興味を持つことが一番。味づくりで大事にするのは、味への探求心
鄧が所属する第二開発室の液体チームでは、日々さまざまな液体調味料の開発に取り組んでいます。
「液体チームには13名のメンバーが所属しています。主な業務としては、依頼案件の内容に沿って、保存性、生産性、コストを考慮した上での味づくりです。大きく分けて、液体調味料、シーズニングオイル、レトルト商材、冷凍商材、アセプティック商材の5タイプがあります」
開発期間は案件によってさまざま。すぐに採用になることもあれば、お客さまと商談を重ねて、長期になる案件もあります。
「所属チームにもよりますが、私が所属する液体チームでは、お客さまからの依頼に対して、基本的に直属の上司と相談しながら、案件内容に沿って味づくりを行い、上司が納得するまで試作を繰り返します。味が完成してからも、お客さまに提出し、いただいた評価をもとに改良を重ねます」
何度も試作を繰り返す中で、鄧が大事にしているのは、知らない、使ったことのない原料にも興味を持って、コストの許容範囲内で目標の味に近づけるように諦めずに試すことです。
味の開発という仕事については「調理しておいしさを生み出すこと」がやりがいだけではなく、味を生み出す前の試行錯誤によって経験や知識を蓄積することが大事です。
「幼い頃は、中国田舎の祖母の家に行くたびに、石、蝋燭、缶飲料の蓋と川で採ってきた小魚を使って、庭で料理作りゲームをしていました。今になって思えば、味づくりに興味を持たせてもらい、この道へ導いたのはそのゲームかもしれません。目標とする味を作り上げていく作業は、大変な時もありますが、味づくりに興味を持っていれば、その過程さえも楽しむことができます。
試行錯誤を重ねることで、試した原料の特徴やどうしたらその特徴が活かせるのかという知識はだんだん身についてきます。たとえ今回の案件で不採用になっても、自分の血肉になった知恵を次の案件に活かして、最終的に採用に結び付けば、努力は無駄になりません」
食品開発の道へ導いてくれたのは、「日本語の勉強」と「食品の勉強」
「大学受験時は、何か学びたいことがあったというより、『周りが行くから自分も行く』という気持ちでした。大学入学当初はソフトウェア設計と開発関係の学科に所属していましたが、その後、自分に合っていないと気づき、いろいろと悩んだ結果、自分のできることを一からやり直したいという気持ちになりました。
私は英語が得意だったので、言語学習ならできると考え、学科をソフトウェアから日本語に変更しました。今振り返ると、それは私の人生の中で1つめの転機だったと思います」
学生時代は中国の大学で日本語を専攻していた鄧。大学3年生の時に、日本の大学に交換留学に行くことになり、これがきっかけで食品に興味を持ち始めます。
「転科後すぐ、大学3年の1年間で公費留学のできる機会があると伺い、大学の1、2年はそれを目標にして努力していました。その後、無事に願いが叶え、留学ができました。留学先で教育学部に所属し、留学生は自由に好きな講義を受けることができます。
私は直感的に家庭科の授業がおもしろそうと思い、栄養学や食品学などを選んで受講していました。食品のおもしろさに気づいた私は、交換留学を終えて中国に戻った後も、日本で食品分野の研究を続けたいと思うようになったんです」
食品の専門的な知識を身につけるため、文系から理系へと大胆に転換し、再び日本で学び始めることになった鄧。これは、自身にとって2つめの転機となりました。
研究生1年、大学院2年の学生生活を経て、「食品の開発に携わりたい」という想いを軸に、就職活動を始めた鄧は池田糖化への入社の決め手をこう話します。
「就職活動では、複数の食品会社にエントリーシートを提出しましたが、開発職での採用は簡単なものではありませんでした。そこで視野を広げ、自分の強みである中国語や英語を活かそうと、海外出張のある企業にも選択肢を広げることに。
最終的に池田糖化に決めたのは、もちろん食品開発に携われることが一番の理由ですが、もともと同じ研究室の先輩が働いていたことも大きく影響しています。以前から池田糖化という会社の良さを聞いていたので、それが後押しとなって入社を決意しました」
中国への海外出張で得た大きな気づき。池田糖化にはチャンスを与えてくれる環境がある
鄧は池田糖化に入社後、各半年ずつの工場研修と開発研修を経て、2年目からは主に試作業務に携わってきました。その中で、母国である中国での海外出張の機会を得たことは、とくに印象に残っている出来事の1つです。
「当社は中国の山東省に工場があり、上海に事業所を持っています。中国出張の際に、私は、営業の方と一緒にお客さま先を回り、語学力を活かした技術的なサポーターとして期待されていました。
ところが、お客さまからの質問に私自身がうまく答えられず、その場で解決して案件を前に進めることができなかったんです。私は入社してから試作をメインで行っていて、その時に自分の経験不足を痛感しました。
また、母国語である中国語も、ビジネスにおいてはスムーズに通訳することが難しい場面があり、そこにももどかしさを感じていました」
海外出張で大きな壁にぶつかった鄧。しかし、上海分公司の総経理からのひと言がきっかけで、新たな気づきを得られたと言います。
「指示されたことをこなす中、総経理から『鄧さんが中国に来た目的は何ですか?』と聞かれ、私は何も答えられなかったんですよね。自分の強みを活かせる仕事がしたいとは思っていたものの、この海外出張も自ら手を挙げて挑戦したわけではなく、ただ言われたまま参加していました。
そこで、自分が受け身で臨んでいたことに気づくと同時に、主体的に動くことの大切さをあらためて実感したんです」
帰国後、今後の海外出張を諦めるべきか悩んだ鄧でしたが、キャリアを模索している中で気持ちに大きな変化が訪れます。
「しだいに『世界を見てみたい』と思うようになったんです。いつ何が起こるかわからないから、たくさんの経験を積んで、いろんなことに挑戦してみたいという気持ちに変わりました。受動的だとストレスに感じることも、適切なプレッシャーだと前向きに捉え、それを自分のエネルギーに変えていく。
そう考えられるようになってから迷いがなくなり、自ら目の前にあるチャンスをつかんでいこうという気持ちが強くなりました」
今後の目標は新事業のメンバーになること。巡ってきたチャンスを自らの手でつかみたい
現在、池田糖化では新事業として海外進出の拡大を計画しています。この大きなチャンスをつかもうと、鄧は自ら手を挙げました。
「新事業のメンバー募集が発表されて、その情報を得た瞬間から迷わず、苦労を恐れずに挑戦したい気持ちで応募しました。その一方で、通常の試作業務の経験も積んでいき、しっかり基礎を身につけることも大切だと感じています。
新事業で得られる経験や知識は、他の事業にも活かしていけると思いますし、今後のキャリア形成のためにも貴重な経験になるのではないかと考えています」
続けて、池田糖化の魅力をこう話します。
「当社には長期的なキャリアを築ける環境があります。その中で、やりたいことに挑戦できるチャンスを与えてもらえることは、長く働き続けたいと感じることのできる魅力だと思います。また、海外出張の機会も多いので、仕事を通じて“世界を見られること”が私にとっては一番の魅力ですね」
最後に、これから一緒に働く方に向けて鄧からメッセージを送ります。
「池田糖化で働く中で、周りの人の気持ちを尊重し、人の幸せを優先することの大切さに気づきました。人の幸せがあってこそ、自分も幸せになれると考えているため、これから一緒に働く方とも互いに尊重し合っていけたらと思います。
どんなこともポジティブに変換し、チャレンジ精神があれば幅広く活躍できる環境が当社にはあるので、皆さんと働けることを楽しみにしています」
大好きな味の開発に携わりながら、目標に向かってひたむきに走り続ける鄧。困難さえもポジティブに転換し、自らチャンスをつかもうとする鄧の活躍に今後も目が離せません。
※ 記載内容は2024年12月時点のものです
