導出した製品を事業化するためのアライアンスマネジメント。社内の関連部門およびパートナー企業と密に連携し、承認取得から販売までを幅広くリードする役割です。
マルホが掲げる「アジア皮膚科ハブ構想」の実現の第一歩となるのが、谷村がリーダーを務める、抗ヘルペスウイルス剤のASEAN10カ国への導出プロジェクトです。
ASEAN市場は、経済的・地理的な問題により、質の高い医療にアクセスしにくいという医療課題があります。十分に治療を受けられていない患者さんや医療関係者に貢献できる道を切り拓けたことは、まさに当社の経営理念のバリューである「超えていこう」を体現できた経験だと思います。
海外ビジネスの経験不足や各国の薬事規制への対応など、乗り越えるべき課題は山積みです。しかし、谷村の言葉には確かな自信がみなぎり、事業を推進することでマルホの企業理念が体現できると語ります。
この製品は日本国内の同種同効薬でシェアが高く、メディカルバリューの高さには自負があります。現地医師からも「服用回数が少なく1日1回で済むことや、腎機能に応じた用量調節が不要なことで、患者さんの負担を大きく減らせる」と、高い期待が寄せられています。
このチャンスと、国内で培ってきた私たちの皮膚科学領域における強みを掛け合わせれば、十分に勝ち筋はあると考えています。一方で当社にとって初のASEAN進出であり、各国の薬事規制が異なることで複雑な対応が求められ、予定通りに承認を取得することは簡単ではありません。
プロジェクトリーダーとして、私がパートナー企業とプロジェクトメンバーのハブとなり、適切なコミュニケーションを推進し、社内外で良好な関係を構築することがプロジェクト成功のカギになります。
当社の製品でアジアの患者さんや医療関係者が笑顔になる姿を想像するだけでワクワクします。これも当社のバリュー「ワクワクで世界を変えよう」に通じますね。
世界中の皮膚で悩む方を笑顔にする。自ら道を創り、共に未来を描ける仲間を増やしたい
前例も、十分なノウハウもない。海外事業の推進は、まさにゼロからイチを創り出す仕事です。困難な道のりでもいきいきと挑戦を続ける原動力について、谷村はこう語ります。
数十年後の会社の未来を自分たちの手で創れること、そしてその先に、私たちの製品を待っている患者さんがいるとわかっていることが一番のモチベーションです。
今の仕事は、ジグソーパズルの組み立てに少し似ています。ミッシングピースだらけの状態から、一つひとつ情報を集めてピースを作り、埋めていく。その過程でニーズや市場の原理が解明され、私たちがビジネスで貢献できる全体像が見えてくる。
苦労しながらも、患者さんを笑顔にできる解決策が徐々にわかっていくことが、たまらなくワクワクします。
谷村がキャリアを築いてきた、「好奇心を持って、自ら考え、道を切り拓く」という姿勢の原点を尋ねると、陸上競技に打ち込んでいた学生時代にあると振り返ります。
当時の陸上界はまだ根性論が主流でしたが、私はそれが嫌で。科学的なアプローチで賢く強くなりたいとトレーニング理論を学び、練習メニューも自分で考えていました。当時のコーチは有名な陸上選手でしたが「コーチからは教えないから、自分で考えろ」という方針だったんです。
そこで「どんな情報があれば、どう行動すれば成果が出るだろうか?」と考えプランニングした経験が、今の仕事の取り組み方につながっている気がします。
谷村はこの先のビジョンも明確に描いています。
今後、海外での事業や製品ラインナップが充実していけば、事業開発から私が専門とするマーケティングのフェーズに入っていきます。
私たちがどれだけ良い製品だと思っていても、価値を決めるのは最終的に患者さんです。海を越えても、患者さんや医療関係者に貢献するといった、めざすゴールは同じ。市場のニーズとずれていればビジネスは成功しません。
MR時代やアメリカ赴任時などのこれまでの経験を活かして現地での拠点設立をリードし、最終的にはアジアビジネス全体のマーケティングを担うことをめざしています。
この壮大な戦略を推進するにあたり、谷村は、チームだけでなく会社全体を巻き込んでいく必要があると強調します。
今はまだ、私たちが“ファーストペンギン”。多くの従業員は、この挑戦がうまくいくのかを遠巻きに見ている状況かもしれません。だからこそ、私たちが1つでも多くの成功事例を積み重ねていくしかない。後に続く流れを創り出すことが、今の大きな課題であり、目標です。
最後に、この挑戦に共に挑む未来の仲間へ、メッセージを贈ります。
前例もなくやり方も決まっていない中で、受け身ではなく、自ら雑草をかき分け道を創っていけるような人と一緒に働きたいですね。また、知的好奇心が旺盛であることも重要だと思います。海外事業推進の業務は、バリューチェーンの上流から下流まで仕事の範囲が広いため、能動的な行動力と学習意欲がないとプロジェクトはリードできません。
医療課題をグローバルに解決し、世界中の皮膚疾患で悩んでいる方を笑顔にするための取り組みを、ワクワクしながら挑戦してくれる仲間が増えることを期待しています。
※ 記載内容は2025年6月時点のものです
