海外事業というブレない軸を持って自ら希望するキャリアを歩む
学生時代から、高い技術力を誇る日系メーカーの世界展開に寄与したいと考えていた冨田。人間のすべての根源である「生命」に関わる仕事を通じて社会貢献できる場を求め、医療機器メーカーでキャリアをスタートさせました。
「入社後、法務部やサプライチェーンマネジメント企画部に所属し、アジア統括拠点(シンガポール)での駐在も経験しました。単独で海外へ出張して契約をまとめるチャレンジングな機会をもらったり、複数の海外現地法人の立ち上げや事業拡大にも関わったりと、日本の常識では測れない世界や交渉現場を経験できました。
シンガポール駐在時には社員150人中日本人3人という環境下で、ドイツ人CEOの下でシンガポール人、マレーシア人、インド人、ミャンマー人などの多国籍チームと業務に従事していました。海外事業が飛躍的に成長するタイミングに立ち会い、日本企業が海外事業展開を成功させるために必要な要素を学べたことも有意義な経験でした」
入社当時から海外事業に関与したいことを周囲に公言し、ビジネス英語の習得に努め、海外事業というブレない軸を持って自ら希望するキャリアを選択してきた冨田。転職を決意し、マルホを新天地に選んだのは、新たな挑戦の機会を求めたからでした。
「マルホは、これから海外事業に挑戦しようとするフェーズ。ここなら自分自身の経験や知見を活かして海外事業の拡大に貢献できると考え、入社を決めました」
患者さんの悩みに寄り添い、カスタマーオリエンテッドな製品・サービスを世界へ
前職での経験を通じて、日系メーカーの製品は世界で通用することを実感していた冨田。同時に、日系企業特有のカスタマーオリエンテッド(顧客志向)な発想にも可能性を感じていました。
「前職で扱っていたのは、血液や尿といった検体検査の機器です。日本製で高品質なだけでなく、納品後、機器の状態を常にモニタリングし、故障を予知した際には営業がお客さま先に足を運んでメンテナンスする仕組みを提供していました。
一歩先んじてアクションを起こすことで、機器の故障や病院のオペレーションが止まることを未然に防ぐことが可能です。この仕組みはお客さまからも高く評価されていました。
こうしたカスタマーオリエンテッドな姿勢は、マルホにも当てはまると感じました。皮膚科医の先生から患者さんにわかりやすく薬を処方していただいたり、患者さんに正しく薬を使用していただいたりするためのコンテンツやツールなどを当社では展開しているからです。そのような『痒い所に手が届くサービス』はマルホに根付いているカルチャー。これはマルホの強みであり、世界でも必ず通用すると思っています」
また、マルホの「あなたといういのちに、もっと笑顔を。」というミッションにも、カスタマーオリエンテッドな姿勢が表れていると冨田は言います。
「ミッションには、患者さん一人ひとりと真摯に向き合い、これまで見過ごされ、軽視されてきた問題にも寄り添って解決するという強い決意が込められています。
たとえば、マルホは『青春のシンボル』とみなされていたニキビに対して、治療薬を開発し、皮膚科専門医の診察を受けることで適切な治療が可能であると啓発してきました。これも、カスタマーオリエンテッドな取り組みの一例です。マーケティングの観点から見れば、患者さんの悩みに寄り添うことで新たな市場を開拓してきたとも言えます」
マルホでは現在、「アジア皮膚科ハブ構想」を推進しています。マルホが皮膚科学領域においてアジアでの開発や薬事、マーケティングをリードし、当該エリアの患者さんや医師が抱える医療課題の解決をめざす取り組みです。
「アジアにターゲットを定めたのは、市場成長のポテンシャルが高く、アンメットニーズ(顧客にとってまだ満たされていないニーズ)が多く存在すると感じたからでした。市場調査を進める過程では、自ら中国や韓国、シンガポールに赴き、現地の皮膚科医や同業他社のMRへのインタビューも実施しました。
社内コンセンサスの醸成に向けて、海外市場の中でもアジアにフォーカスする理由や、マルホがアジアで事業成功を収めるためにどのような戦略を描いているのかについて、毎月の執行役員会で丁寧に説明を繰り返しました。その結果、社内に納得感や理解が徐々に浸透し、賛同を得ることができました」
個人では実現できない大胆な挑戦を。全員が参加する企業文化の構築に向けて
前職でのグローバルサプライチェーン改革やアジア市場での事業展開戦略の立案経験を活かし、「アジア皮膚科ハブ構想」を策定した冨田。そしてこの構想の牽引役を担うのが、事業開発部です。2023年10月には、同部内に海外事業業務を推進するグループを新設しました。
「私自身、海外事業を推進したい想いを持ってマルホに入社し、海外戦略について考える中で、アジアにフォーカスした『アジア皮膚科ハブ構想』を打ち立てました。新設したグループには、もともと海外事業に関わっていたマルホの生え抜きのメンバーに加え、他社での海外事業経験者や中国人のメンバーも仲間に迎え入れ、同構想の実現に向けて取り組んでいます。
ただし、事業開発部だけでは、会社を新たなステージへと導くダイナミックな挑戦はできません。全社を巻き込むためには、全員が共有できるシンプルでわかりやすい戦略やコンセプトが必要です。『アジア皮膚科ハブ構想』という明確な旗印を掲げられたことで、以前から海外事業に意欲的だったメンバーがよりいきいきと仕事に取り組めるようになりました。また、この構想に賛同する社内の仲間が増え、その動きが加速しているように感じています」
メンバーのモチベーションや組織へのエンゲージメントを高めることも、冨田が大切にしてきたことのひとつ。各自が自身の得意領域において、納得できる戦略や方針のもと、日々楽しく仕事に没頭できる環境づくりに尽力してきました。
「同部の定例ミーティングでは、私が最近感じていることや事業の現状について丁寧に説明して、メンバー全員が取り残されずに現状と目標を共有し、ワンチームとなって行動できるような雰囲気の醸成に努めています。
さらに、メンバーとの定期的な個別面談では、心理的安全性を担保した上で業務の現状や将来のキャリアプランについてオープンな対話を促し、私自身も真摯に耳を傾け、自分の考えを本音で話すよう努めてきました。メンバーが希望するキャリアプランに可能な限り応え、それが難しい場合はその理由をきちんと説明し、理解を求めるようにしています」
「上司と部下」「会社と社員」の関係性はフラットであるべきとの考えが冨田に身についたのは、前職でのシンガポール駐在時代でした。
「日本の企業では、雇用する側とされる側というかたちで、会社と社員に上下関係が生まれがちですが、海外の企業では、会社と社員の関係が非常にフラットです。社員は不満があれば遠慮なく声をあげますし、問題が解決されない、あるいは自分のキャリアにとってより良い職場がほかにあると判断すれば、躊躇なく転職を選択します。そうした緊張感のある会社と社員の関係性は、むしろ健全で、理想的な状態だと感じました。
だからこそ、社員には積極的に意見を出してほしいと思っていますし、社員に『ここは魅力的な職場だ』と感じ続けてもらえるよう、経営陣として絶えず新たな機会を提供していく必要があると考えています」
「アジアの皮膚科No.1企業」へ──明確な海外事業の未来像を描く
「アジア皮膚科ハブ構想」では、「2035年までにアジアの皮膚科No.1企業となり、アジアの患者さんや医師が抱える医療課題の解決に貢献する」という具体的な目標を設定しています。その第一歩として、2024年2月には、マルホ初のアジア子会社となる、マルホ医薬科技(北京)有限公司を中国・北京に設立しました。
「中国に子会社を設立したことで、すでに複数の協業オファーが届いています。『アジア皮膚科ハブ構想』を推進していく中で、中国に続いて、アジア主要各国にも子会社を設立することを検討しています」
さらに、冨田はすでに明確な海外事業の未来像を描いています。
「10年後、アジアの主要各国にマルホの子会社が点在し、日本とアジアで安定した収益基盤が構築されていることをめざし、各国の子会社にマルホ社員と現地社員がそれぞれ何名在籍し、どれほどの売上を達成しているかといった具体的なビジョンについて、社内でも検討を進めています。
また、『アジア皮膚科ハブ構想』を推進する一方で、当社のR&Dセンターを核として、アジアに限らず世界市場に向けた独自の医薬品開発にも挑むつもりです」
自身の経験や知見を活かし、マルホの海外事業に貢献するために入社した冨田。海外事業の仕組みづくりに向けて、次のように意欲を示します。
「30年、50年後もマルホがグローバルで存在感ある製薬企業として成長し続けていくための礎を築きたいと思っています。そのためには、全社員が高いエンゲージメントを持ち、誰もが日々楽しくいきいきと働ける組織づくりが欠かせません。
社員一人ひとりが『マルホで働く中で成長できた』と実感できる企業にしたいですし、そのための機会を提供することが私の使命だと考えています」
アジアにおける皮膚科分野のリーディングカンパニーをめざして、冨田はこれからも社内にポジティブなムーブメントを起こしながら、事業開発・海外事業の最前線に立ち続けます。
※ 記載内容は2024年3月時点のものです
