高速道路リニューアルプロジェクト(大規模更新・修繕事業)によって試験の依頼が増加
一般財団法人日本品質保証機構(以下、JQA)の7つの事業領域のひとつで、建設材料である鋼材やコンクリートなどの物性試験を担うマテリアルテクノ部門。その中で、宮崎は中部試験センター 名古屋マテリアルテクノ試験所の所長を務めています。
「試験所の運営管理を担っており、マネジメント業務が仕事の中心です。事業計画を策定して実行に向けたプランを立て、必要に応じてチームを編成し実行指示を行う。
またISO/IEC 17025(JIS Q 17025)に沿った試験所運営ができるように、試験所の技術的能力、運営の公平・公正さについて管理をして、正確で信頼できる試験データを提供できる試験所の体制づくりを担っています。
また品質管理責任者として発行する成績書の最終検証業務等を行うと共に、外部の審査機関の審査時には品質管理責任者としてマネジメントシステムの運用状況について説明を行い審査対応もいたします。
また、試験所に所属する13名の所員の育成も担ってきました。教育訓練計画をもとに、試験担当者に必要なスキルや知識を学んでもらっています。また、所員から『どうすればお客様の要望に応えられるだろうか』といった相談を受けることも多く、試験方法について一緒に検討する事も私の役目です」
当試験所にはマテリアルテクノ部門をリードする役割が期待されていると話す宮崎。
「私たちが担当する試験の数やラインナップは多岐にわたります。部門内でも高い収益を上げる試験所として、部門を牽引する意識を持って取り組んできました。
また、中途入社の社員が約8割を占めるため、多様なバックグラウンドや経験を持つメンバーがそろっていることが強み。試験ラインナップの開発など、新しいことに積極的にチャレンジすることも期待されています」
当試験所で実施されることの多い試験のひとつが、「鉄筋コンクリート造」と呼ばれる建物を建設する際の主材料であるコンクリートや、コンクリートの中に使用される鉄筋の強度を測定する破壊試験です。コンクリートをはじめとする建設材料は、その品質が建物の安全性を左右するため、JIS規格で試験方法や成分、物性の管理基準等が明確に定められています。
また各種施工管理要領等により、維持修繕にかかわる構造物工事の要求性能や、材料選定の際の基準値等が施工管理試験として試験方法と共に定められています。高速道路等の老朽化に伴う補修工事の増加に伴って、施工管理試験への依頼数が増加していると宮崎は言います。
「工事現場で使用するコンクリートや鉄筋の試験体をお客様から提供してもらい、圧縮試験や引張試験をして、強度が確保されているかどうかを調べます。
施工された建設物を壊して測定することはできないため、現場でコンクリート打設を行う際に採取したコンクリートで試験体を作成し試験を行い、現場で施工された鉄筋を抜取検査等により選出し引張試験をして、施工された建設物の試験をします」
一方、近年は財団法人などの公的機関に加え、民間企業も市場に参入するなど、競合他社との競争が活発化しています。JQAの絶対的ブランド力を背景に、マテリアルテクノ部門では建設材料分野での実績獲得に努めてきました。
「JQAはISO認証業務や計測器の校正業務、電気製品・医療機器・車載機器の認証・試験などで豊富な実績があり、知名度も高くお客様から圧倒的な信頼を得ていますが、マテリアルテクノ部門についてはまだまだ伸びしろがあります。他部門の力も借りながら、事業をさらに伸ばしていこうとしているところです」
新しい試験業務の開発に挑む。大変でも、実現への道筋を考えることに楽しさがある
幼いころ、大工だった叔父が自室をつくってくれたことをきっかけに、ものづくりへの興味が湧いたと言う宮崎。大学では工学部で土木工学や材料工学を学び、卒業後はゼネコンに入社して、高架橋の新設工事などに現場監督として携わりました。JQAに転職した経緯を次のように振り返ります。
「仕事にはやりがいを感じていましたが、鉄道土木の分野であったため、勤務時間帯が不規則だったんです。働き方を見直し、自分の知識と経験を活かせる転職先を探していて出会ったのが、JQAでした」
入構後、コンクリートや鉄筋の試験に携わってきた宮崎。その一方で、多数の業務改善にも貢献し、2016年には部門統一ソフト機器管理システムをExcel VBAで作成しています。
「試験業務には、さまざまな測定器や試験機の精度を常に一定に保つために定期的にメンテナンスを行い、校正を実施し計測ツールが示す数値の正確性を確かめる業務が欠かせません。対象機器が多種多様で数も多いため、私の入構当時はAccessで作成したソフトで管理していました。
使いづらい点があり改善を提案したのですが、ソフトウェアの開発を外注することは予算的に難しかったため、そうであればと、独学でExcel VBAを学びExcelで管理できるシステムを作ってしまいました」
前例のない試験の依頼にも、宮崎は果敢に挑んできました。
「どんなことも、まずはやってみることを心がけています。経験のないことでも、必要な情報を調べたりして対応してきました。実施が難しいと判断した場合でも、可能な事業者を探して外注し、そこから知識やノウハウを得て、自分たちで試験を行える環境を整えることも意識しています」
新規の試験業務の開発にも取り組んできました。たとえば老朽化した下水道管路の中に新しい「管きょ更生材」を挿入する「管きょ更生工法」。老朽化した下水道管路を撤去することなく、修復できる工法です。これに使用される管きょ更生材の品質確認試験を確立。これもまた、既存の業務に満足せず、新しい価値を提供したいとの想いから生まれたものでした。
「2020年ごろ、マテリアルテクノ部門のつぎの主力事業を模索しているさなかに、プラスチックの物性を調べる試験の依頼を受けました。これを外部の試験機関に委託し、試験に立ち会って技術や知識を学ぶことにしたんです。そこで試験室にたくさんの試験体があるのを目にし、担当者の方になんの試験かを聞いたところ、それらが『管きょ更生材』であることを知りました。
その後、ある自治体の下水道局の支部長に管きょ更生材の試験についてヒアリングをしたところ、高い需要があることがわかり、そこからさまざまな規格や情報を調べて事業化にこぎ着けました」
新しい試験は、試行錯誤して方法を見出したり手順を決めたりする必要があるため、多大な時間と労力がかかることも。しかし宮崎は、そんなプロセスの中におもしろさを見出してきました。
「もちろん大変ですが、決まったことを反復するよりも、新しいことに挑み、実現への道筋を考えることに楽しさを感じます。トライ&エラーを繰り返してかたちになったときは、大きな達成感がありますね」
この管きょ更生材の品質確認試験はJQA内で高く評価され、宮崎は2021年に功績者表彰を受けています。
高速道路や橋やマンション。大きなものづくりの一翼を担えるダイナミックさが魅力
宮崎が功績者表彰を受けたのは、一度だけではありません。最初に表彰されたのは2017年のこと。「表面被覆材の押抜き試験」および「建研式接着力試験」という、これもまた、新しい試験業務開発に携わったことが評価されました。
「私の取り組みを見ていた当時の中部試験センターの所長が後に人事部長に就任した際、新しい試験業務の開発を高く評価し、『表彰案件にかけ合ってみてはどうか』と提案してくださったんです。結果として表彰されることになり、客観的に認められたことで、モチベーションはよりいっそう高まりました」
数々の功績を収めた宮崎は、2022年4月に所長に就任。組織をまとめる立場になったことで、心境に大きな変化があったと言います。
「所長就任以前は、自分が努力すればこなせる範囲の仕事をプレイヤーとしてやっていました。しかし管理職になると、ひとりでできる仕事は限られます。
所員一人ひとりの得意分野や不得意分野、個性はさまざま。適材適所を見極め、チームとしてどのように結果を出せるかを考えるようになりました。自分のアドバイスが所員の成果や成長につながっていることに、いまは大きな喜びを感じています」
さらに、マテリアルテクノ試験に長く携わってきた立場から、この分野ならではの仕事の醍醐味について語ります。
「高速道路や橋やマンションなど、JQAの中でも、かなり大きい建造物やダイナミックなものづくりに関わることができると言えます。またそれは多くの人々の生活になくてはならないもの。私たちが試験を実施することで、人々が安心して道路を使用したり、暮らしたりできたり。とてもやりがいに感じるところですね」
挑戦を後押しする風土。前例にとらわれず、新しい可能性に挑み続ける
名古屋マテリアルテクノ試験所で所長を務めるかたわら、。さまざまな場面でリーダーシップを発揮し、周囲を巻き込みながら新しいことに挑戦してきました。
「『やるべき』『やりたい』と思うことがあれば、みんなに面と向かって話す場を設けます。こちらから目的やビジョンを語るだけでなく、相手の声にも耳を傾け意見交換することを大切にしてきました。メンバーが納得し、協力し合えるチームづくりを大切にしています」
それができるのは、挑戦を後押ししてくれる風土がJQAにはあるからこそ。
「以前、当時の設備では対応できなかったお客様の要望がありました。そこで、投資回収計画とともに新しい設備の購入を提案したところ、当時の所長が『とりあえずやってみないことには始まらない』と快諾してくれたんです。
その時のことはいまも鮮明に記憶していますが、このような挑戦を後押ししてくれる人がJQAにはたくさんいます。だからこそ、新しい試験がつぎつぎと生まれてきたのだと思います」
そんな宮崎がいま求めているのは、チャレンジ精神旺盛なメンバー。新しい仲間に向けてこう呼びかけます。
「マテリアルテクノ部門でさまざまな試験業務を経験することで、試験業務のみならず、審査の知識も習得可能です。試験技術者としてのスキル向上だけでなく、後に所定の研修や経験を積む事でJISマーク表示制度での製品認証審査員やマネジメントシステム審査員としてのキャリアパスも開かれています」
「挑戦」を求めて走り続けてきた宮崎。その情熱は、これからも変わることはありません。
「新しいことに挑戦していくには、大きなエネルギーが必要ですし困難が伴いますが、それらを補って余りある達成感やメリットが得られます。前例がないからといってあきらめたり、従来のやり方に固執したりするのは、私のスタイルではありません。常に納得できる解を追求していきたいと考えています」
好奇心旺盛な少年のような情熱を心に秘めて。宮崎はこれからもJQAの先陣を切って挑戦していきます。
※ 記載内容は2024年1月時点のものです
