常に半導体業界の動向にアンテナを張り、顧客の受注に迅速に対応
パソコンやスマートフォン、デジタル家電の製造において欠かせない素材となった半導体。栗山は、磯原工場の製造第1部半導体管理課に所属し、まさに半導体用ターゲットの製造工程管理に携わっています。
「半導体管理課には30人ほどのメンバーがいて、半導体の品種ごとのチームに分かれて対応しています。半導体用ターゲットの製造工程では、製造工程進捗を出荷手続きまで管理し、出荷予定の調整が必要な場合は、国内外営業チームとも連携して対応しています。
また、外部業者に発注することも多いため、外部業者との連絡や納期調整などの外注管理対応も行っています」
栗山が担当しているのは主にCu系の半導体用ターゲット。JX金属が半導体用に特別に開発したもので、配線のメインとなる素材です。
「顧客となるのは、主に半導体を製作する企業や、そこに対して装置を提供する企業。部署として一番のミッションは、顧客の要求に応え、納期通りに製品を迅速に出荷することです。そのために、営業担当者とも情報交換しながら半導体業界の動向をしっかり把握するように心がけています。
コロナ禍によるリモートワークの普及に伴い、スマホやパソコンの需要が高まったことで、半導体不足が深刻化しましたが、現在は少し落ち着いている状況。今後は次世代通信の普及に伴う新しいデータセンターの構築などが予測されるため、半導体の需要は再び増えていくでしょう。そうした変化にも対応できるように、工場や部署全体で備えようとしているところです」
学生時代の研究とアプローチ方法は違っても、好奇心旺盛に知識を深めていった新人時代
大学院時代は非鉄金属、中でもLEDのリサイクルに関する研究をしていたと言う栗山。
「無機化学の中でも環境について興味があり、将来にわたって便利な生活を続けていくためには、リサイクルが非常に重要になると考えたのです。LEDにはガリウムという金属が含まれているため、それをどう回収し、再利用するかを研究していました」
そのため、就職の軸としていたのも非鉄金属系の企業。多くの会社の工場見学に足を運んだ中で、最も興味がわいたのがJX金属でした。
「就活時は倉見工場を見学したのですが、銅箔の圧延を一貫して行っており、大規模な装置をスタッフ全員で運用している様子が非常に魅力的でした。雑談を交えながらの面接では、社員たちの雰囲気がとても良いと感じましたし、ヨットに乗るのが好きだと話したところ、倉見工場なら海が近いため、ヨットも楽しめるかもしれないと盛り上がったのがとくに印象に残っています」
入社後は現在と同じ磯原工場の、製品開発センター半導体グループという製品開発部門に配属。栗山はCu系の半導体用ターゲットに特化し、品質改善や新たな特殊塑性のターゲットを開発する業務に携わります。
「学生時代に非鉄金属を学んだと言っても、私の専門はもともと無機化学からのアプローチでした。半導体グループに配属されたことで、材料側からアプローチすることになったので、仕事を覚えながら半導体について基礎から学ぶ必要もありました。
わからないことがあれば周りの人に質問したり、書籍やインターネットで調べたり。まずは半導体というものに興味を持ち、好奇心旺盛に貪欲に学ぶことで、知識を深めることができたのだと思います」
製造工程管理は問題が起きたときの対処が肝心。事前の準備を万全に整えていきたい
入社1年目が終わろうとするころ、栗山はCu系溶解炉の垂直立ち上げプロジェクトにアサインされます。製品開発センターからは5名が参加した比較的小規模なプロジェクトだったものの、多くを学び、成長できたと振り返ります。
「溶解方法や条件を設定する段階から参加したのですが、1年目の私にとっては初めての経験ばかり。よく理解しないまま進めてしまい、現場の方に怒られることも度々ありました。何かミスがあると製造工程に直接影響が出てしまうので、現場のスタッフが厳しいのは当然ですよね。
いろんなことを教えてもらい、協力してもらいながら、なんとか立ち上げが成功したときは、大きな達成感を味わえました」
このときの経験から、「わからないことはそのままにしない」「現場への指示は明確にわかりやすく」を心がけるようになった栗山。現場スタッフとのつながりができ、スムーズに指示が出せるようになったことは、現在の製造工程管理の仕事にも大いに役立っていると言います。
「製造工程管理では、何か問題が起きたときに素早い適切な対処が求められます。そこで重要なのは、どんな問題が起きる可能性があるかを予測し、あらかじめ対応策を考えておくことです。
たとえば工場の設備が故障してしまうと、出荷に大きな影響を及ぼします。万が一故障してしまった場合でも、必要な出荷量を確保するためにはどうすればいいのか──柔軟に対応策を検討することが重要なのです」
コロナ禍、半導体用ターゲットを安定供給できなかったという苦い経験をした栗山たち。今後は安全在庫として一定の在庫を確保することや、製造を外部委託先に分散させ、必要な時には委託先にリカバリーしてもらうことなども検討しています。
「コロナ禍という状況は誰にも予測がつかなかったこととは言え、なんらかの対応策を考えておくべきだったという反省があります。今後も不測の事態は起こり得るので、教訓を活かして万全の準備を整えていきたいですね」
「栗山に相談すればなんとかなる」と思ってもらえるような存在をめざして
JX金属の魅力の一つは、職位に関係なく社員同士の距離が近く、意見を自由に言いやすい風土だと栗山は語ります。
「今所属している半導体管理課は、現場とかなり深く関わりのある部署。上司に自分の考えをしっかりと伝えるようにしていますし、現場からもさまざまな意見をもらいます。気づいたことがあれば、自由に意見を交換できる環境なので、風通しの良い社風だと感じますね。
もう一つの魅力は、何にでも挑戦させてもらえること。だからこそ、1年目の新入社員であっても、重要な業務である溶解炉の立ち上げに関わらせてもらえたのではないでしょうか。もちろん先輩方のサポートがあってこそですが、若いうちから多岐にわたる業務に取り組める会社だと思います」
栗山は入社後、教育担当だった先輩の背中を見て仕事を覚えていきました。
「先輩に憧れて、先輩のように現場のスタッフからの信頼を得ながら、いろんな仕事をこなせる人間になりたいと思っていました。入社して5年、今では『Cu系の半導体のことなら栗山だ』と、現場からも頼られるようになったと感じています。
これからは製造工程管理だけでなく、より広い範囲で半導体という材料に関わっていきたいと思っています。『磯原工場で半導体に関することなら、栗山に相談すればなんとかなる』と思ってもらえるほど、信頼される存在に成長したいですね。
また、これからは私が先輩として、後輩たちをフォローしていきたいという想いもあります。後輩たちがやりたいことを話してくれたら、まずは否定せずに見守りたい──もちろん安全第一が前提なので危険なことは阻止しますが、挑戦することは自己成長のために非常に重要だと思うからです」
半導体需要が落ち着いた今だからこそ、次の波に備えた投資を行い、半導体用ターゲットの供給不足を二度と起こさないように貢献していきたいと語る栗山。その瞳には、工場だけでなく業界全体を見据えています。
※ 記載内容は2023年7月時点のものです
