設備と技術を活かした価値創造で、食に関わるすべての人を幸せにする
60名ほどの組織体制で運営されている池田糖化の営業部門。その先頭に立つ常務取締役を務める小林は、営業部門の使命についてこう語ります。
「2024年に私たち営業部門は、10名ほどの有志で『食に関わるサプライチェーンの皆さまを幸せにする』という言葉を自発的に作り上げ、使命として掲げました。直接的には、食品メーカーや外食のチェーン店、個人店、スーパー・コンビニの惣菜といった中食部門など、食品を扱う企業に対して当社の原材料を供給することが主な仕事です。
そのため、これまでは仕事を通してお取引のあるお客さまとその先の消費者の皆さまに満足してもらえることがわれわれの使命だという共通認識でした。しかし、それだけではないのです。
原料を作っていただいている農家など生産者の方々から、最終的に食卓に出す消費者の方々まで、サプライチェーンに関わるすべての人々がつながっていて、その人たちが幸せになれるように仕事をしているのだという認識で動いてほしい。その想いを込めて、あらためてこの言葉を掲げました」
池田糖化は、カラメル色素を製造し販売することで日本全国の食品メーカーとの取引を拡大してきました。砂糖を焦がして作る茶色い色素は、醤油やソース、ラーメン、カレー、コーヒー牛乳などスーパーの棚に並ぶさまざまな加工食品に使用されています。そして、さまざまなお客さまの課題を解決するために、その都度工場に設備を導入してできることを拡げてきたという歴史があります。
「たとえば、カレールーには、茶色い色をつける原料に加えて、醤油の粉末やソースの粉末、お肉の味や野菜の味を再現する粉末などさまざまな原料が使われています。当社の原料を複合的に使用することで、最終的な製品ができあがるのです」
営業部門では製品カテゴリーごとの専門チームは作らず、全員が幅広い知識を持てる体制を整えています。
「一つの業界だけを担当していても、違う分野の依頼が来ることがあります。さまざまな知識を得るためには、多種多様なカテゴリーのお客さまを担当する必要があると考えています」
営業活動において大切にしているのは、お客さまの課題を引き出し、自ら提案することです。
「営業するにあたって、何よりも担当先のお客さまのことをよく知らなければいけません。お客さまのお店に頻繁に食べに行ったり、担当しているお客さまの商品をよく食べたりして『おいしいけれど、ここが課題ではないですか』といったお話を私たちからしていきます。そして、その課題を解決する方法を提案していく。それが、私たちの仕事の理想です」
池田糖化工業の強みは豊富な設備と技術の幅広さにあり、それらを組み合わせることで新しい味や形を創造できる点にあると言います。
「専業メーカーが多い中、当社は多様な設備を持っていて、幅が広いのが特徴です。たとえば、カラメルを作る際の『焦がす技術』を活かして新しい原料として味作りをする。話し合いの中で、お客さまが持っているものとわれわれの持っているものを組み合わせ、新しい味や形のものを作り出していけるのが魅力だと思っています」
開発から営業へ。提案型の営業スタイルで角的な解決策を見出せた大きな成長
法学部出身の小林は、新卒で入社後に半年間福山工場で研修を受け、その後東京で営業研修を行いました。そこで、異例の配属が決まります。
「現在は専門部署への配属が決まっていますが、当時の営業本部長から開発部門への打診がありました。文系出身でしたが、開発にも興味があったため承諾し、カップラーメンのメンマやチャーシューといった具材などの開発を担当することになりました」
4年にわたる開発経験は、その後の営業職で大きな糧となります。
「一からものを作っていく経験をしたことで、開発の気持ちもよくわかるようになりました。ものづくりにあたって、何が難しいことなのか、どういうことがハードルが高いのかは実際に手を動かしてみないとわからないことがあるからです」
そして1993年、営業部門への異動が決まった小林。当初は課題に直面したと振り返ります。
「開発をやってきた経験上、お客さまからの相談に対して無理なものは難しいとはっきり言わなければならないと思っているところがありました。しかし、それを続けるとお客さまの表情が曇っていくのです。だんだんと相談されなくなっていく中で、自分のやり方を変えなければいけないと感じました。
そこで、私はお客さまへの相談にできないと答えるのではなく、『こういう方法ならできる』という提案型の対応に変えていきました。お客さまが求めているのはNOではなく、何か別の解決策だったのです」
失敗から学びを得ることで成長し、お客さまとの信頼関係を築くようになった小林。その後、33歳の若さで最大手企業の担当を1人で任されることになります。
「当初は不安な気持ちが大きかったのですが、上層部から裁量を与えられて自由に仕事をさせてもらいながら、重要な場面ではサポートもしていただきました。この経験で、一つの担当先だけでなく、複数の工場や顧客との関係性を総合的に考えて最適な解決策を見出すという視点を学びました」
立場が変わることで、営業としてのやりがいにも変化が生まれます。
「自分の売上が直接的に増える喜びはもちろん大きいのですが、多くのお客さまに満足していただけるような解決策を打ち出すことに、より大きな喜びを感じるようになっていきました。
そして、それは今も変わらない営業職としての最大の喜びです。当社工場で作った商品を日本の皆さまが口にして、おいしいと思っていただけることが本当に嬉しい。今でも毎日のように上がってくる新製品情報を見るのが楽しみで仕方ありません」
価値あるフードソリューションを提供し続ける。現場の声から生まれた5つの行動哲学
池田糖化の営業本部では、「時代の変化に対応した価値あるフードソリューションを提供し続ける」をあるべき姿として掲げています。この言葉に込められた想いについて、小林は次のように語ります。
「食べることやおいしさという普遍的な価値は変わらないものです。ただ、当社が成長してきた道のりを振り返ると、その時々に設備を導入し、提供できるものを変化させてきました。
これからも環境は変わり続けていきます。その中で立ち止まることなく、環境の変化に対応していかなければ成長は望めません。そういう考えからこの言葉を作り上げました」
この考えのもと、営業本部では5つの行動指針を定めています。これらの指針は、現場の声から自然と生まれたものでした。
「行動指針は、普段やっていることを書き出してみようと。自分たちが何を大事にして営業活動しているのかを出し合ってみると、短時間で次々と出てきたんです」
1つめの指針は「感謝の気持ちを持ってお客さまに寄り添い、最善をつくす」ということ。
「先にも述べた使命にも掲げていますが、食のサプライチェーンによりすべての原料を作っていただいているところから、当社で言えば開発部も製造部も、すべての関係者に対するリスペクトや感謝の気持ちを持つということです。作ってもらって当たり前という考えであってはなりません」
2つめ、3つめの指針は「どうすればできるかを常に考える発想を持ち続ける」「自ら楽しんで、おもしろい仕事を創る」。これらは、小林自身の経験とも重なります。
「依頼を待っているというのは仕事を与えられることですが、そうではなくて課題を見つけて仕事を作る。そこに楽しみを見出すことが大切です。お客さまが課題を解決された時に喜んでもらえることがやりがいなので、それを楽しもうという考えです」
4つめは「難しい仕事から逃げず、チャレンジする」。そして、5つめは「自分だけで考えず、チーム力で課題に取り組む」。小林は、とくにチーム力についての重要性を強調します。
「メーカーである以上、製造部門、開発部門が一つになっていないと良いものは作れません。同じ部署の中でも横につながっていく、横で助け合うということが大事です。原料メーカーや生産者の方々も含めて、チームになって難しい課題にも果敢にチャレンジすることを大切にしています」
池田糖化の営業本部では、「時代の変化に対応した価値あるフードソリューションを提供
営業部本部長として組織づくりに取り組む小林。営業部門をまとめる立場として、今後の展望を語ります。
「営業は60人と少ない規模ですが、一人ひとりが行動指針に書かれていることを自発的に考えて行動できる組織にしていきたいと考えています。今以上に、より強い意志を持った組織にしていきたいですね」
そのために小林が心がけているのは、社員の声に耳を傾けること。役職者を経由せずとも直接的なコミュニケーションができる環境づくりを大切にしています。
「とくに若い人たちの声を直接拾えるように心がけています。『こうしたら、皆がもっと楽になります』とか『この道具が使えると、より良い提案ができます』といった提案を直接言ってきてもらえるような環境にする。その上で、私から発信をしたり必要な道具を揃えたりと、その声にできる限り応えられるようにしています」
また、求める人材像について、小林は競争心だけでなく思いやりの心を持った人材を求めていると語ります。
「競争心は大切ですが、相手を思いやる気持ちの強い人を求めています。よく例として話すのですが、ゴミが落ちていたら拾える人が理想です。
たとえば、会社の中で階段にゴミが落ちていたら普通に拾ってゴミ箱に入れる。汚れていたら掃除をするといった、人として当たり前のことができる。そういった誠実な姿勢が、当社の社風に合う人材だと考えています」
さらに、受け身ではなく主体的に動ける人材を求めていると付け加えます。
「指示を待って仕事を取ってくるのではなく、誰かが困っていることを見つけ出すことが大切です。営業という仕事に限らず、困っていることを見つけ出して、それを解決することが好きな人は、どんなポジションでも活躍ができると思います。そうした方に興味を持っていただけたら嬉しいですね」
※ 記載内容は2025年3月時点のものです
