パソコンで年賀状づくりを楽にすると両親が喜んでくれた。少年時代の原体験からIT分野へ
芦野がITという分野に興味を持ったのは、小学生の頃。学校にWindowsのパソコンが導入され、絵を描いたりゲームで遊んだりしながら、子どもながらに「これからはパソコンの時代」という風潮を感じたと言います。
「家でもパソコンが使えるようになると、ワープロソフトで年賀状の住所録をつくって印刷できるようにしました。すると『手書きよりずっと楽になった』と、両親がとても喜んでくれて。『パソコンを使いこなせるようになれば、人の役に立てるんだ』と嬉しくなり、もっと学んでみたくなったのです」
そんな経験から、大学ではプログラミング言語の学習やソフトウェア開発の工程を学んだ芦野。就職活動の軸としたのは、1つの会社であらゆるシステムに長期的に関われる「社内SE」という職業でした。
「新卒で入社した繊維メーカーでは、子会社の情報システム部門へ出向。そこでは、社内のシステムを開発するというよりは、他社の業務システムの整備や開発テストを担当しました。具体的には、医薬・金融など複数業界の業務システムの開発・運用です。
その後、電力小売事業を支える社内ツールの開発リーダーを経験。次に転職した化学メーカーでは、自社の物流系アプリや社内ワークフローの開発に従事しました」
さまざまな業界・システムに、さまざまな立場で携わってきた芦野は、「すべての経験が今の自分の糧になっている」と振り返ります。
「たとえば1社目の仕事は、希望していた社内SEというポジションではなく、他社のシステム開発だったので、数カ月単位で働く場所や一緒に働くメンバーが変わりました。慣れない環境で、ほぼ初対面の人と協力して1つのシステムをつくる、というのが日常だったので、どんな状況も苦にせず、自分の役割を果たせるようになりました。どんな経験でも必ず次に活きますし、活かせるように努力してきたと自負しています」
新たな挑戦の機会と職員の誠実さが入構の決め手。ITインフラ担当として変革に着手
SEとして多くの経験を積み、2021年にJQAに入構した芦野。転職を決めた理由は、新たな挑戦の機会と、職員たちの誠実さだったと言います。
「採用面接でJQAが抱えているIT面の課題を聞いたところ、複数あるサーバーを集約し、クラウド化や利便性向上・セキュリティ強化を進めていきたい、とのことでした。サーバーやインフラ面の仕事はこれまで経験がなかったのですが、学生時代に勉強したことが活かせそうだと感じ、新たな分野に挑戦してみたいと思ったのです。
また、面接で会った人たちが皆さんとても誠実だったことも、入構の決め手です。これまで何度か転職し、次は長く安定して働ける会社を見つけたいと思っていたので、面接では社風などについて突っ込んだ質問をしました。その時、良い面だけでなく悪い面も正直に答えてくれたことが、とても印象に残っています」
入構後は総務部情報管理課のメンバーとして、ITインフラ全般を担当。日々の業務は多岐に渡ります。
「サーバーやネットワークを中心に、業務が安定して回り続けることを最優先にITインフラの運用を担当しています。Microsoft 365についても、単に動かすだけでなく、どう使えば現場の負担が減るかを考えながら改善を進めています。
また、職員向けにMicrosoft 365の利活用を広げるための教育や案内の企画・運営にも携わっています。問い合わせ対応も含め、問題が大きくなる前に手を打つことを意識しながら、日々の業務を支えています」
入構当初、芦野がもっとも驚いたのが「JQAにはパソコンを持って会議に参加する文化がない」ということでした。
「私は社会人になって以来、会議ではパソコンで資料を見たり、メモを取ったりするものだと思っていたので、想像以上にギャップを感じました。会議にパソコンを持ち込まない背景には、JQAでは長年有線LANが使われていること、まだまだ紙文化が残っていることなど、デジタル環境が整っていないという要因がありました。それらを整備し、職員たちの働きやすさを底上げすることが私の役割でした」
2つのプロジェクトを主導し、JQAのDXやペーパーレス化、働きやすさ向上に大きく
情報管理課では、DXと業務改善を両立させるための複数のプロジェクトが進められており、その一端を芦野が担っています。入構後に芦野が取り組んだ大きなプロジェクトは2つあります。1つは、前述のDX化、働きやすさの向上をめざした無線LAN・クラウド認証基盤の導入プロジェクトです。
「社内にWi-Fiを導入する上での課題は、コストとセキュリティ面でした。ネットワーク業者に依頼すると、現地調査から始まり、多くの時間とお金がかかります。そこで、自宅にWi-Fi環境を整備するような、自前でできる方法を検討しました。
また、Wi-Fiを使う場合、SSIDとパスワードの認証だけではセキュリティ対策が十分ではありません。そこで、デジタル証明書と呼ばれるものをパソコンに入れて、セキュアな認証ができる仕組みを検討。クラウド型の認証サービスを採用することで、従来方式と比べて大幅なコスト削減とセキュリティ向上を両立しつつ、安全にWi-Fiを利用できる環境を整備できました」
Wi-Fi導入において芦野がこだわったのは、費用や安全面だけではありません。もう1つ大事にしたのは「誰でも簡単に利用でき、管理コストがかからない」という点です。
「JQAには23の事業所がありますが、事業所にアクセスポイントを設置したい場合は、必要なルーターの台数や設置場所などをワークフローで申請できる仕組みもつくりました。機材は、LANケーブルをつないで電源を入れればすぐに使えるような手軽なものにしたので、情報管理課が現地に行って設置する必要もありません。
現在アクセスポイントは全拠点合わせて70台ほどありますが、すべて安定稼働していて、状況はクラウドで管理できるのも楽ですね」
この取り組みにより働きやすさは劇的に改善され、職員たちからは喜びの声が続々と届きました。
「一度設定してしまえば、他の拠点でもすぐにWi-Fiが使えるようになったので、出張の時に助かるという声は多いですね。また、LANケーブルが不要になったので、打ち合わせでパソコンが使いやすくなって仕事の効率が上がった、という声もありました。まさに働きやすさを底上げできた事例で、大きな達成感を覚えました」
これと並行して実施したのが、Microsoft365の導入プロジェクトです。これまでJQAは、オンプレミスのメールサーバーを利用していましたが、管理・運用面で大きな負荷がありました。
また、コミュニケーションツールとしてメール・サイボウズ・Zoomなど複数社のサービスを利用していたため、Microsoft365に統一したいという狙いもありました。
「まずはメールサーバーの切り替えを皮切りに、Teams、OneDrive、OneNoteなどの活用を推進したことで、コミュニケーションとファイル管理のスタイルが大きく変化しました。
また、サーバーをクラウド化する場合もやはりセキュリティ面が問題になるのですが、Microsoft365の認証にもWi-Fiと同じ証明書が使えるように設定をしました。エンドユーザーからすると、PCに証明書を1つ入れると、Microsoft365も使えるしWi-Fiも使える──そんな仕組みになっています。
これまでJQAにはチャットという文化がまったくなかったのですが、導入後はTeamsチャットでのコミュニケーションが非常に増えました。また、OneDriveやSharePointを使って資料を共同編集できるようになったため、無線LANとの組み合わせでペーパーレス化も加速しましたね」
前職までの開発系の仕事からITインフラの整備という領域に変わり、2つの大きなプロジェクトをやり切ったことで、芦野は自身の成長を実感しています。
「インフラ整備では、技術的な知見だけではなく、社内にこの仕組みを浸透させて効果を出すにはどうしたらいいか、を考えることも必要です。混乱がないように段階的に導入したり、案内や説明の仕方を工夫したり。そうした部分まで考えられるようになったのは、1つの成長だと思います」
課題を解決するために自ら考え、提案していく「プッシュ型」の仕事に大きなやりがい
ITインフラの整備を通じて、職員の働きやすさを追求してきた芦野。その根底には、一貫した価値観があります。
「社内SEとして大事にしているのは、ITという“道具”を使って皆さんの仕事を楽にしたいということ。セキュリティ対策はもちろん重要ですが、そこを気にするあまり利便性が下がるのでは、“道具”を使う意味がありませんよね。今後もITのおかげで便利になった、と言ってもらえる仕事、人の役に立つ仕事をしていきたいと思います」
そんな芦野は現在、新たなプロジェクトを推進中。今後の展望を次のように語ります。
「短期的な目標は、現在進めているネットワーク刷新プロジェクトを完遂することです。入構当初から、ファイルサーバーへのアクセスが遅い拠点が複数あるという課題が挙がっていたので、今後1年ほどかけて全事業所のインターネット回線の引き換えを実施する予定です。ネットワークを改善し、仕事がさらにはかどる環境を実現したいと思います。
そして中・長期的には、ITインフラに限らず業務アプリの開発なども含め、JQAのITのあり方を模索したいと考えています。JQAは、安全試験や認証サービスをはじめ幅広い事業を展開しているので、多くの部門や職員の役に立てるシステムを構築してみたいですね」
前職までの芦野は、クライアントや事業部門からの要望を満たすシステムをつくる、といういわば「受け身」の仕事に主に携わっていました。JQAでは、社内の課題を解決するために自ら考え、提案していく「プッシュ型」の仕事に変わり、大きなやりがいを感じていると言います。
「もともとプッシュ型の仕事がしたいと思っていたので、JQAでやっと自分のやりたい仕事ができているなと感じます。これまでは、自分の中に『もっとこうすればいいのに』という考えがあっても、なかなか叶わずもどかしく思うこともありました。自分が最善と思うことを実行し、職員の働きやすさの向上に貢献できることが嬉しいですね」
最後に、「SEとしてJQAで働く魅力は?」と尋ねると、次のような答えが返ってきました。
「私が面接で感じた通り、JQAには穏やかで誠実な方が多いと思います。また、現在所属する情報管理課では、個人ではなくチームで業務に取り組む意識が根づいているため、仕事が終わらず残業が続くようなことはありません。
一方で、任されたプロジェクトには裁量を持って取り組めるため、やりがいもあります。1つの組織に腰を据えて、安定的に働きたいという人には最適な環境だと思います」
※ 記載内容は2026年3月時点のものです

