「自動車」から「建機」へ──コベルコ建機を選んだ理由

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▲20代前半のころの一枚。大阪マラソンに出場しました

学生時代は、機械工学を学んでいました。学んだ知識が、社会に出て何の役に立つのかをいつも意識していたと思います。 

新卒で選んだ会社は自動車メーカーのグループ会社で、設計を専門に担っている会社でした。学んだことを活かし、モノづくり、ひいては設計や開発に携わりたいという想いがありました。入社後は、自動車メーカーの研究開発部門へ配属され、約6年間、設計やCAEツールを活用した研究などに携わりました。 

その後、コベルコ建機へ転職。転職のきっかけは3つありました。 

1つ目は、最初に入社した会社で設計や開発を行いたいという希望はかなったものの、受託専門の会社であったため、開発全体を主導できる立場で仕事をしたいという想いが芽生えたこと。 

2つ目は、自動車業界の研究開発はかなり業務が細分化されており、もっとシステム全体を見渡したいと考えたこと。 

3つ目は、シミュレーション技術をより多く取り入れた開発を行いたいと考えたことでした。 

希望がかなう環境が、どこにあるかを探していたとき、コベルコ建機が油圧ショベルの開発でHILS(Hardware In the Loop Simulator)を積極的に使っているということがわかり、転職活動ではコベルコ建機のみを志望して、実際に入社することができました。 

入社して、本当に広い領域を担当できると感じました。最初から最後のかたちになるまでを担当することができ、そしてその評価結果までを見ることができるため、達成感もとても大きなものでした。 

自動車と建設機械の設計開発の環境の違いも大きなものでした。 

まず、ショベルであれば一機種あたりの生産台数は自動車に比べて非常に少ないです。そして、自動車では各担当者が要素ごとの開発を行いそれを統合するのに対して、ショベルでは少数精鋭のメンバーが集まって一連の設計開発の作業を行います。さらに顧客の評価を聴いて改善するところまでも担当します。また、この間、非常に多くの人とも関わります。業務を進めるのは想像以上に大変でしたが、とてもやりがいのあるものでした。 

そのほかにも、自動車とショベルでは多くの違いがありました。最も大きな違いは使用環境だと思います。自動車であれば主に舗装された道路を走ることが想定されています。しかし、ショベルの場合、土木工事現場や山中など極めて過酷な環境で使われます。求められる耐環境性のレベルは段違いです。 さらに、ショベルの開発に携わって苦労したことは、やはりコストと性能の両立。QDC(品質:Quality・納期:Delivery・コスト:Cost)を達成することは本当に難しかったです。 

そして今振り返ってみると、お客様に受け入れてもらうにはお客様の声に応える機能を備える必要があること。お客様が本当に求めることは何か、この製品は何のために開発するかという視点で議論をして開発した製品は必ず良い評価を受けてきたと思います。

要素開発から「K-DIVE®」プロジェクトへ参画するまでの軌跡

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▲アメリカにて。この時期は海外出張も多く経験

入社後最初の3年間は、要素開発部でフラッグシップモデルの動力系の設計開発を担当していました。 

当時は、主に鉱山で稼働している超大型モデルの冷却性能をあげるためのファンドライブシステムの設計や研究開発に携わったほか、動力系の開発で量産の搭載設計も行いました。 

その後、部を横断した振動設計プロジェクトをリーダーとして推進します。 

当時コベルコ建機では、振動設計に注力していました。 先にも説明しましたが、ショベルの使用環境は自動車とは比べ物にならないくらいに過酷です。振動に関わる問題を解決することは建設機械を設計するときの重要課題の1つです。 

このころには自動車への排ガス規制が厳しくなっており、産業機械用エンジンでも同様に規制が進んできました。これに対応するためには、産業機械用エンジンの代わりに、排ガス規制対策が進んでいる自動車用エンジンの排ガス規制対応装置を転用することが効率的です。しかし、先述の通り、ショベルの振動は自動車とは比べ物になりません。自動車用エンジンの排ガス規制対応装置をどのようにショベルへ搭載設計するかについて一から考えなければなりませんでした。また、振動を改善するためには、動力系だけではなく、フレームなど構造系の要素技術も必要となります。横断プロジェクトは10名以上が集まるものとなりました。 

初めてのグループ横断プロジェクトを無事完遂した後には、その経験を活かしてフルモデルチェンジにも携わることができました。各部の代表が集まり、新製品開発のコンセプトを立案するプロジェクトで、真にお客様が望む製品・サービスに関する要求要件定義や、実際にそれを進めるための社内組織の運営などを通じて、今ある技術(手段)だけではなく、より顧客視点で現場の課題を解決するための製品・サービスといった視点を持つことを学びました。また、コンセプトへの社内外の強い共感がなければ、経営層への納得感にもつながらない、そのことで実際の本開発へ移行することができないといった苦い経験もしました。このことからも、新しいことの実現には、強い共感を得ることが重要だと感じました。 

以上のように、ここまでのキャリアは「モノづくり」が中心でした。2019年、いよいよ私の「コトづくり」への挑戦が始まります。私にとっての大きなターニングポイントです。

「モノづくり」から「コトづくり」へ。お客様とともに社会課題を解決するために

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▲これが実際の機械

要素技術開発、新機種開発、システム開発などこれまでの「モノづくり」のキャリアを基軸に、「コトづくり」事業開発に参画。コベルコ建機のビジョンでもある「ユーザー現場主義」に基づき、お客様と共に社会課題を解決するために、さまざまな業務に取り組んでいきました。

※これからの時代は、さらなる安全、労働力不足や熟練者養成の問題が深刻化します。機械の性能向上だけでは解決できないさまざまな問題をお客様とともにソリューションで解決していく。当社でもこうした「コトづくり」のビジネスに注力していくことになりました。

私の所属も新事業推進部に異動になり、「コトづくり」に取り組むこととなりました。新事業推進部は、油圧ショベルやクレーンの製造販売だけにとどまらず、ビジネスそのものを根本から変革していく。新たな経営の柱を創り出すことがミッションです。 

主要な取り組みの1つに、今私が携わっている「K-DIVE®」というサービスがあります。「K-DIVE®」は遠隔操作システムと稼働データを用いた現場改善ソリューションです。 

建設機械が活躍する場面は、土木工事、建築工事をはじめとして私たちの社会を支える上でなくてはならないものです。しかし、いまだに3K職場も多く仕事の担い手が次第に減ってきています。このままでは将来に大きな不安が生じます。そこで働く人たちの環境もより良くしていきたいと考えています。そこで私たちが目指していることは、建設機械を使って仕事をする場面や働き方を根本から変え、さまざまな人へ仕事の可能性を広げていくことです。そのうちの1つが、建設現場のテレワーク化です。 

新事業推進部の仕事は多岐にわたりますが、そこで私は遠隔操作のための無線通信や光通信などの環境の構築に取り組んでいます。さらにサービスの立ち上げに向けたお客様のサポート体制を整えることもミッションの1つです。お客様とのコミュニケーションも増え、これまでよりももっとお客様に近くなりました。私にとってとてもチャレンジングな仕事です。 

振り返れば新たな挑戦の連続だったキャリアですが、まだやりたいことはあります。今後もこれらの経験を活かし、さまざまな角度での価値提供の可能性を考えていきたいと思います。今は、新事業推進部では「K-DIVE®」以外にもさまざまな取り組みを進めています。私は今後とも自ら主導的な立場で発信を続け、KOBELCOの新しい芽を育てていきたいと思います。 

そういった想いを持って、チャレンジできる環境があるコベルコ建機は、私にマッチした会社だと感じています。

コベルコ建機での経験を経て、大事にしているマインドとは

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▲グロースマインドセットを合言葉に、お互いを尊重し、高め合えるチームに

私が今大事にしている価値観は「グロースマインドセット」。失敗を失敗と捉えず、次への成長機会と捉えることです。 

誤解を恐れずに言えば、「失敗は自分が失敗と認めない限りは失敗ではない」と思っており、自分の中でその失敗が糧になり、良い方向に進んでいくと思っています。 

もちろん失敗したときは残念・悲しい・悔しいといった気持ちは生まれますが、それだけで終わらせるのではなく、振り返って、どこに問題があったかを考えることが重要です。その教訓を活かし、諦めず挑戦し続けること。それが大切だと考えています。 

とくに、さまざまな部署を横断するプロジェクトではメンバーのバックグラウンドやものの考え方もさまざまです。知らないメンバーばかりの環境で萎縮したり、発信を恐れたりする気持ちもありましたが、多様性のあるチームで物事をうまく運ぶためには、積極的な発信は欠かせないと思います。無鉄砲ではだめですが、チャレンジをすることでしか得られない学び・気づきはとても大きく、それを次のチャレンジに活かすことで、より良い結果につながると思います。 

そんな想いから、私がとくに気を付けていることは誰かにフィードバックするときには誰かを責めたり、悪い部分を指摘したりしないこと。次につながる解決策を提案して対話を盛り上げるように心がけています。 

またコミュニケーションを通じてどうして失敗につながったかについて掘り下げるようにしています。組織における失敗は誰かが悪いといった属人的なものではないと思います。なぜその人がそう考えたのか、そこに至るまでの過程やそもそもの職場の文化や風土に問題はなかったのかなど。組織全体を見渡して客観的な視点で掘り下げることが大事だと思っています。 

「グロースマインドセット」を持った方であれば、コベルコ建機には活躍できる環境があると思いますし、ぜひ一緒にお仕事がしたいと思っています。