歴史よりも地理が好きだった学生時代。大学で学んだ知識を活かし、測量の世界へ
私は高校時代、地理や地球科学に興味を持ちました。大学では、地球科学におけるさまざまな分野を勉強しましたが、その中で地球計測学(測量)分野に触れました。
大学卒業後は、学んだことを活かしたいと思い、測量機器の代理店に新卒で入社。測量機器とシステムの営業を任されました。仙台支店に配属されて東北地域全般を担当していました。
営業で心がけていたことは、一方的に押しつけるのではなく、相手が欲しい情報をお伝えすることです。商品知識や他社事例などの情報収集は、他の営業に負けないように力を入れていました。
この心がけは、私自身が普段の買い物で店員から話しかけられることが苦手だったことから生まれたもの。「話しかけられても悪く思わないのは、どういうときか?」と考えたときに、こちらが欲する情報について詳しく教えてくれるときだと気づいたのです。
入社2年目になると、i-Construction(アイ・コンストラクション)推進部へ異動しました。
「i-Construction」とは、建設現場にICT技術を導入することで「生産性向上」と「労働環境の改善」の実現を目的とした国土交通省が進める取り組みです。i-Constructionが始まったのは、ちょうど私が入社したころでした。これを受けてi-Construction推進部が立ち上がったのです。
この部に配属されたのはベテランの方が中心でしたが、私もチャレンジしてみないかと声をかけていただき、異動しました。
ここでは、i-Constructionに関わる各種機器や製品の販売・レンタル営業支援、技術サポートに従事。
具体的には営業スタッフの教育や今のコベルコ建機での仕事につながるICT建機向け機器・システムの導入支援などを行いました。
ICT建機とは簡単に言うと、「建機に載せるカーナビ」のようなものです。ICT建機を使うことで、工事すべき場所まで案内することが可能になります。
これまでの建設現場では、工事の基準となる「丁張」と呼ばれる目安を実際の現場に組み立て、重機のオペレーターが一つひとつ目視確認しながら、その通りに施工していました。しかし、ICT建機であれば、モニター上に目安となるデータが表示されるので、丁張を立てる必要も、重機を降りて丁張の位置確認をする必要もないため、生産性が飛躍的に向上します。
当時は、一般的な測量機器については営業として取り扱っていたので知識がありましたが、建設機械に携わるのは初めてだったので、覚えることは本当にたくさんありました。
i-Constructionで建設機械に興味を持ち、“コベルコ建機”への転職を決意
i-Constructionの取り組みが始まり、測量機器業界と建機業界が密接に結びついたことで、建設機械に興味を持ち、次のキャリアとして建機メーカーを視野にいれるようになり転職活動を始めました。
建設ソフトメーカーや他社の建機メーカーも検討しましたが、i-Constructionの花形である「ICT建機」に携わりたい気持ちが大きく、最終的に建機メーカーへの転職、そしてコベルコ建機への入社を決めました。
数ある建機メーカーの中でコベルコ建機を選んだ理由は、独自性があり、ICT建機の分野ではまだ成長段階だったから。解体や林業に対して強みがある一方で、土木分野は他社が優位な状況下、これからこの分野のシェアを奪っていければおもしろいんじゃないか、と考えたのです。
コベルコ建機には2020年2月に入社し、今は主に2つの仕事を担当しています。1つ目は、油圧ショベル用先端アタッチメント「チルトローテータ」の業務です。
この商品はスウェーデンのもので、国内ではまだなじみがありません。関係部署と連携して、価格設定や、販促物、取扱説明書の作成などのマーケティングにかかわる業務を行っています。
※チルトローテータ:ショベル先端の特殊アタッチメントで、ショベルに取り付けて使用することで、これまで通常のショベルでは不可能だった、バケットの(左右)チルト動作、360度回転が可能となり、可動域が広がることで施工の生産性が大きく向上します。
加えて、チルトローテータやICT建機をショベルに装着するための部品の図面作成のとりまとめや、展示会やユーザーを訪問しての他社調査なども担っています。
2つ目は、ICT建機であるホルナビの販促プロモーションです。
当社のプロモーションでは、とくに動画に力を入れていて、主に導入事例をYouTubeにアップしています。営業が取ったアポイントをもとにお客様先へ訪問して、導入事例動画を撮影、その動画を通じてコベルコのICT建機の活躍を伝えられるようにする役割です。お客様は日本全国にいますので、沖縄の現場まで行くこともありました。
配属当時は、まさか販促プロモーションを担当するとは思っていませんでした。初めは驚きましたが、一方で、建設現場で営業をしていた経験を活かせるのではないかとも考えていました。
お客様の声を聞ける取材の場は、やりがいであり、商品の魅力を伝える上でも大切な機会
プロモーションではとくに動画に注力しているとお伝えしましたが、その理由は、導入事例を動画で紹介することで、ユーザーの「生の声」を、臨場感を持ってお届けしたいから。
写真や文章中心の発信をする同業他社が多い中で、動画という別の媒体でも発信することで、当社ならではの良さを表現できているのではないか、と思っています。
その動画でよりユーザーに生の声を届けるために、取材で心がけているのは、場の雰囲気づくり。普段立ち話をしているような感覚で本音を話していただける場を目指しています。
具体的に意識しているのは、まず出演者の緊張をほぐすこと。最近は動画に慣れている方も増えてきていますが、建設現場ではまだ動画に慣れていない方も多いです。撮影スタッフがずらっと並ぶと緊張すると思うので、撮影班が準備している間に少し雑談するなど、コミュニケーションを取り、緊張をほぐすお手伝いをするように心がけています。
また、直接お客様の声を聞ける取材の場は、営業の立場ではなくなった私自身が、自分の仕事が世の中のために役に立っているか、お客様がどう思っているかを感じられる、良い機会でもあります。
たとえば以前の取材時に、私が担当している製品、チルトローテータをご利用されているお客様から「一度使うと、もう通常のショベルに戻れない」といってもらえたことは、とても嬉しかった出来事の一つです。
こういった一人ひとりのお客様の声を聞くことは、自分自身のためだけでなく、KOBELCOのブランドイメージを高めていくためにも大切です。そのお客様の声を動画で発信することで、製品の良さを多くの人に届けられるからです。
社内の動きを円滑にし、良い商品を早くお客様に届けるため、大切にするスピード感
当社には、「SPIRIT」という、全世界のコベルコ建機グループ従業員を対象とした、世代、国、地域を超えて共有される精神・価値観・行動規範があります。
「シンプル」「スピード」「オープン」「コミュニケーション」「チャレンジ」「パッション」「ユニーク」「イノベーション」
8つある項目の中で私がとくに意識しているのは、「スピード」です。営業時代はお客様に対して、現在は営業や他部署から依頼があったときに早くレスポンスすることを心がけています。
たとえば、資料作りをお願いされたときなど、小さな依頼に対してもスピード感を持って対応しています。そうすると、自分が何かをお願いするときにも、相手がスピード感を持って対応してくれることもあるからです。
また現在、私が積極的に行っている他社調査についても、調査の中で得た情報を開発担当者へスピーディーに伝えることが重要です。最近では世界一の建設機械の展示会調査でドイツに出張することもありました。
そもそもコベルコ建機は素晴らしい開発技術を持っているので、「自分たちがどういった方向を向いているのか、世界中で使用されるコベルコ建機のお客様が何を欲しているのか」を調査し、開発担当者により多くの情報を伝えられれば、お客様にとって良い製品を届けられます。そこにスピードが加われば、早くお客様に喜んでいただけるのです。
より良い製品をいち早くお客様にお届けすること。これが私の仕事の理想です。
