企業のサステナビリティ情報に関する審査・検証や、グリーンエネルギー認証などを実施
一般財団法人日本品質保証機構(以下、JQA)の地球環境事業部に所属する市野と勝本。持続可能な社会の実現をサポートすることをミッションに、約20人のメンバーが一丸となり、ふたつの主力事業に取り組んでいます。
市野:主力事業のひとつは、企業が開示したサステナビリティ情報について、国際基準に基づいた第三者検証を行うことです。たとえば、温室効果ガスの排出量であれば、化石燃料を燃やしている量、電気の使用量等を企業側にリストアップしてもらい、それが定められたルールに基づいた算定になっているかを検証します。積極的に情報開示を行っている上場企業が主なお客様となっています。
もうひとつは、グリーンエネルギー認証です。JQAでは自然エネルギーによって発電された電気や熱の環境付加価値を認証し証書化するための制度の運営を行っており、近年気候変動対策への関心の高まりから活用が進んでいる「グリーン電力証書」や、「グリーン熱証書」の信頼を支えています。
また、私が所属する企画課では、製品やサービスのライフサイクルで排出する温室効果ガスを算定するカーボンフットプリントなどの技術支援業務や、新規事業開発なども行っています。
地球環境事業部が発足したのは2004年。世界初の「クリーン開発メカニズム」の指定運営機関として国連に認定され、事業をスタートしました。
市野:クリーン開発メカニズムとは、先進国が途上国と共同で温室効果ガス削減プロジェクトを実施し、途上国で得られた削減分を先進国がクレジットとして獲得して自国の温室効果ガス削減量に充当する仕組みです。初期の地球環境事業部は、そのプロジェクトの妥当性や削減量を審査・検証する業務を行っていました。
現在ではこのクリーン開発メカニズムの知見を基盤として、日本国内のさまざまな認証制度や排出量取引制度の審査・検証機関として業務を行っています。
また、企業が自主的な取り組みとして開示するサステナビリティ情報の検証は、2020年ころから問い合わせが急増していて、とくに2022年4月にプライム市場上場企業全体に情報開示が要請されたことを受け、現在では当部署の審査員が毎日出ずっぱりの状態です。
女性管理職比率、労働災害度数率等の社会情報も検証。わかりやすい説明を徹底
企業が開示したサステナビリティ情報の審査を担当するのは、環境審査課のメンバー。勝本も審査員のひとりとして活躍しています。
勝本:温室効果ガス排出量、水使用量、廃棄物排出量などの環境情報に加えて、女性管理職比率、労働災害度数率などの社会情報について検証しています。最近の傾向としては、社会情報の検証を含めて依頼される企業様が増えています。
勝本が中途で入構したのは2020年のこと。前職では第三者検証を受ける立場であったことから、大切にしていることがあると言います。
勝本:前職では、環境マネジメントシステムに関する国際規格ISO14001の審査を受ける部署に所属していました。審査を受ける企業側の気持ちがわかるので、お客様の視点に立ち、できるだけ噛み砕いて伝えるようにしています。
また、高圧的な審査にならないよう、「お客様と対等な立場で検証を行う」というスタンスを大切にしています。
そのスタンスを企業側と共有する上で、勝本はコミュニケーションに注意を払ってきました。
勝本:企業側の担当者の年齢層は若い方からベテランの方まで幅広く、私たちの説明を聞きたいという方もいれば、企業側の考えを伝えたいという方もいるので、相手に合わせた対応を心がけています。ただし、検証ではコンサルティングサービスの提供ができません。お客様の気づきにつながるような表現にとどめるよう心がけています。
また、お客様の社内で認識の齟齬を生じさせないために、お伝えしたい内容をメールで残しつつ、お会いした時にあらためて違う角度から説明するなど、理解を深めていただけるよう工夫しています。
理解されなかった検証サービスが、いまや問い合わせが急増。社会に求められる存在へ
自然豊かな土地で育った勝本は、以前から環境問題に高い関心を持っていました。
勝本:子どもの時から公害などに関心があり、環境問題に対して「これでいいのかな」と危惧し、将来は環境に携わる仕事をしたいと思っていました。前職でも環境に関わる部署にいましたが、自社だけではなく広い視野で環境問題に関わる仕事がしたいという気持ちから、JQAに転職しました。
一方、市野は2002年に新卒で入構し、2009年に地球環境事業部へ異動。ちょうど翌年から東京都で「排出量取引制度」がスタートするタイミングでした。排出量取引制度とは、企業の温室効果ガス排出削減義務を定めた東京都の条例を背景に、削減量を企業間で取引する制度のこと。JQAは取引の基礎となる排出量の検証を行っている。この制度の導入直後が、自身にとって試練の期間だったと市野は振り返ります。
市野:制度とJQAの検証サービスを説明するために対象企業を訪問して回りました。都内には対象事業所が約1,300もあるのですが、当時はなかなか理解を得られず、説明資料を工夫し、繰り返し訪問を行うなど苦労の連続でした。それでも検証主任者の資格を取得したことや、自らも検証業務に携わることで理解を深め、徐々にお客様の信頼を得ていったことは今につながる貴重な経験でした。
当時検証サービスの需要はこのような制度に基づくものがほとんどでした。自主的な排出量の算定や検証を提案しても、反応が返ってくるのは数社程度。しかし時を経て、現在ではひっきりなしに問い合わせがくる状態に。この約10年間で環境が大きく変わり、私たちが必要とされるようになってきたのを感じます。
その後、地球環境事業部が着実に事業を伸ばせた背景には、われわれが貫いてきた姿勢もあるかもしれません。企業に対して押し売りするのではなく、企業からの「こういう検証を受けたい」というニーズに応える態度でずっと取り組んできました。お客様のニーズにフォーカスしてサービスを組み立ててきたことが、いまにつながったと思います。
企業の環境ニーズの高まりを感じる中、お客様の意識の向上も進んできました。
勝本:お客様の意識の高まりに比例して、私は自分の勉強不足や至らなさを痛感することが少なくありません。審査後は毎回、「もっとわかりやすく伝えられたのではないか」と反省を繰り返しています。
そんな時、支えてくれるのが地球環境事業部のメンバー。落ち込んで帰社すると、メンバーが話を聞いてくれます。部署の仲間は話しやすい人たちばかり。気軽に課題を共有しながら仕事を進められるし、皆さん知識が豊富なので大いに助けられています。また、女性メンバーが多い上に、清々しいタイプの人がそろっていて雰囲気が良く、仕事がとてもやりやすいです。
お客様からの信頼がやりがいに。新領域を切り拓いてさらなる社会貢献を
この仕事のやりがいについて、ふたりは口をそろえて、「お客様からの信頼」を挙げます。
勝本:お客様から、「JQAに任せてよかった」「JQAだから依頼したんですよ」と言われることがあります。この言葉は信頼の証。それだけお客様からの期待値は上がりますが、それがやりがいにつながっています。
市野:企画課でも以前、「JQAにお願いしたい」と相談された案件がありました。企業が開示するサステナビリティ情報は、温室効果ガスだけでなく、人権、ガバナンス、リスク管理など多岐にわたりますが、検証手法が確立されてない分野もまだまだ多くあります。その新しい検証手法の検討に他社に先んじて取り組んだところ、外部機関からも評価され、お礼のメールをいただきました。
果敢に挑戦してよかったと思えた瞬間でした。こうして新しいことにチャレンジできるのも、われわれの事業のおもしろさです。
そしてさらなる挑戦に向けて、ふたりは次のように抱負を述べます。
市野:実は、われわれは海外の事業所に対する審査もやっています。コロナ禍で一時は件数が減りましたが、再開後は問い合わせも増えてきました。お客様のニーズに寄り添いながら、積極的に新しいサービスを切り拓いていきたいと思っています。
勝本:個人的なことになりますが、自分の体をいたわるためにも、体を鍛えたいと思っています。何をするにも体が資本ですからね。
市野:私は2年前にランニングを始めて、5㎏の減量に成功しました。山の中を走っていると悩みがクリアになり、また仕事に精を出せます。勝本さんも今度ぜひいっしょに走りましょう。
勝本:部署のメンバーで走ろうなんて話も出ていますね。でも、ちょっといまは業務が忙しくて……(笑)。
こんな調子で部門内ではいつも会話が絶えないと言う市野。ともに地球環境事業部で働く新しい仲間に向けて、こんな言葉で呼びかけます。
市野:コミュニケーションが大切になる仕事なので、私たちのように人と話すのが好きな方が取り組みやすい仕事だと思います。また、社会課題の解決に高い関心がある方にも向いているのではないでしょうか。
今後、地球環境事業へのニーズはますます高まるばかり。新しい分野を切り拓きながら、市野と勝本はサステナビリティ社会の実現に貢献し続けます。
※ 記載内容は2024年2月時点のものです

