製品開発から生産まで。お客さまと工場の間に立って要望をかなえる
池田糖化工業(以下、池田糖化)第四工場でマネージャーを務めるK.Y。即席麺メーカー2社向けのOEM製品の立ち上げ管理を担当し、製品開発から生産までの全工程に関わっています。
「現在は、液体製品関連の業務に特化した仕事をしています。お客さまからいただいた配合表や仕様書に基づいて、必要に応じて検証を行いながら工程を考え、当社の製造フローに落とし込み、工場でスムーズに生産するための全体像を整えていくような役割です。
役職としてはマネージャーという立場ですが、現在チームとしては1人で、実務から管理まで幅広く担当しています。商品化に関わる多くの部署と連携しながら仕事を進めている状況です」
製品開発から生産までの一連の流れについて、K.Yは次のように説明します。
「まず、お客さまの方で半年ぐらい先の新商品の試作をされます。ある程度味が決まって会議で商品化の内定が出ると、当社にテストの依頼が来ます。テストでは本生産を見据えて、実際の製造ラインを想定しながら製造工程を検討し、本製造時にお客さまの求める要望・品質を満たすことができるのかを確認します。
同時に、お客さまがバイヤーさんに提案するための見本サンプル作成も兼ねております。テスト時に本生産時の懸念点が見つかれば、お客さまや関連部署とやり取りの上、本生産までに解決するようにしています。
その後、商品化が正式決定となり、本生産立ち上げの依頼を受けると、工場へ配合表を提出し、製造立ち上げの準備に入ります。関連部署と連携して、製造フローやラベルなどの工場が生産するために必要な書類などを準備し、初回生産を実施。
初回生産品はお客さまと共に、品質を確認します。生産後にも製品規格書や初回生産データの提出などがあります。これらの一連の流れをアイテムごとに進行していきます」
複数の新規立ち上げアイテムを同時並行で進める中で、K.Yは2つの価値観を大切にしています。
「この仕事は調整業務が多いため、バランサーとしての役割を担っています。そのため、お客さまの要望をかなえることはもちろん、工場側の要望も取り入れるようにしています。どちらか一方に負荷がかかるのではなく、双方が納得いくポイントまで落とし込めるようすり合わせることを心がけています。
そして、もう一つ大切にしているのは、『ゼロ回答をしない』ということです。難易度が高い、もしくは本生産時に懸念点があるなどの理由で、お客さまの要望のままでは難しい案件の相談を受けることがあります。すぐにできないと言うのではなく、『ここまでならできます』、もしくは『○○という懸念点があるので、代替案として△△はいかがでしょうか?』という提案を必ずするようにしています。
難易度が高いものでも、別の切り口を模索し、アプローチができないか考えることで、建設的な解決策を見出すようにしているのです」
「できない」ではなく、模索する。──成長を支えた仕事の向き合い方
学生時代に遺伝子組み換えを研究し、食に関わる仕事に興味を持っていたK.Y。最初の就職先は、コンビニエンスストアのお弁当を製造する会社でした。
「24時間365日稼働する環境で3年間ほど勤務し、調理部門や開発、工程管理などさまざまな業務を経験しました。ただしだいに、将来のキャリアパスが見えづらくなってきたことから、転職を決意しました」
「食」と「ものづくり」を軸に転職活動を進め、池田糖化と出会ったK.Y。入社後は、即席麺メーカーの専門開発チームに加わることになりました。
「関連工場の基礎知識を身につけるため、液体工場や粉末工場、パック工場で3カ月ほどの研修を受けた後、開発現場に入っていきました」
配属後は上司のフォローアップ体制のもとで実務経験を重ね、成長していきました。
「最初は経験やスキル不足からできないことが多かったです。しかし、上司からは『できないは最終手段であり、ここまでならできるという回答を必ず返すことが大切だ』と教わり、その通りに実践していきました。
そのおかげで、難しい処方やレシピで製品化できたことや、一見実現不可能と思われた依頼を段階的に進めて形にできたことなど、成功体験が積み重なっていきました。
一方で、お客さまの要望に対して最終形にならなかったケースや検証不足による不具合といった失敗も多数経験してきました。その経験を次に活かし、どこに落とし穴があるかを事前に予測し、回避方法を見つけられるようになったことも大きな学びになりました」
10年以上の経験を通じて、K.Yは商品化の初期段階から立ち上げ後まで全体を見渡せる唯一の存在となりました。
「『すべては、お客さまの要望に応えるため』。そう考えてわからないことは素直に教えを請い、事前相談を心がけることで周囲からの協力やバックアップを得られるようになりました。
もともとコミュニケーションが得意なタイプではなかったのですが、仕事を続けていく中で、各分野の専門家とのネットワークの構築につながって、自分ならではのキャリアが築けたのだと感じています」
ゼロからの環境づくり──第四工場での挑戦と未来への布石
2024年10月、K.Yが第四工場への異動が決まります。
「池田糖化では2015年頃から、これまで開発部門で担当していた業務の中から関連工場や他の関連部署に移管した方がメリットのある業務を切り離し、それら業務について工場を含めて各部署へと移管していこうという構想がありました。
紆余曲折あって時間はかかりましたが、最終的に開発時代に行っていた業務の中で、一番ウエイトの大きかった液体製品部分を切り離し、液体製品を製造する第四工場へ移管する業務と共に私も一緒に異動することになりました」
異動に伴い、これまでの仕事の進め方も大きく変化しています。
「開発部門時代に作成した製造フローは、異動して振り返ってみると、製造工程への理解が浅かったのではないか?と感じています。工場に来てからは、製造部とのコミュニケーションの頻度が上がり、意見を直接聞けるようになりました。
これまでは、製造部の方が『こちらの方が作りやすい』という改善案を思いついても、わざわざ連絡をいただくことが少なかったのですが、製造現場との距離が近くなったことで、気軽に声をかけていただけるようになり、より実践的な改善提案も増えてきたと感じています」
異動してまだ日が浅い現在は、新しい環境づくりに注力しています。
「11月から実際に第四工場で働き始めて、設備も環境もゼロのところからスタートしています。現在は、設備や備品を順次準備して一通りの流れはでき始めていますが、まだまだ不便な部分も多いです。
作業している場所も、まだ仮住まいのような形で仕切られた空間での作業になっています。私以外の人でもやりやすく感じてもらえるような形で、もう少しブラッシュアップしていきたいですね」
開発から工場へ、活躍の場を移したK.Y。仕事の大きなやりがいになっているのは、やはりお客さまの存在です。
「開発時代はお客さまからのフィードバックを直接得られることがやりがいでした。自分の行動に対する評価を明確に得ることができるのは、お客さまの声が届く仕事だからこそ。
現在の仕事では、営業メンバーがお客さまとコミュニケーションを取るケースが増えていますが、自分の仕事の先にお客さまがいることを常に意識しながら、今後も真摯に取り組んでいきたいですね」
「キャリアの道は仕事の延長線上にある」。お客さまの声を原動力に、多様な人と学び合う
池田糖化で働く魅力について、K.Yは多くの人と関わり、さまざまな専門知識を持つ人々から学べる環境を挙げます。
「さまざまな調整ごとを仕事としてきたので、本当に人と関わる機会が多いです。開発部だけでなく、各工場や業務部、品質管理室などいろんな部署の方と関わることができます。どの部門のメンバーも専門知識が豊富で、一緒に仕事をしながら教えてもらうことで、自分も知識が増え、成長することができました」
このような環境だからこそ、幅広い人材が活躍できるとK.Yは考えています。
「コミュニケーションが上手な方がいてくれれば助かりますし、コミュニケーションは苦手でもコツコツと専門的に物事を進めていける方も必要です。大切なのは、食に興味があること。私も新商品などの動向を気にしていて、興味があったら実際に買って食べてみるなどアンテナを張っています」
今後の展望については、環境を整えつつも、四工場に関わる各製品や顧客への理解を深めていきたいと話します。
「まず直近の目標として掲げているのは、先にも述べた職場環境の整備です。そして、現在の担当以外の製品や顧客についても理解を深めていきたいと考えています。
工場に来たからには、他のお客さまや製品のことを知っていき、全体的に見られるようになっていかなければいけないと思っています。少しずつ幅を広げていきたいですね」
個人のキャリアについては、与えられた仕事に責任を持って取り組み、その先にある可能性を探っていく姿勢です。
「将来どこに行きたいとか、どういう仕事をしたいというのは、今いただいている仕事の延長線上にあると思っています。
私の池田糖化でのキャリアパスは珍しく、これまでのキャリアの積み上げ方も人とは違っています。だからこそ、この先も人と違うキャリアになっていくのかもしれません。今のポジションと仕事に対して、責任感を持って全うしていけば、その先に会社として自分にしかできないポジションが見えてくると思っています」
※ 記載内容は2025年3月時点のものです
